大西英文のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ストア派の哲人、セネカによる人生論幸福論。表題「生の短さについて」「心の平静について」「幸福な生について」の3篇からなる。
幸福に生きるための人生ガイドのような感じかな。ただしストア哲学的な幸福を享受するには理性に基づいた、だいぶストイックな生き方をしなくてはならないことにはなるが、それでも理性に従わない生き方がいかに不幸であるかということを例を上げながら滔々と語られると「なるほど確かにそうかも」と思わせる説得力がある。さすが哲人。
哲学(倫理学)の書だからとか岩波だからとかで構えてしまうかもしれないが、中身は拍子抜けするくらい難しくない。哲学的理論を実践に落とし、どのように行動すべきかについてを我々に諭してくれている。
何より面白いのは、2000年前に書かれた本書の人生訓について身につまされるところである。なんというか、人間2000年経ってもほとんど学習しないんだなっていうことが非常によくわかる。物心ともに満たされた社会にあると、多くの人が放蕩する。そして少数の人がそれを諌める。その勢力図は2000年経っても変わらない。
未来を変えるっていうのは、いかに難しいかっていうことを合わせて本書は知らしめてくれているように思える。理性のレベルを変革させるっていうのは、ダーウィン並の進化が必要なのではないかという気の遠くなるような思いすらする。
まあそれはともかく、ストア派の思想は多くのビジネスリーダーにも支持されているので野心ある若者はぜひ一読しておくことをおすすめしたい。
人生の段階によっても、読み方が変わるんじゃないかな。20代はきっと「無理だよこんな生き方つまんないもん」って感じると思う。でも40代以降は「あーそうそう。そうなんだ。残りの人生こんなふうに追っていきたいんだ」って感じる人が多いはず。 -
Posted by ブクログ
ストア派哲学者・政治家セネカの3篇。ひぐ的に響いたフレーズで振り返ってみよう。
『生の短さについて』
・生きることによっての最大の障害は、明日という時に依存し、今日という時を無にする期待である(p32)
・ただちに生きよ(p32)
『心の平静について』
・人に関しては、明らかに選択が必要であり、相手がわれわれの生の一部を費やすに値する人たちであるかどうか、われわれが自分の時間を費やしているという事実がその人の心に届くかどうかを考慮しなければならない(p93)
・自分のまわりにあるどんな小さな長所をも見逃さずに捉えるよう努めねばならない。公平な心が慰めを見出せないほど過酷な運命などない(p104)
『幸福な生について』
・名誉あるものを唯一の善、恥ずべきものを唯一の悪とみなす精神(p141)
・真の幸福は徳に存する(p165)
2千年も読み継がれてきた名文。“今日という時を無にしない”ためには古典を読むに限る。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ変身物語下巻。物語が世界創造からトロイア戦争、ローマ建国へと歴史の流れに沿って進んでいることに途中でようやく気付いた(笑)。トロイア戦争やローマ建国あたりになると叙事詩っぽくなり話にもまとまりが出てきたけど、ファンタジー感というかワクワク感はその分薄れてしまったような気もする。女ながら男として育てられ、女性を愛してしまったために神に願って自分の体を男性にしてもらい無事結婚する話が面白かった。
