唐木田みゆきのレビュー一覧
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トーマス・エジソンとニコラ・テスラ(ウェスティングハウス)の直流交流戦争に立ち会った弁護士が主役の話。
章の巻頭に格言が採用されているけど、私はエジソンのものが好きだ。
おそらくエジソンは大衆受けも含め、処世術に物凄く長けている。発明体制の発明が凄い。
対立するニコラ・テスラは凄く変わり者で孤独を愛する。幻視能力でもあるような、天才的な発明能力があるが、純粋過ぎてアグネスの庇護欲をかき立てたような、不思議な魅力を放っているな、と事故直前の研究室のシーンで思った。
ウェスティングハウスやモルガンなど実業家、投資家も出てくる。彼らと同時代に立ち会ったらどうだろうな、と想像出来るし、知能戦もおもしろ -
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ネタバレサンフランシスコのチャイナタウンで中国茶専門店を営むミセス・ヴェラ・ワン・チュウチュウ(60歳)。お店はお客が常連客一人しか来なくて寂れていた。ある朝、店で死体が見つかり、ヴェラは犯人を捕まえようと容疑者を絞り込む。
警察が到着する前に、死体が握っていたUSBメモリーをくすねたり、死体の周りに線もひいたり、とんでもないおばあちゃん!正直なところ、ヴェラの傍若無人・猪突猛進ぶりについていけなくて、読むのをやめようかと思ったけど、堪えて読み進めれば、なんと面白いことか。
ヴェラが考える容疑者の若者4人とはすっかり親しくなってしまうし、もうよく分からない展開に。
容疑者の若者たちは、死亡したマーシャ -
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サンフランシスコのチャイナタウンにある「ヴェラウォンの世界に名だたるティーハウス」 "Vera Wang’s World-Famous Teahouse"の上階に住む、孤独な老婦人ヴェラ・ワンが店内で発生した事件の解決に挑むコージーミステリーの傑作。警察の捜査に不信を抱くヴェラが容疑者の4人の若者たちと接触する過程で、彼らと事件の被害者との過去の因縁を知らされる。殺人事件そのものより、独りよがりで、世話好きで、思いやりがあり、愛にあふれたヴェラとの接触により若者たちの心が変化していくプロットを堪能できた一冊でした。
「小さな仕事」なんてものはないのよ。 それから、そんなば -
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大学で生物工学を教えているセス・クレイ教授。彼がモンタナ州の人里離れた町に滞在中、近くの森で昔の教え子の死体が見つかりました。彼は教え子の死に衝撃をうけ、さらに自分が容疑者になったことから元来の偏屈気質に火がつきました。そして熊に殺されたとされるかつての教え子の死に疑問を抱き、独自に調査を始めるところからこの物語は始まります。事故当時、現場でフィールドワークをしていたセオが容疑者として疑われるのですが、ほどなくしてかつての教え子の殺害は熊の仕業とわかり釈放されることになりました。しかし、彼はこの事件は熊による食害ではなく殺人だと直感します。そしてモンタナの田舎の無能?警察を敵に回しつつ、思いも
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アメリカ南部の現実… 人間の醜さと歪みを余すところなく描いた社会派ノワール #傷を抱えて闇を走れ
■あらすじ
アメリカ南部、高校生のアメフトのスター選手であるビリーは、ある日義理の父親と喧嘩になり殴り飛ばしてしまった。翌日義父の様子を見に行くと、なんと彼は殺害されてしまっていたのだ。一方、アメフトのコートであるトレントは、チームを優勝に導くためにビリーを庇うことにした。しかし警察はビリーを疑っていた…
■きっと読みたくなるレビュー
アメリカ南部の現実がそこにある。人種差別、貧困、暴力… 読めば読むほど、やりきれない感情に押しつぶされそうになる。
しかしながら、その闇の部分を力強く書き切っ -
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ネタバレアイルランドの孤島で開かれた結婚式で起きる殺人。
花嫁はオンライン雑誌の創設者。
花婿はサバイバル番組に出ている人気者。
招待客はみんななんだか暗い過去がある人たち。
誰が殺されたのか?
誰が殺したのか?
