吉田敏浩のレビュー一覧

  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

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     著者は1997年生まれのジャーナリスト。日本ジャーナリスト会議賞受賞作「「日米合同委員会」の研究」をはじめ、日本国家の対米従属の深化と日本社会の軍事化との関わりを問う著作を多く発表している。本書の初出は『世界』2024年4月-7月号「ルポ 「軍事優先社会」」、『前衛』2024年6月号「自治体を有事法制に組み込む「特定利用空港・港湾」指定」。
     2015年の安保法案=戦争法案以後の日本社会の軍事化の状況を確認したくて手に取ったが、相手方がまるで将棋の駒を進めるように着々と手を打っていることが確かめられた。と同時に、そのことがほとんどメディアで公論化されず、社会的に議論されていないこともこれまでと同様である。
     とくにこのトピックに顕著なことは、国会等での政府の発言、外務省や防衛省の説明がことごとく嘘と誤魔化しで一貫していること。ジョージ・オーウェルのニュースピークよろしく、語っている本人がいちばん信じていない事実や実態を乖離したコトバだけが語られていく。このようなコトバの空洞化と、それが生みだすシニシズム自体がこの国のエスタブリッシュメントの狙いなのか? と邪推したくもなる。

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    2026年07月19日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

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    政府がアメリカと一体となって軍事化を進めている、対米従属の一途をたどっているという内容の本を読むたびに思うのが、「なぜ政府あるいは与党は、対米自立の道を選ばずに、対米従属の道を選ぶのか」という点で、その選好の理由をしっかりと把握し、理詰めで突いていかない限り、なかなかこの方向性をひっくり返すのは難しいのでは無いかと思う。

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    2026年01月04日
  • 「戦後再発見」双書5 「日米合同委員会」の研究 謎の権力構造の正体に迫る

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    日米合同委員会で決定された数々の不平等密約は、安保条約により、アメリカが日本を防衛してやるのだから、米軍関係者が日本で事件・事故を起こしても、不問に付せよ、という文脈が成立しそうである。

    外務省は、日本国民よりも、米軍に優遇権利を図ろうと仕事をしている。こんな状態で、わが国が主権在民国家とはとても言えない。だから、中国から、日本はアメリカの従属国と言われるのである。

    1952年の日米合同委員会で承認された事項の一つには、米軍関係者の事件・事故に関する密約があった。すなわち、米軍関係者による事件・事故の被害者からの損害賠償請求の裁判に、米軍側はアメリカの利益を害するような情報は証拠として提供しなくてもいいし、また、そうした情報が公になりそうな場合は米軍人・軍属を証人として出頭させなくてもいい、というものである。

    この説明を読んでピンと来たのが、2008年に発生した第58寿和丸沈没事故である。船体に何かが衝突してあっという間に沈没し、乗組員4名が死亡した事故である。潜水艦衝突の可能性が高いとされているが、もし仮に米軍の潜水艦ならまさに上記密約どおりのことが実行されたことになる。つまりは、仮に米軍潜水艦の衝突による沈没だったとしても、その事実は葬ることができることになる。

    数々の不平等密約が締結されていった時代は、米ソ冷戦のさなかにあったときである。旧ソ連と対峙するにあたり、地理的に旧ソ連に近い日本に米軍の最前線基地を活動しやすいように設ける必要があったことは想像できる。米軍が活動しやすいように機能したのがまさに日米合同委員会であった、ということになろう。

    日米合同委員会で締結された数々の不平等条約を解消しようとしてアメリカからの真の独立を得ようとすると、必ず摩擦が発生するだろう。解消できた場合、失うものが大きいのは日本となる。なぜなら、密約解消となれば米軍は日本から撤退の可能性があり、中国にとってみれば日本に攻め入る隙が拡大するからである。

    日本は、アメリカとの関係では属国のままとならず不平等条約を解消し真に独立する一方、軍事力を増強して中国への抑止力を機能させるようにすることが理想であるが、これはかなり難しい。

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    2025年09月13日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

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    この新書に書かれている問題意識には共感するところ大だ。
    しかし、そうだとすると、この新書のタイトルには違和感があった。
    軍事優先社会、、ではなく米軍優先社会 なのではないか?

