「イスラエル人」の世界観

「イスラエル人」の世界観

1,980円 (税込)

9pt

3.4

なぜ、世界中から非難されても彼らは攻撃・報復を止めないのか。

国家の存亡をかけた「悪との戦い」

建国以来、周辺地域との戦闘を繰り返してきた国家の論理がわかれば、イスラエル・パレスチナ紛争の本質も見えてくる。

新聞協会賞2年連続受賞&ボーン・上田記念国際記者賞受賞。
ワシントン特派員、エルサレム支局長などを歴任。
特派員、研究者、ボランティアとして現地に6年半暮らした特異な経験をもとに、
歴史的経緯から紡ぎ出されるイスラエルの「光」と「闇」の世界を徹底解説。

筆者は2013年3月、エルサレム特派員としてイスラエル、パレスチナ地域に赴任し、2019年9月までの6年半にわたり現地で暮らした。そのころから、筆者の心にはある疑問が深く根を張りはじめていた。2023年10月7日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを急襲し、イスラエルによるガザへの報復攻撃が長期化するにつれ、その疑問はかつてないほど存在感を増した。

「イスラエルのユダヤ人は、隣人であるパレスチナ市民が苦境にあえいでいるというのに、なぜあれほど無頓着でいられるのか」
「彼らはいったい、どのような世界観の中に生きているのか」

強い疑問が筆者に芽生えたのは、2014年夏の取材がきっかけだった。約50日間にわたり続いたイスラエルとハマスの戦闘。そのうちの25日間、筆者はガザ側から惨状を伝えた。イスラエル軍による無数の1トン爆弾の投下、崩れ落ちた建物の隙間に取り残されるガザ市民と子供たち。目の前に広がる光景は、まさに地獄絵図であった。2009年にアフガニスタンで、米軍と現地の支配勢力タリバンの戦闘を取材した経験のある筆者にとっても、これほど過酷な惨状を目にしたことはなかった。
「イスラエルのユダヤ人は所詮、そういう人たちだから」。そんな風に切り捨てる声も耳にした。だが、事態はそれほど単純ではないと感じた。人間も社会も多面体であり、「闇」だけでなく「光」も存在する。完全な善もなければ、絶対の悪もない。そう信じる筆者は、イスラエル人の内面世界――その〈世界観の森〉に分け入ってみたいとの衝動に突き動かされ、この本を書くに至った。
本書は、紛争や政治心理学の専門家らへの取材、現地の人々との対話を通じて、紛争地に暮らす人々に共通する認識や世界観、そしてイスラエルのユダヤ人に特徴的と思われる思考を明らかにしようとする試みである。戦後80年を迎えた日本にとっても、他者の世界観に触れることは、自らの思考と社会のありようを見つめ直す契機となるはずだ。日々のニュースだけでは見えてこないイスラエル・パレスチナ紛争の本質に踏み込み、私たち一人ひとりがどう関わるべきかを問いかける一冊。

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「イスラエル人」の世界観 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ※重い内容なのでご注意ください※

    イスラエル軍の爆撃で殺されたガザの子どもの遺体が大型のアイスボックスに詰められている現場の取材を終えて、数十キロしか離れていないエルサレムに戻ると、ユダヤ人の家族連れの子どもがカフェの店先で、はじける笑顔でアイスクリームを食べている

    『これはいったい何なのか。彼

    0
    2025年08月09日

    Posted by ブクログ

    ユダヤ人の歴史、世界観、パレスチナへとの想い、ホロコーストからの価値観の変化、イスラエルをいろんな側面で解説している
    ホロコーストという虐殺された歴史を持ちながら、ガザに対して虐殺を繰り返すイスラエル
    この負のスパイラルを断絶するために命をかけて活動する、ユダヤ人とパレスチナ人
    読み進めるに連れて、

    0
    2025年07月19日

    Posted by ブクログ

    この問題、本当に、わからない。なんなのか。
    この問題に対して、なんらかの決断を下さなければならない立場にないことを有難く思うくらい、訳がわからないと感じる。

    著者、毎日新聞編集委員にしてはまともな書きっぷりだと思ってたが、結局のところイスラエルは酷い、と言う立場だと思う。

    ユダヤ人は被害者であっ

    0
    2025年11月14日

    Posted by ブクログ

    もう少し学術的な本だと思っていた。
    やや古いけど、現地に滞在した著者の経験に基づくルポが大部分を占めるから、知らなかったことは多かったけど。

    0
    2025年11月08日

    Posted by ブクログ

     あれほど悲惨なガザ地区を爆撃し続けるイスラエルの心情が理解できないので、この本を手に取りました。まずガザ地区はちょうど福岡市と同じくらいの広さと人口だとイメージすればいいのですが、違うのは高い壁で囲まれていて、食料から電力から全てをイスラエルに管理されている空のある牢獄だということです。食料は人間

    0
    2025年10月02日

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