【感想・ネタバレ】物理学とは何だろうか 上のレビュー

あらすじ

現代文明を築きあげた基礎科学の一つである物理学という学問は、いつ、だれが、どのようにして考え出したものであろうか。十六世紀から現代まで、すぐれた頭脳の中に芽生えた物理学的思考の原型を探り、その曲折と飛躍のみちすじを明らかにしようとする。著者は本書の完成を目前に逝去、下巻は遺稿として刊行された。

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Posted by ブクログ

読み返しをしたくなる本がいくつかある。朝永先生の名著であるこの本も3度目だろうか。
丁寧に、飛躍なく、誰にでもわかるように書かれているけれど、頭を使って、時々手も使って考える、ということ無しでは読むことはできない。一般向けだけれど、わかりやすいところをサラッとという書き方ではない。一行一行大切に読みたくなるような、お人柄が伝わってくる文体で、お話を聞きたかったと思わされる。

上巻は、ガリレオ、ケプラー、ニュートンの力学の話と、カルノー、クラウジウス、トムソンの熱力学の話。

3度目の下巻も続けて読もうと思う。

世の中には、たくさんの本がある。その中で、これからも残っていき、日本にいる人、誰もが読むべき本は、もちろんたくさんあるだろうけど、この本を超えて選ばれる本は少ないと思う。

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2024年12月12日

Posted by ブクログ

43年前に出版された本である。出版時に読んだが、物理学生向けの注釈があったことば覚えていない。
 1年生にとって物理の復習についてはいいのかもしれない。

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2022年02月11日

Posted by ブクログ

くりこみ理論でノーベル賞を受賞した故朝永振一郎著。物理学の発展を16世紀のケプラーから述べている。自然の観測とそのデータを元にした推論や実験が占星術や錬金術を物理学や化学へ変身させていく力となった。

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2018年10月20日

Posted by ブクログ

良質な読み物。最初に、物理学とは何か、をケプラー、ガリレオ、ニュートンの力学を通して語り、次に科学と技術の関係を取り上げつつ、熱力学の数式化を図る。どちらも歴史的変遷を踏まえており、教科書的ではないのが、読み物として面白いのだ。熱力学は紙と鉛筆準備して臨んだ方が理解が深まるだろう。

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2014年08月13日

Posted by ブクログ

ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎が、「物理とは?」をテーマに書いた本。
物理学史のような側面もあるが、重視されているのは発想のリレー。すなわち、誰がどんな着想を得、それを引き継いでどう発展させてきたか。
読みやすいし、非常に為になる。

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2013年02月19日

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学生時代に買った本だが、正月休みの帰省の際にもう一度読み返してみた。著者はノーベル物理学賞を受賞された朝永振一郎先生。本書は二部に分かれており、古代の呪術、占星術、錬金術などがどのような過程を通して、物理学となるに至ったのかが述べられている。
改めて、基礎科学とはどういうものかという事を見直す事が出来た様に思う。序章において述べられる、
「われわれを取り囲む自然界に生起するもろもろの現象-ただし主として無生物に関するもの-の奥に存在する法則を、観測事実に拠り所を求めつつ追求する事」
という文章が、ケプラー、ガリレオ、ニュートンという時代の流れとその時代の考え方を追いかけることで、より明確になってくる。
第一章は主として占星術から天文学、古典力学に変遷する過程、第二章は錬金術から化学、熱学、熱技術が生まれる過程が主として述べられている。
題名通り、「物理学とは何か」という問題に対して一つの解答が得られた書である。

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2013年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 ノーベル化学賞は取れたけれど、今年は物理学賞は無理でしたね。著者は日本で二番目のノーベル物理学者受賞者です。
 古典的名作として読み継がれてきた本書ですが、扱っているテーマも枯れた分野であることもあって、未だ古くなっていません。高校数学程度の知識で、物理学の成り立ちを知ることが出来る本です。

