藤田知也のレビュー一覧
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郵便局の局長会。全特。任意団体のはずが、自民党を支持し、会社人事にも介入。
小泉改革により半官半民から民営化されたはずなのに、その実態は旧態依然。
公務員意識満載。もっと言えば、明治時代の名士のプライド?権利意識?満載。
そう、明治時代は日本に郵便制度を定着させるべく、地元の名士が資材を投げうって
郵便局を開いた。日本の近代化に必要だった。
しかしそれから150年。世の中は変わった。
大半の郵便はインターネットにとってかわられた。
郵便局の売り上げは激減。
銀行、生保が未発達時代とはゆうちょ、かんぽの役割も変わった。
それなのに過去にしがみつく局長会。
自分たちの権利を守る自民党の集票マシーンと化し、
勤務時間中でも選挙運動を行う局長。
もう明治時代ではないのだ。
社会の変化についていかなくてはいけないのだ。
それが過去のまま生き延びようとする。ゾンビだ。
しかしそれは局長会だけではない。今の官僚たちも似たようなもの。
明治時代の官僚は敗戦で消えたはずだが、しっかり生き残った。
自分のトップを天皇からアメリカに置き換えた。
そして高度経済成長を牽引し、いまは組織防衛、予算確保、天下先確保が優先課題。
やはり古い組織、変わらない組織はこわさなきゃいけないんだよ。 -
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ネタバレ郵政腐敗 日本型組織の失敗学
2021年4月30日初版1刷発行
2021年4月13日電子書籍版発行
★5
立場が上がるほど非を認めようとしないのが、郵政幹部たちの一貫した特性だ
藤田知也氏による著作。
著者は朝日新聞経済部記者。
早稲田大学第一文学部卒、同院アジア太平洋研究科修了後、2000年朝日新聞社入社。
盛岡支局を経て2002~12年に「週刊朝日」記者。
経済部に移り日銀・金融などを担当。
2018年4月から特別報道部に所属。
シェアハウス投資・スルガ銀行不正融資問題などを取材。
2019年9月から経済部。
著書に『日銀バブルが日本を蝕む』(文春新書)、
『やってはいけない不動産投資』(朝日新書)ほか。
日本郵政グループでの不祥事が相次いだ。
その詳細に迫った取材をまとめた本。
失敗学と副題に書いているように日本郵政以外に通じるものに
本書をしようとしたのだろう。実際に一定規模以上の組織に所属されている方は日本郵政型の腐敗が自分の所属する組織に起きていないか自問自答する良い機会となるはずだ。
再読していて、日本郵政グループの社内通報制度は形だけで全く役に立っておらず、組織の裏切り者扱いを受ける危険が今でも変わっていない事を日本郵政グループ社員の方はよくよく注意した方が良い。もちろん黙っているままでは組織の腐敗は止めようがないので通報する先は
週刊文春かMyNewsJapanが良い。
この辺りに情報提供した方が社内通報窓口より安全だろう。
また顧客を顧客と思わない他人事のような対応、自分自身達の保身が最優先という姿勢は組織としてあり得ない。
本書を読んだ人なら誰でも思うだろうが、
日本郵政グループから保険などの金融商品を買う事はやめた方が良い。
印象に残った部分
企業不祥事に詳しい複数の弁護士からは
「批判や追求ばかりだと、元役人は意固地になって保身に走る」
「責めるより改善点を優しく聞き出すほうが、核心部に迫りやすい」
危機管理で大事なことは、判明したエラーときちんと向き合い誠実に対応できるかどうか。
NTTからの高額な接待が判明した総務省
総務省の信用を失墜させているのは、接待を受けた事実よりもおかしな理屈で自己弁護を図ろうとする行為のほうだと私は思います。
(これは全くその通りだ。しかし長年に渡るアベ政治の無責任体制がおかしな言い逃れ、開き直り、屁理屈による自己弁護を下の世界にも自己増殖させてきた。総務省の対応や日本郵政が当初おかしい対応を続けた遠因は安倍自民党政治の腐敗にある)
不正の追求は、追求される側とのケンカのようなものだ。
勝てるケンカと見込めなければ、仕掛けないほうがいいと、個人的には思っている。証拠という名の「武器」を事前にどれだけ用意できるか、手にした武器にどれほど威力があるのかがケンカの行方を決する。
どれほど強い証拠があるにしても、リスクをゼロにすることはできない。
