あらすじ
シアトル・マリナーズでのデビュー試合。初めての首位打者のタイトルの獲得、リーグMVP、メジャー記録のシーズン262安打、WBCでの連覇、不調にあえぐ苦悩、弓子夫人の献身、日の丸への強い想いまで――。日本球界からメジャーへの挑戦が決まった2000年秋から2010年シーズン直前までの100時間を超えるインタビューを収録。イチローのすべてがこの一冊に!
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Posted by ブクログ
イチロー選手がメジャー移籍を決めた2000年から、第2回WBC優勝を決めた2009年までの10年間に著者が行った単独インタビューの記事のオムニバス。
メジャー移籍1年目から首位打者、2004年にはシーズン最多安打記録、オールスターは常連とものすごい活躍を飾る一方、移籍先のマリナーズの成績低迷期にはイチロー選手の意識と緩んだチームの意識のギャップに悩んだり、自身のスランプに突き当たったり、そして王監督の下で優勝した第1回WBCでの活躍など、様々な局面でのイチロー氏の言葉が丁寧に描かれています。
「自分のできることをとことんやった打率2割5分の選手なら、適当にやって3割5分だった選手よりプライドを持っていい」、「自分に与えられた最大の武器は4打席ノーヒットでも5打席目が回ってきてほしいと思える気持ちの強さ」、「試合前の”準備”というのは言い訳の材料となり得るものを排除するために考え得る全てのことをこなしてゆくこと」、「試合中に笑うというのはその時点で満足感を味わっているからであって、必ずスキができてしまう。試合中の笑顔が消えたのはそのスキに対する恐怖を知ったから」、「プレッシャーで動きがおかしくなって結果が出なくなる。ご飯を食べていても呼吸のリズムが合わなくなり、呼吸の仕方が分からなくなるほど追い込まれてしまう」、「弱いチームはチームのためにという言葉でごまかして個人の能力が発揮されていないことの言い訳にしている。個人が持っている力を発揮して、役割を果たした結果としてチームがある」、「結果を残してきた人ほど不安と戦ってきたはずで、恐怖心を持っていない人は本物じゃない。その怖さを打ち消したいがために練習をする」
等々、選び出したらきりがないぐらい、示唆に富んだ言葉が満載です。普通の人にはまねできないほど自分に厳しい思考がある一方、ものすごいプレッシャーに晒されて苦しんでいた一面も描かれ、イチロー氏の人間味が良く出ている印象です。
自己啓発本みたいに、これらの言葉だけを選び出してまとめてあるのではなく、様々な前後の文脈の中にこれらの発言が収められているので、より説得力が感じられます。
Posted by ブクログ
イチローの10年分のインタビュー集。読んでいるとマリナーズ時代のTV中継の景色を思い出す。フォームやスタイルが変わっても、野球に取り組むための軸は不変なんだなあと感じる。ちょっと寄せ集め感が強いかも。
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天才と言われるイチローだけど、どんな人もやっぱり悩みながら前に進んでいるんだなぁ。成長、進化していく前向きというか、自然にそう思えていること、感覚はやはり天才なんだと思う。そして努力。尊敬する。
Posted by ブクログ
イチロー・インタヴューズ
P.43 例え4打席ノーヒットでも、5打席目が回ってきて欲しいと思える気持ちかな
「自分に与えられた最大の才能はなんだと思うか」という問いへの回答
P.63 どんな状況でも普通の精神状態で目の前の状況をこなすことが出来るという自信はあります
「これまでも常にプレッシャーを自分にかけてきましたし、そういう状況はたくさんありました。それをくぐり抜けてきた、乗り越えてきたという自信がありますから、どんな状況が目の前に現れても同揺したりすることはないし、普通の精神状態で目の前の状況をこなすことが出来るという自信はあります」
「絶対に負けられないチャンピオンシリーズ目前の連戦」で好成績を残したイチローのコメント
P.102 捉えられる、という感覚を持てるポイントがすごく多くなってきてることが裏目に出ている