オウィディウスはその軽薄な文体から当時としては好まれず、恋愛の手練手管から性交の技法まで指南する「恋愛の技法」を書いたことが(少なくとも建前として)原因となって追放の憂き目にあったということだが、そうでなかったらもっとたくさんの作品を後世に残しただろうと思うともったいなく感じる。変身物語はほんとうに面白いし、天地創造からの叙事詩に寄せて変身譚を語りつくすという壮大な試みを成功させているのがなによりすごい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白い。「変身譚」を中心にギリシアやローマに伝わる神話・物語を次々と語っていく内容なのだが、血縁や登場人物などをたどるようにしてシームレスに次の話へと話題が移っていくという高度な語り方をしている。それのみならず、恋愛に燃える乙女の心境から血なまぐさい戦闘、人の体が獣に変身していく様まで臨場感たっぷりに語っていく表現力があって目が離せなくなる。こんな本が2000年も前に書かれていたと思うと途方もない気持ちになってしまう。人物名がとにかく多くて、全然覚えられないけど…。
ナルキッソスやイカロスなど超有名どころの話からこの本にしか典拠がない話までとにかくたくさんの話があるが、神々、特にユピテル(ゼウス)とユノー(ヘラ)夫妻があまりに自分勝手で傲慢なことに驚く。ユピテルが逃げ惑う娘を無理やりレイプして、さらにユノーがそれに嫉妬して娘や親族まで悲惨な目に合わせる、みたいな話が多すぎる。
でもやはりこういう神話は、神様というか超自然的な存在に世界や運命の理不尽さ・残酷さを託してストーリー状にし、何とか飲み込もうとする人間の営みなんだろうかとも思える。神には神なりの物事の帰結というものがあるが、それは人間の論理とは相いれないというのが肝心なところなのだろう。切なくとも、そこには想像力とユーモアがあふれていて美しい。
鳥や動物、昆虫たちは、悲劇の果てに変身させられた人間なのかもしれないという数々の物語。そんな発想も、人間には理解できない生き物たちを人間の側へ引き寄せる試みであるのだろうか。それがこんなにもたくさんのバリエーションを持っているのがすごい。ギリシアの文化的な豊かさを存分に感じられた。 -
Posted by ブクログ
「われわれの享ける生が短いのではなく、われわれ自身が生を短くするのである。われわれは生に欠乏しているのではなく、生を蕩尽する」
古代ローマの哲学者セネカによる「生の短さについて」、「心の平静について」、「幸福な生について」の三篇が収められた本です。
最初は何となくパラパラと読んでいたものの、気がつくと片手にペンを持ち、あらゆる文章を蛍光に染めながらページをめくっていました。「生の短さについて」では、老後まで閑暇の時を先延ばしにせず、哲学を追求し偉人の思想に触れることで人生は長く充実したものになると述べています。丁度、併読していた「DIE WITH ZERO」というベストセラーとの比較でいうと、「老後に計画を先延ばしにするな」というメッセージは同じである一方で、哲学に時間を使うべきと述べている点で異なっています。
二千年以上前の哲学者の言葉に触れることが出来るという読書の醍醐味を再認識したことに加えて、翻訳者の教養の高さが窺える文体も印象深かったです。人生において指針としたい言葉が数多くあり、この本に出会えて本当に良かったと思えました。 -
Posted by ブクログ
君たちは永久に生きられるかのように生きている。▼忙しさで心が散漫になると、なにごとも深く受け入れることができなくなる。そして、すべてのものを、むりやり押し込まれたかのように、吐き出してしまう。p.37▼生きることの最大の障害は期待である。それは明日に依存して今日を失うことである。セネカ『生の短さ』
無為に過ごした80年は何の役に立つというのか。その人は生きたのではなく、人生をためらっていたのだ。死ぬのが遅かったのではなく、長い間死んでいたのだ▼運命は望む(志ある)者を導き、望まぬ(志のない)者を引きずっていく▼どこにでもいる人はどこにもいない。旅に人生を送る人たちは、多くの歓待を受けるが、友情を結ぶことはひとつもない▼不要なものは一文でも高い(大カト)。セネカ『倫理書簡集』
人から命を奪うことはできるが、人から死を奪うことはできない。セネカ『フェニキアの女たち』
死後どこへ行くのか。まだ生まれない者たちのところへ行くのだ(2-30)。セネカ『トロヤの女たち』
