石田雄太のレビュー一覧
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メジャー挑戦から殿堂入りまで、長い時間をかけて積み重ねられてきたインタビューを読んでいると、まず感じるのは“言葉の密度の高さ”でした。
試合の裏話というより、自分をどう保つか、どう疑い続けるかといった内面の話が中心で、成功談を読むというより、一人の職人の思考を横で聞いているような感覚に近いです。
淡々としているのに、どの言葉にも引っかかります。
同じことを続ける難しさや、自分を積み上げていくことの重さは強く伝わってきて、読み終えたあとに自分の甘さを突きつけられるような感覚が残りました。
結果を残し続けてきた漢が過程を大事にする姿は、結局一番大事なことは何かを伝えてくれて、胸に突き刺さりました。 -
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MLBで活躍する2018-2023年のインタビュー集。当初はケガもあったが、冷静に自分の状態を見つめ、一歩一歩着実に階段を上る姿が印象的である。そして自身が最初のピークがくると予言していた30歳の2024年。50-50の大記録とワールドチャンピオンを獲得した年が記憶に新しい。稀代の天才が、謙虚に、野球だけに集中して努力を続けるとこうなるのか。
イチローにも通じるそのすごさだが、言葉を選び、禅問答のようなインタービューになることの多かった求道者イチロー。一方で大谷は、どこかあっけらかんとした雰囲気で和やかなインタビューになるようだ。そんな比較も面白い。
著者の石田雄太さんは、桑田、イチローとのインタビューなど、数々の名作を残されている、とても信頼できるインタビューアー。彼の作品はこれからも追いかけていきたい。 -
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70歳でこんなに夢中になる!
70歳になってこんなに夢中になる事があるのか。大谷翔平が大好きだ、一年中彼の事を考えている。キャンプから試合まで何時だろうと起きて見ている。大谷翔平の特番は全て録画している。ユウチューブの大谷翔平は全て見ている、何時間も何回も全く飽きない。こんな事はなかった、歳を重ねて忘れていた少年の心が蘇ってきた。テレビの大谷翔平に声を掛けている「行け翔平、頑張れ翔平、頼む翔平」
だんだん枯れてくる年齢に入って来たらしいが、感じないし思わない、燃えている自分がいる。大谷翔平が大好きだ、応援している。大谷翔平が喜んでいるのを見るのが嬉しい、大谷翔平を心から応援している。行こうぜ!翔平! -
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先入観は、可能を不可能にする。
花巻東高校の佐々木監督の言葉で、大谷翔平が今でも大切にしている言葉である。
大谷翔平は、求道者である。野球という道をとことん突き詰めて行く。野球以外にほとんど興味がない。
著者の石田雄太氏の定番の質問、今の幸せは?に対して、本当にささやかな楽しみを吐露する。
食べ物のこと、コンビニに行ったこと等々。
大谷翔平については、毎日のようにあらゆる情報がマスコミから流れて来る。また、SNSやネットニュースで自ら情報を収集する。大谷翔平のこと何でも知ってると自負する私であるが、この本を読んで、新たな情報がさらに加わった。
バッターとしての大谷は、ラインを出すという言葉を使う。ピッチャーの投球の軌道をラインとして認識して、スイングするのである。
大谷選手が変化球を打つ時のアプローチがイメージ出来た。 -
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年々、プロ野球への興味は薄れているのですが、それはたぶん、いまだに漂う昭和的な、非合理的な体質への違和感がますます大きくなっているから。だけど、久しぶりのこの野球本は面白かった。雑誌Numberなどで活躍するライター、石田雄太さんによる、平成30年間の各年を代表する30人へのインタビュー集です。
中畑、与田、清原、西本、野中、長嶋監督、野村監督、伊藤(智)、桑田、王監督、星野監督、杉浦(正)、中村(紀)、松井、高橋(由)、和田(毅)、今岡、イチロー、松坂、山本(昌)、斎藤(祐)。ダルビッシュ、谷繁、栗山監督、則本、秋山監督、藤波、川崎(宗)、大谷
30年もあれば、これだけ幅のある選手が揃う。活躍した選手のインタビューもよいけれど、印象に残ったのは、ケガや手術から復帰した選手の姿です。特に、同学年ということもあって、桑田の肘の手術からの復活劇には、あらためて感じ入りました。
桑田やイチローのような本物のアスリート、プロフェッショナリズムを持った選手がもっと増え、マスコミも野次馬的なノリじゃなく、アスリートとしての姿を報道してくれると、まだまだ野球も面白くなるような気がするんですけどね。 -
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イチロー選手がメジャー移籍を決めた2000年から、第2回WBC優勝を決めた2009年までの10年間に著者が行った単独インタビューの記事のオムニバス。