「捉えられる、という感覚を持てるポイントがものすごく多くなってきていることが、裏目に出ているということかな。今の僕には、ヒットに出来ると思えるポイントがものすごくたくさんあるんですね。それによって、打つつもりのない球に対しても、打てるという自分が出てきてしまったんです。体が打てると勝手に判断するんですよ。だから、そういう球に手を出して、それが凡打になる。そういうケースがものすごく多いですね。だから、これは”例の試み”の副作用みたいなものだと思うんです」
3年目のシーズン開始後一ヶ月スランプに陥ったことを聞かれたときのコメント
P.109 「ヒットが出ているからいい状態、ヒットがでていないから悪い状態」というわけでもない
彼は常々、「ヒットが出ているからといって状態がいいというわけでもないし、ヒットが出ていないから悪いというわけでもない」と、口にする。ヒットになるかどうかは、相手の守備位置やランナーの有無などに左右され、同じ打球でもその結果は変わってくる。だからこそイチローは結果ではなく、打球の質にこだわるのだ。
「僕の中では、今日は”6の6”ですよ」ヤンキース戦で6打席3ヒット3打点をマーク。残りの3凡打もヒットと紙一重だったという認識でイチローがしたコメント
P.121 もう行ったれ、という気持ちが出てしまうんですかね
「それにしても不思議ですよ。ああいう時に限って牽制が来るんだから。あのピッチャー、今まで一度も僕に牽制球を投げたことがなかったんですよ。それなのに・・・もう行ったれ、という気持ちがでてしまうんですかね」
終盤戦で失速中のイチローが、ヒットで出塁後牽制で誘い出されてしまったことを振り返ってコメント
P.150 自分の数字を目指すというのは、常に限界への挑戦ですから
「人と比較をするという価値観は僕の中からはもう消えています。僕は僕の能力を知っていますから、いくらでも先はあるんですよ。人の数字を目標にしている時というのは、自分の限界より遥か手前を目指している可能性がありますけど、自分の数字を目指すというのは、常に限界への挑戦ですから。メジャーで感じる孤独感なんて、最高じゃないですか(笑)」
数々の偉業を成し遂げたイチローに投げかけられる「どこを目指してるんですか?」という問いに対する回答
P.151 野球が生活の手段になってしまったら、もっと前に進みたいという気持ちは消えてしまいますからね
「一つだけ言えるとしたら、メシのタネに野球をやっている選手では、絶対にここまでは来られないと思います。野球が生活の手段になってしまったら、もっと前に進みたいという気持ちは消えてしまいますからね。」
数々の偉業を成し遂げたイチローに投げかけられる「どこを目指してるんですか?」という問いに対する回答 その2
P.176 笑顔が消えたのは、次のプレーに対する恐怖を知ったからなんです
「94年の僕というのは、目の前に現れることが新しいことばかりで、楽しくてしょうがなかった。苦しみなんて、微塵もない。それがだんだん変わってくる。野球をする姿勢、表情が変わってきているはずです。(中略)次に起こるかもしれない怖さを知ったら、いちいち満足感に浸ってなどいられなくなる。笑っているということは、その時点でものすごく満足感を得ているということなんです。でも、相手はその直後から、常に僕の中に芽生えるスキを探している。笑っているということは、必ずスキが生まれているはずです。笑顔が消えたのは、次のプレーに対する恐怖を知ったからなんです」
P.177 でも、楽しいのとおもしろいのとは、ちょっと違うと思います。
「メジャーでの相手との差なんて、ほんの僅かな範囲のものですよ。圧倒的な差があったら、今でも笑いながら野球ができるでしょうね。僕にとっては、高校を出てすぐの92年にプレーしていたオリックスの2軍、あのチームの雰囲気は最高でしたから、すごくおもしろかった。でも、楽しいのとおもしろいのとはちょっと違うと思います。今だって、草野球の中に入って野球をやれば楽しいし、きっと笑いっぱなしですよ。でも、おもしろさというのはそういう次元では味わうことはできない」
P.253 だって、ご飯を食べていても呼吸の仕方が分からなくなってくるんですから。
「200本を打つ直前、180本から190本目を打つあたりが一番、苦しかったですね。体が自由に動かないんですよ。プレッシャーで動きがおかしくなって、結果が出なくなる。だって、ご飯を食べていても呼吸の仕方が分からなくなってくるんですから。呼吸のリズムが合わなくなって苦しくなる・・・それくらい追い込まれてしまうんですよ」
自らに課す最も過酷なプレッシャーである200本のヒットを打ち続けること。メジャーで6年連続のそれを達成したあとのコメント