告発が表面化すれば、職場には疑心暗鬼が生まれ、抵抗や反動も起きる。
関係する集団に属する限り、告発への関与を疑われる可能性も完全には
消せない。疑われるリスクをできるだけ小さくし、いざというときに対処するためのノウハウも駆使して配慮を尽くすものの、たとえば疑われる状況に直面してもうまく言い逃れようというくらいの度量や覚悟が必要な場合もある。
私が取材のときに検討するポイントは
1不正がどれほど重大で深刻な問題なのか
2問題提起しようとする不正についてどのように説明・立証できるのか
3情報提供者本人がリスクをどこまで背負えるのか
問題なのは最初のエラーではなく、エラーを知りながらやり過ごした
何重にもわたる「大エラー」にある。
たとえエラーの中身が「悪質な不正」だったとしても、把握した時点から誠実に対応していれば、大事にはならないというのが危機管理のセオリーだ。
大企業であれば、不祥事の一つや二つは必ず起きる。
そうしたエラーが出たときに、速やかに公表し、課題を見つけて対策を講じていれば、一時の問題で終えることができる。
仕事上のミスや失敗は「チャンス」だととらえるように、個人や組織を変えていくことが望ましい。ミスや失敗には、課題を見つけて改善を図るヒントがきっと埋もれている。それは厳しく非難する対象ではなく
むしろ学習するための好機なのだと考えることで、矮小化して隠すのではなく、きちんと向き合い、大事な課題が埋もれていないかを探って学ぶ動機が芽生えるようにする。
「形」にこだわり、「やっている感」に満足する「形式主義」も不祥事を生む温床だ。仕事や働くことの本来の「目的」を見失い目の前の「アリバイ」をつくるために奔走することで、気づかぬうちに重大な不正に加担していた、というのが幹部たちの実情ではないだろうか。
幹部や組織がミスや間違いを認めずに言い訳をかますうちに、問題や被害が膨らんで大規模や不祥事に発展するのが基本パターンである。
企業不祥事に詳しい弁護士の國廣正氏の指摘する
再発防止策が形骸化してコンプライアンスが根付かず、不祥事も繰り返す真面目な日本企業のパターンとして
詳細で厳格な社内規定を多く作り、法令やルール違反の有無にこだわる形式的で網羅的な対応を何重にも積み重ねている
発生した個別問題に対する事後的な対応を編重している
ルールを作る側の都合が優先され、現場の実情を軽視したアリバイ的な対応になっている
日本企業による不祥事の共通項
1場の空気に流されてみんなで赤信号を渡ってしまう「同質性」
2答えが決まっている教科書のようなコンプライアンス施策を
現場に押し付ける「真面目さ」
3外部からの視点が抜け落ちた危機対応をする「内向きの視野」
上司の関与を言えば処分が軽くなるのではなく、「上司の関与を隠したのがあとでわかれば処分を重くする」というのが調査の目的には適っている。
ウソの前提事実で現場に厳罰を科し、上司や上層部への追求を怠ったツケは大きい。しらを切って厳罰を免れた上司や上層部が昇格し、要職にも就いていく様が、すでに組織のあちこちで起きている。
その状況は、結局、不正を認知しても無視して知らんぷりをしたほうが得なのだと、ウソをついてでも自分の身を守ったほうがいいということを暗に示して広めているも同然だ。
組織風土は改善するどころか、さらに悪化していく恐れがある。
不正の調査では本来、動機や背景を丁寧に探ることが欠かせない。
不正の手法をどのように知り、初めて手を染めるきっかけは何だったのか。
不正な行為を周囲は知らなかったのか。そうした観点が上司の関与や構造的な欠陥をあぶり出し、新たな教訓や再発防止のヒントを見つけることにもつながる。反対に、動機や背景を探らないようでは不正事例から学ぶチャンスを失い、公正な処分をしないトカゲのしっぽ切りに陥りやすい。
別の日本郵政グループ幹部は、鈴木康雄についてこう評した。
「副社長になったばかりのころは、まだ聞く耳を持っていた。部下の提案に対して、やってみろと言うこともあったしね。ただ、在任が長くなるにつれて独裁色が強まっていった感は否めない。異を唱える人が煙たくなり、イエスマンばかり登用する傾向はあった。そうなると、誰も意見を言わなくなっちゃうよね」
そもそも今回のような不祥事で、不正が横行しているという「動かぬ証拠」が出てくることはめったにない。
不正の横行を示す「兆候」がいくつも表れていたのに、早期に十分な対応が取られなかったことが最大の問題である。
