八木敏雄のレビュー一覧

  • 白鯨 下

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    自らの教養の無さ・理解力の欠如に起因するこの豊饒な作品への理解不足によって★を一つ下げただけで、この作品には★を幾つ付けても足りない。
    単にストーリーを語って読ませる今時の小説ではなく、ヨーロッパ文化が多面的に発現した学術書として真摯に対峙すべきだと思う。
    物語を紡いでいる気は作者自身も毛頭ないだろうことは、唐突かつ延々と続く「鯨学」の披露でも明らか。
    鯨を人間の業の象徴と見立てた様々な角度からの「文明」考察と見るのが正解だろう。
    しかしこの作品がヨーロッパではないヨーロッパ系の国アメリカから生み出されたことは奇跡なんだろうな。

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    2013年02月01日
  • 白鯨 中

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    これはやはり現代人が思い浮かべる「小説」ではないな。
    小説でもあり、詩でもあり、ルポタージュでもあり、哲学書でもあり、、、
    様々な知識・教養を背景に圧倒してくる、こちらのあまりの教養の無さに怯えてる始末というのが本当のところ。
    なお上巻でもそうだったが、挿絵もなかなかgood。

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    2013年03月03日
  • 白鯨 上

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    言わずと知れた世界文学史上に残る名作、その新訳。

    いやはや、面白いです。上巻は語り部・イシュメールの自己紹介に始まり白鯨・モービィ・ディックについての叙述で終わる、いわば導入編ですが一気に読み進めてしまいました。

    とにかく登場人物がいい。主人公、というよりもどこまでも諦観的な語り部であるイシュメール、その親友となる「高貴なる野蛮人」クィークエグ、そして何より狂熱と知性を併せ持つ復讐の鬼・エイハブ。衒学的、かつ時に冗長ですらある語り口が、かえって彼らの個性を際立たせています。「主要登場人物」に記載された以外の人物――元船乗りのマップル牧師、不吉な預言を残す謎めいた男・エライジャなどなど、彼らも出番は少ないながら鮮烈な印象を残します。

    先に述べたように物語としては完全に導入部、それでありながら一気に読み進めることが出来るのは文章の力ゆえでしょう。戯曲のように記された章があるなど、文体の工夫という意味でも興味深いです。

    新訳ということもあり非常に読みやすい。様々な研究を踏まえた注釈も充実しており、快適に読み進めることが出来ます。お勧めです。

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    2013年01月13日
  • 白鯨 上

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    広い大洋で繰り広げられる、伝説的な白い巨鯨モービィ・ディックとそれを討ち取ろうとする古参の船長との闘い。 上巻では主に船出部分が描かれてます。

    読んでて何となく思ったんですが、ジョジョを描いている荒木飛呂彦氏に漫画化してほしい。 海の荒々しさと、その中で命を滾らせて生きている船乗りたちが紡ぐ賛歌には彼の画が一番あってると思います。 まぁ、忙しくてできないでしょうけどね。

    ちなみに、ストーリーは面白いと思うんだけど、所々に描かれている鯨学の話はあんまりいらんなぁ。

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    2012年06月12日
  • 白鯨 下

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    傑作、というよりは力作、大作の部類。
    直すべき点がどこにもない完璧な作品ではなく、そんな点は数え切れないほどあるがそんなことはどうでもよくなる作品。

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    2011年11月05日
  • 白鯨 中

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    鯨を仕留め、解体しながら鯨の体の解剖学的知識や鯨の生態まで鯨学が述べられる。
    鯨には顔がないためまるで無貌の神のようだ。西洋人は鯨油と鯨骨だけ取り肉は鮫にくれてやっていたらしい。もったいない話だ。

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    2011年04月16日
  • 白鯨 下

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    1000頁を超える大作だが、主役のモビー・ディックが登場するのはラスト70頁のみ。しかもモビー・ディックの完勝。エイハブ船長もさぞ悔しかろう、と思いきや、晴々とした感じで呆気なく退場。

    普通の小説ではない。この小説が強烈な印象を残す理由のひとつは、話の筋とはほとんど関係のない、鯨学・鯨愛に案する記述の圧倒的な量。もうひとつは、棺桶が救命ブイの役割を果たす、という、人間世界を(?)象徴するような逆説的な設定だろうか。
    この設定は、この小説の構想の初期段階からあったのだろうな、と思うくらいに筋書きにしっかり組み込まれている。

    船内備え付けの救命ブイが破損してしまったため、本来死者のための棺桶(クイークェグが死にかけた際に船内大工に頼み込んで作ってもらったものの、回復して余ったもの。船内で人が亡くなった際は、棺桶に入れずに海葬するのが普通のよう)が、隙間を埋める作業を追加で施して救命ブイに作り替えられる。船が沈没した際に、このブイが浮かび上がってきて、イシュメールは命を得る。この展開には、何かしら天啓的なものを感じずにはいられなかった。

