【感想・ネタバレ】手仕事の日本のレビュー

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Posted by ブクログ

大切な点として最後までに挙がった三つ、職人の功績、実用と美、健康の美、は手仕事に限らない。
実用と美、健康の美、ふたつの表現の違いを噛みしめる。
地図や索引もありがたい。

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2024年04月15日

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一緒に全国行脚して色んな工藝を巡ってる気分を味わえて、めちゃ楽しかった〜!烏山が美しい馬具を作るところだったなんて知らんかったぞ?今となっては検索しても出てこいものもけっこうあった一方、ちゃんと残ってるものが多数あって希望を感じた!

実用品の美しさとは何か。それは実際の生活での使用に耐えうる丈夫さや使いやすさをともなった「健康な美」。健康な美こそ一番美しい!なぜなら、背後に自然の法則が働いているから。法則に従順である、この「他力の美しさ」は人間の視点からすると「不自由」「束縛」という嘆きとも捉えられるが、自然の視点からすると一番当然な道を歩くということ。むしろ「他力に任せ切るとき、新たな自由の中に入る」。

芸術品と異なり、工藝品は作った人の名を記したものはない。職人たちは、名で残ろうとするのではなく品物で勝負している。たとえ作った人が学のない無名な人で、作るものが普通であったとしても、大きな伝統の力に支えられているということを忘れず、名もないものの美しさこそもっと評価すべきではないか。

伝統を尊ぶということは、ただ昔を繰り返すということではない。伝統は活きたものであって、そこに創造と発展がなければならない。伝統を尊ぶということはむしろ連なってきた樹木の根をを更に育てて名木にするためである。

もしも我々の生活が醜いもので囲まれているなら、その暮らしは程度の低いものに落ちてしまう。一国の文化はその国民の日々の暮らしに最もよく反映される。生活を深いものにするためには、どうしてもそれは美しさと結ばれねばならない。生活の中に交えることでかえって美が深まり、確実なものになる。それこそが実用の美、健康の美。

「我々は日本の固有のものをもっと尊ぶべきだが、それは他の国のものを謗るとか侮るとかいう意味を伴ってはならない。真に国民的な郷土的な性質を持つものは、お互いに形こそ違え、その内側には一つ触れ合うものがあり、お互いに近い兄弟ともいえる。世界は一つに結ばれているものだということを、かえって固有のものから学ぶ。」

柳さんも朝鮮の文化に触れて、かえって日本のさまざまな美、民衆が創造主体の美が見えてきたということで、外に触れて内を知るというのはどの時代にもあるんだな〜と感じた!いつか日本の手仕事令和ver.を刊行したいと思いました。

