歪んだ正義

歪んだ正義

1,760円 (税込)

8pt

「自分は絶対に正しい」と思い込むと、人間の凶暴性が牙をむく。
テロリズム、学校襲撃、通り魔、コロナ禍に現れた「自粛警察」に共通する暴力のメカニズムを気鋭のジャーナリストが解き明かす。
本書は、「普通の人」がさまざまな経緯を経て 過激化へと突き進むにいたるその道のりを、 いわば体系的に地図化しようという試みだ。 過激性はどこから生まれ、どのように育つのか。 そうしたプロセスを可能な限り「見える化」することで、 個々人、あるいはその愛する人が過激化プロセスにあるのかどうか、 あるとすればどの位置にいるのかを認識し、 暗くて深い過激化トンネルへと落ちるのを防ぐ、 もしくは落ちたとしてもそこから引き返すために 手がかりとなる情報をまとめている。
2001年9月のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロリズムや「過激化」というと、イスラム教徒に視線が向けられやすくなった。だが、イスラム教徒が過激化しやすいとか、テロを起こしやすいというのは、最近の事件への印象が強いことによる思い込みに過ぎない。「過激化」は身近な現象で、実際には誰にでも起こりうるプロセスだ。過激化に伴う暴力は、日本でも日常的に起きている。古くは、オウム真理教事件であり、秋葉原トラック暴走事件(2008年6月)、相模原障害者施設殺傷事件(2016年7月)、新幹線殺傷事件(2018年6月)、川崎市多摩区登戸のバス停無差別殺人事件(2019年5月)、京都アニメーション放火殺人事件(2019年7月)など、ローンウルフ(一匹狼)型の凶行が目立っている。彼らはSNSを多用し、そこで過激化のプロセスを見せている。さらに今、新型コロナウイルス蔓延によって生じるストレスが高じて、世界中で特定の人種や市民への攻撃行動が起きている。身の回りで過激化する個人やグループに対して、私たちは何ができるのか。ワシントン特派員時代にアフガンでの従軍取材を経験し、テロ加害者と被害者が混在するエルサレムで支局長を務め、イスラエル随一の研究機関で学んだ敏腕記者が、テロリズムや過激化の問題の核心を突き止め、解決・防止策を提示する。

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歪んだ正義 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    タイトル的に過激化する者に対して否定的見解が述べられるのだろうと思っていたが、徹頭徹尾中立的な視点で分析されていて内容がスーっと入ってきた。研究者としての姿勢に感銘もうけた。
    心理学、人類学などの観点を織り混ぜて述べられているので学びも多い。
    テロに限らず、身近にあるうつになるメカニズムが理解できた

    0
    2021年12月11日

    Posted by ブクログ

    本書は「なぜテロリストが誕生するか?」ということをジャーナリストである著者が研究し、記した本である。

    著者はテロを研究する以前は、
      もし自分が将来テロを起こす可能性があるか?
    という問いには
      自分は100パーセント無い
    と答えることができると思っていたそうであるが、テロリストを研究するにつ

    0
    2021年06月17日

    Posted by ブクログ

     今年読んだなかでもっとも印象的で刺激的。

    イスラム過激派の研究を通して「いかに普通の人が過激化していくのか」を解き明かしていく。
    これは遠い異国の硝煙にまみれた戦場の話ではない。「一般人」を自認する我々全てが過激化する可能性を秘めている。

     アメリカの大統領選からジェンダー間の軋轢、果ては「お

    0
    2020年12月13日

    Posted by ブクログ

    色々と思い当たる節が多かった。
    社会心理学ってこういうことか…
    「アカデミ・ジャーナリズム」すごいなあと思った

    0
    2020年10月01日

    Posted by ブクログ

    著者自身が言うように、同じように差別·貧困·死別·蹂躙に苦しんだある者はテロに走り、またある者は平和な生活に留まる。それを分かつ要素が何なのかを丁寧に突き詰めていった本である。ひとつひとつの要素が確かにローンウルフによるテロの引き金になりうるしテロ支援(エネイブラー)になり得ると、納得の説明だった。

    0
    2025年05月21日

    Posted by ブクログ

    「普通の人」がなぜ過激化してしまうことがあるのかを、イスラム国、パレスチナ問題、それに日本で起きた障害者施設での殺傷事件、秋葉原での通り魔事件などを取り上げ、ローンウルフ型と言われるテロ行為を防ぐ方法を模索している。

    読んでいて非常に気が重たくなる本であるが、重大事件の裏にも「防げたかも知れないタ

    0
    2022年01月30日

    Posted by ブクログ

    テロリズム寄りの取材経験から、「普通の人」が過激化する過程を考えている本。私はYouTuberなどの過激な言動を考えながら読んだが、この本はトルコやISなどの外国の内容を批判的に盛り込み、良くまとまっている。

    0
    2021年08月30日

    Posted by ブクログ

    膨大な文献と資料の後が窺えてその道を志す人にとってはかなり貴重な本なのかなと感じた。
    ただ自分のような興味レベルの読者にはちょっと難しかったかな。

    0
    2025年06月18日

    Posted by ブクログ

    自信の喪失、孤独・疎外感、精神病的性質。それらは適切なナラティブによって、惨めな惨状ではなく英雄の素質となる。
    コミニケーションと自己実現としてのテロリズム。承認欲求がテロの要因だというのは新鮮で同時に凄くリアリティがあった。
    思えば映画タクシードライバーもジョーカーも、自尊心の回復を求めて、絶望し

    0
    2024年05月26日

    Posted by ブクログ

    過激化は誰しもに起こりうる。普通の人がテロリストになるまでのプロセスと対処法を解説。得た教訓としては、普通の人を過激化させる「過激思考」(相手を100%悪、自分を100%善と決めつける等)は、間違ったストレス対処法として手をだしやすく、依存性も高い。また、人間の習性として収集するリソース(資源)の中

    0
    2021年01月14日

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