P.258 プレッシャーと向き合っている間、何が難しいかって、力を抜くことなんです。
「プレッシャーと向き合っている間、何が難しいかって、力を抜くことなんです。自分でも余分な力が入ってるのは分かるんですよ。でも、なかなか抜けないんですよね。それがあの日のゲームでできたんです。何でかなぁ。やっぱり、扇監督の笑顔を見たからじゃないですか(笑)。本当に何がきっかけになるか分からない」
自らに課す最も過酷なプレッシャーである200本のヒットを打ち続けること。メジャーで6年連続のそれを達成したあとのコメント
P.284 何々のためにとか言う人は、うまくいかないときの言い訳が生まれる
「俺は自分のためだよ。だって、自分のためにやるからこそ、それがチームのためになるんであって、チームのために、なんていうヤツは言い訳するからね。オレは監督としても、自分のためにやってる人が結果的にはチームのためになると思うね。自分のためにやる人がね、一番、自分に厳しいですよ。何々のためにとか言う人は、うまくいかないときの言い訳が生まれてきちゃうものだからな」
王監督とイチローが食事をした際、イチローの「現役時代、選手の時に、自分のためにプレーしていましたか、それともチームのためにプレーしていましたか」という問いに対する王監督の返答
Posted by ブクログ
メジャー挑戦の2000年から2010年シーズン直前までのイチローのインタビューをまとめたものです。
プロとして・一流としての振る舞い、ルーティン・試合に臨むための準備、自身を持つための取り組み、プレッシャーとの向き合い方など、本当に勉強になります。
この人は一流の選手でありながら一流の「イチロー専属」コーチだな、と思いました。きっと自分自身を上から俯瞰的に観ている節がある。次元が違う。
Posted by ブクログ
前から気になっていたけど、電子書籍大賞となり購入。
電子書籍ならではの動画や写真も良かったけど、インタビューの内容がまた素晴らしく、改めてイチローを凄いと思った。
「準備とは言い訳となり得るものを排除していくこと」などなど、メモしておきたい言葉も沢山あったので、しおりやマーカーの機能があると便利だったな(・・;)
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イチローの言葉は心に響く。
この言葉は決してスポーツだけではなく、ビジネス・人生、全てにおいて通ずる言葉。
1年に1度、必ず目を通したい名著。
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大好きなイチロー作品2冊目。
Numberで実施されたイチローへのインタビュー集です。
「僕にとって、すべては野球が好きだからってことなんですよね」
「たとえ1対99でも、どっちが正しいかなんてことは、僕には明らかなんですよ」
「人ができないことをやるのが大好きですから」
「何かを越えようと思ったら意識しなければならないと常に思っています」
「僕は常に、人のちょっと先をいかなければならないと感じています」
などなど、イチローらしい言葉がたくさん。
そこらのビジネス本より、随分モチベートされる自分がいます。
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電子書籍版で読んだ。
電子書籍版の特典(映像やスタンプ機能)もさることながら、やはり結局はコンテンツがすばらしい本である。
Numberに掲載されてきた、緻密な取材の数々がベースとなっており、イチローという人間の大リーグ生活がありありと浮かぶ。
また、彼特有の多くの言葉にも出会える。
欠点としては、複数のインタヴューにわたるため、どうしても内容にかぶりが生じるということ。
ただ、逆に言うとそれだけイチローが大切にしていることの裏返しであろう。
他の(選手の)インタヴュー集も読みたい。
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雑誌Numberと文藝春秋に載ったイチローの独占インタビュー集です。
いわゆるイチロー本を数多く読んできましたが、この本は不世出のイチローの紡ぐ言葉と、それを引き出す類まれなインタビューアーが化学反応した最高傑作ではないかと確信します。