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2024年03月14日

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 昭和15年ごろの日本列島の手仕事を紀行する。現在で言えば地域特産品である。日本の民芸品が紹介されることで、当時の手仕事の結実がわかる。機械は世界のものを共通にしてしまう。それは、粗末なものになりがちだという。手仕事にこそ個性が宿る。ドキュメンタリーのような手法で、日本の手仕事を紹介する。手によって生まれた日本人の暮らしに欠かせなかった生活道具の紹介。その見る目が民藝運動の創始者の視点が浮かび上がる。日本にこれだけの民芸品ができていることに、感動さえ覚える。日本は、素晴らしい手仕事の国つまり手の国という。
 上手、下手、手堅い、手並みがよい、手柄を立てる、手本にする、手腕、読み手、書き手、聞き手、と手に関する言葉が多い。手がものを作らせたり、働きに悦びを与えたり、道徳を守らせたりする。日本にさまざまな品物ができるのは、自然、紀行風土であり、人間が開発した努力の跡としての歴史であり、自然と人間との交わりから生み出されてきた。品物を作ることは、自然の恵みを記録しているようなものである。伝統とは長い時代を通し、祖先たちが、さまざまな経験によって積み重ねてきたもの。そこには思想もあり、風習もあり、知恵もあり、技術もあり、言語もある。
手仕事の世界は人間の自由が保たれ、責任の道徳がよく働いている。柳宗悦は、正直な品物を褒める。
 著者は、美しいとは、健康でなければならないという。美しいの中に、健康という概念を持ち込むことが素晴らしい。今まで、そのような健康と病気という視点で見たことはなかった。
柳宗悦はいう。「私たちは健康な文化を築かねばなりません。日本を健康な国にせねばなりません。それには国民の生活を健全にさせるような器物を産み育て、かかるものを日々用いるようにせねばなりません」表現は、戦争時代を迎えて、検閲に注意したとしても、いい言葉である。
 その美しく健康な地域固有な品物が、手によって作られることで、心でつくり、心で受け入れられるのだという。
 焼物、染物、織物、金物、塗り物、木や竹や皮や紙の細工、玩具をめぐる。
関東から始まり、江戸文化、そして江戸風な気質を見出そうとする。上野近くの田村屋のキセル、十三屋の櫛、道明の組紐。襟円の半襟。阿波屋の下駄。さるやの楊枝。榛原の和紙。永徳斎の人形。なごやの金物。平安堂の筆墨。と上げていく。ふーむ。まさに文化が手仕事で結実している。この中で残っているのは、どれくらいあるのだろうか。昭和15年頃なので、80年前のことだ。
こうやって、日本列島を北海道を除いて、東北、関東、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州を駆け巡る。美への基準としたたかな目で探り当てていく。
機械で盛んに作られている品物に対して、惜しいかな、どこまでも営利の目的を外れないので、だんだん粗末になり、どう手を省くかについて知恵を働かしていることに嘆く。一方で、手でつむぎ、染めも正藍を用い、昔風の手機で織っている。このやり方が織物のよさをよく知り、道を守って仕事を崩さないという。そして、装飾めいたものに対しては、批判をする。もっとシンプルに生活に合うものを求める。その姿勢が、なんとも言えないなぁ。
ここで、上げていったらきりがないのでやめるが、その評価については、なるほどと思わせるものがある。柳宗悦が、今の時代に生きていたら、絶望を感じるかもしれない。時代は大きく変わり、職人は、どんどんと消え去り、長年の修行によって達成される手業が生み出されない日本が生まれているような気がする。日本の原風景が見えて、楽しい。しかし、語り口が実に爽やかなのに驚く。

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2022年05月18日

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20220206008
生活の中から生まれる美、生活を彩る美。
80年前の著述だが、現在残っているものがどれほどあるのか。無くしたものを取り戻す難しさも知ることができる。

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2022年02月06日

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昭和17〜18年ごろに書かれた本。
民藝の美しさ、クオリティを手仕事に求め、商業主義との距離感がある方がいい伝統が守られるというスタンスに貫かれているように見える。
これを読むと、人の仕事というのは結局機械との競争を続けている産業革命以降の歴史ということが分かる。今の時代、AIやロボットに置き換わることで、果たして仕事の「美しさ」は失われるのだろうか? 我らサラリーマンに仕事上の「美しさ」は求められていないのかもしれないけど。

それでも、シンプルな生き方、歴史を受け継ぎ発展させようという姿勢、健康であること、など著者のメッセージは今の時代でも刺さると思う。

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2020年11月26日

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解説の言葉に、心が痛みます。

「『手仕事の日本』はまだ手仕事が各地方の生活の中でいきいきと働いていた昭和十年代の姿を、これからの日本を背負って立つ若者たちのために書き残す仕事であった。結果としては、滅びていった手仕事の遺書となってしまった。」


今では見る事が出来ない、すばらしい日本の姿があります。
「良い仕事をする」ではなく「悪い仕事を知らない」と表現する、
この本の日本語も、美しいです。
美しい世界を堪能できるすばらしい本です♪

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2010年08月02日

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紙上の日本民藝紀行。各地で伝統に忠実に民藝品を制作し、自らの名を遺すことを望まず静かにこの世を去っていった無数の職人達への、畏敬の念が込められています。

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2022年08月20日

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無名の職人たちが作った民藝品は実用に耐えるからこそ健康的な美しさを持つ。そして柳宗悦が起こした民藝運動は、民藝という新しい美の標準を蒐集して展示し、その美の性質を理論化して啓蒙し、民藝の美に即した新しい器物を生産して世に普及させることだった。

