イバン・レピラのレビュー一覧

  • 深い穴に落ちてしまった

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    痛み、怒り、革命の狼煙。
    抽象化・寓話化された物語が、美しい詩的な比喩表現で綴られる。傑作。

    兄弟はなぜ穴に落ちたのか?
    はじめに結んだ「約束」は、なにか?
    袋に入った「母さんの食いもの」が話題に上がらないのは、なぜか?
    ときどき覗きこむような人影の描写は、夢か現実か?

    ミステリー的な要素で、ずっと興味を惹かせる構造が上手い。
    そして、最終章での衝撃的な種明かし。

    愛とは、弱い者のために、自らの命をかけること。

    「悪童日記」「Dブリッジテープ」など、搾取され迫害される、名前もない子供たちの話が胸に刺さる。

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    2025年03月27日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    兄弟愛を感じさせられるシーンでは胸が熱くなりました。一つ一つの描写がとてもリアルで弟が狂っていく様子がすばらしかったです。
    自分の読解力が未熟で解けなかった謎もあるのでいつかまた挑戦したいです。

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    2018年11月24日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    東京創元社さんの校正課員さんが選んだズシンと響く本文200ページ以内セットに入っていた1冊
    落ちてしまったというか落とされてしまったというか...
    とりあえず読んでみるかとページを開いてみたら想像以上に描写がきつく驚いてしまった。
    考えさせられる一冊なのは確かなのだが、ここから何を読み取ろうかと言われるとまた話し辛い。とはいえ、知ることができて良かった一冊であることは確かだ。

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    2024年07月08日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    短編で面白く2時間程度で読めた
    かなり生々しく気持ち悪い描写が続くが、表紙のおかげで兄弟のことを角のある寓話的生き物として捉えられたのでよかった
    きもちわるさから出る幻想的な美しい文章もあってうっとりした
    このひもじさと発狂はなかなか他にない
    穴=きびしい現実、兄弟=人間のもつ性質として、現実から出るための蜂起の暗喩と読むこともできるが、そこは正直あまりわからず(なんで2人だけ?みたいな)、穴の中で描かれる景色に圧倒された

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    2024年07月07日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    兄と弟が深い穴に落ちてしまった。そこからどうしても外へ出られない。これは比喩なのか、ダークファンタジーなのか。重苦しい雰囲気のまま、二人だけで物語は進行する。不気味な余韻が残る大人の童話である。

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    2023年07月19日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    森の奥深くにある、深い穴に落ちてしまった兄弟。脱出方法を考えるも見つからない。食料は虫たち、飲料は泥水という環境の中でどうやって生き延びていくのか。絶望的な日々と、幻覚、幻想のようなものが広がったりと、狭い穴の中でさまざまな感情に出会う。どうやって脱出するのか、二人が選んだ道は。その先には何があるのか。ラストの余韻が読み終わった後も残り続ける。

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    2023年06月12日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    ネタバレ

    サッチャーとブレヒトの言葉で幕をあけカミュの言葉で閉じるこの物語は、暗黒時代に生きる人たちのための寓話、ということなんですが、2013年に書かれたものなんですよね。もう明るい時代なんてくるんですかね?

    とにかく真っ暗いお話です。兄弟ふたりが深い穴の中に落ちちゃって、そこで這いあがれずに木くずやイモ虫なんかを食べて過ごすんです。章立ては素数。散りばめられた暗号たち。そしてまさかの結末。す、救いがない……。

    ネタバレしちゃいますが、これは革命のお話ですね。深い穴ぼこをクルッとひっくり返さない限り俺たちに明日はない。しかし問題はこの「明日」ってなに? ってところ。なまじ明るい電気のもとで暮らしち

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    2021年09月27日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    読みやすいが寓話の意味をあれこれ考えてしまい、悶々となる。簡単に正解がわからないのが、本の醍醐味ともいえるから、これはこれで個人的には結構気に入っている。

    映画化が決まっているらしいことが書いてあったが、もうできたのだろうか?どちらかというと舞台向きの内容なようにも思えるこの作品が、映画でどう描かれているのか非常に興味がある。

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    2021年01月25日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    ネタバレ

    とても、怖い。怖い、怖いと呟きながらぐいぐい読まされてしまう。そして時々、抉られるようなフレーズに声も出せずに泣く。これだけ限定的な設定で極限の状態だけを丹念に描写していくのが凄いと思った。叩きのめされたけど、読んで良かった。多分時々思い出してしまう作品になると思う。

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    2020年03月27日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    うーん、難しい(苦笑)。
    寓話なので、何がしかの教訓めいたものを提示しているし、書かれている文章や内容はそれ程には難しくないのだけれど、それをどう受け止めていいのか混乱してしまう。
    兄と弟が穴に落ちて、虫や雨水で飢えや乾きを凌ぎながら数か月を共に生活する。
    その間に弟が錯乱状態になり、哲学的とも宗教的とも預言者的とも言えるような言葉を発する。
    最終的にどうなるかはネタばれになっちゃうので書かないけれど、いやはややはり読み手としては混乱する。
    穴そのものがピラミッドのような空洞になっているので、穴の底に落ちた二人は社会の底辺で苦しむ、といったヒエラルキー的な教訓ともとれる。
    事実、「上の連中には