メジャー移籍1年目から首位打者、2004年にはシーズン最多安打記録、オールスターは常連とものすごい活躍を飾る一方、移籍先のマリナーズの成績低迷期にはイチロー選手の意識と緩んだチームの意識のギャップに悩んだり、自身のスランプに突き当たったり、そして王監督の下で優勝した第1回WBCでの活躍など、様々な局面でのイチロー氏の言葉が丁寧に描かれています。
「自分のできることをとことんやった打率2割5分の選手なら、適当にやって3割5分だった選手よりプライドを持っていい」、「自分に与えられた最大の武器は4打席ノーヒットでも5打席目が回ってきてほしいと思える気持ちの強さ」、「試合前の”準備”というのは言い訳の材料となり得るものを排除するために考え得る全てのことをこなしてゆくこと」、「試合中に笑うというのはその時点で満足感を味わっているからであって、必ずスキができてしまう。試合中の笑顔が消えたのはそのスキに対する恐怖を知ったから」、「プレッシャーで動きがおかしくなって結果が出なくなる。ご飯を食べていても呼吸のリズムが合わなくなり、呼吸の仕方が分からなくなるほど追い込まれてしまう」、「弱いチームはチームのためにという言葉でごまかして個人の能力が発揮されていないことの言い訳にしている。個人が持っている力を発揮して、役割を果たした結果としてチームがある」、「結果を残してきた人ほど不安と戦ってきたはずで、恐怖心を持っていない人は本物じゃない。その怖さを打ち消したいがために練習をする」
等々、選び出したらきりがないぐらい、示唆に富んだ言葉が満載です。普通の人にはまねできないほど自分に厳しい思考がある一方、ものすごいプレッシャーに晒されて苦しんでいた一面も描かれ、イチロー氏の人間味が良く出ている印象です。
自己啓発本みたいに、これらの言葉だけを選び出してまとめてあるのではなく、様々な前後の文脈の中にこれらの発言が収められているので、より説得力が感じられます。 -
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イチロー・インタヴューズ
P.43 例え4打席ノーヒットでも、5打席目が回ってきて欲しいと思える気持ちかな
「自分に与えられた最大の才能はなんだと思うか」という問いへの回答
P.63 どんな状況でも普通の精神状態で目の前の状況をこなすことが出来るという自信はあります
「これまでも常にプレッシャーを自分にかけてきましたし、そういう状況はたくさんありました。それをくぐり抜けてきた、乗り越えてきたという自信がありますから、どんな状況が目の前に現れても同揺したりすることはないし、普通の精神状態で目の前の状況をこなすことが出来るという自信はあります」
「絶対に負けられないチャンピオンシリーズ目前の連戦」で好成績を残したイチローのコメント
P.102 捉えられる、という感覚を持てるポイントがすごく多くなってきてることが裏目に出ている
「捉えられる、という感覚を持てるポイントがものすごく多くなってきていることが、裏目に出ているということかな。今の僕には、ヒットに出来ると思えるポイントがものすごくたくさんあるんですね。それによって、打つつもりのない球に対しても、打てるという自分が出てきてしまったんです。体が打てると勝手に判断するんですよ。だから、そういう球に手を出して、それが凡打になる。そういうケースがものすごく多いですね。だから、これは”例の試み”の副作用みたいなものだと思うんです」
3年目のシーズン開始後一ヶ月スランプに陥ったことを聞かれたときのコメント
P.109 「ヒットが出ているからいい状態、ヒットがでていないから悪い状態」というわけでもない
彼は常々、「ヒットが出ているからといって状態がいいというわけでもないし、ヒットが出ていないから悪いというわけでもない」と、口にする。ヒットになるかどうかは、相手の守備位置やランナーの有無などに左右され、同じ打球でもその結果は変わってくる。だからこそイチローは結果ではなく、打球の質にこだわるのだ。
「僕の中では、今日は”6の6”ですよ」ヤンキース戦で6打席3ヒット3打点をマーク。残りの3凡打もヒットと紙一重だったという認識でイチローがしたコメント
P.121 もう行ったれ、という気持ちが出てしまうんですかね
「それにしても不思議ですよ。ああいう時に限って牽制が来るんだから。あのピッチャー、今まで一度も僕に牽制球を投げたことがなかったんですよ。それなのに・・・もう行ったれ、という気持ちがでてしまうんですかね」
終盤戦で失速中のイチローが、ヒットで出塁後牽制で誘い出されてしまったことを振り返ってコメント
P.150 自分の数字を目指すというのは、常に限界への挑戦ですから
「人と比較をするという価値観は僕の中からはもう消えています。僕は僕の能力を知っていますから、いくらでも先はあるんですよ。人の数字を目標にしている時というのは、自分の限界より遥か手前を目指している可能性がありますけど、自分の数字を目指すというのは、常に限界への挑戦ですから。メジャーで感じる孤独感なんて、最高じゃないですか(笑)」