    もし著者と認識が違うとしたら、
    私は、ある一定条件の下であれば、日本は軍事費を今より増やしていいと思う。
    ある条件とは、今のように対米追従で、アメリカの言うことを全部鵜呑みにする、
    というのを一切やめて、自国で考えて、自国防衛のために軍事に金をかける、
    ということだ。
    いま日本を本気で守るとしたら、オスプレイでもなければFなんとかでもないし、
    大陸間弾道ロケットでもないだろう。
    アメリカのお古を高値でかわされているだけの軍事費に何の意味もない。
    アメリカなんて、いうこと聞いたって最後は自国アメリカのために動く。
    日本のことなんてどうだっていいに決まっている。
    中ソの砦として存在しているに過ぎない。
    それを後生大事に?何でも言うこと聞きます、なんてナンセンスだ。
    もちろん、だからと言って中国べったりもあり得ない。
    ビジネスルールを守らぬ国が何をするかはわからない。
    ましてプーチンのロシアをや。
    言わんとするのは、盲目的にアメリカを信じるのは無意味、ということ。
    この新書も、アメリカ基地がまき散らすピーファスの恐ろしさに触れている。

    国民の生命を二の次にする日本政府の姿勢、これは結局80年前と変わってない。
    むしろ、敗戦の思い、アメリカの仕打ちを知らない偏差値エリートが中枢にいる
    政府では、なおのこと「アメリカのポチ」となって、国民を犠牲にして、
    アメリカに追従するのだろう。
    戦争を知らないのはどうしようもないこと。
    少なくとも国民の生命を守ろうとしない、人の心がわからない官僚、政治家には
    退場してもらいたい。

    はじめに
      加速する米日軍事一体化と戦争準備
      「安保三文書」と敵基地・敵国攻撃能力
      軍事優先の国策と棄民政策

    第1章 地域が戦争の拠点に――ミサイル基地・弾薬庫がもたらす棄民政策
     ミサイル弾薬庫の増設と大軍拡
     激増する弾薬整備費
     他国攻撃が可能な長射程ミサイルを保管
     南西諸島の自衛隊ミサイル部隊
     住民も戦火に巻き込む軍事作戦
     沖縄戦の歴史の教訓
     国民保護という名の棄民政策
     アメリカの戦争に日本が巻き込まれるリスク
     自衛隊だけ生き残ろうとする基地の強靭化
     有事の煽動と戦争準備
     戦争体制の背後にある軍産学複合体の利益
     対話と信頼醸成を通じて戦争を防ぐべき

    第2章 徴兵制はよみがえるのか――自治体が自衛隊に若者名簿を提供
     自衛隊から突然のダイレクトメール
     大軍拡と自衛官募集の強化
     自衛隊員が戦場に送られるおそれ
     自衛隊への名簿提供違憲訴訟
     プライバシー権を侵害する名簿提供
     軍事優先の法的根拠の拡大解釈
     戦前の徴兵制の兵事事務と似ている点
     徴兵制の土台ともなりえる仕組み
     「経済的徴兵制」を視野に対策
     自治体を戦争体制に組み込む動き
     兵事係の再来を許してはならない
     軍事優先の国策への異議申し立て

    第3章 軍事費の膨張と国民の負担――侵食される社会保障と生存権
     武器輸出反対の声
     「死の商人」国家への堕落
     「死の商人」養成策を国策に
     軍需産業への手厚い財政支援
     ミサイル特需と軍需産業の利益拡大
     防衛省設置の有識者会議に三菱重工会長が
     膨れ上がる兵器ローン
     財政民主主義に反する軍事費の特別扱い
     軍事費が社会保障を圧迫
     生活保護費の削減と生存権の侵害
     いのちのとりで裁判
     セーフティネットの大切さ
     ミサイルかケアの充実か

    第4章 主体性なき軍拡、主権なき「軍事大国」化――米戦略への歯止めなき従属
     日米首脳会談と米日軍事一体化
     軍事作戦で主導権を握る米軍
     自衛隊が米軍の事実上の指揮下に
     安保条約を曲解しアメリカの戦争に追随
     米軍と自衛隊の連携の拡大
     米日統合司令部と日米指揮権密約
     アメリカが統帥権を握る
     米軍優位の不平等な日米地位協定
     米軍機による騒音公害を訴える裁判
     米軍基地がもたらすPFAS汚染
     基地への立ち入り調査を阻む地位協定と米軍の壁
     住宅地に銃口を向ける米軍機
     法的根拠のない低空飛行訓練
     米軍の軍事的ニーズに合わせて
     日米合同委員会の密室協議と密約
     日米安保・同盟の冷厳な本質

    第5章 対米従属の象徴・オスプレイ――危険な「欠陥機」を受け入れる唯一の国
     オスプレイの墜落事故と飛行再開
     米軍特殊部隊員を運ぶオスプレイ
     危険なパラシュート降下訓練
     アメリカの世界戦略に組み込まれた基地
     オスプレイの超低空飛行を認めた日米合同委員会
     佐賀空港へのオスプレイ配備
     基地建設工事の差し止めを求める訴訟
     住民を戦争に巻き込む空港の基地化
     共有地としての権利無視の土地買収
     有明海の海苔養殖への悪影響を危惧
     矛盾する国側の主張
     米軍による軍事利用への懸念
     平和な環境と宝の海を未来の世代に

