あらすじ
世界と比較してみても、日本人の中でアートとお金が苦手な人は多い。
けれど、時代はすでにグローバルになり、苦手を克服し、教養として身に付けておく必要がある。
それに、今やビジネスパーソンの間で話題になっている「アート思考」。
ビジネスパーソンでも絵画を学ぶことが大切であり、反対にアーテイストでもお金を勉強することが大事になってくる。
そうやってアートと会計をつないで学ぶことで、
これまで日本人に足りていなかった「正しい知識」が身につくに違いない。
本書は、『名画で学ぶ経済の世界史』『会計の世界史』の著者であり、公認会計士の田中靖浩氏が、
ビジネスパーソン代表として、東京画廊代表の山本豊津氏へ絵画を勉強しにいく。
アートと会計という一見関係のなさそうな両者が、つないで学ぶことでこんなにも共通点があった!
・アートを知るとなぜ「価値のつくり方」がわかるのか
・なぜお金を知らないで会社を経営する人が多いのか
・ビジネスパーソンにもアートの知識は必要なのか
お金とアートの専門家が語る異色の対談、ついに完成!
目次
第1章 なぜアートは日本に浸透しなかったのか
第2章 簿記という芸術的なプラットフォーム
第3章 日本で会計の礎をきずいた福沢諭吉と渋沢栄一
第4章 価格から考える「アートの問題点」
第5章 これから絶対に必要な「価値と評価」の話
第6章 「未来の資本主義」の話をしよう
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
絵画とイラストレーションの違い、日本と海外のアートに対する価値観や経営マインド、経済や美術の歴史など、幅広い話題をわかりやすく、しかも脚注付きで対談しています。 そのせいか、話があっちこっち行ってしまうのですが、それもまた面白く、知っている単語や人物もたくさん出てくるので、とても為になる楽しい一冊です。
Posted by ブクログ
著者の田中靖浩さんの大ファンで手にした本です。
著者名のとおり「お金」と「アート」。
画廊の山本豊津さんとの対談が本になっています。
コロナ禍でモノの価値観がまさに変わろうとしている今のこの時に、
アートの価値、それは「美意識」の変化にまで話が及びます。
田中先生お得意の会計と歴史が沢山でるなか、高齢の山本さんの
考え方が野をかける少年のように興味津々な対談内容です。
帯に書いている、アートを通して「価値と価格の本質」即ち、
その「もの」が持っている力・価値をどう計るかという問い。
一人一人が主体的に、「もの」をどう捉えるかといった、
今の社会に求められているけど、情報の渦の中、なかなか難しいこと
だけど、これからとても大事なことであると新たな視点を得ました。
私にとって「美意識」とは、「価値」とはとずっと考える
気持ちにさせてくれる本でした。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。
田中先生のいつもの会計とアートを絡ませる切り口に、アートの本家である山本先生の切り口が交差する。
一気読み不可避でした。
・AIと人間の差
自律しているかどうか?
人間の価値は区切ることができること。
物事を始め、終わらせることができる。
AIは現状、終わらせることはできない。
・新たな価値
産業革命以降の会社が主役(会計上において)からの転換。日本においては会社が社員を養いきれなくなってきた。会社に依存した人生ではなく、定年後にも通用する価値をまじめに考える必要が出てきた。
コード(文脈、物語性)とモード(センスの重なり)。神なき時代にどんな倫理観と道徳観のもとに働き、そしてどんなことをして遊ぶか。目指すべきはどちらも真剣に美しく。私たちが美術館で見る絵画と同じで私たちの人生も終わってみれば1本の映画です。誰かに感動与えるとまではいかなくてもせめて恥ずかしくないようには毎日を過ごしたいですね。
Posted by ブクログ
30代男性
題名の「お金とアート」という2つのつながりに、違和感を感じて、さらに、副題の「新たな価値のつくり方」を知りたくて読みました。
画商と会計士の対談が掲載されている。内容は芸術とお金の歴史、日本と海外の比較など、お金とアートからはみ出ないようにざっくばらんに対談されている。
アートに関しては、お金持ちの方の趣味の領域で、遠い存在という認識でしたが、芸術性という新たな価値を生むという観点では参考になると気づけました。
Posted by ブクログ
自分が学んできた会計と興味のあるアートの視点が交わるということで、ぜひ読まなくてはと思って手に取った書籍。ビジネスマンにアートが必要なだけではなく、アートにもビジネスの視点が大事。
Posted by ブクログ
ちょっと難しくて、私の勉強不足でわからないこともあるけど、着眼点が面白くて、最後まで読み切れました。
アートと経済って、実はこんなに繋がっていたのかと驚きます。
今回難しかった所は、もう少し勉強してからもう一度読みたい本。
Posted by ブクログ
コード(歴史的文脈における表現方法)とモード(時代とセンス)
世界の美術マーケット7兆円 44%アメリカ、イギリス21%、中国19%、日本7%
日本国家予算100兆円
興味(文化レベル)、お金(経済レベル)、買い方(目利き)が足りない
アメリカ パブリック思考、 日本 プライベート思考
言語技術と共通の土台
保税倉庫
標準化(文明)から差異化(文化)
13世紀 ヨーロッパにアラビア文字
経済に金利の導入 簿記がイタリアからオランダ、イギリスへ
日本
江戸時代 数学を解く楽しみ KPIで楽しみや美しさが失われる
キャッシュレスで日本人の暗算力が低下する?