    これで、モーム選十大小説も未読は残り一作品となった。(フローベールの「ボヴァリー夫人」)

    本作「白鯨」はアメリカ作品で唯一の選だが(英4、仏3、露2、米1)、アメリカ人的には納得感があるのかよく分からない。おそらく、これよりよい作品・人気がある作品は山とあるのだろうけれど、独特の存在感を持って屹立する作品、という感じで選ばれたのだろうか。モームの選評の本(エッセイ)はまだ読んでいないので想像だが。

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    2026年10月03日
  • 白鯨 中

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    上巻は出航まで。中巻では未だモビー・ディックに遭遇せず。大半は鯨に関する論文とエピソードで、物語は殆ど進展せず。これは「小説」というよりは「鯨の本」としか言いようがない。

    冒頭の主要登場人物の欄には、以下の説明があるが、イシュメールは捕鯨船初乗船の設定なので、鯨について語り続ける主体は、メルヴィル自身としか言いようがない。この視点が揺れ動く点からも「小説」っぽくはない。が、そんなことはどうでも良いくらい独特の本。

    “イシュメール
    物語冒頭に語り手として登場するが、「第一人称の語り手」の分限を遵守するのは第二二章まで。あとはピークオッド号での役割を最小限度に果たしながら、船上の出来事や洋上の冒険を「参加者」の視点から、また「全知全能者」の視点から語る。”

    最後の方で、アメリカ捕鯨協会が作成した制度として、次のシンプルな2箇条が登場する。

    一、しとめ鯨は、しとめた者に属する。
    二、はなれ鯨は、だれにせよ最初にしとめた者に属する。

    具体的な判例も出てきて、面白い。
    見つけた鯨に船Aが最初に銛を打ち込んだものの、鯨に潜られて、ボートごと沈められたあと、弱った鯨を別の船Bが仕留めた場合、ボートはAに、鯨と刺さったままのAの銛はBに属する、という判決。

    コロンブスのアメリカ大陸“発見”もこの原則の変形版として語ってあり、アメリカ人の世界観を象徴しているなあ、と感心した。

    マッコウクジラの巨大な頭は、頭蓋骨の上(オデコと鼻の上)に巨大な油タンク(鯨油)が乗っていて、潜水する時には海水で冷やして凝固させ体積を減らし、浮上する時には、血液で温めて融解させ体積を増やす目的のようで、船・潜水艦でいうバラストタンクの役割のようだ。この鯨油の便宜を求めてペリーが来航し、更に昔ワシントンは鯨油の灯りで独立戦争の指示書を書いた、と考えると、鯨油は世界史に大きく影響しているわけで、不思議な気持ちになる。

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    2026年08月22日
  • 白鯨 下

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    下巻の中盤から鯨の授業がなくなり展開が速くなる。
    白鯨の情報を得て、不吉な兆候に何度も出会いながらもエイハブの狂気の振る舞いだけで、白鯨を目指すピークオッド号。

    せめて船の装備や状態を見直してほしいと思いながら、物語は終わりに向かって行った。

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    2026年07月23日
  • 白鯨 下

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    解説を読んでから、また読み直したくなった。
    モービィ・ディックとは何だったのか、それは白人の魂そのものである。普段は大きな姿で悠々と泳ぐ鯨が、一度攻撃されると狡猾で凄まじい反撃に出る…
    物語のキーアイテムが実は輪廻の輪の中で繋がっていて、第一章に戻るというのも面白い。思わずポイントの文章を見返してしまう…アクロイド殺し以来の動きをしてしまった。

    この小説の良さが分かりきらなかったのか、
    モームの『世界十大小説』でも読んで再勉強してこようと思う

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    2025年03月15日
  • 白鯨 中

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    この本は鯨と捕鯨に関するデータベースでもあるのだが、独白シーンなどは現代でいうオタクの単独講演会を聞かされているように思える。
    ストーリーも少しずつ進み、鯨のパワーや捕鯨に携わる人間の力強さを感じる。

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    2025年03月13日
  • 白鯨 上

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    古典的小説としてモームの『世界十大小説』にも名を連ねる本作、漫画『文豪ストレイドッグス』に出てきて気になったという安直な理由で購入

    冒頭の人物紹介でいきなりネタバレ?色々な本からの抜粋?で始まり混乱は多かったが、訳注など参照しながら理解を深めていく。鯨自体が神話的な存在であり、捕鯨の歴史が文化交流の歴史…といった史実や抽象的なサブストーリーもあり、『知識ごった煮』とはよく言ったものだと納得。
    そういえばドラクエ11の神話に出てくる乗り物ケトスも白鯨だったな…

