香取照幸のレビュー一覧
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元厚労省局長による社会保障論。
現在の社会保障のメリットや問題点などが分かりやすくまとまっており、私のように社会保障を実務とする人に強くお薦め出来る一冊です。
昨今、我が国の社会保障には、ミクロ的な観点から様々な批判の声もありますが、トータルで見ると日本の制度って本当に良く出来ていると思います。
民主主義を守るために社会保障が果たせる役割は何か、というのが本書の大きなテーマです。
本書では、前作の「教養としての社会保障」のおさらいとなる社会保障の基礎から、経済・財政にまで話は及びます。
「社会保障は、単なる高額所得者から低所得者への所得移転(救貧)ではなく、安定的な中間層を維持・形成するた -
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1584
338P
香取照幸(カトリ テルユキ)
元厚労省年金局長。1956(昭和31)年、東京都出身。東京大学法学部卒業。1980年厚生省(現厚生労働省)入省。1982年在フランスOECD(経済協力開発機構)事務局研究員、1990年埼玉県生活福祉部老人福祉課長、1996年厚生省高齢者介護対策本部事務局次長。2001年内閣官房内閣参事官(総理大臣官邸)、2002年厚生労働省老健局振興課長、2005年厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長。2008年内閣官房社会保障国民会議事務局参事官、同安心社会実現会議事務局参事官、2010年厚生労働省政策統括官(社会保障担当)、内閣官房内閣審議官(社会保 -
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とても読みやすく社会保障の全体像を知るには最適ではないだろうか。
老後2,000万円が物議を呼んだことで漠然とした不安が拡がっているが、筆者も述べている通り年金破綻は国家破綻であるから根拠なき心配は不健全だろう。
世界でも例を見ない皆保険、皆年金。戦後の格差が少ない時期に、非正規がほとんどいない終身雇用ができた絶妙なタイミングだったから成し得たことであったようだ。
ただ現在は大きく構造が変わり、今日の財政規模で社会保障全体は維持できるのか、どのような取り組みが求められるのかを視点に読んでみた。
社会保障の基本的役割は、
自助を共同化
所得再分配
負担だけでなく大きな成長産業の一面がある。
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Posted by ブクログ
オーディオブックにて聴了。ものすごく勉強になった!本も購入を検討。
日本の皆保険制度が世界的にも珍しく、よく出来た仕組みだったとは。
一方で、リタイア後の層に手厚く、現役世代に優しくないという日本の社会保障の設計自体は、もはや時代に即していない。こういった制度も現実に合わせて刷新されていくべきだと思う。
マクロ経済スライドはまさに現実に合わせて保障を見直す、年金制度持続のための仕組みなのに、「年金が減る!」と騒がれて叩かれていたような…?
思想の一貫性なくその時々で政策を批判し煽り立て、有権者側に無知や無関心が植え付ける(政治は誰がやってもダメなもの、変わらないと諦観の念を抱かせる)マス -
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人間は助けてあって生きていく。その思想を形にした画期的なシステムが社会保障
●本の概要・感想
多くの社会人が給与明細の控除額を嘆く。その控除額が社会保障を支えているのである。徴収分を嘆くのはミクロの視点であり、その意義を理解するにはマクロの仕組みを知らなければならない。社会保障の制度は一人ひとりが安心して暮らせるために作られた合理的なシステムだ。これを守り、生かし、いかに日本を発展させてゆくか。きちんと社会保障を学べば、給与明細や税徴収の見え方が変わるに違いない。社会保障は生きる価値の無い人などいないとする。人は時に助け合い、支えあわなければならないとしている。その制度を皆で選んでいる。そ