 文明が発生して以来、すなわち日々の食料の確保に奔走せずとも生きていけるような社会が確立して以来、世界の成り立ちを知りたいという欲求は、知識人たちを思索に向かわせ、古代ギリシャでアリストテレス哲学に結実し、以後、占星術や錬金術を発展させてきた。しかし、占星術や錬金術は、物理学や化学の前身であることは確かだが、近代の物理学や化学とは別物であることもまた事実である。では、一体何があり何がなければ物理学であり化学というのか。中世の研究者たちの思考の後を辿ることにより、これを定義しようというのが本書である。

 上巻では、まずは力学の成り立ちについて語っている。現代でもそうかもしれないが、中世の人々は占星術により運命を知ろうとした。占星術は天体の運行から運命を読み取る技術であるため、天体の動きを知ることが非常に重要であり、天体観測が発展した。この時代に登場するのがケプラーである。ケプラーも占星術師であったが、なぜ天体の運行が人の運命と結びつくのかということに疑問を持ったらしい。そこで、天体の運行の仕組みを明らかにすることにより、この関係性が分かるのではないかと考えた。
 ケプラーは、師匠のブラーエが生涯を掛けて集めた正確な天体記録を継承し、未だ確立していない幾何学を駆使し、苦心の末、火星の軌道が長円であることを突き止めた。こうしてケプラーは、思索による哲学ではなく、実際の記録に基づく計算により、天体の運行が単純な幾何学により表されることを明らかにしたのである。

 同時代に生きていたガリレオは、単なる観察に基づく計算だけでなく、自らの考えを証明するための装置を作成し実際に試すという作業、すなわち実験により、証明するという方法を編み出した。そして実験により、地上における物体がどのような運動をするのかを明らかにしたのである。
 しかし、彼らの考えがそのまま受け入れられたわけではない。中世にはカトリック教会という大きな壁が存在していた。教会は聖書の記述を疑わせるような考えを否定し、弾圧したのである。

 ケプラーやガリレオが世を去ったあとに登場するのがニュートンである。ニュートンは、完成した幾何学を駆使し、いくつかの法則を前提とすれば、ケプラーが発見した天上世界の運動とガリレオが発見した地上世界の運動を導き出すことができることを明らかにした。これにより、力学の世界を説明するための言葉を人類が手にしたことになる。

 これまでは哲学的な側面から発展した物理学を見たが、物理学には技術的な側面からの発展もある。ワットによる蒸気機関の発明は、人類に産業革命を起こすと同時に、蒸気機関を改良する試みの中で、なぜ熱からエネルギーを取り出せるのかという疑問を生み、熱学の発展を促すことになるのである。

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2012年01月29日

Posted by ブクログ

本書を読んで良かったと思えたことは、物理学者が偉大な発見をするまでの経緯を知ることができたことである。力学・熱力学について論じられていたが、具体的に得た知見は以下のとおりである。?ケプラーによって正確な観察事実に拠り所を求めつつ厳密な数学的推論を用いる手法が成された(それ以前の物理学は占星術より分化しておらず、思弁に導かれた神秘的色彩が強かった)、?ガリレオによって?に「実験事実」が加わった。自然の法則をばらばらに発見するだけでなく、その中からもっとも基本的なものをいくつか選び出し、それから他の法則が導き出されるような体系をつくった、?ニュートンによって、?、?の成果を踏まえ「ニュートン力学」とよばれる力学体系がなされた。また微分積分学を大成し、「運動」をその動きにおいて捉えることができるようにした。

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2009年10月04日

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ノーベル受賞者・朝永振一郎氏が、物理学の流れを書いています。
何十年も前の本ですが、今でもこれを越える本はないんじゃないでしょうか。

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2009年10月04日

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ノーベル賞受賞者:朝永振一郎がほとんど数式を使わずに、物理学の基礎を解説してくれる本。上巻の前半は、ケプラーからガリレオそしてニュートンへの流れを通して古典力学の導入を説明し、後半はワットからカルノーそしてクラウジウスへの流れを通して熱力学の発生を説明する。また、科学と宗教、科学と技術といった興味深い内容にも触れる。研究ができることと、このように科学の歴史をひもときながら初学者に向けて平易な解説をするのは異なる作業だと思うが、朝永がどのようにしてその二つを高い次元で達成したのかというのが面白い問だと思う。