これは多くの企業不祥事にも通じることだ。
言うまでもないが、泥沼の不祥事から脱して企業の信頼を回復するには、
1不祥事の事実関係を明らかにし、
2不祥事をもたらした根本原因を解明し、3その原因を除去するための再発防止策を実行する、4、1~3のプロセスをステークホルダーにきちんと説明する、というステップを踏むことが必要だ。
おかしな理屈に聞こえないだろうか。まるで長期に及ぶ調査の結果が前もって「完全に把握」できていなければ、それが十分な対応を打たないことの「免罪符」になると言っているようなものだ。この理屈に乗れば、未来を予測する特殊能力でもない限り、どんな経営陣も「実態を(完全には)把握していなかった」と言い逃れることができる。
不正引き出しや投信販売での問題に対応する幹部たちの言動から浮かび上がるのは、今さえよければいいという強力な「事なかれ主義」だ。
要するに、問題が生じても、それを「うまく切り抜けること」が最も大事な目的と化している。顧客の立場はもちろん、ビジネスとしての観点も関係ない。
組織がただ漫然と問題を先送り、今をやり過ごすために息をしているような雰囲気が漂っている。
ゆうちょ銀行本社の役員及び社員のなかには、預金者が顧客であるという意識が希薄で、保有する預金が不正に出金された預金者の心情等への想像力を欠いたものが含まれていた(略)本社は顧客の保護を図るという意識が乏しい
だが、新たな事象だろうが、コトは顧客から預かったお金が理不尽に奪われるという深刻な事態だ。一つや二つの事例でも、顧客の被害やサービスの安全性に関心を持ち、適切な指示を出すべきだった。
補償ルールが未整備なら、整備するよう指示するのが経営幹部の役割である。
そもそも企業の不祥事に発展するような新たな事象が、前もって「全体像」を「網羅的」に把握できるはずなどない。多くは「端緒」を嗅ぎつけて
掘り下げることで問題の早期発見に至るか、端緒を見過ごして問題の拡大を許すことになる。
検証報告書では、各社の支社コンプライアンス部門には、調査や事実認定の能力が不十分な担当者が配置されていると指摘されている。
日本郵便では、通報を支社などに丸投げする「支社等案件」が多いことにも触れられている。それが原因で通報者の情報が共有され、犯人探しを助長していたのではないか。
一方、検証報告書は、本章で詳述した有力郵便局長による通報者捜しについては
「不信感の醸成に相当影響を及ぼしている」と軽く触れただけで、中身に斬り込んで検証することは避けている。経営陣やコンプライアンス部門、
全国郵便局長会への忖度が働いたのでは、と思わせる内容だ。
これでは社員の信頼回復に役立ちようもない。
通報制度の本来の機能を取り戻すには、当然、歴代経営陣やコンプライアンス担当部署が制度運用になぜ失敗していたのかを、徹底的に検証することが出発点になる。問題の根本原因を特定し、その反省に立って制度運用のあり方を見直すしかない。経営者の毅然とした言葉や態度が説得力を持ち、実際に制度が機能しているという実例も示す必要がある。
そうして長く足蹴にしてきた従業員の信用をほんの少しずつ取り戻していくことでしか、実質的な機能を備えた制度運用にはたどり着けない。
残念ながら、立場が上がるほど非を認めようとしないのが、郵政幹部たちの一貫した特性だ。その傾向は、ゆうちょ銀行の不祥事でも如実に表れている。
日本郵政グループはかんぽ問題の発覚後、「金融営業専用の社外通報窓口」とグループ社員向けの「業務相談窓口」を2020年2~3月に新設した。
問題の兆候を早期にキャッチするのが目的で、法改正の動向も意識したものだ。
だが、今のままでは形ばかりの「はりぼて」をさらに拡充させるだけで終わる。
それまでの内部通報制度だって、「形」だけは立派だったではないか。
肝心なのは、通報があれば本気で調べる姿勢や能力を備えているかどうか。
そして、通報者捜しや報復のように通報制度の趣旨を否定する行為は断じて許さない、という毅然とした姿勢を経営陣が明確にできるかどうかだ。
郵政グループはそのどちらも欠けている。そのもとで、通報者に不利益を与える行為が平然と繰り返され、社員の期待や信用は回復のしようもないほどに裏切られ続けてきた。「本社や支社は決して信じるな」という痛烈な不信感が組織全体に醸成されている。これは歴代経営陣による「負の遺産」の一つで、かなり深刻なレベルに達している。