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2021年03月03日

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どうして彼らにそんな力があるのか、どうして実用品に美しさが約束されるのか、否、用途に交わってこそ現れてくる美しさがある、そしてどうして尊ぶべき美しさなのか
結局は健全な美しさなるが故だという事実、健康なものが一番本当の美であるという心理

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2018年08月10日

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日本の手仕事、民芸の日用品の持つ美を紹介した本。日本中(北海道を除く)の手仕事を20年もかけて実際に観て回り、紹介している。ちょうど「日本民藝館創設80周年記念 民藝の日本 ~柳宗悦と『手仕事の日本」を旅する~」が開催されていたため、本書で紹介されているモノをたくさん実際に見ることが出来た。
挿絵も素晴らしいのだが、それでも紹介されているモノらが多く馴染もないことから、イメージが文章からだけでは理解しにくい点は残念。今回は展示会を観に行けたため実物を見て初めて理解したりもした。逆に元々知っていたものは、とても共感して読めた。自分の想像力不足によるものだが、やはり実際に観られるかどうかの影響は大きいと思う。特に、ダメなもの、ダメになったものが多く挙げられているが、その点が文章からは理解できない。
しかし記録・紹介しておかなければ失われてしまい、伝えることのできなくなるものを記録して残そうとしている点は非常に評価できる。また芸術的でない実用品の美、用の美に気づき紹介している点も素晴らしいと思う。

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2018年03月07日

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実用的なものは、なぜ美しいのか。それは、実用的なものは健康的であり、健康的であるということは一番自然で、素直で、正常な状態であり、そのようなものに人は美しさを感じるからである。

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2017年01月12日

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民藝が失われることはそれを使っていた生活(伝統)と、社会関係、それを生み出し使ってきた美意識、そして風土への感性を失うことだ。僕たちの課題は、民藝を芸術として鑑賞するのではなく、民藝を生み出した生活を学ぶことだ。そして新たな民藝を創り出すことであり、今ある民藝を支えることである。

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2013年03月22日

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昭和17年12月~18年1月に書かれた。
柳は手仕事の現状を示し、将来に向かっていかに発展させるか、という課題をもって書いた書物であるにもかかわらず、戦争、戦後の混乱、さらに近年の高度成長に伴う社会の変貌はまた別の意義をこの書物に荷わせた(解説より)。

各県の手仕事が示される。
真っ先に三重県をチェックして、お、四日市!と見てみたら、
「四日市は有名な『万古焼』の土地ですが、この焼物には不幸にも見るべき品がほとんどなくなってしまいましたから、通り過ぎることと致しましょう。今も沢山作りはしますが、いやらしいものが余りにも多いのであります。」
ですと。
いきなりのけぞってしまった。

素晴らしいものは心から賞賛し、良くないものには手厳しい。
それは確かな審美眼ゆえ。
伝統に培われた美しい手仕事が人間にとってどれだけ大事なものであるかを伝える。

「機械は世界のものを共通にしてしまう傾きがあります。それに残念なことに、機械はとかく利得のために用いられるので、出来る品物が粗末になりがちであります。それに人間が機械に使われてしまうためか、働く人からとかく悦びを奪ってしまいます。こういうことが禍いして、機械製品には良いものが少なくなってきました。」

柳さんがiPhoneを見たら何て言うかな。使ってたかな。
まぁiPhoneはモノを生み出す機械ではないからちょっと違うか。

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2012年09月29日

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1946年(昭和21年)?
民芸運動の提唱者・柳宗悦による、若年者のための民芸解説書。日本各地の手仕事(染物、陶器、文具、家具、衣服、郷土玩具など民衆の生活に密着したもの)が紹介されている。写真が添えられていないため文章から実物を思い描くのが難しいのが難点だが、芹沢銈介による小間絵がその欠点を補っている。また、柳の持論である「職人の功績」「用の美」「健康の美」等の概念も簡潔に説明されていて興味深い。「モノづくりの国・日本」の原点に回帰させてくれるような書物である。若年者向けということで極めて平易な文章で書かれているので、民芸入門として適していると思われる。

