テロとの戦いと称してアメリカはアフガンに軍隊を派遣している。
戦地から戻ってきた兵士たちの多くがTBIという見えない疾病に悩まされているという。外傷性脳損傷。記憶障害や光に過敏に反応する、イライラなどの症状が出るとのことだ。そして、このTBIの原因と考えられているのが、IEDだという。即席爆破装置の
...続きを読むことで10ドル程度で作れる安価な小型爆弾であり、圧倒的な軍事力を持つ米軍に対して絶大な効果をあげているらしい。タリバンらはこの安価な爆弾をあちこちに仕掛けて米兵を苦しめている。昔であれば、爆破で死亡するところが、ヘルメットや防護服の進歩により死ななくなったが、目に見えない障害を受けているという。それがTBI。
このようなゲリラ戦を称して非対称戦争というようだ。軍隊と軍隊の正面からの戦争ではなく、軍隊と非軍隊の戦争、ということか。正規の軍隊とゲリラの戦いは、泥沼化しIEDのような弱者によるカウンターが強者が「勝てない」状況を作っている。
最近は、無人兵器などを投入されるようになったが、それでもやはり非対称戦争は終わることがない。
本書は、それだからどうだとかどうすべきという提言はしていない。簡単に答えがわかるならとっくに米軍もやっているのだ。
著者は従軍取材をしていて、兵士の生の声も伝えてくれている。右傾化し国防軍がなんだといってる日本において、こうした戦争の実際のようなものを多く吸収する必要があると思った。