日本郵便のパワハラ体質は、かんぽ生命の不正営業へと郵便局員を追い立てた要因の一つでもある。だが、日本郵政グループが2020年1月にとりまとめた業務改善計画では、パワハラそのものへの対応策は特段、盛り込まれていない。
資料では、次のような通報内容の事例があったことも紹介されている。
「言うこと聞かないなら他局に飛ばすぞ」と恫喝した(精神的な攻撃)
夜9時半まで営業電話させ、アポが取れるまで帰さなかった(過大な要求)
朝礼で「人としてクズ」「給料泥棒」のような発言をした(個の侵害)
社員が見ている場で怒鳴りながら足蹴りしていた(身体的な攻撃)
業務上必要な資料を渡さず、必要な情報を教えてなかった(過小な要求)
通報した郵便局員は、コンプライアンス担当者から連絡を受け、不正な勧誘を目撃した状況や顧客の名前などを詳しく聞かれ、局員も保険の契約番号に至るまで詳細な情報を伝えたようだ。
ところが、知りうる限りのことを伝えた後に、こう言われた。
「我々が調査すると、通報者が捜されて特定される可能性もあるが、それでも大丈夫ですか」
大丈夫なわけがない。通報した局員を「それは困る」と答えると、そこから話はうやむやになったと、悔しそうに職場でこぼしていた。
不正の疑いがある同僚はその後も野放しで営業を続け、好成績で昇格もしていったという。
この事例は、氷山の一角に過ぎない。通報制度に関する現場からの訴えはほかにも少なからず聞かれた。単に「調べてもらえなかった」ということに
とどまらず、「通報者が特定されて恫喝された」
「人事で飛ばされた」という趣旨の話もある。彼らが口をそろえて言うのは
「告発したら潰される」ということだ。
統括局長が冷静に人事などを判断できる人ならいいが、好き嫌いで人事をもてあそび、結果的に組織を弱らせるパターンのほうが多い。
日本郵便という組織にとって、局長会がいい影響を与えているとは残念ながら思えない
日本郵便の主要人事は4月に発令されるのに対し、郵便局長会の人事は3月までに先駆けて実施されるのが基本だ。局長会側の部会や地区会、地方会などの人事が先行して決まり、その後に日本郵便の人事が発令され
結果的には、地方郵便局長会会長が日本郵便の支社主幹総括局長となり地区郵便局長会の会長が日本郵便の連絡会統括局長になる・・・・
という具合に、局長会で決まった役職のほとんどが日本郵便の人事にそのまま反映される。旧特定局の人事を実質的に握るのは郵便局長会だ、と言われる所以である。局長会に入らなければ、旧特定局での出世も見込めない。
民営化して上場も果たした経営陣は、形ばかりの「対策強化」を繰り返す傍ら、金利の低下が急速に進む経済環境の中で、「反転攻勢」の目標を何の戦略もないまま現場に押し付けた。実現不可能な数値目標を下へ下へと課していき、達成できなければ厳しく叱責する
「必達主義」と、上意下達で異論を許さない「同調圧力」が重なり合ったことで、顧客の立場を考えない自己都合だけの保険販売を加速させた。
不正を犯した者が不正と認めなければ不正とは扱わないという常軌を逸したルールを経営陣が容認し、「不正をしてもバレなければ大丈夫」という考えを広め、顧客に不利益を与える不正は加速度を上げていった。
1人ひとりの社員がマジメで優しくても、同調圧力や目標必達主義が蔓延る「集団」が形成されれば、都合のいい「数字」を形作ることが何より優先すべき目的となり、顧客に不利益を与える卑劣な行為も厭わない暴走が起こり得る。それを途中で止める手立てや仕組みがなぜ郵便局にはなかったのか。
アポがない局員は、郵便局の端末で顧客情報を100人も200人もリストアップして印字し、1件ずつ電話してアポ取りする。
その光景を「オレオレ詐欺と変わらない」と自嘲する局員もいた。
恫喝研修
朝礼などの全員の前で「成績が悪いということは局の目標達成の足を引っ張っているからみんなに謝れ」などと言っていた
不正を認めることには極めて後ろ向きである一方で、顧客から強く抗議されると「配慮が足りなかった」などと口実をつけ保険料を返すハードルは低くしていた。「合意解除」や「無効」と呼ばれる手法を駆使し、契約はなかったことにすると同時に、顧客には口外しないよう約束もさせていた。
保険勧誘のトラブルが起きること自体は民間生保にもあるが、
「合意解除」や「無効」といった例はほとんどない。