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2012年09月16日

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60年も前に書かれた本著は、民芸品・工芸品の挿絵を添えながら、職人さんの功績、実用美、健康美など、日本のモノづくりの良さを現代に伝えてくれます。

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2012年05月04日

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柳宗悦による民藝案内書。
手仕事で作られたものは、それが手仕事であるがゆえに美しい。実用のために作られたからこそ、そして使い込まれたからこその美しさは、まさに柳の言う「健康な美しさ」なのだろう。
「品物の良し悪しを定める標準は、それがどれだけ健やかな心と体との持主であるかを見ればよいわけであります。」(pp.263,ll.2-3)
そのような点で、品物も人間も同様だとの観点は、するりと自分の中に入って行った。審美眼なるものを持たない自分にもわかりやすく、まさに案内書。
芹沢銈介の小間絵も楽しい。惜しむらくは、本文に該当するところに絵が入っていないことか。敢えてなのだろうが、読者の視点も忘れない構成にしてほしかった。

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2011年02月05日

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地方の伝統工芸を覚えることとか、そんなに興味ないし、
図版も、写真ではないので、明確なイメージもしにくい。

けど。。
この文章の中に身を浸らせると、「地方の工芸の正直な美」に包まれているような、
「ほんとうのほんとうに美しいものが好き」という熱くも柔らかな男気のようなものに包まれているような、
んな感じがして、とっても気持ちがよく、
私にとっては一種のヒーリングです。
読んでいるうちに、自分の五感が豊かに研ぎ澄まされていく感じがします。

そして、「ほんとうに美しいもの」に、見たり触ったりしたいな、って思います。自分の五感が「ほんとうに」満足するように、誠実に丁寧に、工芸や身の回りのものを選んで、贅沢ではない豊かな、美意識を持って、生活を楽しみたいと思ったりします。

ほんとうに良い身の回りのものを選ぶことが、自分を大切にするってことに繋がるような気がする。

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2009年11月26日

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民芸運動の創始者として知られる柳宗悦が、日本全国を歩いて見いだした民芸品を紹介している。

柳の民芸論は、彼の民芸運動と一体のものだった。本書の「解説」でも触れられているが、1940年におこなわれた柳田国男との対談の中で、事実を正確に報告することが民俗学の責務だという柳田の主張に対して、あるべき民芸の姿を積極的に提示し、それを推し進めてゆかなければならないと柳は主張した。こうした彼の姿勢は本書の中でもはっきりと示されている。彼は各地の民芸品が俗に流れてしまったことを嘆くとともに、確かな手仕事だけに現われる「健康の美」を取り戻すべきだという主張をくり返している。

本書の中心は各地の民芸品を紹介した第2章だが、第3章には柳の思想がコンパクトにまとめられており、柳の民芸論へのかっこうの手引きとなっている。職人たちが作った民芸品は、いわゆる「美術作品」とは違い、作者個人の名が記されていない。それらの品物は、作者の名を知らしめるために作られたのではなく、実用を旨として作られたのである。柳の功績は、こうした民芸品がもつ「美」を見いだしたことだと言ってよいだろう。

実用品は美術作品と比べて価値の低いものとみなされがちだ。ところが、それらの品物がもつ健康美が私たちの生活の中から失われてゆくにつれて、私たちの心はしだいにすさみ、日々の生活は潤いのないものに陥ってしまう。柳は、美術作品にそなわっているような「鑑賞」される「美」とは異なる、私たちの日々の暮らしを深いものにする「美」を見いだし、その価値を称揚したのである。

芹沢銈介の手になる挿絵も味わい深い。

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2011年12月29日

Posted by ブクログ

通して読むのもいいのだけど、なんとなく適当にパラパラめくって気になった章を気になったとき読むのも楽しい。
絵を見ているだけでもいいですね。

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2010年02月22日

Posted by ブクログ

2008/9
民藝運動の中心である著者が、全国各地に残った、まさに民藝といえるものを紹介している一冊。戦前にかかれたものながら、今でもまだ伝統工芸といきづいているものもあり、これからも残していきたいものも多数紹介されている。デザインなどを志している人には一度読んでおくことを強くおすすめする。

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2009年10月04日

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