怒りは必要である。怒りは気概に火をつける。ただし、怒りを指揮官ではなく、兵士として扱わねばならない(アリストテレス)。セネカ『怒りについて』
財産は、賢者にあっては奴隷の地位にあるが、愚者にあっては支配者の地位にある。セネカ『幸福な生活について』
所有の少ない人が貧しいのではない。渇望が多い人が貧しいのだ。セネカ『手紙』
恩恵を施す者はそれを隠せ。恩恵を受けた者はそれを公にせよ。セネカ『恩恵について』
一度も不幸な目に遭わなかった者ほど不幸な者はいない(デメトリオス)。セネカ『摂理について』
難しいからやろうとしないのではない。やろうとしないから難しいのだ。セネカ
※セネカ。道徳哲学。皇帝ネロ(在位54~68)の先生。属州ヒスパニアのコルドバ生まれ。
*******
竪琴(たてごと)を弾いて歌う人は、自分独りで歌うなら不安を感じない。しかし聴衆の前に出ると、たとえ非常に声が良く、竪琴を見事に鳴らしても不安になる。なぜなら彼は見事に歌いたいだけでなく、拍手喝采もされたいから。しかし「拍手喝采」は彼がどうにかできるものではない。p.171.▼自分ではどうにもならない意志外のことには大胆に、自分の意志でどうにかなるものには細心であれ。死に対しては大胆に、死の恐怖に対しては細心であれ。p.125-127.▼君は私の足を縛ることができる。しかし私の意志はゼウスでも征服できない。p.17エピクテトス『人生談義』
自分自身を統治できない者は自由ではない。エピクテトス『断片』※ローマ帝政、ネロ時代。
*****
死を安らかな心で待て。死は生物を構成する要素が解体するにすぎない。万物の変化と解体は自然による。自然によることに悪いことは一つもない。私の魂も物質も消滅して無になることはない。私のあらゆる部分は変化して、宇宙のある部分に配分され、それが新たに宇宙のほかの部分に変えられる▼何かをしたために不正である場合だけでなく、何かをしなかったために不正である場合もある▼すべて君が苦手だと思うものに慣れよ。左手は習慣のないために他のあらゆる仕事には不器用なのに、手綱は右の手よりもしっかりと持つ。これは慣れているからだ▼もっともよい復讐の方法は自分まで同じような行為をしないことだ▼得意にならずに受け、いさぎよく手放せ▼苦しみには限界があり、恐怖に想像を加えることしなければ、堪えられないことはなく、また永続するものでもない。マルクス・アウレリウス(121-180)『自省録じせいろく』 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「生の短さについて」と「心の平静について」の2本立てで構成。
・人間は多くの時間を浪費する
・人間の生は、全体を立派に活用すれば十分に長く、偉大なことを完遂できるよう潤沢に与えられている
・生は浪費すれば短く、活用すれば長い
・偉人の特性は、自分の時間が寸刻たりともかすめとられるのを許さないこと。どれほど短かろうと、自由になる時間を自分のためにのみ使うからこそ、彼らの生は誰よりも長い。
・彼らは寸刻たりとも他人の支配に委ねられる時間はなかった。時を誰よりも惜しむ時の番人として、自分の時間と交換してもよいと思う価値のあるものは、彼らには何も見出せなかった。
・自分の生の多くの時間を人に奪い取られる者が生を不足とするのは理の当然
・何かに忙殺される人間には何事も立派に遂行できないという事実
・誰もが現在あるものに倦怠感を覚えて生を先へ先へと急がせ、未来への憧れにあくせくするのである。
・だが時間を残らず自分の用のためにだけ使い、一日一日を、あたかも最後の日でもあるかのように管理する者は、明日を待ち望むこともなく、明日を恐ることもない。
・未来のことは、時の運に決めさせればよい
・これ見よがしの見栄を排除し、装飾性ではなく実用性をもって物の価値を測ることに慣れよう。
・自然は我々人間に、災難の緩和剤として「慣れ」を見つけ出してくれ、耐えがたいほど過酷な艱難もすぐに馴染みになるように導いてくれる。
