アッシャー家。旧家。陰鬱な森にある不気味な屋敷。代々、遺伝病。家の娘が不治の病で死亡、死体を地下室に安置。1週間後、嵐の夜、地下室から不気味な物音。見てみると、娘は生きていて、血まみれで立っていた。赤い満月の下、屋敷は崩れ去り、深い沼の中に消えていく。エドガー・アラン・ポーPoe『アッシャー家の崩壊』1839
〇ロデリック。アッシャー家の当主。
〇マデリン。ロデリックの妹。
「私」。黒猫を飼っている。ある日、酒に酔った勢いで、黒猫の片目をえぐりとる。また別の日、黒猫を縛り首にして、木にぶらさげる。その夜、家が火事になり、焼け跡の壁に猫の形の印影が残っていた。しばらくして、別の黒猫を飼い始める...続きを読む 。猫の毛並みが「刑具」に見えはじめ、恐怖にかられて斧で猫を殺そうとする。しかし妻に止められたため、発作的に妻を斧で殺す。妻の死体を地下室の壁の中に隠す。警察が殺人捜査に来る。壁の中から不気味な鳴き声がする。警察が壁を壊すと、白骨化した妻の死体の上に黒猫が座っていた。エドガー・アラン・ポーPoe『黒猫』1843
ヘスター・プリン。女。夫以外の男と不倫をして、私生児を生む。女は姦通罪でさらし台に立たされる。付き添いの若い牧師ディムズデールの横で、女は赤ちゃんを抱き、胸にAの文字がついた服を着せられている。AはAdultery(姦通)を意味。その後、ヘスターの不倫相手が判明。不倫相手の男は牧師ディムズデールだった。牧師はさらし台に登り、自らの罪を告白し、死亡。胸にAの文字がついた服を着ていた。ナサニエル・ホーソンHawthorne『緋文字ひもんじ』1850
〇チリングワース。へスターの夫。学者。老齢。正体を隠して妻の不倫相手を探す。
エイハブ。捕鯨船(ピークオッド号)の船長。58歳。昔、ある白鯨(通称モービィ・ディック)に足を食いちぎられ、片足を失う。義足。復讐のため、その白鯨を執念深く追い続けている。ある日、エイハブ船長はついに白鯨を見つけるが、死闘の末、船と共に海のもくずと消える。ハーマン・メルヴィルMelville『白鯨』1851
〇クイークェグ。捕鯨船の船員。経験豊富。ポリネシア人。全身に入れ墨。食人種。船上で熱病にかかり、棺桶を作ってほしいと依頼。白鯨との死闘で海に沈む。
〇スターバック。一等航海士。真面目。冷静沈着。船長エイハブに白鯨の追跡を中止するよう進言。クェーカー教徒(プロテスタント)。※スターバックスの由来。
〇フェダラー。船員。パーシー教徒。ゾロアスター教徒の末裔。予言。
〇イシュメール。船員。語り手。初めて捕鯨船に乗る。白鯨との死闘で海に投げ出されるが、クイークェグの棺桶につかまって生還。※聖書、パレスチナの砂漠を彷徨い続けたイシュマイル(アブラハムの子)から。
※潮吹き亭。宿屋。イシュメールとクイークェグが出会う。宿屋の主人はコフィン(棺桶)。
バートルビー。男。文書をそのまま書き写す仕事。ウォール街の弁護士事務所で雇われている。書写以外の仕事はやろうとしない。事務所に住み着き、休日も外に出ない。次第に書写もしなくなり解雇。牢獄に入れられ、食べることさえやめてしまい、壁を見つめながら、生きることをやめる。ハーマン・メルヴィルMelville『書写人バートルビー』1853
四人姉妹の少女の成長物語。父は南北戦争への従軍で不在。ルイーザ・メイ・オルコット『若草物語/Little Women』1869
マーク・トウェインTwain『トム・ソーヤの冒険』1876
〇トム・ソーヤ。少年。やんちゃ。好奇心旺盛、知恵と勇気。母を亡くし、叔母のポリーと暮らしている。
〇ハックルベリー・フィン。少年。浮浪児。ボロボロの服。自由奔放。大人は「ハックと一緒に遊ぶな」と言う。
〇ベッキー。トムが好き。おさげ髪。
〇マフ・ポッター。老人。酔っ払い。殺人の罪を擦り付けられる。
●インジャン・ジョー。夜の墓場で人を殺し、ポッターに罪をなすりつける。悪事をはたらき、大金を洞窟に隠している。耳が聞こえない。
ハックルベリー・フィン。浮浪児。才知。良心。同情心。黒人奴隷ジムと共に、自由を求めてミシシッピ川をいかだで北上、カナダを目指す。黒人奴隷を助けるのは罪になるが、ジムとの友情を優先。ジムマーク・トウェインTwain『ハックルベリー・フィンの冒険』1885
それは穏やかで平安に満ちた夏の風景だった。夢のように美しく、日曜日のようにもの寂しくひっそりとしていた。マーク・トウェインTwain『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』1889
「私」。若い女。ある屋敷で家庭教師として雇われる。子供は兄マイルズと妹フローラ。純粋無垢な天使のような兄妹。しかし、屋敷で亡霊「おぞましい何か」を見るようになり、兄妹に悪魔的な影を感じるようになる。ヘンリー・ジェイムズJames『ねじの回転』1898 ※英に移住、帰化
ジョンジー。女。肺炎にかかり、寝込んでいる。病室の窓から外を見ると、レンガの壁、ツタの葉がはっている。この葉がすべて散ったら、わたしの命も尽きるのだ。生きる気力を失っている。これを聞いた隣人の老画家ベアマンは、こっそり壁にツタの葉をリアルに描く。どんな激しい風雨にも堪える最後の葉(の絵)を見て、ジョンジーは気力を取り戻し、肺炎は快方に向かう。老画家ベアマンは葉の絵を描き終えた2日後、息を引き取る。オー・ヘンリーO. Henry『最後の一葉(ひとは)』1907
