エイハブ。捕鯨船(ピークオッド号)の船長。58歳。昔、ある白鯨(通称モービィ・ディック)に足を食いちぎられ、片足を失う。義足。復讐のため、その白鯨を執念深く追い続けている。船員スターバック「もの言わぬ獣に復讐してどうなるのですか」、エイハブ「この世界は理が通わない。しかし見ている世界は仮面にすぎない。その仮面の奥には理が通った何かが潜んでいる。白鯨はその仮面だ。仮面の向こうには何もない、と思うこともあるが、それでも構わない」。ある日、エイハブ船長はついに白鯨を見つけるが、死闘の末、船と共に海のもくずと消える。「白一色の大雪原は意味に溢れている。しかしそれはもの言わぬただの空白である」。ハーマン...続きを読む ・メルヴィルMelville『白鯨』1851
〇クイークェグ。捕鯨船の船員。経験豊富。ポリネシア人。全身に入れ墨。食人種。船上で熱病にかかり、棺桶を作ってほしいと依頼。白鯨との死闘で海に沈む。
〇スターバック。一等航海士。真面目。冷静沈着。船長エイハブに白鯨の追跡を中止するよう進言。クェーカー教徒(プロテスタント)。※Starbucksコーヒーの由来。
〇フェダラー。船員。パーシー教徒。ゾロアスター教徒の末裔。予言。
〇イシュメール。船員。語り手。初めて捕鯨船に乗る。白鯨との死闘で海に投げ出されるが、クイークェグの棺桶につかまって生還。※聖書、パレスチナの砂漠を彷徨い続けたイシュマイル(アブラハムの子)から。
※潮噴き亭。宿屋。イシュメールとクイークェグが出会う。宿屋の主人はコフィン(棺桶)。
バートルビー。男。書写人。文書をそのまま書き写す仕事。ウォール街の弁護士事務所で雇われている。書写以外の仕事はやろうとしない。仕事を頼まれても「やらないほうがいいと思います (I would prefer not to)」。事務所に住み着き、休日も外に出ない。次第に書写もしなくなり解雇。牢獄に入れられ、食べることさえやめてしまい、壁を見つめながら、生きることをやめる。ハーマン・メルヴィルMelville『書写人バートルビー』1853
※配達不能郵便=神の言葉(福音)が届かない世界?
四人姉妹の少女の成長物語。父は南北戦争への従軍で不在。ルイーザ・メイ・オルコット『若草物語/Little Women』1869
「私」。若い女。ある屋敷で家庭教師として雇われる。子供は兄マイルズと妹フローラ。純粋無垢な天使のような兄妹。しかし、屋敷で亡霊「おぞましい何か」を見るようになり、兄妹に悪魔的な影を感じるようになる。ヘンリー・ジェイムズJames『ねじの回転』1898 ※英に移住、帰化
ジョンジー。女。肺炎にかかり、寝込んでいる。病室の窓から外を見ると、レンガの壁、ツタの葉がはっている。この葉がすべて散ったら、わたしの命も尽きるのだ。生きる気力を失っている。これを聞いた隣人の老画家ベアマンは、こっそり壁にツタの葉をリアルに描く。どんな激しい風雨にも堪える最後の葉(の絵)を見て、ジョンジーは気力を取り戻し、肺炎は快方に向かう。老画家ベアマンは葉の絵を描き終えた2日後、息を引き取る。オー・ヘンリーO. Henry『最後の一葉(ひとは)』1907
ジュディ。少女。孤児。成績優秀。大学進学のお金がない。そこに謎のお金持ちの男「あしながおじさん」が金を工面してくれることに。その後、ジュディは友人の叔父ペンドルトンと知り合い、恋仲に。その人こそが「あしながおじさん」だった。ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』1912
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ワン・ルン。貧農。中国の安徽省。1930年代。動乱に乗じて、大地主にのし上がる。パール・バックBuck『大地』1931