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2016年12月31日

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日本人二人目のノーベル物理学賞受賞者であり、先に受賞経験のある湯川博士をもって「私がそれまで知っていたどの友人よりも頭が良い」と言わしめる朝永氏が平易な言葉で語りおろした、近代物理学の歴史とその成立について。序章にて物理学を「われわれを取り囲む自然界に生起するもろもろの現象―ただし主として無生物に関するもの―の奥に存在する法則を、観察事実に拠りどころを求めつつ追求すること」と定義しているのだが、万有引力や熱力学の発見の過程が語られていく中で、いかにこの言葉が歴史に裏打ちされたものであるかを教えてくれる。

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2012年11月28日

Posted by ブクログ

※上下巻同じレビューです

物理学とは何か、ということをガリレオ、ケプラー、ニュートンあたりから始め、20世紀初頭の物理学あたりまでを科学史的な感じで語っています。
バックグラウンドにある思想や哲学、社会状況にまで言及しているところが面白いです。

ただ、物理学とは何だろうか、と言っておきながら、十全に理解するためには、そもそもある程度物理学を知っている必要があると思いました(笑)
だいたい、大学教養レベルくらいの物理かな?

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2012年11月25日

Posted by ブクログ

新書とはいえ、決して簡単ではない。古代のアリストテレスから、中世の錬金術、ケプラー、ガリレオ、ニュートン・・・とそうそうたる面々が出てくる。
難しい物理学の理論は分からないが、科学史にわりと興味がある自分としては割りと満足できる内容であった。個人的には、アリストテレスと中世教会の哲学、およびルネッサンスとの関係が興味深い。議論がわかれているようだが、アリストテレスの哲学はルネッサンスに対抗して顕れていたのか、それともむしろルネッサンスのきっかけとなったのか、それが気になった。
増刷もかなりされているようで、良著であろう。

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2012年06月25日

Posted by ブクログ

一応、高校生を意識して書かれている本だが、大学生でももしくはそれ以上の歳でも問題なく楽しめる一冊。
上巻では、力学、熱学の成り立ちについて触れる。物理の諸法則の存在を知るだけでなく、その成立に至るまでの経緯がわかりやすく説明されている。
物理の深い理解にはこうした歴史的な背景を知ることが不可欠である

まだ、物理学の変遷をたどったことがない人はぜひこの一冊でその一部だけにでも触れてほしいと思う。

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2012年05月31日

Posted by ブクログ

中学生のときに読んだと思う。これで物理が好きになり、大学受験で物理学部を受けてしまった。受けるだけなら自由だもの。もし、そっちの道に進んでいたら、どうなっていたかな。

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2011年10月29日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
現代文明を築きあげた基礎科学の一つである物理学という学問は、いつ、だれが、どのようにして考え出したものであろうか。
十六世紀から現代まで、すぐれた頭脳の中に芽生えた物理学的思考の原型を探り、その曲折と飛躍のみちすじを明らかにしようとする。
本巻では、ケプラーから産業革命期における熱学の完成までを取り上げる。

[ 目次 ]
ケプラーの模索と発見
ガリレオの実験と論証
ニュートンの打ち立てた記念碑
科学と教会
錬金術から化学へ
技術の進歩と物理学
ワットの発明
火の動力についての省察
熱の科学の確立

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年05月14日

Posted by ブクログ

物理学とは何か、というのを歴史の物理学とは何か、を物理学の歴史とともに説明していている。
ちびっこに良いかもしれない。

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2021年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

目次

物理学とは何だろうか
序章
第I章
1 ケプラーの模索と発見
2 ガリレオの実験と論証
3 ニュートンの打ち立てた記念碑
4 科学と教会
5 錬金術から科学へ
第II章
1 技術の進歩と物理学
2 ワットの発明
3 火の動力についての省察
4 熱の科学の確立

物理学の発展形態と如何にそれが偶然の産物を含んでいるかを紹介してくれた本。

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2011年02月23日

Posted by ブクログ

【自然科学の歩みを理解するために】
図開架 S420.2:T661:v.1/2 上/下
 日本を代表する物理学者の遺作である。物理学を専攻する人も専攻しない人も、じっくり読むと著者の意図を理解できる。

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2009年10月04日

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