柳宗悦のレビュー一覧
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柳宗悦による民藝案内書。
手仕事で作られたものは、それが手仕事であるがゆえに美しい。実用のために作られたからこそ、そして使い込まれたからこその美しさは、まさに柳の言う「健康な美しさ」なのだろう。
「品物の良し悪しを定める標準は、それがどれだけ健やかな心と体との持主であるかを見ればよいわけであります。」(pp.263,ll.2-3)
そのような点で、品物も人間も同様だとの観点は、するりと自分の中に入って行った。審美眼なるものを持たない自分にもわかりやすく、まさに案内書。
芹沢銈介の小間絵も楽しい。惜しむらくは、本文に該当するところに絵が入っていないことか。敢えてなのだろうが、読者の視点も忘れない -
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『民藝とは何か』、『日本民藝館について』、『民藝の性質』いずれも似たようなことを言っていると感じた(おそらく多くの人が同意してくれると思う)。
だから、読み進むうちにだんだんと読むスピードが増していった。
そして、はたと立ち止まって、「これってホントに読書なのかな。やっていることは速読と似たようなもんで、いつの間にか『早く読み終わらせる』ことそれ自体が目的になってないかな。俺はそんな読書がしたいわけじゃない。」と思った。
しかし、その一方で速く読むことそれ自体はそれほど非難されるべきものでもないという考えもある。
高橋源一郎は「『明治の文章』は明治人の音読の速度で読まないと味わえないのでは -
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地方の伝統工芸を覚えることとか、そんなに興味ないし、
図版も、写真ではないので、明確なイメージもしにくい。
けど。。
この文章の中に身を浸らせると、「地方の工芸の正直な美」に包まれているような、
「ほんとうのほんとうに美しいものが好き」という熱くも柔らかな男気のようなものに包まれているような、
そんな感じがして、とっても気持ちがよく、
私にとっては一種のヒーリングです。
読んでいるうちに、自分の五感が豊かに研ぎ澄まされていく感じがします。
そして、「ほんとうに美しいもの」に、見たり触ったりしたいな、って思います。自分の五感が「ほんとうに」満足するように、誠実に丁寧に、工芸や身の回りのものを -
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ネタバレ柳宗理のお父さんの柳壮悦。民藝運動を興した人。駒場にある日本民藝館はこの人の活動の中心地。
フォークアートとアートというふうに二つに分かれちゃって美はアートの方にあるってことになってるけど本当?みたいな話がずっと繰り返される。いろいろなところに書いてある文書をとりあえずまとめて本にした感じなので繰り返しだらけなんだけどおもしろい。
無名性
シンプリシティ
廉価性
生活への密着
ローカリティ
みたいなのがカギだと。そして、美しさの本質になってるのは絵師が、大量に同じものを生産する中でのディシプリンによって生まれるのではないか?みたいなこと。同じ絵を大量に書くことでその絵の本質に達するみたいな -
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民芸運動の創始者として知られる柳宗悦が、日本全国を歩いて見いだした民芸品を紹介している。
柳の民芸論は、彼の民芸運動と一体のものだった。本書の「解説」でも触れられているが、1940年におこなわれた柳田国男との対談の中で、事実を正確に報告することが民俗学の責務だという柳田の主張に対して、あるべき民芸の姿を積極的に提示し、それを推し進めてゆかなければならないと柳は主張した。こうした彼の姿勢は本書の中でもはっきりと示されている。彼は各地の民芸品が俗に流れてしまったことを嘆くとともに、確かな手仕事だけに現われる「健康の美」を取り戻すべきだという主張をくり返している。
本書の中心は各地の民芸品を紹介