仮に生保側の営業に瑕疵があるとしても、どこがどう悪かったのかを明確にし、過失の割合に応じてお金を返すということでなければ株主への説明もつかない。
かんぽの場合、大株主である親会社、日本郵政による監督が甘く、個人株主が声を上げることもほとんどない。
そうしたことも、不正を覆い隠す仕掛けが容認された一因だろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレやってはいけない不動産投資
藤田知也氏による著作。
発行日2019年5月31日。
著者は朝日新聞経済部記者。
早稲田大学第一文学部卒、同院アジア太平洋研究科修了後、2000年朝日新聞社入社。
盛岡支局を経て2002~12年に「週刊朝日」記者。
経済部に移り日銀・金融などを担当。
2018年4月から特別報道部に所属。
シェアハウス投資・スルガ銀行不正融資問題などを取材。
2019年9月から経済部。
著書に『日銀バブルが日本を蝕む』(文春新書)、
『やってはいけない不動産投資』(朝日新書)ほか。
両学長のリベラルアーツ大学のおすすめ書籍に掲載されていた為に興味を持った。
本書の終わり部分に参考文献が載っており、そのひとつに
三宅勝久氏の書いた「大東建託の内幕 アパート経営商法の闇を追う」がある。
この著作は私も過去に読んでいたので不動産という世界の危険性は多少なりとも知っているつもりだった。しかし本書を読んでその認識は甘いものであると痛感した。
近年、YouTuberの両学長、リベ大などの影響だろうか。
早期リタイア、FIREを目指すブームらしい。
ただ昔に比べ日本国の経済成長が鈍化している事もあり企業での昇給は僅かなものに過ぎない。
全世界株、S&P500などのインデックスファンド投資も素晴らしい。
ただそれだけで労働者から抜け出す事は出来ない。
どうしても必要になってくるのが不動産投資という魔境だ。
うまく成功すれば確かにFIREすることが出来るだろう。
しかし殆どの人は地獄に陥る。
不動産投資ではなく不動産賃貸業を営むのだという自覚が欠けている。
インデックスファンドでは無いのだ。
物件を丁寧に自分の目で確認し真摯に検討もしない人が不動産業者にはめ込まれ膨大な借金を背負う。
かわいそうだとは思うけれども同情は出来ない。
豊かになる為にはまじめに働く必要がある。
こんな事も分からなくしてしまう不労所得という誘惑の言葉に多くの大企業ビジネスパーソン、医師といったいわゆるエリート達が騙されている実態を見ると悲しい気持ちになってくる。
まず一般人は不動産投資はするべきでは無い。
繰り返すが、不動産投資・・これは不動産賃貸業だ。
もふもふ不動産をYoutubeで視聴した程度でマネできる代物では無い。
著者は銀行が厳しい処分をされている一方で不動産業者の処分が甘い点を指摘している。全く同感だ。個人的な意見だが、昔から政治家の裏金作りに不動産はよく使われており、規制を厳しくする気が政治サイドになかった為ではないかと思う。
印象に残った部分
不正に加担した銀行は業務停止となり、引責辞任した経営陣に数十億円の損害賠償を請求しました。不正を見落とした金融庁は国会などで反省の弁を繰り返し、全国の地銀・信金に不動産融資の再点検を追っています。
それと比べると、不動産行政の落差はあまりに激しい。
これでは不正が蔓延る実態は、今後も大きく変わらないでしょう。
嘘にまみれた不動産業者の勧誘テクニックは、これからもさらに磨きをかけ、進化を重ねていくことだろう。どれだけ慎重になろうとも、将来への不安から投資に興味を持つ人が現れる限り、業者に騙されて損することを完璧に防ぎきるのは難しい。
だとすると、失敗しても後悔しない、身の丈にあった投資にとどめることがやはり肝要だ。不動産投資で引き受けるリスクは、自身の貯蓄がいくらか目減りして、泣いてやり過ごせる範囲まで。最悪のケースに見舞われ、投資が失敗したとしても、路頭に迷うことがない程度に収めるべきだ。
自分の力では返しきれないほど多額の借金を組むようなことはしてはいけない。
破産のリスクは投資直後にやってくるわけではない。
5年後、10年後、あるいはもっと先に襲ってくる可能性の方が大きい。
迷ったらいつでも引き返す、という余裕を備えておくことも大事だ。
後悔することがないように、不安や疑問が払拭できているかに目をこらし完璧に解消するまでとことん突き詰める。曖昧な説明に妥協するのは禁物。