    第6章 有事体制に組み込まれる自治体――空港・港湾の軍事利用にどう抗するか
     大軍拡と空港・港湾の軍事利用
     軍民両用と有事の部隊展開の狙い
     「特定利用空港・港湾」の指定
     軍事利用の既成事実づくり
     住民の犠牲も織り込みずみの空港・港湾利用
     下地島空港の軍事利用を認めない沖縄県
     軍事利用を防ぐ「屋良覚書」
     平時から戦時まで切れ目なく
     米軍による空港・港湾の軍事利用
     自治体は空港・港湾の軍事利用を拒否できる
     自治体を国の下請け機関に――地方自治法改正の狙い
     緊急事態条項の新設をもくろむ自民党改憲案
     「再び戦争の惨禍」が起きないように

     主要参考文献
     あとがき

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    2025年08月03日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

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    こちらはクマさんの本棚で興味を持ち、オーディブルで拝聴。
    本来は綺麗好きである私の部屋が荒れ放題の緊急事態。(何もかもこの未曾有の暑さが悪い)
    1日掃除をすると決め、長丁場のお供に選びました。

    結果、掃除には全く不向きでした。
    慣れていらっしゃるクマさんですら専門用語と内容の濃さに紙の本と併用されていたとの事。
    そんなものを私が掃除しながら聞けると何故思ったのだろうか。いや聞けたんだけどさ。
    度々手を止めては調べ、気になる所や分からない事はメモをしてそれも調べ、結局半日はこの作業で終わりました。(何故にその情熱を課題等に向けられないのか)

    さて、私のキレイキレイ♪の話は置いておいて、これは多くの日本国民が知っておくべき内容だと思いましたので、ちゃんとした内容や何故本書を広めるべきかと言う事はクマさんとひまわりめろんさんのレビューにお任せして、私は生々しく数値等を提示してみようと思います。

    先ずは、ご自身の家の近くに米軍の基地があると想像してみて下さい。
    ガンガン戦闘機が飛ぶ。騒音で頭がおかしくなりそう。おまけに軍事訓練と称して自分の家の方に機銃を向けられる。(母国のアメリカでは民家のない砂漠等でしか軍事訓練は行いません。吉田さんは異国での戦闘準備に使われていると仰っています)
    訴えても裁判所では判決を下せないと突っ撥ねられる。それでも頑張って賠償金が認められたとしてもアメリカが本来払わねばならない7割の賠償額を、日本が肩代わりする。
    更に基地から公害も撒き散らす。近くの田畑は大打撃。基地に調査に入る事も許されない。
    更に更に、基地で働く日本人の労務費は日本が支払っている。

    これに関してはちょっと詳細に書いておきましょう。
    びっくりした、私。

    在日米軍が日本でスムーズに駐留できるよう、本来アメリカ側が負担すべき費用の一部を「思いやり予算」として日本側が支払っています。
    これは国民の税金で賄われています。

    思いやり予算の内訳ですが
    【労務費】米軍基地で働く日本人スタッフの給料や福利厚生費
    【光熱水料】基地で使われる電気・ガス・水道などの費用【訓練移転費】在日米軍が海外で訓練する際の費用
    【施設整備費】基地内の建物や設備を整える費用

    まだまだ払うよー?!

    その他の負担(思いやり予算とは別)
    【米軍再編関係経費】米軍の配置変更や再編にともなう費用
    【SACO経費】沖縄の基地負担軽減のための日米合意による費用

    つまり、日本は「思いやり予算」だけでなくその他の関連費用も含めて、在日米軍のために多額の支出を行っているのです。
    これはすべて国民の税金から出ており、在日米軍の円滑な活動を支えるための“日本の負担”らしいです。

    冗談じゃねえ!先ずは自国民を思いやれよ!!と思いましたか?(私は思いました。前回のレビューに引き続き酔っ払いおじさま化現象)
    それではこのまま、以下の軍事費用と社会保障費の推移をご覧下さい。

    2023年度予算では社会保障費が約36.9兆円、防衛費が約6.82兆円と、防衛費が前年比約26%増。
    2024年度も社会保障費は増加したものの、予備費減相殺後には実質的に防衛費優先の配分が顕著に。
    2027年度までに防衛費43兆円分の財源が組まれ、社会保障費の自然増分1500億円圧縮が予定されている。

    恐ろしい話があったもんです。

    社会保障費(高齢化などによって自然に増える分)は、本来であれば毎年6,000億円〜8,000億円増えると見込まれているらしいのですが、にも関わらず2017年度にはそのうち1,300億円が削減され、2023年度もおよそ1,200億円程度が抑制されたそうです。

    さらに政府は、2027年度までに防衛費を5年間で43兆円に増やす方針を掲げていますが、その財源の一部として社会保障の伸びを抑える方針が示されており、高齢者医療や介護、子育て支援などに直接影響が出る可能性が出て来ます。

    それは生活保護受給額にも影響します。
    吉田さんは72歳まで頑張って働いていたのに、夫の介護の為に辞めざるを得ず生活保護を申請した女性にインタビューしています。
    保護費が減額されてしまい、彼女は訴えに出ました。

    他人事ではありません。我々もいつ何があるか分からないですし、生きて行く為に国を頼らざるを得ない状況に陥いるかも知れません。
    それを踏まえてこの軍事費の増加の在り方を考えてみて欲しいのです。
    そして、再度、米軍基地へのお布施を思い出して頂きたいのですが恐ろしくなりませんか?

