【感想・ネタバレ】深い穴に落ちてしまったのレビュー

あらすじ

北には山脈が横たわり、海ほどもある湖をぐるりと囲んでいる森。そのまん中に穴がひとつ、口をあけている。ある日、大きな兄と小さな弟がその穴に落ちてしまった。深さおよそ7メートルの穴からどうしても出られず、何か月も木の根や虫を食べて極限状況を生きのびようとする。外界から遮断された世界で、弟は現実と怪奇と幻想が渾然一体となっためくるめく映像を見はじめる……。どうして兄弟の名前と年齢が明かされないのか。なぜ章番号が素数のみなのか。文章に織り交ぜられた不思議な暗号が示すものとは。著者によって綿密に構成され、さまざまな寓意に彩られた物語は、読後、驚愕とともに力強い感動をもたらす。暗黒時代を生きる大人のための寓話。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

兄弟愛を感じさせられるシーンでは胸が熱くなりました。一つ一つの描写がとてもリアルで弟が狂っていく様子がすばらしかったです。
自分の読解力が未熟で解けなかった謎もあるのでいつかまた挑戦したいです。

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2018年11月24日

Posted by ブクログ

兄と弟が深い穴に落ちてしまった。そこからどうしても外へ出られない。これは比喩なのか、ダークファンタジーなのか。重苦しい雰囲気のまま、二人だけで物語は進行する。不気味な余韻が残る大人の童話である。

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2023年07月19日

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ネタバレ

サッチャーとブレヒトの言葉で幕をあけカミュの言葉で閉じるこの物語は、暗黒時代に生きる人たちのための寓話、ということなんですが、2013年に書かれたものなんですよね。もう明るい時代なんてくるんですかね?

とにかく真っ暗いお話です。兄弟ふたりが深い穴の中に落ちちゃって、そこで這いあがれずに木くずやイモ虫なんかを食べて過ごすんです。章立ては素数。散りばめられた暗号たち。そしてまさかの結末。す、救いがない……。

ネタバレしちゃいますが、これは革命のお話ですね。深い穴ぼこをクルッとひっくり返さない限り俺たちに明日はない。しかし問題はこの「明日」ってなに? ってところ。なまじ明るい電気のもとで暮らしちゃってるから……。 

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2021年09月27日

Posted by ブクログ

読みやすいが寓話の意味をあれこれ考えてしまい、悶々となる。簡単に正解がわからないのが、本の醍醐味ともいえるから、これはこれで個人的には結構気に入っている。

映画化が決まっているらしいことが書いてあったが、もうできたのだろうか?どちらかというと舞台向きの内容なようにも思えるこの作品が、映画でどう描かれているのか非常に興味がある。

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2021年01月25日

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ネタバレ

とても、怖い。怖い、怖いと呟きながらぐいぐい読まされてしまう。そして時々、抉られるようなフレーズに声も出せずに泣く。これだけ限定的な設定で極限の状態だけを丹念に描写していくのが凄いと思った。叩きのめされたけど、読んで良かった。多分時々思い出してしまう作品になると思う。

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2020年03月27日

Posted by ブクログ

うーん、難しい(苦笑)。
寓話なので、何がしかの教訓めいたものを提示しているし、書かれている文章や内容はそれ程には難しくないのだけれど、それをどう受け止めていいのか混乱してしまう。
兄と弟が穴に落ちて、虫や雨水で飢えや乾きを凌ぎながら数か月を共に生活する。
その間に弟が錯乱状態になり、哲学的とも宗教的とも預言者的とも言えるような言葉を発する。
最終的にどうなるかはネタばれになっちゃうので書かないけれど、いやはややはり読み手としては混乱する。
穴そのものがピラミッドのような空洞になっているので、穴の底に落ちた二人は社会の底辺で苦しむ、といったヒエラルキー的な教訓ともとれる。
事実、「上の連中には権力があるんだよ」なんてセリフも出てくるし。
あるいは単純に復讐劇として捕えることも出来る(ネタばれになるので、詳しくは書かない)。
とにかく僕は読後に混乱してしまった。
うーん、どう受け止めればいいんだろう……。

読んでいる間は、かなり悲惨で少しグロい表現も出てくるのだけれど、ページをめくる手が止まらなかった。
面白いかつまらないか、で判断するのなら、これはかなり面白い作品。
まぁ、明るく爽やかな作品ではないですが。

それと作品内に暗号が隠されている。
頭の悪い僕は解けなかったのでググって答えを確認した。
その答えから察するに、社会情勢への不安、不満とそこからの脱却への激励、みたいなメッセージが作品に込められているのかな、と思った。
まぁ、どう受け取るかは人それぞれだし、僕みたいに混乱するのも、それはそれで一つの正解なのかも知れない。

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2019年08月20日

Posted by ブクログ

海外版の山椒魚?と思って購入しましたが、山椒魚とはまた違った暗澹とした物語でした。
文章に仕掛けがあり、とても計算されて良く作り込んまれた作品だと思います。自分の能力では読み解けなかった部分も多いので、そこは自分に残念です。
グロテスクな部分もありますが、個人的には嫌いではありません。自分にとって、時折ハッとするような美しい言葉回しや印象的なシーンがあります。
先に太陽と痛みを読んでいたので、現代スペイン文学はこんなにもナイフの切っ先のような鋭さを持つのかと、偏見を持ってしまいそうです。

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2018年07月26日

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ネタバレ

久しぶりにすごい本にあたった感じ。

深い穴に落ちてしまった2人の兄弟が
力を合わせて地上に出るおとぎ話的な
イメージで読み進めると、とんでもない。
非常に生々しい描写で、ある意味
非現実的な物語だった。

