畠山健二のレビュー一覧
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今回は江戸の町を賑わすねずみ小僧、おけら長屋の住人がいつもお世話になっている治療院・聖庵堂の聖庵先生、以前世間知らずで大騒動を巻き起こした志摩屋のお嬢様・お静、とおけら長屋の周囲の人たちにスポットを当てた短編集だった。
ぶっきらぼうではあるけれど、患者をいつも温かく迎え見守ってくれる聖庵先生の切なすぎる過去に泣けた。
特筆すべきは、おけら長屋御用達の居酒屋の店員・お栄ちゃん。
「お染めさん、この二人(万松)を殴るなら、擂粉木を貸しましょうか」とアシストしたり、万松相手に堂々とぼったくったり、と笑わしてくれる。
これからもお栄ちゃんの万松に対する鋭いツッコミに期待したい。
そしてお吉婆さん -
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いやー、見直したよ万松コンビ。
なかなかやるじゃねぇか。
さすがは粋を大事にする江戸っ子だねぇ。
それでこそ男の中の男だよ。
お糸ちゃんの幸せを願う八五郎さんとお里さんの親心も、お糸ちゃんを可愛がり寄り添うおけら長屋のみんなの真心も、全てが良くて泣けた。
おけら長屋で育ったお糸ちゃんはどこへ行っても大丈夫。
おけら長屋のみんなはいつでも、変わらぬ場所で変わらぬ仲間でお糸ちゃんのことを想っている。
お糸ちゃんはお里さんから託された根付を眺める度に、おけら長屋の人情や優しさを思い出すのだろう。
それにしても、西方から江戸へ入ってきた流行病にはドキリとした。
風邪に似た症状で咳や高熱が続き年寄り -
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ネタバレシリーズ第5弾。
さすがはお節介と人情で知られたおけら長屋。
とうとう幽霊にまでお節介をやくなんて。
幽霊の話しに耳を傾け、なんとか成仏させたいと策を練る。
そろそろ成仏しな、と励ましながら幽霊に酒を次ぐ。
やっぱりいいな、おけら長屋。
そして今までで一番泣けたのは『わけあり』。
金貸しのお熊ばあさんが幼い頃から心の中にずっと抱えていた重い荷物。
最後に取り出すことができて本当に良かった。
人と人が繋がっていって、互いを思い合って生きていくことの大切さをお熊ばあさんから教わった。
やっぱりお熊ばあさんが大好きだ…もう最後は号泣。
「このおけら長屋で暮らしている人たちを見てみろ。貧乏人ばっかり -
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ネタバレシリーズ第4弾。
今回もおけら長屋の住人達のお節介にうるうるしっぱなし。
「楽しいよ、お節介って。やくのも、やかれるのも。だって、その人が好きってことだろ。嫌いな人にお節介なんてやかないからね。だから、あたしたちには、好きな人がいっぱいいるってことさ」
いいなー。
こんなセリフを当たり前のようにサラッと言って、それを優しい顔してみんなが見つめてくれて。
これだからおけら長屋が時々恋しくなって読みたくなる。
今回の5編全てが優しさに溢れていて、何度も涙ぐんだ。
特にお糸ちゃんの恋を応援する『あかいと』、元女スリのその後を描いた『すりきず』、松吉の仔猫騒動を描いた『あやかり』が良かった。
私も -
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ネタバレシリーズ第3弾。
お節介と人情で名高い「おけら長屋」。
今回も長屋のみんなの仲の良さにほっこりした。
いつも長屋に騒動を持ち込む万造・松吉コンビ。
けれど『ふろしき』の万松コンビは見直した。
久蔵・お梅夫婦に生まれた亀吉の誕生祝いとして持ってきた味のある平仮名の手紙。
色も柄も違う端切れを持ち寄り、縫い合わせて作った愛情たっぷりの亀吉専用の布団。
相変わらず泣かせるじゃあないか。
そして、家族のため出世しようと仕事に打ち込む久蔵に向かって「お梅ちゃんと亀吉の側にいてやれ」と優しく諭す万造には感動。
万松コンビも成長したな、と感心しきりの回だった。
『てておや』のお満。
聖庵先生の弟子として初 -
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ネタバレシリーズ第2弾。
今回も、おけら長屋の禍の元・万松コンビや何かと気が利くおかみさん達、用心棒兼相談役の鉄斎さん等、おけら長屋の住人達の間で起こる騒動に笑ったりほっこりしたり。
住人達のバツグンの連携プレーには感心しきり。
せっかちでお節介の江戸っ子達は、頼まれてもいないのに、それが仲間のためとあれば後先考えずにやっちまう。
見返りなんて考えない。
だって"当たり前"のことだから。
特に『まよいご』はみんなの優しさに泣けた。
おけら長屋の何がいいって、住人達の距離感が絶妙。
心に垣根がなく、上っ面な世辞も言わない。
けれど小さな見栄や意地を張ることも時にある。
それは互いを