    聴いて調べて行くうちに、正直ゾッとしました。

    本書はもっと緻密な取材とデータを参考にかなり詳しく教えて下さっています。
    本当に多くの方に目を通して頂きたいのはやまやまなのですが、クマさんの仰るようにハードルがかなり高いのも事実。

    ですので、皆さんせめてこれだけは覚えて帰って下さい。

    思いやり予算てなんやねん!!!
    生活に困窮しているおばあちゃんを助けんかい!!!
    (あまりの事に関西弁)

    ロシアがウクライナに侵攻し、その折に台湾有事も話題になっておりました。
    私は割と本気で日本も戦争に巻き込まれるのではないかと危惧しておりました。
    友人と「一緒に生き抜こうな」と語った程に。
    結果的にはまだ恐れている程の事は起きていませんが、もう日本は戦争をしてしまう国になっているのか。

    それをしみじみと考えさせられるルポでした。
    クマさん、なんとか戦争に向かっている流れは掴めた気がします。
    今度、紙媒体で読み直してみます、ありがとうございました。

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    2025年07月11日
  • 「戦後再発見」双書5 「日米合同委員会」の研究 謎の権力構造の正体に迫る

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    陰謀論などでなく、淡々と事実の積み重ねで、日本がどれほどアメリカに牛耳られているか分かる本。読みすすめるほどに胸が苦しくなるが、日本のおかれている現在地がよく分かる本。

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    2025年07月08日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

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    今年2月発行。米国言いなりの主体性なき日本、軍事優先の棄民政策。現在最も詳しい現代日本平和解説書である。

    2014年集団的自衛権容認閣議決定、2015年安保法制強行採決、2022年安保三文書閣議決定……。この10年間で、日本は「戦争をする国」にいよいよなろうとしている。辛うじて憲法9条が、崖っぷちに最後の綱を掛けている。という想いを本書を読んで強くした。

    例えば、自分の家・親類・友だちの近くにミサイルが落ちてくる可能性を考える人はどのくらいいるだろうか?南西諸島、九州・西日本、全国を舞台にした周辺住民無視の基地建設と基地強靭化が進んでいる。核兵器攻撃を受けて強靱化された基地が残っても、直ぐ近くには住宅地が広がっているのである。政府はそういう発想で、5年間の防衛費43兆円を使おうとしている。或いは18歳になった子供の名前・住所・性別・生年月日が自衛隊に提供されているとか、庶民はこんなにも我慢しているのに三菱や川崎などの軍事産業はぼろ儲けしているとか、私たちは加害者だけにはならないと思っていたのに、既に戦闘機を海外輸出しているetc。見えていなかった、でホントに済まされるのだろうか。

    吉田さんの著書を初めて読んだけど、ここまで私の問題意識と重なっていると思わなかった(←えらそー)。勿論、たくさん新しいことや気づきを教えて貰った。違和感は3%ぐらいしかない。地域の平和運動をしている人たちの声を丹念に拾い、その人たちが下手な国会議員よりも遥かに未来を見据えていることにも共感する。ベトナム戦争を例に出すまでもなく、庶民の方が、ことの本質をとらえているのだ。

    曰く。
    「自衛隊は島を守るというが、守る対象は領土・領海であって、住民ではないでしょう。南西諸島を、日本国家防衛のための、さらにはアメリカの覇権を守るための軍事拠点とする思惑があるのではないでしょうか」(宮古島住民の会)
    「私としては自分の畑の真ん前から戦争が始まるのは許せません。初めは戦争の被害者になりたくなくて基地反対を訴えましたが、日本が戦争の加害者になることも認めたくないと思うようになりました。反対の声を上げないと戦争を認めることになってしまう。これは宮古島だけでなく日本全国の問題です」(宮古島住民連絡会)
    「どこの国でも有事を煽る政治家たちは、外敵をつくりだして国内の矛盾に対する国民の不満をそらそうとしますよね」(同)
    「軍拡をして友好都市にミサイルを向けるのではなく、国境を越えて民間どうし、自治体どうしで交流し、友好を積み重ねることこそが、戦争を防ぐ道です」(大分市民の会)
    「防衛省・自衛隊は当然(ダイレクトメールで隊員募集の効果は少ない)傾向を把握した上で、名簿提供を求め続けていると見られます。実際に効果があるかどうかよりも、自衛隊の人的基盤強化のための自治体に下請け的な業務を担わせる「仕組み」を整えてゆくこと自体に狙いがあるのでしょう」(平和新聞編集長)
    「憲法の地方自治の規定のもと、国と自治体は対等なのです。自治体は国の戦争準備に手を貸してはいけません」(福岡自衛隊名簿住民訴訟)
    「2012年の第二次安倍政権から続く11年間で、軍事費は増える一方、社会保障費は自然増分含めて5兆円以上が削減されました」(中央社保協)
    「基地周辺の住民は日本国家によって見捨てられている。棄民にされているのです」(神奈川厚木基地爆音訴訟)
    「日本を従属国扱いしているとしか思えません。私たちの地域とその上空が、戦争の訓練に利用されるのを見過ごすわけにはいきません」(東京横田基地での米軍オスプレイの訓練時、機関銃が市街地に向けられていた)
    ←因みに、岡山県のことは殆ど出てはこないが、ここで書いていないことでも身近に「軍事優先」は起きている。
    ・日本原演習場で7回目の米軍単独訓練が3月に行われた。
    ・岡山市三軒屋弾薬庫も将来の強靭化の対象になっているが、その隣は見事な住宅地。
    ・2023年、桃太郎空港が戦闘機の給油訓練に使われた。県は県議会には一切その事を知らせなかった。