数々の偉業を成し遂げたイチローに投げかけられる「どこを目指してるんですか?」という問いに対する回答
P.151 野球が生活の手段になってしまったら、もっと前に進みたいという気持ちは消えてしまいますからね
「一つだけ言えるとしたら、メシのタネに野球をやっている選手では、絶対にここまでは来られないと思います。野球が生活の手段になってしまったら、もっと前に進みたいという気持ちは消えてしまいますからね。」
数々の偉業を成し遂げたイチローに投げかけられる「どこを目指してるんですか?」という問いに対する回答 その2
P.176 笑顔が消えたのは、次のプレーに対する恐怖を知ったからなんです
「94年の僕というのは、目の前に現れることが新しいことばかりで、楽しくてしょうがなかった。苦しみなんて、微塵もない。それがだんだん変わってくる。野球をする姿勢、表情が変わってきているはずです。(中略)次に起こるかもしれない怖さを知ったら、いちいち満足感に浸ってなどいられなくなる。笑っているということは、その時点でものすごく満足感を得ているということなんです。でも、相手はその直後から、常に僕の中に芽生えるスキを探している。笑っているということは、必ずスキが生まれているはずです。笑顔が消えたのは、次のプレーに対する恐怖を知ったからなんです」
P.177 でも、楽しいのとおもしろいのとは、ちょっと違うと思います。
「メジャーでの相手との差なんて、ほんの僅かな範囲のものですよ。圧倒的な差があったら、今でも笑いながら野球ができるでしょうね。僕にとっては、高校を出てすぐの92年にプレーしていたオリックスの2軍、あのチームの雰囲気は最高でしたから、すごくおもしろかった。でも、楽しいのとおもしろいのとはちょっと違うと思います。今だって、草野球の中に入って野球をやれば楽しいし、きっと笑いっぱなしですよ。でも、おもしろさというのはそういう次元では味わうことはできない」
P.253 だって、ご飯を食べていても呼吸の仕方が分からなくなってくるんですから。
「200本を打つ直前、180本から190本目を打つあたりが一番、苦しかったですね。体が自由に動かないんですよ。プレッシャーで動きがおかしくなって、結果が出なくなる。だって、ご飯を食べていても呼吸の仕方が分からなくなってくるんですから。呼吸のリズムが合わなくなって苦しくなる・・・それくらい追い込まれてしまうんですよ」
自らに課す最も過酷なプレッシャーである200本のヒットを打ち続けること。メジャーで6年連続のそれを達成したあとのコメント
P.258 プレッシャーと向き合っている間、何が難しいかって、力を抜くことなんです。
「プレッシャーと向き合っている間、何が難しいかって、力を抜くことなんです。自分でも余分な力が入ってるのは分かるんですよ。でも、なかなか抜けないんですよね。それがあの日のゲームでできたんです。何でかなぁ。やっぱり、扇監督の笑顔を見たからじゃないですか(笑)。本当に何がきっかけになるか分からない」
自らに課す最も過酷なプレッシャーである200本のヒットを打ち続けること。メジャーで6年連続のそれを達成したあとのコメント
P.284 何々のためにとか言う人は、うまくいかないときの言い訳が生まれる
「俺は自分のためだよ。だって、自分のためにやるからこそ、それがチームのためになるんであって、チームのために、なんていうヤツは言い訳するからね。オレは監督としても、自分のためにやってる人が結果的にはチームのためになると思うね。自分のためにやる人がね、一番、自分に厳しいですよ。何々のためにとか言う人は、うまくいかないときの言い訳が生まれてきちゃうものだからな」
王監督とイチローが食事をした際、イチローの「現役時代、選手の時に、自分のためにプレーしていましたか、それともチームのためにプレーしていましたか」という問いに対する王監督の返答 -
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雑誌Numberと文藝春秋に載ったイチローの独占インタビュー集です。
いわゆるイチロー本を数多く読んできましたが、この本は不世出のイチローの紡ぐ言葉と、それを引き出す類まれなインタビューアーが化学反応した最高傑作ではないかと確信します。
イチローの取材では定評のある著者。彼にしかできない鋭い質問はイチローをうならせ、おそらく一番信頼する記者でしょう。自宅でリラックスしたイチロー。苦悩するイチロー。はしゃぐイチロー。イチロー本人以外では著者がイチローを一番理解しているのではないでしょうか。
内容は2001年に渡米してから2009年のWBC優勝までの期間のイチローの軌跡を追っています。
連続200本、シスラー越え。二度のWBC優勝。
イチローの素晴らしさは技術はもちろんのことながら、その強い精神だと思います。また自分を的確に分析し、それを誰にでも理解できる言葉にしてアウトプットできる能力。
著者の質問力がその能力を最大限に引き出し、インタビューの最高傑作がここにあります。
イチローは自分より年下ですが、彼と同時代に生きていることと、彼の言葉を同時代人として聞けることが背筋を震わすくらい嬉しいことです。
ちょっと興奮しすぎですが、ひさびさに最高クラスの本に出逢えた感動で一杯。