大西英文のレビュー一覧
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ネタバレSNSで見かけて気になったので読んでみた。
本書には『生の短さについて』『心の平静について』『幸福な生について』の三篇が収録されている。
このような哲学書を読むのは初めてだったが、思ったよりも読みやすくて驚いた。
時間はかかったものの、最後まで読みきることができた。
全てを理解できたとは言えないが、ストイックな自己啓発書のような読み心地で、サッパリした文章を読むのが楽しかった。
しかし著者と自分の間に時間が空いているため、現代の自己啓発書のようなプレッシャーは感じなかった。
いい意味で、好きなところを選んでいくことができる。
言い回しがかっこよく、痺れた箇所がいくつもあった。
訳者による『解 -
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ネタバレ政治家であり、ストア思想の代表者として数えられるセネカの書。
ストア哲学はその実用性(?)がゆえに多くのビジネス書でも取り上げられるケースが多いですね(といっても、私はビジネスの領域で哲学の活用をうたう安直な言説には否定的なのですが。人間として日々の一瞬一瞬を哲学的に生きられない者が、ビジネスシーンで哲学的にふるまうことが可能なのでしょうか?)。
本書は表題にある『生の短さについて』のほか、『心の平静について』『幸福な生について』の三篇で構成されます。そのいずれを読むにつけ、身につまされる思いになります。。。
『生の短さについて』でセネカは、「我々にはわずかな時間しかないのではなく、多くの -
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本棚整理していたら懐かしいと思って、以下感想(思い出し)
「ジャネーの法則」、一生における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例するというというものや、「光陰矢の如し」と言われる通り、月日や人生の流れが早い様をあらわす言葉や考えはこの世にたくさんある。
本書でセネカは、「われわれが人生を短くしているのだ。」、「われわれが人生を浪費しているのだ。」と述べている。
人生をどう捉えるかは本人次第、加えて、運命の支配下にある未来に何もかも託したり、そのような未来のために今多忙を極め、月日を無駄にするのではなく、確定した過去と向き合い、今を生きる大切さを説いているように感じた。
未来への自分への投資も立派 -
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生は浪費すれば短いが、活用すれば長い。人は、時間が無形であるため、時間の価値を見誤り、浪費してしまうことがほとんどである。
ここまでの主張はとても刺さる。心に留め置きたい。
しかし、真に生を活用できるのは哲学のために時間を使う人のみというのはどうだろう。90歳になっても弁護士をしている人も、他人に時間を奪われているとバッサリ切り捨てられていたが、本当にそうだろうか。最後まで人の役に立つことを願って生き続けるのも、案外悪くないんじゃないかと思うが、この答えは実際に死期を迎えないとわからないことだ。
いずれにせよ、今を主体的に、大切に生きるということは忘れないようにしたい。 -
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好きな本Top10のひとつ。
キケロが細平たい木の板で脛を思いっきり叩きにきます。痛いってば。嫌じゃないけど。
訳の分からない本や新聞、ネットニュースを読む時間と手間はこの本を繰り返し読む事にこそ費やすべき。そんな本のひとつ。
【日常生活で使えるサーカズム】
もし誰かが「若い時はこんなんじゃなかった。今では(筋肉が衰えて)死んだも同然だ」と嘆いたなら、「可哀想なクロトナのミローだね」と言う。(心の声 愚か者め。死んだも同然はお前の筋肉などではなくお前自身だ。お前が有名なのはお前のおかげでなく、若い頃の筋肉と体力のおかげだ。)美貌や知力でも使えそう。
屁理屈、生まれつきの性格によるなど、反 -
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育児、仕事に追われてあっという間に過ぎていく毎日にふと疑問を感じてこの本を読んでみた。
気づいたこと。
・人生はあっという間ではなく、人生の時間を自分だけに使えばとても長く、人生で偉業も成し遂げることも可能。
・時間は人間が平等に与えられた財産である。しかも、金等と違って増えることはなく減る一方の貴重な財産なのだ。
・金や大事な物、車や家等の財産を他人に奪われたら抵抗するだろう。しかし、時間については他人に奪われても平気でいるのはなぜか。進んで自ら人に捧げたりもする。仕事をするということは他人に時間という貴重な財産を与えているのだ。
・そんな貴重な時間をどうしたら有意義に過ごせるか。明日死ぬ -
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以前「限りある時間の使い方」という本を読んだ。人生には限られた時間しかないということを受け入れなければならないという内容だった。約2000年前の賢人セネカはこの問題についてどう考えていたのだろうか?