    かなり濃密な事実の列挙と、足で稼いだインタビューで構成された本書。5月14日、audibleがAIに朗読させ登録した。本書を紐解きながら1.5倍で聴くのが丁度良かった。読むのはしんどいかもしれないが、広く知られてほしい「事実」ばかりだった。

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    2025年05月28日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

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    audible 。先に読んだ軍事オタクの戦争ゲームブックの対にある平和のための本である。憲法を守り、国民の生命をまもり、他国民の生命も大事に思う本である。
    多大な税金を軍事に注ぎ込む現政権とアメリカと軍需産業の目論見を打ち破るための本である。
    いま何が起こっているのかをしっかりと知ることから始め、私たちの暮らしと尊厳を絶対に壊させないために一歩を踏み出したいと思う。

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    2025年05月26日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

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    日本の政府が着々と軍事優先社会にしている姿が描かれています。
    オスプレイは韓国など日本以外の国では配備されていないことは知っていましたが、
    自衛隊から適齢期の若者にダイレクトメールが郵送されていて、地方自治体は防衛省に若者の名簿を提出している、ということは知りませんでした。
    本書では防衛費がどんどん増える一方で、生活保護費などの社会福祉関連の予算は増えてなくて、項目によっては減っていることが記述されています。
    北朝鮮、ロシア、中国の振る舞いを見ると、防衛費の増額はやむを得ないかとも思いますが、社会福祉関連も大切なのだから増やして欲しいと思いました。でも、それだけと、どんなことが予算を削れるのかなと思いました。無駄な政策による出費はほんとうにしてはいけない、そのためには、デタラメな政治家は当選させてはいけないと思いました。
    この本には、政府を相手に訴訟を起こしたり、抗議活動をしている団体が多くでていますが、その代表の方の年齢が軒並み70代、80代のひとばかりで、もっと若い世代のひとたちの関与が必要なのでは、と思いました。

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    2025年03月11日
  • 横田空域 日米合同委員会でつくられた空の壁

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    【首都圏の空を覆う見えない壁】
    横田空域とは、米軍横田基地が管制権をもつ空域であり、首都圏を中心として1都8県にわたる「米軍によって占領された空」である。この見えない巨大な空の壁によって、羽田空港のすべての離着陸は危険で非効率的なルートを強いられており、羽田増便のための新ルートは山手線沿線部を低空飛行させられている。
    米軍による日本の空の「占領」は横田空域だけではない。1995年頃から群馬県における米軍戦闘機の低空飛行訓練が激化しているが、低空飛行訓練は群馬県内にとどまらない。「USAミリタリーチャンネル」で堂々と公開されているF16戦闘機の「超低空飛行」の映像(2018年)をYouTubeでぜひ見てほしい。あわせて「沖縄・低空飛行訓練」も検索してほしい。
    大事なのは、横田空域管制権と低空飛行訓練が、「日米地位協定」で保障されたものではなく、あくまで日米合同委員会の密約によるものだという点だ。(本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会/門倉)

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    2021年10月01日
  • 「戦後再発見」双書5 「日米合同委員会」の研究 謎の権力構造の正体に迫る

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    日本における米軍の法的な地位を定めた「日米地位協定」という協定が存在する。対日講和条約や日米安保条約とあいまって、米軍が占領時代に有した特権(基地使用など)を引き続き保障している。日米地位協定の第25条に基づいて権利の内容などを競技する機関が日米合同委員会である。

    日米合同委員会での①協議は密室で行なわれる。著者によると②協議は米軍の軍事目的を優先し、しかも③日本の主権を侵すような協議結果がそのまま法律として制定されてしまう。著者の主張を裏付けるのが複数の秘密資料によって存在や内容が明らかになった日米合同委員会での密約である。①から③がはらむ問題点を、具体的な密約の内容に触れながら本書は論じている。