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スカーレット・オハラ。大農園主の娘。16歳。美人ではない。勝ち気。プライドが高い。頑固。傲慢。自惚れが強い。常に男たちの注目の的でいたい。ある日、幼馴染のアシュリー・ウィルクスに求婚するが断られる。アシュリーはメラニーと結婚。スカーレットはアシュリーへの当てつけに、メラニーの兄(チャールズ)と結婚。夫(チャールズ)が戦死し、スカーレットは金目当てで別の男(フランク)と再婚。スカーレットは夫の製材所の従業員にアシュリーを雇う。夫(フランク)の死後、スカーレットはレットと再婚(3度目)。夫レットは、スカーレットを溺愛するが、スカーレットはアシュリーの幻影を追ってばかり。ある日、スカーレットはレットこそ愛すべき夫だと気づくが、レットはすでに報われない愛に切りをつけようと別れを決意していた。レット「スカーレット、きみはきみを愛している人間にとても残酷だった、その人たちの愛を取り上げて、まるで鞭のようにそれをその人たちの頭上に振りかざす、ぼくは壊れた破片を忍耐強く拾い集めて膠(にかわ)でくっつけ、くっつけてしまえば新品同様と思うような人間ではない」。マーガレット・ミッチェルMitchel『風と共に去りぬ』1936
〇アシュレイ・ウィルクス。男。文学青年。教養。スカーレットからの求婚を拒否。メラニーと結婚。
●チャールズ。1人目の夫。メラニーの兄。南北戦争(1861)で戦死。
●フランク。2人目の夫。材木商。金持ち。KKKの活動中、襲撃を受けて死亡。
●レット・バトラー。3人目の夫。金持ち。スカーレットを溺愛するが、スカーレットはレットに愛情を抱いていない。ある日、スカーレットは夫の愛を知るが、夫はすでに報われない愛に切りをつけようと別れを決意していた。
●ボニー。レットとの娘。落馬し4歳で死亡。
「私」。男。社会の束縛(古い自我)から自由になり、真の自己・個性を手に入れたい。死にうち克ちたいという盲目的な衝動から生まれる生への欲求は、それ自体、死の種子をまく手段にほかならない。ヘンリー・ミラー『南回帰線』1938
ジム・ケイシー。男。説教師。迫害されている労働者たちのストライキを指導。しかし、ジムは自警団員に撲殺されてしまう。ジムの意志は、友人トム・ジョードに引き継がれ、トムは労働者の指導者となる。ジョン・スタインベックSteinbeck『怒りの葡萄』1939
〇トム・ジョード。貧農。酒を飲んで喧嘩相手を殺し服役。仮釈放中。
〇ローザシャーン。トムの妹。
※世界恐慌(1929)
※飢えた人々の目の中には、次第にわき上がる激怒の色がある。人々の魂の中には「怒りの葡萄」が次第に満ちて夥(おびただ)しく実っていく▼圧制は被圧制者の力を強め、結合させるのみである
※アメリカ中西部。地主と小作人の対立。地主は小作人から農地を取り上げ、大農場経営に切り替えたい。小作人は自分たちの土地を守りたい▼人間は自分の創り出すものを超えて成長し、自分の考えの階段を踏みのぼり、自分のなしとげたものの彼方に立ちあらわれる
ささやかな幸福を夢見る母子家庭の姿。テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』1944
ブランチ・デュボア。大農園主の娘。家は没落しており貧しい。家の過去の栄光と現実の惨めな生活から、心に穴が空いている。心の穴を充たすため、次から次へと男を乗り換えている。次第に、ブランチの精神は蝕まれてゆく。ある日、妹の夫にレイプされ、発狂、精神病院に送られる。テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』1947
〇ステラ。ブランチの妹。
●スタンリー・コワルスキー。妹の夫。ブランチと対立。
南海の孤島。日米の激突。極限状態の兵士たち。ノーマン・メイラー『裸者と死者』1948 ※メルヴィル「白鯨」からの影響。
