中盤における病室での口述部分を読んで始めて本書が未完の遺作であることを知る。上巻ではニュートン力学から熱力学、そして下巻での熱の分子運動論の完成で本書は終わるのだが、本当はこの延長線上で量子力学について語るつもりだったのではないだろうか。とはいえ、そこに至る過程において多くの物理学者が実験と観測、互いの論争を交わしながら認識を少しずつ進めていきやがて一貫した公式を見つけ出していこうとする姿勢はやはり科学として一つのあるべき姿だと思うし、その真摯な態度というのを何より伝えたかったのではないだろうかと思う。