【幸福な生について】
・まず自分の求めるものが何かを措定する。次に周囲をよく見渡し、どの道をたどれば目的地に最も早く到着できるかを見て取る。
・どこを目指して進んでいくのか、どの道を辿るのかも決めなくてはならない。
・人生の旅は、最もよく踏みならされ、最も従来の激しい道こそ、最も人を欺く道である。
・だから何よりも肝要とすべきは、皆が行く方向をひたすら追い続けるような真似はしないこと。
・群衆が殺到し、押し合いへし合いするとき、折り重なる人の山が出来る
・幸福な人とは、理性の恩恵によって欲望を覚えず、恐れを抱かない人。
・幸福な人とは、現在あるもので満ち足りている人、今ある自らの所有物を愛してる人。
-
Posted by ブクログ
2022年最後の読書。
セネカはローマ帝国時代の政治家、哲人だそうな。
この文庫版は、
・生の短さについて
・心の平静について
・幸福な生について の3章を抜粋。
もっと若い時分に読めれば良かったかとも思う痛い内容であるも、今にならなければ感じ取れない部分も多々あろうかとも思う。
『人間の生は、全体を立派に活用すれば、十分に長く、偉大なことを完遂できるよう潤沢に与えられている。しかし、生が浪費と不注意によっていたずらに流れ、いかなる善きことにも費やされないとき、畢竟※、われわれは必然的に強いられ、過ぎ行くと悟らなかった生がすでに過ぎ去ってしまったことに否応なく気づかされる。われわれの享ける生が短いのではなく、生を蕩尽する、それが真相なのだ。』
『われわれが追及しようとするのは、どうすれば精神が平坦で楽な道をたどれるか、どうすれば精神がみずからと穏やかに折り合い、みずからの特性を喜びをもって眺め、その喜びを断たずに、有頂天になることもなく、かといって鬱屈することもなく、静謐な状態を保ち続けられるかという問題である。この状態こそ、心の平静というものであろう』
『なぜお前は自分の現実の生以上に威勢のいい話をするのだ。なぜお前は目上の者にはへりくだった言葉を使い、金を必要な手段とみなし、危害をこうむれば動揺し、妻や友人の訃報を聞いて涙し、世評を気にかけ、悪意の中傷に心を痛めたりするのだ。...』
訳者は、解説でセネカがヨーロッパに比べ日本で知られていないと嘆くが、本書も翻訳した後の単語があまりにも一般的表現でないことですんなり読みにくいというのも原因として少なくないのではと思わざるを得ない。
専門家が敢えて難しい表現を使っていると感じるのはワタクシだけだろうか。ここで★1個減。
※畢竟…つまるところ。結局。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
あのローマ帝国を統べた共通語。
ラテン語は今なお欧米諸語の中にこんなにも生きている。
ABCから文法まで、やさしく明快な入門・決定版。
[ 目次 ]
第1章 文字と発音
第2章 名詞と形容詞の語形変化
第3章 動詞の活用―直説法・能動の現在 未完了過去 未来
第4章 無変化の品詞と代名詞類
第5章 動詞の活用―受動相 完了時称 分詞 動名詞
第6章 接続法と複文
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
初めて哲学的な本を読んだ。
言葉遣いが難しい……読み始めは逐一分からない言葉を調べたりしたが、後半分からない表現などが出てきたらなんとなくのフィーリングで予想していた。
いくつか印象に残った文言があった
(生きる術は生涯をかけて学び取らねければならない)
(精神には自らに執着させ、尊ばせ、他人の審判を待たねばならぬことは何一つさせまい)
(誰かに起こることは誰にでも起こりうる)
(狂気の混ざらない天才はかつて存在しなかった)
まあなんとなく全体を通して 自分の時間は自分のために使え、めんどくさい人の為に思考するな、忙殺されるな みたいなことを言われているような気がする 知らんけど