山本豊津のレビュー一覧
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ポッドキャストで著者のインタビューを聞いて、興味を持ち手にとった。
東京画廊の歩みが、そのまま戦後日本の現代美術の流れの中の大きな潮流であるので、それがエピソードとともに語られていると、より理解が進むように感じられた。
もの派が、戦後のどういう社会的、文化的な文脈から出て、現代でまた取り上げられることにどのような意味があるのか、日本の明治維新以前の精神構造とどのように繋がっているのか。
美術史の流れの中にお金というファクターを入れて見ることにより、各国及び日本が、アートや文化的なものを、どういうものとして扱い力を入れているのか。(著者の考えから見ると、日本はアートが経済に及ぼす影響、国の価値 -
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著者の田中靖浩さんの大ファンで手にした本です。
著者名のとおり「お金」と「アート」。
画廊の山本豊津さんとの対談が本になっています。
コロナ禍でモノの価値観がまさに変わろうとしている今のこの時に、
アートの価値、それは「美意識」の変化にまで話が及びます。
田中先生お得意の会計と歴史が沢山でるなか、高齢の山本さんの
考え方が野をかける少年のように興味津々な対談内容です。
帯に書いている、アートを通して「価値と価格の本質」即ち、
その「もの」が持っている力・価値をどう計るかという問い。
一人一人が主体的に、「もの」をどう捉えるかといった、
今の社会に求められているけど、情報の渦の中、なかなか難 -
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めちゃくちゃ面白い。
田中先生のいつもの会計とアートを絡ませる切り口に、アートの本家である山本先生の切り口が交差する。
一気読み不可避でした。
・AIと人間の差
自律しているかどうか?
人間の価値は区切ることができること。
物事を始め、終わらせることができる。
AIは現状、終わらせることはできない。
・新たな価値
産業革命以降の会社が主役(会計上において)からの転換。日本においては会社が社員を養いきれなくなってきた。会社に依存した人生ではなく、定年後にも通用する価値をまじめに考える必要が出てきた。
コード(文脈、物語性)とモード(センスの重なり)。神なき時代にどんな倫理観と道徳観のもとに働 -
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ネタバレアートは「美術」であると共に、「商品」である。
=アートという「商品」を人々が評価し「価値」をつけるから。
絵画の値段はあってないようなもの
絵画は究極の投資対象(伸び代が大きい、しかし時間は掛かる)
その社会での文脈によって絵画の価値は異なるからこそ、伸び代が生まれる。
(旧時代では価値のなかったものが、新時代においては価値を持ちうる。)
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モノには「使用価値」と「交換価値」がある。
・使用価値:商品が日常の中で使われることで生み出される価値。
・交換価値:他の商品と交換するときの価値。
希少性と有用性は相反する。
=使用価値と交換価値は相反するものである。
この、使用価値 -
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ネタバレコード(歴史的文脈における表現方法)とモード(時代とセンス)
世界の美術マーケット7兆円 44%アメリカ、イギリス21%、中国19%、日本7%
日本国家予算100兆円
興味(文化レベル)、お金(経済レベル)、買い方(目利き)が足りない
アメリカ パブリック思考、 日本 プライベート思考
言語技術と共通の土台
保税倉庫
標準化(文明)から差異化(文化)
13世紀 ヨーロッパにアラビア文字
経済に金利の導入 簿記がイタリアからオランダ、イギリスへ
日本
江戸時代 数学を解く楽しみ KPIで楽しみや美しさが失われる
キャッシュレスで日本人の暗算力が低下する?
マイナスを△にしたのは書き換 -
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感想
自分自身の価値には自分では気がつかない
自分の人生を演じるのは自分
社会の中の誰か一人にでも、自分ののストーリーが必要とされた時に、公となり、自分の価値に値段がつく。
自律的な歩みと、自立的な行動が、美意識の高まりとなり、人の目に止まり、人の心に止まり。そこに写された自分の価値が現れる。つまりは自分の価値は人と隣り合わせにある
評価
美意識とは何か
自分の人生を生きているうちに
作品にしてしまうこと
(例えば、外の評価だけでなく、自分自身で自分を認めること)
化けるのは、合わせに行かない人
合理的ではない人
アートから学ぶとはどういうことか
日本の美術
小さい -
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アートと資本主義は、一見相反するようなものに思えるのですが、アートは資本主義そのものを体現していることを説いた本で、非常に興味深く読ませていただきました。
高級時計を例にとるとわかりやすいのですが、資本主義経済では「使用価値」が低いものほど「交換価値」が高くなり、アート作品はその典型例だと説明しています。
そして、良い画家というのは作品を作る才能と同時に、その作品にどんな価値があるかを客観的に判断できる能力ある人で、千利休はその典型例で、当時中国一辺倒だった価値観を、日本独自の文化の価値体系を作った偉大な芸術家なのです。
また、マーケットの視点で見ると、マーケットは常に”中心”から”周縁” -
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切り口が斬新な本だと思いました。
芸術を鑑賞する力をもっと身につける方法を鍛えても良いのではないか。という提言は腑に落ちました。というのも、アート=創作力の方にフォーカスが当りがちです。とかく創作に全く興味がない自分は、鑑賞する方が好きなので、こういうことを述べている本と出会えて心強かったし、良かったと思いました。
この本で一番インパクトがあった記述は下記の部分でした。強い印象が残ったので、そのまま抜粋して書いてみます。
「ISISは、資本主義的な価値観とは正反対の価値観を持っています。憎き資本主義に対するアンチテーゼとして、歴史的な遺産や芸術品を破壊するということは、彼らにとっては必然的