文中には謎めいた部分や意味不明な表現が
出てきて、なんなんだろう?と思っていたら
あとがきで訳者が見解やヒントを載せていた。
それを読んでもわからなかった部分は
グーグル先生に聞いて答えを知ったりした。

オチとしてはありがちな感じであったが、
大人の寓話と謳われるだけあって、
作品が描かれた時代背景に重ねると
見えてくる裏のメッセージがあったりして
凝った作品なのだな、と感じた。

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2017年09月21日

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すごい本を読んでしまった。難しいことは語れないが、久々に読んでいて胸が苦しく、熱くなるような物語だった。読み終えた今、しばし放心状態である…。全くの予備知識なしに軽い気持ちで手に取ってしまったので、「ん?なんで穴に落ちたの?」など疑問を持ちつつもどんどん読むにつれ、瞬きの回数が減り、眼球が乾くほどに文章から目が離せないまま一気に最後まで読みきりました。この余韻、しばらく引きずりそうです。

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2017年05月18日

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深く暗い寓話。読んでいくうちに読みとけてくる裏側に、思わずその都度調べたくなるのをこらえて物語にひたる。読み終えてから、調べて、考えて…この解釈であっているだろうか。

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2017年05月02日

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20170425

森の中のすり鉢状の深い穴に落ちてしまった兄と小さな弟。
極限状態の中、気が狂ったように?変わってしまう弟と、弟への愛を抱えながら状況を解決しようとする兄。

なんとも不安になる文章、深読みを誘う不気味な感じ。実際あとがきにも謎解きのヒントが書かれている。

気持ち悪くなるし読みたくない、でも最後まで一気に読んでしまった。

原作の国であるスペインの経済状況、社会情勢が背景にあるようだが、私はそこまで深く考えずにただただこの本の不気味さを気持ち悪いと思いながらもそれを超えた快感を味わいながら一気に読むのでもいいんじゃないかと思う。

でも今余韻でなんとも言えないモヤモヤしてるでも、スカッとしてるという妙な気持ちに陥っている。

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2017年04月26日

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夢を持ち行動することを教えてくれる本。

内容は暗い話ではあるが、謎がとても多い小説です。
その為、一度では理解できない内容だと思います。自分の置かれている状況で感じ方も変わると思います。

僕が感じたのは、組織にずっといることで、みんなと同じ考え方になる当たり前の怖さ。そして、組織から出るために勇気を出して行動することの大切さを学んだ気がします。

ただし、謎が多い本なので、読み返す機会を持ちたいと思います。

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2023年12月13日

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ネタバレ

映像でみるのは憚られそうな過酷な話だった。

これが権力者とそれに屈せざるを得ない弱者のいる現実世界を反映していると思うと、やるせない気持ちになる。

筋トレを続けたり、食糧分配比を決めた兄を思うと、当初から弟を助けるつもりだったんだなと思う。

負の感情をぶつけ合いながらも、お互いを想い合う姿に温かいものを感じたりもした。

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2022年05月24日

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ネタバレ

題名のとおり、深い穴の中に落ちてしまった兄弟のサバイバルな物語。
内容は暗く、緊迫していて、とにかく恐ろしいが、文体にはおとぎ話のような雰囲気があり二人の対照的なキャラクターも相まってどこか安心して読める余地もある。さまざまな寓意が巧みに組み合わされ、1回目ではよくわからなかったことが2回、3回と読むにつれわかるようになるのが面白い。
母親を権力者、兄弟を底辺にいる人を暗に示しているようで、暗号を解読してみるとどうやら政治的なメッセージが込められた作品のようだととれるが、それだけではない重厚さを感じられた。
良質な考察系インディゲームを楽しんだ後のような満足感。

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2021年09月14日

Posted by ブクログ

暗くて重い。なのに、割とすらすらと読めてしまう。
終盤に明かされる袋の意味にぞくりとしたものを感じた。母親も、なんかの例えなんだろうな。
あとがきで触れられていた暗号は、思っていたよりも直球なメッセージで、かつ、この本の最も伝えたかったことなんだろう。

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2020年06月13日

Posted by ブクログ

正直難解すぎた気がする。
これは日本語で読んでいるからこう感じるのか、それとも原書でもこの印象なのか。
なんとも形容しがたいジャンルである。
言いたいことはわかるような気もするし、
本当にこれで合っているのかと不安になる。
意図が汲み取れていなくても感じたままでいいと言われても、
本当にそれでいいのかなぁとおもってしまう。
せめて読んだ後に解説がついてたらいいのにと思ってしまうけれど、
それじゃあつまらないのかなぁ。
平和な日本で生活してる自分としては多分このヒエラルキーのようなものをありありと実感し理解することは難しいのだと思う。
でも、その平和ボケがいつ崩れ去るのかもわからないし、
こういう切り込むタイプのストーリーも時に読んで見て面白いなと感じた。

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2017年08月17日

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深い。大人の童話。何度も読んでその度に違う何かを感じられるであろう作品。今日の私はそのメッセージのほとんどを理解できていないのだろう。でも不思議な余韻に包まれて思慮を巡らす夜になりそう。また、何度も読み返したい。

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2017年02月11日

Posted by ブクログ

残念ながら私の好きなタイプの寓話ではありませんでした。読後感は、「星の王子さま」とはだいぶ違うものであった。理不尽、ひもじい、苦しい、つらい…。たまたま最近読んだ「年月日」「太陽と痛み」併せて、さしずめ”ひもじい寓話”3点セット。でも同じ時代に、中国とスペインでこのようなひもじい寓話が出てくるってことは、やはり世界の暗黒を暗示しているのだろうか。。。

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2017年02月07日

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