矢野利裕のレビュー一覧
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●「文学」について考えるために「国語」と向き合い、「国語にとって文学とはなにか」あるいは「文学にとって国語とはなにか」という問いを通して、「文学/国語」のありかたを再設定しようと試みた本。
●その結論の一つとして、「『文学』とは、文字を通じて再獲得された《私》たちが互いにコミュニケーションをする場所である」ということを著者は導き出した。ただ、これは本書でも語られた国語の授業風景が多分に含まれたがゆえの結論だと感じた。物語の共同性という視点には同意できるが、文学というものは「《私》たちが互いにコミュニケーションの場所」というよりは、やはり個人的な営みと考える人の方が大勢ではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
それなりの期間を生きてきた人は、自分というものを持っている。著者もそうなのだが、彼は批評家という立場でもあるのであって、そういう意味では感覚を言葉にする技術にはたけている。そんな彼が教師という立場から、学校というものを批評する。教育論、というのとは違う気がする。いろいろと語られているが、おもしろいのは、そこにいる人たちについての描写だ。
この本の中で試みられているのは、人や出来事と接したときに、著者自身が受けた印象や感覚といったものを、自分の考え方や知識といったものをもとに批評しつつ、なにかを受け入れたり発見したりするという工程だ。それは未知の体験、カオスであったものを丁寧に受け入れて分析することによって、自分の言葉で表現するという作業だと思う。
本になるようなクオリティになっているのは、彼が批評家という職業でもあるからなのだが、我々素人も自分の感覚を掘り下げて言葉にしてみるのは大切なことだと思う。
冒頭で述べられている「自分が生きられる場所についてしっかりと足もとから考えながら、少しずつ言葉を練り上げていくことが、まずは批評の条件ではないか。だとすれば、批評の言葉とは自分が生きられる空間の感触とともになければ嘘ではないか」。これは著者が批評家だからこういう言い方になるのだが、人は、それぞれ自分の生きる現実に対して、マインドフルネスに接して解像度を上げていく必要がある。そうすることによってはじめて見えてくるものというのがあると思う。 -
Posted by ブクログ
面白いタイトル。紹介されていて購入。
現在の勤務校で働いて一年目、大地讃頌の歌の練習で「君たちの歌声は全然大地に根差していない!」と言った台詞に対し、このように述べる。
「自分が生徒だったらムカつくかもなと思いながらも、1年目の新米教員としては『よくこんな言葉がスラスラと出てくるなあ。しかも、講堂に響き渡る大声で』と、感心せざるをえなかった。
こういう言葉を聞くと、教員としての身体を獲得している人だな、と思う。このような教員的身体に対しては、どこか嘘くささを感じて反発する人もいると想像するが(僕も学生時代はそうだった)、一方で、こういう大仰な身体性こそがある種の信頼を育んだりすることもあるから、一概に評価は難しい」
真正面から受け止めていいのか、やや斜めな感じもするのだけど、個人的にはよく分かる。
ずっと生徒の側でいたわけなのに、先生はいつ、先生っぽさを獲得するんだろう。
そして、ぽさがある種の信頼と結び付く人と、ぽさはあるのに見透かされる人の違いはなんなんだろう……。 -
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章 ジャニーズとはなにか
第2章 ジャニーズ結成~初代ジャニーズ、フォーリーブス
第3章 郷ひろみからディスコへ~郷ひろみ、田原俊彦、少年隊
第4章 それぞれのアメリカ~冬の時代、近藤真彦、ザ・グッバイ
第5章 80年代とジャパニズム~シブがき隊、光GENJI、忍者、関ジャニ∞
第6章 SMAPが開拓した道~SMAP、TOKIO、V6、Kinki Kids
第7章 ジャニーズがもたらしたもの~嵐、次世代、そして再びSMAP
おわりに
<内容>
ジャニーズ事務所のアイドルの歴史を追いかけながら、日本の音楽の歴史を語るもの。社会学書というよりも音楽書のような分析をしている(著者の略歴にも”DJ"という仕事が書かれている)。ただ、ジャニー喜多川が移民2世で、日本に「民主主義」を持ち込んだ(例えば、ジャニーズのアイドルは顔よりも”個性”が重視されているなど)とし、一方で途中までは「自我」が目覚めないうちが、「アイドル」だという話もある(「自我」が目覚めるとジャニーズ事務所を辞めたりする)。音楽的にも、局のコンセプトなども分析されていて、それなりに面白い。このタイミングで出版されている、他の「SMAP」本がどんな内容かはわからないが、この本は「SMAP」解散騒動の前から執筆されていたようなので、それを抑えた形で書かれている。