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    2025年03月09日
  • 白鯨 上

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    ネタバレ

    なかなか難しい。けど面白いです。出航までの準備期間というところでしょうか。いかにマッコウクジラが恐ろしくて偉大で強敵なのかという事は身体の芯から伝わりました。確かに、あんな巨大な海の主と対峙する事はとても勇気のいる事で、僕はとてもじゃないですが無理です。捕鯨船が世界の開拓を後押ししたというのは本当かもしれません。鯨を追いかけて数年間海の上で様々な世界中をまわるのだから。

    自分の勉強不足もあり、場面を正確に想像できてない時も多く、漢字も読み方が難しい字が多く、まだ物語を完全に楽しみきれてはいないですが、後編も楽しみです。

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    2024年06月11日
  • 白鯨 中

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    読んでいる時の面白さは勿論として、読むことで知ったこと(知識)や感じたこと(感情)を記録し、纏めて整理するために考える(思考)、その過程や結果の記録として、記憶に残すためにこの文章(書評)を書いている。そしてこれを書くことの意味を強く感じる。
    この小説は鯨や鯨漁ついてあらゆる角度から分析されていてその知識量たるや膨大である。特にマッコウ鯨のことについて、餌としてのオキアミやダイオウイカのこと、頭から噴き出す噴水のこと、セミ鯨との比較、そして世界の海でどのように生息しているかなど、とにかく詳しく描写されている。鯨の生態学の本のようだ。あとはキリがないので省くことにする。
    モビー・デックの独特の白さに迫るために、「白」に関する事をいろいろな観点から延々と描写することから、この中巻は始まる。とにかく説明が長い。
    これ程丁寧に詳しく登場人物や対象、それらに関する事を描写する小説も珍しいが読んでいて余計なことを描いているとは感じない。片脚のエイハブ船長がピークオッド号で世界を航海しながら白鯨モビー・デックへの復讐戦を仕掛けるための舞台造りが着々と進行する、その期待感が増すばかりである。

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    2023年10月12日
  • 白鯨 中

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    捕鯨にさほど興味がない人には結構しんどい中巻。腹一杯のところに容赦なく詰め込まれる鯨知識の数々。読み進めるコツは多少わからなくても我慢して進めること、巻頭の船の解説図をよく見返すこと、そして何より蘊蓄の内容よりもメルヴィルの語り口に着目すること。そうすれば知らぬ間に沼(舞台は海だけど)にはまり込んでいる。

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    2022年07月30日
  • 白鯨 下

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    鯨のことを知ることはできた。
    その他には人種や宗教に関する尊重というのか受け入れというのか。
    しかし全体としてこの小説と言えばいいのか語りと言うのかをどう捉えたらいいものか分かりかねている。

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    2020年11月21日
  • 白鯨 上

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    序盤以外は語り手が定まらず、視点がふわふわと漂って海の上に浮かんでいるように感じる。その頃には物語も海の上で、うまい具合に誘導されていると感じた。聖書や歴史からの引用や比喩がふんだんで、わかりにくいことも多いが、それがかえって丁寧に読ませる。もっと冒険物語かと思ったが、人間の内面を掘り下げたり哲学的なところもある。モービィ・ディックはまだ姿を現さないが、その伝説が好奇心をそそる。さらにエイハブ船長の未来が気になる。それにしても、長い長い序章である。

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    2020年04月29日
  • 白鯨 下

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    ようやく読み終わりました。いやー、長かった…
    …というか、これ、名作なんですかね??正直よく分かりません。もちろん、背景には宗教的な含意があったり、また、白鯨はまさに「白人」の集合的象徴であり、船の乗組員たちは「アメリカ合衆国」の縮図的象徴である等、色々な解釈があり得、深読みができるようですが、体裁的にはまさに大作の「奇書」。何なんでしょうね、これは…

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    2019年10月20日
  • 白鯨 上

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    上巻のみの感想を記すとすると,これはかなり難易度の高い小説。

    比喩表現がふんだんに盛り込まれており,その情景を詳細に現しているが,想像が追いつくかは読者に依る。

    まだ出航して間もない段階なので,これからの展開に期待したい。

    抹香鯨←マッコウクジラってこう書くんやね。漢字の勉強にもなりました。笑

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    2018年07月14日
  • 白鯨 下

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    ネタバレ

    クジラが好きになるような方向性はないとは思うけど、クジラの柄のついた手ぬぐいとか見たら、買おうかしらと思ってしまう。

    クジラ、船、捕鯨の知識、幾人かの登場人物についてピックアップしたエピソード。
    話があっちこっち飛んで、「このトークいる〜?」っていうのも多かったけど、全体的には楽しめた。

    エイハブvsモービィ・ディック。ひたすら白鯨を追う。
    ボートに乗って銛で突いてって、大きな鯨にそれでいいの?って。命がけ。
    戦いの時は壮大な迫力ある映像が浮かぶ。



    最後に悲惨な生き残りの戦いはなく(捕鯨において、生き残った者同士が食べる事件が実際にあった)最後は語り手一人イシュメールのみだったから丸く収まったというか。

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    2018年06月15日