    本書は②の原因を合同委員会のメンバー構成に見る。日本側の構成員が官僚であるのに対して米国側は一人をのぞいて全員が軍人である。これは通常の国際競技ではまず見ない組み合わせで、かつては米国大使も「きわめてえ異状なもの」と発言したことがあるくらいだ(27ページ)。米国側からの要求は自然と軍事的観点から出され、米軍の権利を認めさせる内容が重点を占めることになる。

    協議とは言いながら、米軍人による強硬な主張を日本側の官僚たちがほぼ受け入れるのが実状だという(4ページ)。当然、協議の結果は日本に不利な内容であり、全貌を国民の目に晒さないために密室協議は好都合な仕組みである。協議の過程や結果が外部に見えず、議事録や合意文書は原則として非公開である。都合の悪い箇所を除いた「概要」のみがウェブサイトに掲載される。文書そのものに対して開示請求をしても判を押したように「不開示決定」がくだされる。

    実際、重要事件でない限り米軍関係者を起訴しない(裁判権放棄密約)、米軍関係者に対する民事裁判で米国に不利な情報を裁判に提出しなくてよい(民事裁判権密約)などという密約の全貌を国民が知れば官僚や政府に対する大きな非難が巻き起こるのは避けられないだろう。

    時に主権を侵害するような不利な協議結果をなぜ日本側は唯々諾々と受け入れるのか。歴史的に見て、日米合同委員会の初期の協議に「米軍の命令が絶対だった占領体制の影響」があったと著者は分析する(201ページ)。例えば対日講和条約の発効前後に行なわれた米軍機の特権を認めた「航空特例法」に関する協議において、「日本側がアメリカ側の要求に異論を唱えるのは難しかったにちがい」ないと著者は論じる。

    日米合同委員会での協議結果ありきの法案がそのまま法律として制定されてしまうの理由の一つは、国会審議の場でも合同委員会での議事録や合意文書が非公開とされているためだ。そうして作られた法律には明確に憲法違反であるものもある(憲法体系とは別の安保法体系が存在する)。

    こうした問題点を踏まえたうえで著者の提言は3つある。①日米合同意委員会の全面的な情報公開と国会によるコントロールの確立。②米軍優位の密約や合意事項の廃棄。③日米合同委員会そのものの改廃。

    そもそも協議機関に過ぎない合同委員会での「合意」が「日米両政府を拘束する」というのは理に適った話ではない。国会での審議が形だけの追認でしかないとおなればなおさらだろう。また米軍による航空管制のように、航空法による規定がなく、合同委員会の合意だけが根拠となっている特権の存在も不条理である(122ページ)。本書にある以下の記述にはまったく同感である。「対日講和条約の発効で日本は主権を、地位を回復したことになっていますが、はたしてアメリカによる「日本占領管理」は終わったといえるのか。日米合同委員会について調べれば調べるほど、そうした疑問は深まるばかりです。」(218ページ)本書を色んな人に読んでもらい、多くの人にこの問題を考えてもらいたいと思う。

    ところで本書の第2章をまるまる充てた「横田空域」の問題点に関して、著者は『横田空域 日米合同委員会でつくられた空の壁」(角川新書)で詳しく論じている。日本では一定の空域に米軍が航空管制を敷いているのだが、同じ敗戦国でありながらドイツとイタリアは米軍の航空管制を認めていないという。主権国家としてはドイツとイタリアのあり方が当然なのだが、それが日本では実現していない。その違いについての論考が興味深かった。こちらも合わせて読んでみるとよいだろう。

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    2021年06月29日
  • 「戦後再発見」双書3 検証・法治国家崩壊 砂川裁判と日米密約交渉

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    2019年115冊目。満足度★★★★★ 1959年12月16日の最高裁判決(砂川裁判)によって、法治国家の条件である「司法権の独立」が失墜。本書は、現在の歪な日米関係の理由をアメリカ政府の解禁秘密文書を手がかりとして明らかにした必読書である。

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    2019年12月06日
  • 「戦後再発見」双書5 「日米合同委員会」の研究 謎の権力構造の正体に迫る

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    なかなか一般国民には見えない日米の各種密約を丁寧に実証している。ただ、丁寧な分だけ文章が読みにくくなっているのは残念。その点でマイナス1。

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    2017年09月09日
  • 「戦後再発見」双書3 検証・法治国家崩壊 砂川裁判と日米密約交渉

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    集団的自衛権は合憲であると言い張る安倍政権が引き合いに出すのが
    砂川裁判の最高裁判決なんだが、砂川裁判って集団的自衛権について
    は判断してないんじゃないの?これって、個別的自衛権の問題なんじゃ
    ないのか?

