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Posted by ブクログ
元厚労省局長による社会保障論。
現在の社会保障のメリットや問題点などが分かりやすくまとまっており、私のように社会保障を実務とする人に強くお薦め出来る一冊です。
昨今、我が国の社会保障には、ミクロ的な観点から様々な批判の声もありますが、トータルで見ると日本の制度って本当に良く出来ていると思います。
民主主義を守るために社会保障が果たせる役割は何か、というのが本書の大きなテーマです。
本書では、前作の「教養としての社会保障」のおさらいとなる社会保障の基礎から、経済・財政にまで話は及びます。
「社会保障は、単なる高額所得者から低所得者への所得移転(救貧)ではなく、安定的な中間層を維持・形成するために、彼らを襲う『個人の力ではヘッジしきれない生活上のリスク』から彼らを守ること(防貧)にあります。」ってのが大きなポイント。
ざっくり言うと、福祉施策は救貧で、社会保障は防貧。
社会保障は安定的な中間層を守るという機能もあり、分厚い中間層こそが社会の中核を担い、政治の安定を支えるという主張には大いに同感。
社会保障の意義について、深く考えるきっかけとなる良書だと思います。
Posted by ブクログ
前著『教養としての社会保障』は、厚労省官僚として「社会保障・税の一体改革」をリードした著者が、「社会保障は経済成長のために不可欠」であるということを、
・経済成長のためにはイノベーションが必要
・しかし、イノベーションはむしろ失敗の方が多いのが現実
・そこで、社会保障はセーフティネットとして、失敗しても再チャレンジできる環境を整備することで、イノベーションのようなチャレンジを促進し、経済成長に貢献する
という論旨で主張した名著であり、個人的にも社会保障の意味合いを再考するきっかけとなった一冊であった。
厚労省を2017年に退官した著者による本作は、その主張をさらに推し進めている。具体的には、社会保障による低所得層への所得移転は消費需要の活性化をもたらし、経済成長の起爆剤となるというのが、本書での主張である。
また、本書では具体的な所得移転を考えたときに、企業、特に赤字によって所得税の支払いを猶予されている多くの中小企業の存在を問題視しており(このあたりは当然、デイヴィッド・アトキンソンの強い影響下にある)、全てに賛同するわけではないが、大企業・中小企業問わず、企業の社会的責任として投資や分配を今以上に義務付けべきである点には強く同意する。
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