大西英文のレビュー一覧
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ストア派の哲人、セネカによる人生論幸福論。表題「生の短さについて」「心の平静について」「幸福な生について」の3篇からなる。
幸福に生きるための人生ガイドのような感じかな。ただしストア哲学的な幸福を享受するには理性に基づいた、だいぶストイックな生き方をしなくてはならないことにはなるが、それでも理性に従わない生き方がいかに不幸であるかということを例を上げながら滔々と語られると「なるほど確かにそうかも」と思わせる説得力がある。さすが哲人。
哲学(倫理学)の書だからとか岩波だからとかで構えてしまうかもしれないが、中身は拍子抜けするくらい難しくない。哲学的理論を実践に落とし、どのように行動すべきかにつ -
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ストア派哲学者・政治家セネカの3篇。ひぐ的に響いたフレーズで振り返ってみよう。
『生の短さについて』
・生きることによっての最大の障害は、明日という時に依存し、今日という時を無にする期待である(p32)
・ただちに生きよ(p32)
『心の平静について』
・人に関しては、明らかに選択が必要であり、相手がわれわれの生の一部を費やすに値する人たちであるかどうか、われわれが自分の時間を費やしているという事実がその人の心に届くかどうかを考慮しなければならない(p93)
・自分のまわりにあるどんな小さな長所をも見逃さずに捉えるよう努めねばならない。公平な心が慰めを見出せないほど過酷な運命などない(p10 -
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ネタバレ変身物語下巻。物語が世界創造からトロイア戦争、ローマ建国へと歴史の流れに沿って進んでいることに途中でようやく気付いた(笑)。トロイア戦争やローマ建国あたりになると叙事詩っぽくなり話にもまとまりが出てきたけど、ファンタジー感というかワクワク感はその分薄れてしまったような気もする。女ながら男として育てられ、女性を愛してしまったために神に願って自分の体を男性にしてもらい無事結婚する話が面白かった。
オウィディウスはその軽薄な文体から当時としては好まれず、恋愛の手練手管から性交の技法まで指南する「恋愛の技法」を書いたことが(少なくとも建前として)原因となって追放の憂き目にあったということだが、そうでな -
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ネタバレ面白い。「変身譚」を中心にギリシアやローマに伝わる神話・物語を次々と語っていく内容なのだが、血縁や登場人物などをたどるようにしてシームレスに次の話へと話題が移っていくという高度な語り方をしている。それのみならず、恋愛に燃える乙女の心境から血なまぐさい戦闘、人の体が獣に変身していく様まで臨場感たっぷりに語っていく表現力があって目が離せなくなる。こんな本が2000年も前に書かれていたと思うと途方もない気持ちになってしまう。人物名がとにかく多くて、全然覚えられないけど…。
ナルキッソスやイカロスなど超有名どころの話からこの本にしか典拠がない話までとにかくたくさんの話があるが、神々、特にユピテル(ゼ -
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「われわれの享ける生が短いのではなく、われわれ自身が生を短くするのである。われわれは生に欠乏しているのではなく、生を蕩尽する」
古代ローマの哲学者セネカによる「生の短さについて」、「心の平静について」、「幸福な生について」の三篇が収められた本です。
最初は何となくパラパラと読んでいたものの、気がつくと片手にペンを持ち、あらゆる文章を蛍光に染めながらページをめくっていました。「生の短さについて」では、老後まで閑暇の時を先延ばしにせず、哲学を追求し偉人の思想に触れることで人生は長く充実したものになると述べています。丁度、併読していた「DIE WITH ZERO」というベストセラーとの比較でいうと -
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君たちは永久に生きられるかのように生きている。▼忙しさで心が散漫になると、なにごとも深く受け入れることができなくなる。そして、すべてのものを、むりやり押し込まれたかのように、吐き出してしまう。p.37▼生きることの最大の障害は期待である。それは明日に依存して今日を失うことである。セネカ『生の短さ』
無為に過ごした80年は何の役に立つというのか。その人は生きたのではなく、人生をためらっていたのだ。死ぬのが遅かったのではなく、長い間死んでいたのだ▼運命は望む(志ある)者を導き、望まぬ(志のない)者を引きずっていく▼どこにでもいる人はどこにもいない。旅に人生を送る人たちは、多くの歓待を受けるが、友 -