トルーマン・ガルシア・カポーティCapote『遠い声、遠い部屋』1948
ホリー・ゴライトリー。20歳。女。自由奔放。ブラジル人外交官から言い寄られている。いつか華やかな暮らしをしたい。しかし、服役中のギャング幹部に外の情報を伝えて週100ドルの報酬を得ていることや、マリファナ常習していることがバレる。ブラジル外交官を頼りにブラジルに渡るが、妻子がいることが判明。ホリーは放浪の旅を続ける。トルーマン・ガルシア・カポーティCapote『ティファニーで朝食を』1958
ペリー・スミス。男。両親は離婚。家庭崩壊。幼少期に施設へ送られる。修道院系施設で虐待を受ける。愛情に乏しい環境で育つ。感受性が高い一方、衝動的暴力的な側面。若い頃から犯罪を繰り返し、刑務所生活を経験。ある一家の金庫に大金があると聞きつけ強盗。口封じに一家4人を殺害。逮捕。人間(犯人)は理解できるが、暴力そのものは理解しきれない。トルーマン・ガルシア・カポーティCapote『冷血』1966
ホールデン・コールフィールド。16歳。大人の偽善・虚飾が大きらい。厭世。純粋無垢なものを希求。ある日、成績不振で高校を退学。寮に帰り、1ドルで買った赤いハンチングをかぶって読書▼エドモント・ホテル。変装する白髪の男。酒をかけあっている男女。アーニーのピアノ。売春▼女友達サリーと芝居を観る。アイススケート場。駆け落ちしようと持ちかけるが「まだ子どもだから無理」と言われ、喧嘩別れ▼妹フィービーと動物園に。妹は回転木馬に乗り、こちらに手を振っている。雨が降る中、無性に幸せな気持ちになる▼ホールデン「ライ麦畑で遊ぶのに夢中で崖から落ちそうな子供たちをつかまえる人に、ぼくはなりたい(純粋さを守りたい)」。ホールデンは精神的に限界を迎え、療養施設に入る。ジェローム・サリンジャーSalinger『キャッチャー・イン・ザ・ライ』1951
*純粋さへの執着、世界への違和感、内面の崩壊。cf. クインティン(フォークナー響きと怒り)。
チャーリイ・ゴードン。青年。知的障害を持つ。パン屋でバイト。ある日、知能を向上させる実験手術を受け、知能が急激に上昇。読書・言語・科学を急速に習得し、周囲の人間を超えるレベルに到達。しかし、これまで気づかなかった現実が見えるように。友人だと思っていた人たちは、実は自分を嘲笑していた。しかも知性上昇の効果は一時的であると判明、チャーリィの知能は急速に低下、記憶や言語能力は失われていく。チャーリィはすべてを失う前に、施設へ行くこと(社会からの退場)を決意する。ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』1959
〇アルジャーノン。ハツカネズミ
夫ジョージと妻マーサ。客の前でも口論。互いに相手の欠点を指摘し合う。架空の息子。エドワード・オールビーAlbee『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』1962
ジョナサン・リヴィングストン。かもめ。さまざまな飛行方法を会得し、ついには時間・空間を越えて、望む場所に飛んでいけるように。リチャード・バックBach『かもめのジョナサン』1970 ※ヒッピー文化、禅・密教
セリー。黒人の娘。アメリカ南部。人種差別と性差別からの解放。神の存在。アリス・ウォーカー『カラーパープル』1982 ※黒人女性
毎日どこかへ仕事をするために通い、そして戻ってくる。単純なことの繰り返し。人はそうしたことに耐え抜くためだけに生まれ落ち、死んでいくのか。それなら皿洗いにでもなって、ちっぽけな部屋に帰ってきて、1人で酔っぱらって眠りにつくほうがいい。チャールズ・ブコウスキーBukowski『Ham on Rye/くそったれ! 少年時代』1982
ポール・オースターAuster『ムーン・パレス』1989
〇トマス・エフィング。老人。
〇フォッグ。学生。