イチローの取材では定評のある著者。彼にしかできない鋭い質問はイチローをうならせ、おそらく一番信頼する記者でしょう。自宅でリラックスしたイチロー。苦悩するイチロー。はしゃぐイチロー。イチロー本人以外では著者がイチローを一番理解しているのではないでしょうか。
内容は2001年に渡米してから2009年のWBC優勝までの期間のイチローの軌跡を追っています。
連続200本、シスラー越え。二度のWBC優勝。
イチローの素晴らしさは技術はもちろんのことながら、その強い精神だと思います。また自分を的確に分析し、それを誰にでも理解できる言葉にしてアウトプットできる能力。
著者の質問力がその能力を最大限に引き出し、インタビューの最高傑作がここにあります。
イチローは自分より年下ですが、彼と同時代に生きていることと、彼の言葉を同時代人として聞けることが背筋を震わすくらい嬉しいことです。
ちょっと興奮しすぎですが、ひさびさに最高クラスの本に出逢えた感動で一杯。
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内容(「BOOK」データベースより)
シアトルでのデビュー戦、首位打者、リーグMVP、メジャー記録262安打、WBC連覇から、不調にあえぐ苦悩、弓子夫人の献身、日の丸に寄せる想いまで―。渡米が決定した2000年秋から2010年シーズン直前までの全100時間超のインタヴュー。イチローのすべてがここにある。
やはり努力ができるというのは好きだからでしょうね。
こころから好きになるというのは素敵ですよね。。。
僕も様々なことに興味を持って向上できる力と努力は必要だなぁ・・・と感じてしまいます。
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イチローのメジャー挑戦からのインタビュー集。
あれほどの偉大な業績をあげ続けるイチローのひたむきさと葛藤がありのままに綴られていて、その時々の考え、気持ちの変化が非常に新鮮だった。
・型を非常に大事にしている点はなるほどと思った。日常のすみずみまで型をつくり、同じ生活リズム、同じ練習メニュー、同じバッターボックスへの入り方を繰り返すことで、今日の自分の善し悪しを判断して調整している。
・型はあるがそれは一定ではない。常に改善しつづけている。なのでメジャー挑戦時と今ではスタイルは全く変わっている。でも根底にある考え方は変わっていない。
その型の考え方は取り入れていきたい
※9/5にまとめて入力
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テレビで取材を受けているイチローは「弧高のひと」という印象で、それでも昔より柔らかさを身に付けたなぁと思っていた。でも、本作を通して、彼の本質は変わらないし、我流を貫いて結果を出すためにどれほどの努力をするのかと思ったらやっぱり「孤高のひと」なんだと思う。
時おり文面から窺える微笑みを想像するとこちらもにっこりしてしまうくらい、イチローが嬉しいときは嬉しがりたいと思うほどこの人の人間くささが好きだと思った。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
シアトルでのデビュー戦、首位打者、リーグMVP、メジャー記録262安打、WBC連覇から、不調にあえぐ苦悩、弓子夫人の献身、日の丸に寄せる想いまで―。
渡米が決定した2000年秋から2010年シーズン直前までの全100時間超のインタヴュー。
イチローのすべてがここにある。
[ 目次 ]
1 飛翔―2000~2002(「どうせなら、ユニフォームのカッコいいところがいいな;「向こうに行くことが夢じゃないですから」 ほか)
2 試練―2003~2005(「一番苦しいと感じるのは、できるのにできないということ」;「え、トップって、何が?」 ほか)
3 栄光―2006~2007(「獲りにいって獲った世界一ですから」;日本のこと、大好きです」 ほか)
4 結実―2008~2010(「去年の涙は、悔しさがすべてではない」;「おっと、松坂選手、言うようになったね」 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
鈴木一郎とイチローの魅力が詰まった本。
特に、WBCの下りを読むと目頭が熱くなる。
野球をこよなく愛し、日本をこよなく愛すサムライイチロー。
この人間は一体どこまで進化するのだろう?