遠慮もいらない。業者に流されてハンコをつくようなことは絶対に避け、自分自身が「これならいける」と十分に納得できたときにだけ踏み出すようにすればいい。
「節税効果」や「保険代わり」といったセールストークも、部分的には間違っていないとしても、所詮は枝葉の数字に過ぎない。
本業でしっかり稼げなければ、小さな儲けが他に出た所で、たいした慰めにはならない。枝葉の数字や情報に目を奪われ、投資の全体像や枢軸を見失えば本末転倒となる。
不動産投資の枢要は、投じる資金に対し、物件がそこそこの利回りを中長期に渡って得られるかどうかにかかっている。そこで求められるのは、現実的な家賃を想定し空室になりにくい物件を余計なコストはなるべくかけず、妥当な値段で買い入れられるかどうかに尽きる。
家賃保証が無くても、空室にはなりにくく収益性が見込める物件であることを自分の目と足で見極めることが、不動産投資を始める最低限の条件だ。
そもそも業者がなぜ、空室時の家賃を保証しようとするのかを考えてみるといい。親切心、のはずがない。保証が無ければ売れないような代物だからだ。
不動産価格は上がっていくのか、または下がっていくんか。
それを予測するのも困難だ。
不動産価格が値上がりすることを前提とした投資計画をあてにしてはいけない。
投資は結局、「タイミング」が重要だと実感した。
本やネットで紹介される不動産投資の成功例や失敗例を読む時にも、物件の購入時期と文章が書かれた時期に注目すると良い。購入時期が市況の悪い時なら好条件の物件をつかめる確率は上がり、市況の良い時に書いた文章なら物件の「値上がり益」を自慢しやすいが、好機を逃した者が後追いするのは難しい。
私(藤田知也氏)も、実は2009年当時、自宅近くで売りに出た投資物件を思い切って(血迷って)買ってしまった。築20年強で十数平米の小さなワンルーム。
価格は800万円強で、家賃は7万円半ば。
入居者を引き継ぐオーナーチェンジ物件だ。
(中略)
ありがたいことに、その後は同じ住人が暮らし続け、家賃も欠かさず払って頂いている。
表面的な利回りは10%超。給油機の交換などで多少の出費はあったが、管理費や修繕費、税金などを差し引いて、10年間で投資額の半分超は戻ってきた計算となる。
市場が冷え切って誰も買わないような時が不動産投資の好機であり、裏を返せば、みんなが舞い踊って買いに走るようなブームの時は手を出さない方がいい
「この業界は腐りきっている」
同じ台詞が業者の口をついて出るのを何度も聞いた。
不正に走る業者が得をし、真面目な業者がバカを見る状況に、諦念さえ渦巻いている。
これから不動産投資をやろうとする人がいるとすれば、「野放し」になっている悪質業者の魔の手にさらされることになる。
ウソで塗り固めた勧誘にだまされたとしても、損をした投資家は守られず、
不当な利潤を得た業者は軽く逃げ切れる。
素人が安易に手を出してはいけないし、まして業者の言いなりになり、巨額の借金を背負い込むなど言語道断だ。
P社のターゲットは、医師と一流企業のエリート社員。
客に共通するのは、言葉巧みに誘われて信用させられた後、業者に任せっきりになることだ。業者に示された数字を鵜呑みにし、コストをよく調べることもなく
現地まで物件を見に行くこともしない。業者の言いなりだったのだ。
不動産投資ブームのさなか、以前なら見向きもされなかった低価値の物件までもがよく売れた。バブルに踊らされ、魅力の乏しい物件を高値でつかんだ投資家は
ブームが過ぎ去った後で自身の不明を思い知るだろう。
レオパレスほど大手の上場企業であっても、いい加減な工事がまかり通り、報道で暴かれるまで20年もの間、不正を隠し通すことができてしまうのだ。
監視の目が行き届かない中小零細業者であれば、そこで造られた物件にどんな爆弾が潜んでいるとしても不思議は無い。いつ爆発するかもわからず、
責任を持って対応してもらえる当てもない。そんなリスクまで個人で背負っているのが1棟物件のオーナーたちだ。
確定申告は無料でやってあげるなどと、不動産業者がしつこく勧めてくる場合は何か意図があると用心した方が良い。
多いのは、銀行から多額の融資を引き出す際に改ざんした年収や物件価格とつじつまを合わせるケースだ。
これまで見てきた通り、借金は増やせば増やすほど多額の手数料を請求され毎年の利息負担も大きくなる。年間に何百万円、数年で1000万円も払わされる
