【感想・ネタバレ】人を動かすナラティブのレビュー

あらすじ

あなたの「物語(ナラティブ)」が狙われている!
不安や怒りを煽り、社会を分断する「情報兵器」のメカニズム。
新聞協会賞2年連続受賞&ボーン・上田記念国際記者賞受賞の ジャーナリスト、待望の最新刊!

「ナラティブ」という英語の表現がある。
日本語では「物語」「語り」「ストーリー」「言説」などと訳されることが多い。
物語性を示す言葉で、これほど広い意味を持つ単語は日本語にはない。
だが、英語圏では日常的に使われている言葉でもある。

私たちは頭の中で、無意識的にナラティブを語り続けている。
学校や職場に向かう道すがら、「今日はどんな一日にしよう」とか、家路につく電車や車の中で、「明日はどんな一日になるだろう」と思い浮かべながら、いつの間にかストーリーを創っている。ハッピーな物語になる時もあれば、自己嫌悪の物語に終始する時もある。
頭の中に浮かぶナラティブは私たちの感情をかき立て、個人を、そして社会を突き動かす。

私たちはナラティブに囲まれて生きているにもかかわらず、ナラティブがいかなる力を持ち、なぜ人間を虜にするのか、そのメカニズムをほとんど知らない。
本書では、近年国内外で起きたさまざまな事件や現象の背後に潜むナラティブのメカニズムとその影響力を解き明かす。

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Posted by ブクログ

ナラティブ というと、仕事柄、「業務記述書」なんて無機質な言葉に変換していたが、ここでの意味は本来の「語り」「物語」を網羅したもの。
そしてこのナラティブが力を持っていることを、事例を挙げて紹介してくれている。
特に印象深いのが伊藤詩織さん。安倍首相のお友達のTBSの関係者にレイプされ、
泣き寝入りも考えたが、自分の可愛い妹のために立ち上がったと。
自分より弱く、マスコミにもいない妹がこんな目に合ったらどうしようもない、
であれば自分は闘う!と決めたと。
そのナラティブに力がないわけがない。
自衛隊五ノ井さんの例も出ていた。ここの記述はすくなかったが。
二世信者、小川さゆりさんも。

その人の言葉で語ることのパワーの大きさ。
むろん、最初はなかなか通じない。訓練が必要。それは立花隆さんが語っている。
そして読書。想像力を高める効果のある読書は、ナラティブに有効だ。

自分も次世代に何かを残したいと思う。そのためにはナラティブを信じよう。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

SNSをチェックすると、パレスチナ市民の置かれた悲惨な状況を報じる動画や証言と同時にイスラエル首相の顔や、世界中の大規模な停戦を求めるデモ映像がリアルタイムで流れてくる。近年は世界各地で異常気象や紛争が絶える事なく緊張状態が続いて(個人的な事情もあり)心身共にキツかったけれど、このタイミングで本書と出会ったことで心の整理ができたような気もする。人間の脳は簡単なほう、楽なほうに流れていきやすい。この事を意識するだけでもニュースを見る目が変わってくると思う。傾聴の力を再認識できたのも良かった。

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2023年10月29日

Posted by ブクログ

ナラティブが良くも悪くも大きく世論を動かす可能性があることがわかった。悪いナラティブに「感染」して人々が実際に誤った道へ進んでしまう様子は恐ろしいけど、そうならないためにどうすればよいか?というと、やはり多様なナラティブを語り/聞き続けるしかないだろうと思った。

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2023年10月03日

Posted by ブクログ

新聞編集委員による、ナラティブについてのドキュメント

物語や語りなどに訳されるナラティブについて、その仕組みや効力や現代社会でどのように使われているかといった膨大な情報を分かりやすくまとめている。
SNSのリテラシーとして必要なことがたくさん。
繰り返しの表現が多いが、それがまた読み易さにつながっている。

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 昨今、よく耳にする「ナラティブ」。
 前々から気になっていた一冊を、ようやく読めた(買って1年近く手を出せずに置いてた)。
 学びは多岐にわたり、非常に興味ある内容だった。

 主な主張は第一章を読めば分かるかな。
 いや、本書の主旨より、そこでインタビューされる養老孟司さんの言葉、その主旨が重要か。

「ナラティブというのは、我々の脳が持っているほとんど唯一の形式じゃないかと思うんですね」

 そして名著『バカの壁』にある以下の記述も引用されている。

“ 脳内には「一次方程式がある」と説いた。
人間は五感から入力した情報(x)をいったん脳内で回し、運動系で出力(y)して行動に移す。それを方程式に表すと「y(出力)= a(係数)x x(入力)」。「a」は変化する数値、つまり係数で、それぞれの個人が持つ「現実の重み」なのだという。“

 要は、人心を操るナラティブ、それを駆使する集団は、その係数をいかに自分に都合の良いものにしていくかを考えて、テを変えシナを変えて、我々にアプローチしてくるという話を、後段にかけて、縷々と綴っていく。

 古くは、民族につたわる神話や民話。そして、現代はSNSを駆使し、しかも、人の脆弱性につけ込んで、上記の「a」(変数)を、発信者側に都合いいように「下地」を作ることからはじめるという周到さが不気味だ。