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    2019年08月20日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    海外版の山椒魚?と思って購入しましたが、山椒魚とはまた違った暗澹とした物語でした。
    文章に仕掛けがあり、とても計算されて良く作り込んまれた作品だと思います。自分の能力では読み解けなかった部分も多いので、そこは自分に残念です。
    グロテスクな部分もありますが、個人的には嫌いではありません。自分にとって、時折ハッとするような美しい言葉回しや印象的なシーンがあります。
    先に太陽と痛みを読んでいたので、現代スペイン文学はこんなにもナイフの切っ先のような鋭さを持つのかと、偏見を持ってしまいそうです。

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    2018年07月26日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    ネタバレ

    久しぶりにすごい本にあたった感じ。

    深い穴に落ちてしまった2人の兄弟が
    力を合わせて地上に出るおとぎ話的な
    イメージで読み進めると、とんでもない。
    非常に生々しい描写で、ある意味
    非現実的な物語だった。

    文中には謎めいた部分や意味不明な表現が
    出てきて、なんなんだろう?と思っていたら
    あとがきで訳者が見解やヒントを載せていた。
    それを読んでもわからなかった部分は
    グーグル先生に聞いて答えを知ったりした。

    オチとしてはありがちな感じであったが、
    大人の寓話と謳われるだけあって、
    作品が描かれた時代背景に重ねると
    見えてくる裏のメッセージがあったりして
    凝った作品なのだな、と感じた。

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    2017年09月21日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    すごい本を読んでしまった。難しいことは語れないが、久々に読んでいて胸が苦しく、熱くなるような物語だった。読み終えた今、しばし放心状態である…。全くの予備知識なしに軽い気持ちで手に取ってしまったので、「ん?なんで穴に落ちたの?」など疑問を持ちつつもどんどん読むにつれ、瞬きの回数が減り、眼球が乾くほどに文章から目が離せないまま一気に最後まで読みきりました。この余韻、しばらく引きずりそうです。

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    2017年05月18日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    深く暗い寓話。読んでいくうちに読みとけてくる裏側に、思わずその都度調べたくなるのをこらえて物語にひたる。読み終えてから、調べて、考えて…この解釈であっているだろうか。

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    2017年05月02日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    20170425

    森の中のすり鉢状の深い穴に落ちてしまった兄と小さな弟。
    極限状態の中、気が狂ったように?変わってしまう弟と、弟への愛を抱えながら状況を解決しようとする兄。

    なんとも不安になる文章、深読みを誘う不気味な感じ。実際あとがきにも謎解きのヒントが書かれている。

    気持ち悪くなるし読みたくない、でも最後まで一気に読んでしまった。

    原作の国であるスペインの経済状況、社会情勢が背景にあるようだが、私はそこまで深く考えずにただただこの本の不気味さを気持ち悪いと思いながらもそれを超えた快感を味わいながら一気に読むのでもいいんじゃないかと思う。

    でも今余韻でなんとも言えないモヤモヤしてる

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    2017年04月26日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    眠くなるかなと思いましたが、短いのでサクサクと読めて、内容も楽しめました。解説まで読むといろいろな仕掛けがあるとか。暗喩に富んだ大人の寓話ですが、だから推理文庫なのかと納得。

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    2025年08月16日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    これは、難しい…気になる…気になるというのは、どうにもひっかかっていくというような
    「現代の星の王子さま」というキャッチコピーは、シチュエーションとしては似てるところもあるけど、もっと暗くて生々しい肉肉しさの印象が強くて、星の王子さまではないかな、と思う。現時点では。

    一周読んだだけで、生々しい爪痕を残していくような作品だった、私は十分気になる(面白い)作品だった。
    けど、どうやら様々な解釈があるらしい。普段はそういうの読まないけど、これは気になるので調べてみたい。そうしたらまた感想も変わるかもしれない。

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    2024年03月22日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    夢を持ち行動することを教えてくれる本。

    内容は暗い話ではあるが、謎がとても多い小説です。
    その為、一度では理解できない内容だと思います。自分の置かれている状況で感じ方も変わると思います。

    僕が感じたのは、組織にずっといることで、みんなと同じ考え方になる当たり前の怖さ。そして、組織から出るために勇気を出して行動することの大切さを学んだ気がします。

    ただし、謎が多い本なので、読み返す機会を持ちたいと思います。

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    2023年12月13日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    深い穴に落ちてしまった兄弟の話し。
    つ、つらい。
    どんどん病んでいく様が。
    精神削られる。
    結局なんだったのか、は読者に委ねられる系。
    『現代版星の王子さま』と書かれているけど、いやぁ・・・暗黒すぎでしょ。

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    2023年06月21日
  • 深い穴に落ちてしまった

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    兄弟が深い穴に落ちている。
    彼らはそこから脱出しようと、生き延びようともがく。

    言ってしまえばそれだけの話を、淡々とした筆致で描きます。不合理で危機的な状況をふたり協力して脱出する話かという予想は、序盤の方で霧散します。強圧的な兄、黙々と従う弟。見る見るうちに悪化していく状況、狂っていく弟。

    速やかな悪循環が、童話を語るような筆致でなめらかに描かれ、読む側までもが蟻地獄に引きずり込まれたかのようにただこの酷い顛末を追うばかりでした。

    そうして、ぱっとわかる真実と結果を残し、するりと物語は収束します。どこかあっけなく、軽やかに。幾重にもくるまれた寓意や仄めかしに明確な答えを導けないもどかし

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    2023年05月21日