コストをかけるのは、高い収入がよほど確実に見込める物件でも無い限り利益に見合わない過大なリスクを背負わされることにつながる。
断れない客を狙う
「最初っから『断れない客』を狙うんすよ。独身で、気が弱そうで、東証一部の会社の工場とかで働いていて、コミュニケーション能力が低そうな奴なんかいたらサイコーっすよ」
ワンルーム投資経験者の名簿から、条件に合いそうな人を狙い撃ちにしていく。
そうした相手と会う約束まで取り付けられれば、勝負はほぼ決したようなものだ。
「会って1時間くらい、マンション投資の説明をするじゃないですか。その後意見を聞いて優柔不断なそぶりを見せたら、『はあ!興味があるとか言うから
こっちはわざわざ時間をかけて説明してんすよ。子供じゃないんだから、自分の考えは自分できちんと整理してくださいよ!』とか言いながら机をばんばんと叩く。そしたらね、気の弱い奴はだいたいハンコをついちゃいますよ。
あっ、これは一般論ですよ。ぼくの話じゃなくて」
よくある手口なのだろう。
三為契約が業者にとって好都合なのは、おおもとの所有者から物件を買い取る値段
(=仕入れ値)が、カモとなる最終的な買い手には知られずに済むことだ。
すでに不動産投資をやっている客は、警戒心が薄く、物件を細かく吟味せず判断がおざなりになりやすい為、効率よく契約を取れる。
「家賃保証」とは要するに、客が払った大金の一部を少し返してあげるだけのこと。
そんな不動産業者のまやかしに、あまりに多くの人が翻弄された。
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購入済み
業者の甘言に騙されない
某不動産会社より新築分譲マンションの勧誘を受けたことをきっかけに読みました。
シェアハウス向けの投資である、かぼちゃの馬車事件の取材が元となっていますが、新築分譲マンションの勧誘においても要点は同様です。業者の説明も本書の通りであり、例えば、発生する費用や金利の説明を十分にせず、高利回りを殊更に主張してきました。本書は不動産投資一般に有効と思います。
業者側の甘言に騙されないためにも、非常に参考となる書籍でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ不動産投資で失敗してしまった人々の事例を詳細に描き、やってはいけないと警告をだしつつ、最後にはそれでもやってみたい人のためにアドバイスが書かれている。
まずは、業者の「家賃保証」「空室保証」は信じてはいけない。「家賃保証」とはに、客が払った大金の一部を少し返してあげるだけのこと。初めての投資なら入念にチェックするが、2回目、3回目となると警戒心が薄れて業者のいいなりになりやすい。「節税対策」も注意すべき。結局損になることも多い。
次に、業者の「利回り」も信じてはいけない。利回り計算の元となる収入も、自分自身で見極めること。家賃相場、入居者がいそうかどうか。自分が背負うリスクはどれだけあるのか。何百万というお金を払うのだから、何度も物件に足を運び、徹底的に分析するのは当然。努力や手間を惜しめば、失敗の確率が高くなる。
最後は、業者のいうことを鵜呑みにしないこと。業者の一番の目的は、物件を売り、客が払う代金から少しでも多くの利益をかすめ取ること。不動産投資は、投じる資金に対し、物件がそこそこの利回りを中長期にわたって得られるかどうかにかかっている。そこで求められるのは、現実的な家賃を想定し、空室になりにくい物件を、余計なコストはなるべくかけず、妥当な値段で買い入れられるかどうか。迷ったらいつでも引き返せるように余裕を持とう。後悔することがないように、不安や疑問は完全に解消しよう。曖昧な説明に妥協するのは禁物。業者のいいなりになってハンコを押すのではなく、自分自身が「これならいける」と納得したときだけ踏みだそう。
失敗しても後悔しない、身の丈に合った投資が肝要。不動産投資でかける金額は、失敗して自分の資産が目減りしても泣いてやり過ごせる範囲まで。身を滅ぼすことを避けるために、この一線をこえてはならないという言葉が心に残った。 -
Posted by ブクログ
これは面白かった。
中小企業のM&A(買収、合併)におけるトラブルの現状を克明に描いてる。
これまでは売り手側の企業の中身がよくわからず、買った後に簿外の債務が発覚したり、問題社員がいたりとか、買う側のリスクが問題視されていた。
ただ、この本の内容は売り手側の企業が陥ったトラブルのケースを描いている。