最後の方まで分からないところが面白い。
複数人の視点で物語は進んでいく。
意外と混乱しなかった。
殺された人がこの人やったら納得するなって思いながら、ゆーっくりと明らかになっていく。
ちょっと、もうそろそろ答えを教えてよ、、ってなるけど、それでも面白かった。
ちょっと偶然がすぎるかな?(;´ェ`)
いい大人がなにやってるのってイラッとした(笑)
起きて当然のようなことが…やっぱり起きる -
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電球と直流交流にまつわるエジソン、ウェスティングハウス、テスラと弁護士ポールの訴訟の話。作者後書見たけど出来事的には大体事実というのには驚いた。「若い弁護士が敗北濃厚の裁判を勝ち切る。」って漫画やん…と思った。流石に出来すぎ。エジソンのイメージすごい発明家やったけど、発明もさながら発明の工場を作ったのが功績なんやな。最後の方で3人の発明家がそれぞれ何を求めたかってのが端的に書いてあったけど、同じ発明家でも全く求めてるものが違うのが面白いよね。じゃあベルはどうやったんやろうな。作品的には発明家アベンジャーズって感じで、どう解決するかも最後までわからんかったからハラハラしながら読めた。
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華やかな結婚式が開かれるかと思っていたが……嵐に閉ざされた孤島、そう上手く行くはずはない。何かが起きる。起きないわけがない。
登場人物達の思いにうっすら滲んでいた「秘密」、それがある時から滲みを超え、堰を切ったように溢れ出し、止められなくなる。
終盤、短い感覚で語り手が入れ替わる部分にはゾクゾク、ワクワク(というのも何だけど……)したものを感じた。ドラマを観ているかのよう。
地の文が現在形であるところも、そのゾクゾク感が増すポイントだった様に思う。
読みながら彼らの胸の内の慟哭や憤怒に胃がキリキリした。そして、興奮したりして手がつけられない状態の人々(ディナーの場面だったか、学生時代のノリで -
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アイルランド沖の孤島、そこで有名人カップルの結婚パーティーが行われる。事件を予感させる冒頭の婚礼当日から過去に遡って、婚礼に出席する主要人物が1人称でそれぞれの思いを語る章立てが、交互に重ねられながら当日の出来事へと繋がっていく。それぞれの語りが背景を浮かび上がらせていく中で、縺れた糸がほどけていき、意外性と偶然性に仕掛けられた殺意が明らかになる。花婿、花嫁、花婿の介添人、花嫁の介添人(妹)、婚礼のプランナーであり運営する女性などが、1人称で語っていく章が連鎖していく。それぞれ過去に忘れがたい出来事があり、秘密を抱えているが、最後まで不安定な心理を引きずるなかで爆発する予感へと焦点が絞られてい
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ネタバレミニマリストな建築家が建てたマンションの一室に住んだことのある女性と、今住んだ女性の2つの視点と時点で描かれるミステリー。
過去に住んだことのあるエマは不審な死をとげている、今住んでいるジェーンがその謎を追っていくという話。
不満を語るとネタバレせざるを得ないのだが…
ミニマルなライフスタイルを突き詰めていくと、人間性すらも狂っていくのか?というテーマで進んでいった割には、ラストが…うーん、それならミニマム関係ないよねぇって感じで詰めが甘いように思う。
物語に多大な影響を及ぼしている建築家エドワードが結局…やねんもんなぁ~。でも、必要最低限のモノをきちんと使い整理して、洗練した生活スタイル -
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ミステリーの伝統を踏襲した、安心の一冊。
絶海の孤島で繰り広げられる、華やかな結婚パーティーのさなか、嵐がやってくる。
次々と、登場人物が自身の隠された秘密を独白することで、次第にこのパーティーの結末がどのようになるのか想像してしまう……。
設定もストーリーも特別なものではなく、結末も目新しいものではない。
帯に書かれた「誰が殺し、誰が殺されるのか?」の少なくとも殺される人物は早くに想像できる。
それでも次々と明らかにされる過去の出来事と、島での登場人物の不思議な行動が、テンポよく繰りだされ、読み飽きない。
茶の間で2時間ドラマを見るような感覚でいただきました。