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● かつて、自分に与えられた最大の才能は何だと思うか、とイチローに聞いたことがある。彼は「たとえ4打席ノーヒットでも、5打席目が回ってきて欲しい思える気持ちかな」と言った。
● 要するに“準備”というのは、言い訳の材料となり得るものを排除していく、そのために考え得るすべてのことをこなしていく、ということですね。
● あんなに負けているのに、こんなにたくさんのお客さんが来てくれているのはなぜだろうと疑問に思えるかどうかは、それぞれの感性でしょう。お客さんは最後に勝つ瞬間だけ見に来ているわけじゃない。自分たちにはとてもできないことをやってもらいたいと思うからこそ、見に来てくれる。そのために、チームが勝とうと負けようと、最後の試合までしっかり準備して、最高のプレーを見せる。
● 「オレは自分のためだよ。だって、自分のためにやるからこそ、それがチームのためになるんであって、チームのために、なんていうヤツは言い訳するからね。自分のためにやる人がね、一番、自分に厳しいですよ。何々のためにとか言う人は、うまくいかないときの言い訳が生まれてきちゃうものだからな」王貞治
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シアトルでのデビュー戦、首位打者、リーグMVP、メジャー記録262安打、WBC連覇から、不調にあえぐ苦悩、弓子夫人の献身、日の丸に寄せる想いまで-。イチローが全てを語り尽くした、100時間超のインタビュー。
10年間イチローを追い続けている故の内容の濃さだった。「尖って弱さを隠そうとした20代前半、大人のふりをして強さを隠そうとした20代後半、正直に振る舞って弱さを晒そうとした30代前半、強さまでも平然と晒せる30代後半」…イチローの価値観の変化を的確に描く。付き合うには骨の折れる人だろうけど、それぐらいの個性があるからこその「結果」だとよくわかる。
(B)
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南京からウーフーまでのバスの中でガタガタしながら読んだ本。カツを入れられたような本。同世代だから余計に言葉が心に入りやすいんだと思う。バスの揺れに関係なく一気に読んでしまいました。ただ、バスの運ちゃんが自分の好みで車内で大ボリュームでかけるわけ分からない音楽がたまに気になったけれど。
石田雄太著「イチローインタヴューズ」文春新書(2010)
*イチロー選手が持っている最も重要な武器。それは、飛びぬけたバッティングセンスでもなければ、類いまれなトータルバランスでもない。彼の第一の武器は「心」の持ち方である。「あいつは特別だから」と誰もが言う中で、もっともイチローと特別視してこなかったのがイチロー自身だった。彼をココまでにしたのは、想像を絶する練習量であり、その練習に足を向けさせた彼の心の強さである。かつてイチローに与えられた最大の能力はなんだと思うかと聞いた。「たとえ4打席ノーヒットでも、5打席目がまわってきて欲しいと思える気持ちかな」と言った。ヒットが出てもノーヒットでも一喜一憂しない揺るがない心。
*イチローは準備という言葉を良くつかう。そのことを尋ねた見たら「多くのヒットを打ってもてはやされて、少しうわついていたと思います。ただいい時はそれでもいいのですが、悪くなったときの周りの反応はすごく差が激しいです。ああ、世の中はこういうものだなって。その時に『自分は一体何が大切なんだろう』って考えたんです。人の期待に応えることなのか、自分のものを出すことなのか。それを天秤にかけると、自分が力を出すことの方が絶対に大事だと思いました。そこからですね、ゲームにはいっていくためにいろいろと準備をしなくてはいけないと思うようになったのは。準備をしておけば、試合が終わったときにも後悔がないじゃないですか。要するに準備というのは言い訳の材料となりえるものを排除していく、そのために考ええる全てのことをこなしていくということです」
*人を自分を比較するという価値観は僕の中からもう消えています。僕は僕の能力を知っていますから、いくらでも先はあると思うんです。人の数値を目標としている時というのは自分の限界よりはるか手前を目指している可能性がありますけれど、自分の数値を目指すというのは、常に限界への挑戦です。飯の種として野球をやっている選手では、絶対に上に上がれないと思います。
*『目の前で起こっていることが100%だ!』起こるべくして起こっていることだからそればすべて受け入れなくてはいけない。