マイナスを△にしたのは書き換え防止のため
電子媒体は原価計算ができない
美術品の評価機構がない
会計の価額=価値
ポップアート
価格から価値を逆算
誰もが知っている素材を自分のコンテクストに引用
40代でもう一度とんでもないことができるのが天才
人生の後半で価値転換は大変だがチャンスでもある
日本人は長所を見つけるのが不得意
会計の公準
貨幣的評価の公準
継続企業の公準
企業実態の公準
なんでも金銭的評価するが、人間はバランスシートに載らない銭
日本の博物館は寺からの寄託作品が多い。
金銭のやり取りはないので貨幣的評価に影響がない。
資産
所有権ではなく、経済的利益を有するものに
誰かに依存していないか?継承する仕組みがあるのか?
美意識
「自分の人生を作品化しようとする志」
商品化と反対側のテンションが高い人のほうが化ける
芸術家の才能
これ以外のことはやることがないという自分を追い込む才能
トーナメントプロ=個人プレイヤーと レッスンプロ=教育者
Posted by ブクログ
感想
自分自身の価値には自分では気がつかない
自分の人生を演じるのは自分
社会の中の誰か一人にでも、自分ののストーリーが必要とされた時に、公となり、自分の価値に値段がつく。
自律的な歩みと、自立的な行動が、美意識の高まりとなり、人の目に止まり、人の心に止まり。そこに写された自分の価値が現れる。つまりは自分の価値は人と隣り合わせにある
評価
美意識とは何か
自分の人生を生きているうちに
作品にしてしまうこと
(例えば、外の評価だけでなく、自分自身で自分を認めること)
化けるのは、合わせに行かない人
合理的ではない人
アートから学ぶとはどういうことか
日本の美術
小さい頃から美術に触れる機会が少ない
日本は海外に美術品を出さない
見る機会と知らせる機会が少ないから、閉鎖的
世の中にある三つのルール
法律ー最も固く、安定させる物
慣習ー罰はないが、運用してるもの
道徳ー心の問題が行動につながるもの
→区切りを持たせることが、価値をつくる
アートの公準
時限でアートを捕捉(江戸アートなど)→分けることでわかる。(差別化)
貨幣で見る(画商の働きが価格を決める。マーケ)
→評価に上手く載せる
主人公を、決める(場所とか技術とか?)
→見え方を絞り込む
貨幣の鋳造が、資本主義の、はじまり
今後、教育の格差が国際社会に、影響する
Posted by ブクログ
【印象的だったワード】
『美術品を守る為にはお金が必要。』
『あらゆる分野でもそうだが、美術の純粋性を追い求めすぎると、お金が回らず廃れていってしまいます。』
【ざっくりした感想】
田中靖浩さんと山本豊津さんの対談形式で進むので読みやすい。分厚いし量がある。美術(歴史、画家、住宅事情)と会計(時代背景、会計、銀行、歴史的人物)どちらの視点もあり、視点が行ったり来たりするので頭を切り替えるのに少し疲れた。私に会計や銀行、証券会社の歴史的知識が少なかったからかもしれない。次は田中さんの著書見てみよう。
【ためになった、面白かった内容】
●多くの人は、国立美術館、県立美術館の作品を国や県の所有物と思って見ているが、国や県が払った費用は元々国の税金である。
→他の本(妄想美術館)で読んだことと似ていることを言っていると思った。その作品は隣で見ている人のものであり、私のものであり、国民のものである。この気持ちで展覧会に行くと、美術館にお邪魔して見せてもらっている受動的な立場から、私の作品を見にいこうかなと言った能動的な立場になる気がする。
● 日本美術界の『アートとお金』に対する姿勢や考え方を、アメリカや欧州と比較して問題点を挙げている。日本だと、お金は自分達が語るべきことではない。美術界全般に、あくまで美術は趣味と教養のためだけにある、という考えがある。
→日本ではお金を汚いものと思う節が多いから、美術(高尚なもの、教養的なもの)とお金を絡めるのも卑しいものと思ってしまうのかもしれない。
投資が嫌いで、貯蓄が大好きな日本人の精神性がここに現れているのかと思った。
●美術館にも「経営マインド」が必要。
アメリカのメジャーリーグでも、経営に元野球関係者を雇っていたが、最近ではGMに外部の元金融マンを招いている。イタリアのウフィッツィ美術館でも同様に外部から経営のプロを招いている。
→美術品をどうやって価値を上げるか、客入りが見込めない美術品を売却し、インカムゲインが見込める美術品を購入する選択が必要。美術界で育ってきた人は美術品のプロだけれど、経営については素人、美術品や美術館存続には、経営会計のプロが必要なんだな。
●ルネサンス時代、絵画を買うのが貴族から豪商になり、オランダの建築は狭かったから、フェルメールの絵画は小さい。
→調べたら、大航海貿易で一部の商人達が私財を蓄え裕福になっていった。絵画を買う余裕も生まれ、貴族や教会、王族しかできなかった贅沢ができるようになった。しかもフェルメールの作品は、宗教色の薄い一般市民の生活ぶりを切り取ったもので、顧客が市民であることも窺える。
美術館でフェルメールの絵ちっちゃいな〜〜とは思ったけれども、まさかそんな理由があったとは・・・こういう形で後から知って楽しめるのが美術の異所・・・
Posted by ブクログ
ビジネスでもアートでも、作り手がいくらものづくりに情熱を注いで労力をかけたところで、第三者がその価値を認めなければ価格がつかず、社会と接点を持つことはない。普段はアートに縁遠いという方であっても、本書で紹介されているような「お金」という切り口からアートを見れば、その見方が変わるかもしれない。古今東西のトリビアが満載の本書から、美術を見る目を養ってみてはいかがだろうか。
この本を読んで価値について考えさせられた。
第三者に認められて初めて、価値が価格になる。
努力をしても、人に認められなければ、自己満足で終わるのだ。ただ、価値は商品だけではなく、作った人の人間性や信頼できるかどうか、身だしなみ、賢さなど、総合的に判断されることも多い。そこがまた世の中の面白くもあり、ズルいところかも知れない。