    砂川裁判の判決を曲解していると指摘している学者もいるようだが、
    「自分たちのやりたいようにやる」と、批判の声には一切耳を貸さない
    安倍政権には届かないようだ。

    さて、その砂川裁判最高裁判決でる。そもそもの事件は1957年7月8日に
    発生した。在日米軍立川基地の滑走路延長計画に反対した地元住民や
    学生、労組が強制測量を阻止する為にデモを行った。

    その際に基地内に立ち入った7人が起訴された。東京地裁行われた裁判
    では伊達裁判長が「アメリカ軍の日本駐留は違憲」との見解を示し、全員
    無罪の判決を出した。

    これに慌てたのが日本政府とアメリカ政府。日米安保条約改定を成し遂げ
    たい時の岸政権は、当然のようにアメリカの顔色を伺う。その日本政府に
    送られたアメリカ側のアドバイスが「跳躍上告」だった。

    高裁をすっ飛ばし、最高裁への上告である。その最高裁判決が「アメリカ
    軍の駐留は合憲」。よって、原判決は破棄され、地裁に差し戻された。
    その差戻審では当然のように有罪判決が出る。罰金2000円也。

    しかし、砂川裁判最高裁判決には裏があった。2008年、機密解除された
    アメリカの公文書のなかなから、事件当時の駐日アメリカ大使と最高裁
    長官との密談が明らかになった。

    本書は公開された機密文書と裁判の流れを追いながら、砂川裁判最高裁
    判決が日米密約の下で生まれた過程を綿密に追っている。

    沖縄返還密約してもこの砂川裁判にしても、アメリカで公文書が見つかって
    も日本の外務省は「そんなものありませよ」って姿勢なんだよな。情報公開
    法も整備されてないのに特定秘密保護法が施行された現在、これまで以上
    に政府機関からの情報は出て来ないなんだろうな。

    しきりに砂川裁判最高裁判決を持ち出して集団的自衛権を合憲としたい
    安倍政権。最高裁長官がアメリカと密談して下した判決が公正・公平な
    裁判であったとは言えない。そんな判決に正義を求めること自体に疑問
    を抱かないのかね。

    日本国憲法の上位に位置する法律は存在してはいけない。だが、現実
    には日米安全保障条約や日米地位協定のように、アメリカを利する為
    には憲法だってないがしろだ。

    だからって、時の政府が憲法を自分たちの都合のいいように解釈して
    いいってことにはならないと思うんだけどね。

    安倍政権が成立させようとしている戦争法案に疑問を持っている人に
    読んで欲しい良書だ。

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    2017年08月21日
  • 「戦後再発見」双書5 「日米合同委員会」の研究 謎の権力構造の正体に迫る

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    日米合同委員会の研究 吉田敏浩 創元社

    日本の独立国は建前であり
国民を騙すための嘘と秘密で塗り固められた
実質未だにアメリカ軍による日本の官僚を傀儡とする
占領状態であることを暴いた本である

    この本は研究者による専門書に近いものであるが
国民の暮しにとって最も根幹となる憲法と法律を差し置き
    国民を支配する社会の秩序に関わる問題であるから
だれしもが理解して置かなければならない問題なのだ

    又この問題を公表したものとしてはこの本と
矢部宏治さんの《日本はなぜ基地と原発を止められないのか》
    で知る以外にない

    日米合同委員会による官僚支配の存在と
    日米安全保障条約による国民を搾取する存在の
隠蔽されてきた中身を暴き出したものである

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    2017年06月27日
  • 「戦後再発見」双書3 検証・法治国家崩壊 砂川裁判と日米密約交渉

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    現在、国会ではきちがい政権がこの判例を根拠にして日本の集団的自衛権の行使可否について騒いでいる。きちがいのきちがいたる所以はこの本を読めばわかる。非法治国家の不法の根拠ってこんなもんなんだな、とバカバカしくなったのだった。

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    2015年07月25日
  • 「戦後再発見」双書3 検証・法治国家崩壊 砂川裁判と日米密約交渉

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    東京地裁の「砂川裁判」判決は日米の密約交渉によって、最高裁で覆されました。 この間の経緯を見ますと、日本は正にアメリカの傀儡国家にも等しいように感じられました。米軍に関することはすべて治外法権の状態にあります。極論すれば、日本全土を米軍の基地にしてしまえば、日本の国民は手も足も出せなくなります。日本の裁判所は「統治行為論」によって逃げてしまいます。また、アメリカの解禁秘密文書で明らかになった事実を日本政府は隠したまま、その事実を認めようとしません。日本人は日米両政府に馬鹿にされたままです。

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    2014年10月04日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