*相手にこう思って欲しいがためだけに、安易に言葉を発しないということは大事だと思っています。
*重荷を背負おうとする自分がいたのは、自分に自身があるからです。自分の内面を出していくって言うのは、そういうことだと思います。自分のことを隠そうとしたり、本当のことを言われたときにそれを否定したくなる気持ちって言うのは、自身のなさの現れでしょう。
Posted by ブクログ
★次はぜひイチローの周囲のインタビューを★イチローよりは松井派なのだが、読んでしまうところが僕も隠れイチロー派なのかもしれない。
新聞などで読むイチローの言葉は、主語や目的語が多数抜け落ちていて、聞き手が補足しないと意味が分からない。ところがこの本のインタビューは分かりやすい。著者が勝手に言葉を足すとはとても思えないから、イチローは長く話せばきちんと意味が通るのかもしれない。「詰まることをイヤがらない」「準備」「イチローを支配できるようになった鈴木一朗」「達成感とは単なる結果ではなく、やりたいことを意識して実現すること」といった趣旨のイチローの発言は非常に興味深かった。
ただ、基本的にこれはイチロー礼賛の本なので、極めて一面的でもある。「ナンバー」という特殊な雑誌の記事のせいもあるが、イチローのインナーサークルに入った著者の陶酔感も透けて見える。もともとイチローは自分からは話したがらず、少数の「何かをやりたい人」に伝わればいいスタンスだというが、傍目には話したがり理解されたがりにしか見えない。ただ言語感覚が中学生的(「ごちそうさまでした」ではなく「ごっそうさまでした」と主張、オールスターで下ネタの掛け声をかける‥)なので、伝わらず理解されず、その不満を募らせてメディアに向けてしゃべるのを減らしているように思えて仕方がない。自分の内面や技術を客観的に分析できるのに、その言葉の選び方が独特で、慣れた人(ずっと取材をして仲間内となった記者)にしか通じにくいのではないか。もったいない。その点で、この本のような翻訳者がいると、独白&礼賛書としてはとてもすっきりする。
もうひとつ、イチローに関して不思議でならないのは、なぜ所属するチームは弱くなるのかということだ。オリックスでもマリナーズでも最初の数年はチームは強い(WBCも短期)が、どんどん下降する。イチローがチームに与えるネガティブな影響があるとしか思えない。そのあたりを誰か拾ってくれないだろうか。王貞治から「(チームではなく)自分のためにやっている」という言葉を得て納得しているが、おそらく周囲に与えるものに決定的な差があるのだろう。嫌味な雰囲気(ここには書いていないが、試合後のインタビューは記者に背を向けて受けるという)もあわせてサッカーの中田と共通するようにみえあまり好きではないが、50歳までプレーしたいという点はとにもかくにも素晴らしい。
Posted by ブクログ
スポーツ選手の中ではイチローに一番興味を持っている。プレイヤーとしてのイチローに興味があるわけで、この本を買ってはみたものの、実際に中身を読むまでは、インタビューにさほど興味があるわけではなかった。が、もちろん、今でも興味があるのは選手としてのイチローだけれども、インタビューを読んでみて、イチローというのは本当のプロフェッショナルと呼ぶに値する選手だな、と改めて感じた。マインドセット・姿勢、素晴らしいな、と感じることが多かった。
Posted by ブクログ
イチローに関して色々本が出ていると思いますが、この本はどうなのでしょうか?
タイトルの通り、著者のインタヴューを基に丁寧に書かれた本ですが、多少なりともイチローに興味がある人にとっては、読みごたえのある本だと思います。
一方、格言的な求めている方にとってはやや物足りなさがあるのかもしれません。
Posted by ブクログ
イチローの2001年のメジャー移籍から2010年までのナンバーのインタビュー集。
一部、内容が重複してる部分があるものの、イチローのその時の心象風景が分かって面白い。
Posted by ブクログ
イチローのメジャー10年間のインタビュー。彼の天才性とは、と思ったら、彼は自分の理想を願い、実現の為の最高の努力をなんら厭わない、真面目な人間なだけだった。僕らは自分の理想の為の努力を厭い、避ける。ただそれだけの違い。凄く学んだ。人生を。
Posted by ブクログ
2000年10月13日のオリックスでの最終戦から始まる、
野球選手・イチローの、メジャーリーグを歩んだ10年の記録を
本人の言葉を軸として綴られた本です。
ほぼ、雑誌『Number』から、ときどき『文芸春秋』からの記事を
編集して作られています。
面白い本でした。
