原田康子のレビュー一覧

  • 海霧(上)

    購入済み

    大河小説の上巻

    大河小説の上巻で幕末から明治初期の時代を舞台としている。歴史上の有名人物を扱っているわけではなく、いわゆる庶民の歴史である。その分、とても身近に感じられる。人物の描き出し方 がくっきりとしていて皆とてもいきいきとしている。特に主人公夫婦には心惹かれるものがある。かなり以前に既になくなっている作家であるが、初めて読んで感銘を受けた。

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    2023年10月02日
  • 風の砦(下)

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    幕末の北海道(蝦夷地)に赴いた秋田藩の武士の物語。とても興味深く面白かった。この時代の北海道がどんな感じだったのかを初めて知った。もともとは蝦夷人(アイヌ)の住む世界だったわけで、そこへ和人がきて最終的にはアイヌの生活も文化も奪ってしまったのだなぁと思った。
    蝦夷人に対してひどい仕打ちをする者もいる中、主人公の香織や運平のような好意的な人物もいて。蝦夷人の子テケバセと良太郎、ショルラ、センケ、印象的な登場人物が多い。個人的には運平が一番男気があって魅力的だった。
    シセクがあのようになってしまったのは和人が蝦夷人の世界を壊してしまったからなのだろうな。

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    2016年03月16日
  • 輪唱

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    中学生時代、原田康子の世界に溺れた。早く大人になりたくて「挽歌」に出るくるような壊れた妻や壊していく少女に成りたくて、もの凄く憧れた。そのあと出会ったこの「輪唱」で、私は心底誰かに愛されたい、望まれたいと思った。あの妻もあの少女も、みんな愛されたかったのだと思った。お手伝いさんが下着のことを「したばき」というのが可笑しくて、「したばきかぁ」と笑ったのを覚えている。

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    2009年10月04日
  • 輪唱

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    言葉遣いが古いので所々読み難いが、情景などとても丁寧に書かれていてナレーションが流れるような感覚になる。
    三人姉妹の恋愛を軸に男性陣の恋愛も少し浮き彫りになり話の良いスパイスになっている。

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    2015年01月13日
  • 北国抄

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    随筆集。明治時代、原田家は当時、北海道の代表的な豪商であった。原田家の邸宅兼住居は「とんけし御殿」と呼ばれ、銅葺きの屋根にモザイクの床、欄間や襖等その豪華な作りは城のようであったといわれるが昭和恐慌の時代に当時の金額で3百数十万円の負債を抱え倒産してしまった。

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    2009年10月04日
  • 素直な容疑者

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    わたしが生まれる前の話だ。でもあまり古くささを感じさせない。人々がちょっとおっとりしてて古風かなと思えるところがあるけど。女中部屋のある庭付きの屋敷なんてものの様子が容易に想像つくなんて、しかもそれが生活の場として納得いくなんて私も変わった。自伝的「街の神秘と憂愁」の主人公の無茶をこの人もしてたのだろうか。女性らしい細やかさのある本だった。'92

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    2009年10月04日