業況が厳しい中小企業を買収し、現預金だけを抜いていく。当然その企業の資金繰りは回らなくなるし、借入は返済できなくなる。借入の保証人は変更されず前の保証人のまま。そんな悪質な買い手が現れた。
半ば詐欺みたいなやり方を繰り返す買い手企業。そんな買い手企業を紹介したM&Aの仲介業者に責任はないのか?買い手企業の調査は十分だったのか?売り手側に防ぐ手立てはなかったのか?高額の仲介手数料は妥当なのか?いくつかの事件の関係者に取材することで、M&Aに潜む闇を明らかにしている。とても面白かった。
中にはそこまでのことをやらかして、全く悪気のない買い手側の代表者もいた。しかもほとぼりが冷めたらまたやりたいと。呆れた。
中には仲介側の使命感から、買い手の危険性を指摘し、やめたほうがいいとアドバイスしながらも、売り手側の強い意思により売買してしまった事例もあった。さすがにその場合は仲介の金融機関を責めるのはかわいそうかなと思った。ただ高額の報酬はもらってる訳だし、売り手企業の将来を守るという観点から、もっとできることはあったのではないかと思う。
高額の報酬がもらえるっていうところから、売買は何とか成立させたいと言うインセンティブが働く。担当者としては数字が欲しい結果はずだ。多少怪しい部分があったとしても、制約さえしてしまえば仲介手数料がもらえるこの構想自体に問題があるのかもしれない。
未熟な部分が多いM&Aの業界、資格制度や罰則規定などまだまだ整備する部分が多いと思った。いずれにしろ、中小企業が元気になっていく未来でなければ、日本の将来は暗い。
引き継ぐものがいない事業を新たな経営者のもとにつないでいく「M&A」はこの先も増えていくだろう。どこに罠が住んでいるのか、きちんと学び、自主防衛していくしかないと思う。
それにしても、詐欺まがいな買い手側企業の社長にも取材して話を聞いている所がすごい。取材力が高いため、ルポの内容にリアリティがある。現代の抱える闇の一部を学べた。良書。 -
Posted by ブクログ
不動産投資で失敗する人のパターン及び業者の手口について簡潔にまとめた本です。
内容は主に、あなたが不動産投資で失敗する要因と失敗要因を踏まえた上で、それでも不動産投資をするなら、気をつけることをまとめています。
ネタバレになるといけないので、一部しか書きませんが、作者からの不動産投資の助言として、以下の2点があります。
1 自分の目と足で物件を見ること
2 身の丈にあった範囲にとどめること
1 業者の数字を信じたこと。特に慣れてきた2回目、3回目が危ない
2 三為契約(さんためけいやく)売主と買主を不動産業者が見つけて、間に入り売りつけること。→業者にとって都合がいいのは、売主にもとの所有者から買い取った値段(本当の価格)を知られることがないため。つまり客を騙しやすい。
3 業者の書類をしっかり読まなかったこと
4 売買契約をした後、銀行との融資との面談の際に突然、業者から通帳を改ざんしたので、口裏を合わせて欲しいと告げられた事例もある
5 狙われるのは『断られない客』
6 自己資金を出さない。自己資金を出せば出すほど借金は減り、利息負担も軽くなり、実質利回りは上がっていく。
それでも不動産投資をするなら
1 銀行がお金を貸さなくなり、買う人も業者も少ないときこそ、絶好の買い時
ただしこんなタイミングで投資をするのは、普通の会社員が大金を叩いて不動産投資をすることは、荒波に向かって小さな小舟を漕ぎ出すようなもの。それだけの覚悟が果たしてあるのか。
2 家賃保証は当てにせず、自分の目と足で物件を見ること
3 業者が示した利回りもあてにしない。コストとリスクを全て洗い出せ
4 業者の言うことを鵜呑みにしない。業者と自分には大きな情報の非対称性がある。不動産投資の極意は投じる金額に対して、物件がそこそこの利回りを中長期にわたって得られるかどうかにかかっている。節税対策や保険代わりといったセールストークもあくまで部分的なメリットにすぎない。→迷ったらいつでも引き返すこと。
5 身の丈にあった投資にとどめること。これからもウソに塗れた不動産投資の勧誘テクニックは発達していく。自分自身の知識を完璧にしても完全に防ぎ切ることは難しい。だとすれば失敗しても後悔しない、身の丈にあった投資にとどめるべき。不動産投資で引き受けるリスクは自分の貯蓄がいくらか目減りしても、泣いてやり過ごせる範囲まで。