「デジタル時代の昨今においては、カルト教団や詐欺師が勧誘対象者にやってきたような「聞き取り」は、SNSに公開されている「いいね」の大量分析で可能だ。あとはそれをもとに、特定の標的に刺さるであろう「だましのナラティブ」を生成してSNSに流し、標的に被爆させるだけだ。」

 その実例が、2016年には英国のEU離脱、ブレグジットだし、先の米大統領選ではトランプ氏の勝利を後押ししたナラティブ戦略があったと本書は分析する(というか、ケンブリッジ・アナリティカという企業が行った所業を暴露した著書の分析を紹介している)。

 本書そのものの分析より、養老さんの著書などのように、あれやこれやの書籍や関係者の証言、意見の引用が多い。新聞記者の記す著書らしいとも言える一冊。

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2024年09月18日

Posted by ブクログ

人間が唯一理解できる形式がナラティブであり、それは人を操る道具にもなるというのはよく言われます。

ナラティブを理解をするのは脳で有り、5章の脳神経科学とナラティブの関係はかなり面白かったです。まだまだプリミティブな印象ながら興味深い発見はこれからも続くと思われます。ただ、そういった発見もダークな方にもどんどん使われるのでしょうか?多分そうなんでしょうね、残念ながら。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

嘘か本当かわからない情報にあふれ、様々な問題が複雑に絡まり合い、寄りかかれる先が少なくなってしまったこの時代に、ナラティブが自分たちの周りに溢れていて、良くも悪くも大きな影響を与え得るということを、様々な事例を通して分かりやすく教えてくれる。

ナラティブについて認識してこの世界を見ること、知らずにこの世界を見るのではまるで違う。
この世界の"なんでだろう?"を理解する糸口でもあり、情報兵器にもなり得るもの。
過激派テロ、米大統領選、性被害、旧統一協会、ナチス...
様々な事例をナラティブを軸に考えていくと、ものすごく理解が深まった。同時に、危険な思想に向かっていってしまう可能性はどこにでもあるのだと感じて少し怖くなった。

でも、イスラエル・パレスチナ遺族会の存在、
「相手も普通の人間なのだということが分かる。それだけでも意義があると思います」
これが希望だなと思った。
ナラティブが良い方向に活用される社会であってほしい。

それでも、情報兵器としてナラティブを利用する人は確実にいるから、情報を受け取る私たちが、真偽の分からない造られたナラティブに安易に飛びつくのではなく、しっかり考えて向き合っていかないといけない。
私はしっかりネットに浸かった生活を送っているタイプなので気をつけないと…。

本書を読んでから、生活の中でナラティブを自然と探すようになってしまった笑
意識してみると本当にたくさんのナラティブに溢れていて、その中でも印象的だったのは運転免許証更新の講習。講習ビデオ冒頭に事故被害者遺族の語りがあった。あ、これもナラティブだなと。実際、冒頭にその語りがあったことでその後の内容を自分ごととしてより注意して視聴できた感覚があった。
なるほど、自分は確かにナラティブの影響をしっかり受けてる。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

アメリカがTiktokに神経を尖らせる意味が少しわかった気がした。。。
多面的にナラティブを捉えているものの、筆者がジャーナリストということもあり、メディアリテラシー視点での学びが一番大きいように思われた。

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2024年03月18日

Posted by ブクログ

AIを使ってダーゲットを絞り込み、ばら撒きたい思想をSNSで拡散させるためのプロ集団いるという事実に驚く。
インターネットとの距離の取り方の参考になるため、義務教育で読ませたほうがいい。

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

よかった。ナラティブとは 語る行為と、語られたもの 、つまり語りと、物語の、両方の意味を含む。
単純に我々はいろんなストーリーからイメージを 抱き、ある時は 共感し、ある時は 反発する。
しかし 、例えば PTSD を抱える人にとってナラティブを考えると、自分の中の収まりがつかない 記憶の数々を整理し、 意味づけをし、 再構築し、 セルフ・ナラティブを形成する。
そうすることでその人のアイデンティティが再構築され、人生に意味を見出しやすくなるといった効用があるのだ。

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2023年10月16日

Posted by ブクログ

ナラティブについて、色々な角度から述べられた書。それぞれについて、様々なソースから情報を得て書かれている。ナラティブの使い方?共感の仕方?について、恐ろしさを感じた。

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2023年08月14日

Posted by ブクログ

SNSなどで世論が醸成されたり誘導されたりするのは強烈なナラティブが中心にある。
この現象は今とても重要であるが、AIが発展したあとにもナラティブの役割は存在するのだろうか?
AIはナラティブを創造する?
栗山監督、伊藤しおりさん、山上容疑者、ケンブリッジ・アナリティカなど実例が多く読みやすい。

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

ナラティブを題材にジャーナリストが書いた一冊。個人への取材かと思ったら後半は科学的な考察へ。ただ、主観と科学的が混ざってるのが読み手として気をつけないといけないかな。それもまたナラティブなんだろうけども。

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2024年06月07日

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