メジャーに行っても、つねに三割を打ち、200本安打を越えるイチロー選手。
そんな成績の中でも、波があります。262本安打の世界新記録を達成したシーズンもあれば、
200本をやっと達成したシーズンもある。
数字からだと、その成績はただの揺らぎにしか見えないのですが、
この本を読むと、そこに血の通ったイチロー選手の向上と苦悩と戦いが見えてきます。
常に向上していきながら、壁にぶち当たっているのです。自分をUpdateしながら、
さらにまた不具合がみつかったりする。
だから、同じことをし続けて、成績に揺らぎがあるというわけではないことがわかります。
日本で7年連続首位打者を達成し、メジャーに行ってから10年連続でさらに記録を更新中の年間200安打という
記録を成し遂げているということで、「イチローは変わらない」という印象を持ちがちですが、
「イチローは変わり続けている」のが本当のところなんですねぇ。
そういうのを知っておくことで、たとえば何か数字を見た時に、その裏には何かがあるのだという思考が
働く契機になるかもしれないですし、そういうイメージ力って大切な気もします。
そして、「期待」というものに、
僕は少しネガティブなイメージを持っていたのですけれど、
イチローさんのようなスポーツ選手になると、
そういう他人からの期待に応えることもいとわないところがありますね。
僕なんかだと、「えぇい、期待するな、萎える」という気持ちも少しあるんですよね。
だけど、そういうのがないですよねぇ、実はあるのかもしれないけど。
期待の種類にもよるのかもしれません。
「ホームランを打って欲しい」「年間200安打を達成してほしい」
「大臣になって欲しい」「地区大会で優勝してほしい」などなど
こういった種類の期待は、大きな目標と重なっていたりします。
「私のことを好きになって欲しい」「もう少し身体を鍛えて筋肉質になってほしい」
「髪を伸ばしてほしい」「無口でいて欲しい」
こういうのは価値観の押しつけの範囲内で終わってしまう期待です。
期待される側と利害が一致しません。
「一塁を蹴って二塁へ向かう時に手をぐるぐる回してほしい」「打席に立つときにカメラ目線を送って欲しい」
とか野球に例えるとそんな感じの、どうしようもない「期待」になるでしょうね。
でも、人はこういう種類の期待を求めるものなんです。
例えば「KY」なんていう「空気を読めない」という悪口も、
空気を読めという一方的な期待を裏切られたことによる愚痴を正当化したような程度のもの
なんじゃないでしょうか。
話が逸れました。
また、満足感についての発言には興味深いものがありました。
イチロー選手は、満足感を否定しないそうです。
一方で、作家の村上龍さんや中田英寿さんは、満足しないことを一流の条件に掲げていたと思います。
こうやって、意見が割れると、「こちら立てればあちらが立たぬ」ことになります。
ただ、僕が思うに、満足感を持つことが大事なのは、勝負師の心のあり方に通じるんですよね。
より勝負師に近いのが、中田英寿さんや村上龍さんではなくてイチローさんなんじゃないでしょうか。
なぜ、勝負師という名前がでてきたかといえば、ギャンブルをするときに、満足感が必要なのを思い出したからです。
いつまでも満足せずに、賭け続けるのは野暮です。それは、負けるまでやるっていうことで、
最終的に必ず負けます。勝ったところで満足してきりあげることが、勝負師には必要になるのです。
イチローさんの発言には、この他にも、ギャンブルに通じるものがあったように、僕なんかには読めました。
まぁ、ずっと満足し続けるとバカをみますから、一時的に満足することは良いことだ、と
イチロー選手的には解釈できます。
それと、チームのためにプレーするか、自分のためにプレーするかという二者択一の
どちらをイチロー選手は選んでいるかというところも興味深い所でしたし、
僕も真似しようと思いましたね。真似するというか、それでいいんですよねーという感じ。
どっちをイチロー選手が選んでいるかは、この本を読んで回答を得てください。
とかって、Webで検索すればでてくるかなー、ははは。
ほんと、こんなすごい選手が同時代に活躍しているのって、ものすごいことですよ。
イチローさんとは友達になってみたいけど、僕がもっとしっかりしないと話にならないな
なんて空想しました。
Posted by ブクログ
•ほぼ雑誌Numberに掲載されてきたインタヴューを集めたもの
•時系列にならんでおり、大リーグでのイチローの歩みが堪能できる
•深〜い話もあり、ファンは一読の価値あるものだった
•あたりまえですけど、凡人の発想ではないですね。