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ネタバレ「生の短さについて」と「心の平静について」の2本立てで構成。
・人間は多くの時間を浪費する
・人間の生は、全体を立派に活用すれば十分に長く、偉大なことを完遂できるよう潤沢に与えられている
・生は浪費すれば短く、活用すれば長い
・偉人の特性は、自分の時間が寸刻たりともかすめとられるのを許さないこと。どれほど短かろうと、自由になる時間を自分のためにのみ使うからこそ、彼らの生は誰よりも長い。
・彼らは寸刻たりとも他人の支配に委ねられる時間はなかった。時を誰よりも惜しむ時の番人として、自分の時間と交換してもよいと思う価値のあるものは、彼らには何も見出せなかった。
・自分の生の多くの時間を人に奪い取ら -
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2022年最後の読書。
セネカはローマ帝国時代の政治家、哲人だそうな。
この文庫版は、
・生の短さについて
・心の平静について
・幸福な生について の3章を抜粋。
もっと若い時分に読めれば良かったかとも思う痛い内容であるも、今にならなければ感じ取れない部分も多々あろうかとも思う。
『人間の生は、全体を立派に活用すれば、十分に長く、偉大なことを完遂できるよう潤沢に与えられている。しかし、生が浪費と不注意によっていたずらに流れ、いかなる善きことにも費やされないとき、畢竟※、われわれは必然的に強いられ、過ぎ行くと悟らなかった生がすでに過ぎ去ってしまったことに否応なく気づかされる。われわれの享ける生 -
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ルキウス・アンナエウス・セネカは、古代ローマ帝国のユリウス・クラウディウス朝時代(B.C.27年~A.D.68年)の政治家・哲学者。第5代皇帝ネロの幼少期の家庭教師を務め、ストア派を代表する哲学者としても有名で、多くの悲劇や著作を残した。
本書には、表題作『人生の短さについて』のほか、『心の平静について』、『幸福な人生について』の2篇が収められているが、いずれも親類、友人、同僚政治家らにあてて書かれたものである。
その中には、例えば以下のような印象的なセンテンスがいくつも含まれている。
◆『人生の短さについて』~「生きることの最大の障害は期待をもつということであるが、それは明日に依存して今日を -
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[ 内容 ]
あのローマ帝国を統べた共通語。
ラテン語は今なお欧米諸語の中にこんなにも生きている。
ABCから文法まで、やさしく明快な入門・決定版。
[ 目次 ]
第1章 文字と発音
第2章 名詞と形容詞の語形変化
第3章 動詞の活用―直説法・能動の現在 未完了過去 未来
第4章 無変化の品詞と代名詞類
第5章 動詞の活用―受動相 完了時称 分詞 動名詞
第6章 接続法と複文
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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ストア派哲学者による名著
文体が硬く、少々読みづらいが、「時間」「幸福」「徳」「快楽」など
人類普遍のテーマについて取り扱っている
セネカの考え方は少々ストイックで高次元なので
堕落した(セネカから見れば)現代の価値観には所々馴染まない
断定口調の道徳の授業を聞いている気分になった
それでも、この本を繰り返し読むことで、
より高次な生にしていければ、と思う
にしても、哲学者が病むのはよく分かる
人生や幸福とは究極的に答えがない問いだから、考えるのは大変な労苦を伴う
●生の短さについて
セネカは時間を浪費する人を手厳しく批判する
それは、怠惰な人だけでなく、忙しい人も対象に入っている
生 -
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ネタバレ哲学者・政治家・詩人であったキケローの対話篇。「老年について」では老いることは徳のある人間にとっては悪いことではない、という話をし、「友情について」では徳に基づいた真の友情の素晴らしさ、友情の成り立ち、友情と政治の現実などを語る。
前者では老いに関連して死についてもけっこう触れていて、プラトンを思わせる霊魂不滅論、肉体からの霊魂の解放論を展開し、もしくは死すれば魂は消滅し何の感覚もなくなるのであればそれでも恐れることはなにもない、という二段構えの死への備えを論じていて面白い。
後者の友情は自分への愛から生まれたとか、友情は善き人々だけのものであるという話はあまりピンとこなかった。解説を読んで、