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    2026年4月に政府が防衛装備移転三原則の運用指針を改定した事により、殺傷能力のある完成武器の輸出を制限していた「5類型」が撤廃された。将来的に同盟国であるアメリカやヨーロッパ諸国に対して、防衛協定を締結する各国への戦闘機、日本の得意分野とする潜水艦技術など「攻撃兵器」の輸出が可能となる。これは永らく平和主義を全面に押し出し名実共に戦争をしない国である日本の安全保障政策が大きく転換を迎えた事を意味している。安倍政権の5累計設定から、岸田政権、石破政権を経て、現在の高市政権に変わり行く中、表向きは静かに、内容としては劇的に戦争のできる国、戦争に巻き込まれる国へと変化してきた様に感じる。時の首相は皆、過去の安全保障環境からの変化を謳う事で、如何にも我々が変わったのではなく、周辺諸国、特に中国や北朝鮮などの軍事力の脅威によって変わらざるを得なかったと口を揃えて同じ理由を挙げている。確かに中国の軍事力は質•量共に脅威である。同国の軍事費は1990年代から比べると圧倒的な上昇率で拡大しており、毎年の経済成長率を上回る7%前後の防衛予算の上昇を記録し続けている。額にすれば2026年は日本円換算で43.4兆円と、同じく増加傾向にある日本の8兆円と比べても4倍以上だ。尚且つこれは兵器の新設など直接的な軍事兵器に投下されるコストであり、軍事関連の研究費を含めると、その倍以上、場合によっては100兆円近い軍事費に上る可能性もある(公表数字は当てにならない)。周辺事情で言えば、これに加えて北朝鮮の核開発及び長距離ミサイルの研究は、日々日本海に向けて発射される飛行物体の頻度•数を数えれば、如何に危険な脅しに晒されている日本の状況を理解することができる。日本はこれらの国々と隣接する「危険な状態」であると取れる首相の発言は、間違いとは言えない。
    問題はこれへの対抗策の在り方であると言える。戦争は屡々、外交の一つ、暴力装置を用いた外交と言われるが、外交の基本はまず始めにコミュニケーションベースの関係維持にある。勿論友好関係を維持し、経済的な結びつきを強めることが戦争のリスクから遠ざかる第一歩である。各国の軍事力強化に合わせていたのでは、かつての核兵器数で競い合っていた、米ソ冷戦時代と何ら変わらない。歴史は繰り返す、プレイヤーが変わっただけで同じ轍を踏んでいるとしか見えない。果たしてこのままで良いのだろうか。
    本書はそうした日本の軍拡状況を「軍事優先社会」と捉えながら、我々の生活の中で静かに変わって行く戦争への備え、歩みを捉えた内容となっている。民間の兵器開発、国による法整備、憲法改正への歩み、軍事費の拡大、オスプレイを始めとする兵器の変遷や民間空港利用の許可など、あらゆる方面からこの静かな歩みの前兆、足音を捉えていく。何かに付けて軍事優先とも捉えられる日本の政府方針に警鐘を鳴らす作品となっている。
    いつかその様な戦争の危険性が顕在化し、その時如何に自国及び平和を守るか。見方によってはそうも捉えられなくもない政策でありながら、実際は自ら危険な方向に向かって歩みを続ける日本。
    戦後永らく平和国家として世界の中で独自のプレゼンスを発揮してきた日本。その存在価値や意義は今大きく崩れ去ろうとしている。私が生きている間に徴兵制が復活する可能性は無いとは思うが、気付かない所で日本の防衛、いや戦争に協力していたなんて事にならないよう、身の回りの変化がどこに(特に戦争に向かっていないか)影響しているか、しっかり考えを巡らせながら注視していきたい。

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    2026年04月25日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

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    kuma0504さんの本棚から

    うーん、良書ですな
    自分の”意見”を形にするのに役に立つ一冊って感じやね

    特に”軍拡”に生活が侵食されている人たちの生の声をたくさん取り上げているところが良い
    とっても良い

    他人事感をいかに無くしていくかってのも大事なポイントよな

    でも民主主義の信奉者たるわいが気になるのは、まずは手続き論なんよな
    閣議決定でどんどん憲法解釈を変えていっていいようにしていくやり方は全く賛成できない
    ぬるっと進めてるけど、実質憲法改正やんこれってのがけっこうあるような気がして恐い

    基本軍拡反対なんだが、やるならきちんと国民的議論を踏まえた上で、堂々と憲法改正した上で進めてほしい
    一部のタカ派議員や、それこそアメリカの意向で物事がどんどん決まっていく現状は、とても民主主義国家とは言えないと思うんよな

    ちゃんと勉強して、みんなで声をあげていかな!と改めて思いましたよ

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    2025年06月22日
  • ルポ 軍事優先社会 暮らしの中の「戦争準備」

    Posted by ブクログ

    2025.04.05
    2025年2月刊行の作品。
    まず、ジャーナリストととしてこの類の本を「岩波新書」から出せる筆力、構成力に敬意を表します。
    内容にも異論はありません。ご指摘のとおりです。
    ただ、その指摘の後に、日本がどう振る舞うべきなのかについての指針は得られない。対米従属でも日本が平和なら甘受すべきとワタシは思う。
    対米自立を唱えることはいうは易し、行うは難しと思うから。

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    2025年04月04日