パウリーヌスという、セネカの親戚?への手紙として書かれている。
人生は短いと思われているが、これは人生を無駄に浪費しているからで、実際は、何かを成し遂げるには十分な時間があるということだ。最も無駄なのは、他人のために苦労をすることだから、自分のために時間を使いなさいと説いている。
やや賛同しかねるところもあるが、いかに生きるべきかという問題について、知識が得られる良い本だった。
光文社古典 -
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p18「善く生きたという自負心と数多くの善行の思い出は無上の喜びとなるものだ」
p27「無謀は華やぐ青年の、知慮は春秋を重ねる老年の特性」
p36「力を適切に用い、各人がもてるかぎりの力で努力しさえすればいいのだ」「君たちの、その善きものを、それがある間は使えば良いし、ない時は求めてはいけない」「人生の走路は定まっており、自然の道は一本道で折返しがない。生涯のそれぞれの時期に、その時期にかなったものが与えられている」「それぞれに、その時期に収穫しなければならない自然の恵みとも言うべきものがあるのだ」
p40「常に孜々として携わって生きる者には、老年がいつ来たか分からない。そのような人生は、それ -
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セネカと同じく、一部の屍(老人)に鞭を打つようなフレーズにビビる本です
キケローが友人に向けた、書簡
「年取ることって悪くない」
「友達っていいものだね」 という2つのテーマで語る空想対話本です。
ギリシャ哲学と聞くとハードルが万里の長城クラスのようですが、対話篇になるとその高さはだいぶ下がります。
ただ話の流れを掴むのであれば(注釈まで読み込まないのであれば)ソクラテスの弁明や、生の短さについて、のように楽しみながら読むことができるでしょう。
40代で読んで良かった。そう言い切れる一冊です。
特にすきなフレーズはここ
「老化による愚痴?物忘れ、不健康?それのほとんどはその人の不摂生と -
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なんか...寝る前に布団の中で...
じゃなくて...
ちゃんと背筋を正してノートにメモを取りながら、もう一度読んでみたいと思う内容。
読んでいるうちにキリスト教のこと、方丈記のことが頭をよぎる...
本の最後に訳者の「解説」が載っているのだけれど、これがとってもわかりやすい!
最初にこちらを読んでから読み進めれば良かった後悔した。
ストア派の思想がローマにおけるキリスト教の受容の素地となったetc ... なんか納得なのだ。
そして 生・時・今とか...
徳とか...
死に直面する、した...そのときとか ...
少しわかった気もする...時々読み返したい...
そしてキリスト教 -
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西欧語を深く理解するにはラテン語の知識は不可欠なので少しずつ他の語学書も使ってラテン語の勉強をしています。
本書は新書なので持ち歩いて隙間時間に好きなページを開いて読んだり時には名詞や動詞の語形変化を唱えて覚えたリしています。
未読の若桑みどり著「クアトロ・ラガッツイ天正少年使節と世界帝国」の少年たちは時のローマ法皇とラテン語で話したのだろうかと興味がつきません。
Audiは創業者が社名を考えていたとき、小学生の息子の何気ない「Audiはどう?」という提案が採用されたものです。理由はいたって単純で、創業者の名はHorch(ホルヒ)と言い、horchはドイツ語のhorchen(ホルヘェ -
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以前にローマ法に興味を持った折にラテン語の必要性を感じて、手軽にラテン語全体を見通せる文法書がないか探したことがありました。新書としての特性を生かした本書は、そんな目的にぴったりの良書です。つまり、ラテン語で原書を解読する必要まではない方、あるいは将来的にその必要はあるものの何の知識もないような初学者の方が、格、変化、語順などのラテン語の文法的特徴を大雑把に把握するのに最適だと思います。
単なる教養だけでなくある程度使いこなせるようになるには、2冊目以降の学習が必須なのは言うまでもありませんが、その際の理解を容易にする一冊になるでしょう。