ジュディ。少女。孤児。成績優秀。大学進学のお金がない。そこに謎のお金持ちの男「あしながおじさん」が金を工面してくれることに。その後、ジュディは友人の叔父ペンドルトンと知り合い、恋仲に。その人こそが「あしながおじさん」だった。ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』1912
ジェイ・ギャツビー。男。18歳の頃、デイジーという恋人がいた。デイジーは、ギャツビーが戦争で出兵した後、別の男(金持ち)に言い寄られ結婚するがギャツビーが忘れられない。数年後、戦争から帰ってきたギャツビーとデイジーは再会、二人はお互いの愛を確認。「すべてを昔のままに戻してみせるさ」▼ある日、デイジーは車を運転中、急に飛び出してきた女をひき殺してしまう。その女はデイジーの夫の愛人で、デイジーの夫はギャツビーが自分の愛人を殺したと思い込む。デイジーの夫は自分の愛人の夫に「あなたの奥さんを車でひき殺したのはギャツビー」だと告げる。車でひき殺された女の夫は怒り狂い、ギャツビーを射殺する。スコット・フィッツジェラルドFitzgerald『グレイト・ギャツビー』1925
〇トム。デイジーの夫。好戦的。金持ち。
〇マートル。トムの不倫相手の女。
〇ジョージ・ウィルソン。マートルの夫。ギャツビーを射殺し、自殺。
〇ニック。普通のサラリーマン。証券会社。ギャツビーの隣人。物語の語り手。
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フレデリック。アメリカ人青年。第1次大戦でイタリア軍に従軍。戦場でイギリス人看護師キャサリンに出会い、恋仲になる。キャサリンは不吉な予言をする「わたしとあなた、どちらかが雨の中で死んでいる姿が見える」。その後、戦況が悪化し、フレデリックは軍から脱走。キャサリンと共にスイスで幸せに暮らし始め、キャサリンは妊娠。しかし、赤ん坊は出産時に死亡、キャサリンも多量出血で死んでしまう。フレデリックが病院の外に出ると、雨が降っていた。アーネスト・ヘミングウェイHemingway『武器よさらば』1929
・2人で一緒にいる時、ぼくらは孤独を感じなかった。恐ろしくなかった。ぼくは夜と昼が同じでないことを知っていた
・年寄りになって賢くなるのではない。用心深くなるのだ。
ロバート。アメリカ人青年。スペイン内戦で政府軍を従軍。戦場でスペイン人の娘マリアに出会い、恋仲になる▼誰かの死は私を小さくする。なぜなら、私は人類に関わっているからだ。だから人の死を悼(いた)んで打ちならす鐘(弔鐘)が誰のために鳴るのか尋ねてはならない。鐘はあなたのために鳴っているのだ。アーネスト・ヘミングウェイHemingway『誰(た)がために鐘が鳴る』1940
サンチャゴ。老人。キューバの漁師。アーネスト・ヘミングウェイHemingway『老人と海』1952
だれかを信頼できるかを試すのに一番いい方法は、彼らを信頼してみることだ▼あちこち旅をしてまわっても、自分から逃げることはできない。ヘミングウェイ
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ワン・ルン。貧農。中国の安徽省。1930年代。動乱に乗じて、大地主にのし上がる。パール・バックBuck『大地』1931
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アメリカ南部。コンプソン家の没落。ウィリアム・フォークナーFaulkner『響きと怒り』1929
〇クウェンティン。長男。インテリ。妹キャディに近親相姦の妄想。精神を病み、入水自殺。
〇キャディ。長女。性に奔放。
〇ジェイソン。次男。人種差別主義者。貪欲。冷酷。
〇ベンジャミン。末っ子。知的障碍。
〇ディルシー。黒人のお手伝いさん。美徳。
見た目は白人だが、黒人の血が流れる男。白人を避けて、黒人たちと寝食を共にする。「体内に黒い臭気を、黒人の暗くて不可解な思想や存在を吸い込もうと努め、同時に吐く息ごとに体内から白い血や白い思想と存在を追い出そうとした」。ウィリアム・フォークナーFaulkner『八月の光』1932
ウィリアム・フォークナーFaulkner『アブサロム、アブサロム!』1936
※アブサロム。ダビデ王の三男。父ダビデに反乱を起こすも殺害される。息子の死を聞いた父ダビデ「アブサロム、アブサロム、私がお前に代わって死ねばよかった」(旧約聖書サムエル記)
〇トマス・サトペン。前妻との子チャールズが、現在の妻との子ヘンリーによって殺される。
〇チャールズ・ボン。トマスの前妻との子。男。ジュディスに恋。
〇ヘンリー・サトペン。トマスの長男。妹ジュディスとチャールズの恋を応援していたが、チャールズに黒人の血が入っていることを知り、チャールズを殺害。
〇ジュディス・サトペン。トマスの長女。
ウィリアム・フォークナーFaulkner『野生の棕櫚』1939
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スカーレット・オハラ。大農園主の娘。16歳。美人ではない。勝ち気。プライドが高い。頑固。傲慢。自惚れが強い。常に男たちの注目の的でいたい。ある日、幼馴染のアシュリー・ウィルクスに求婚するが断られる。アシュリーはメラニーと結婚。スカーレットはアシュリーへの当てつけに、メラニーの兄(チャールズ)と結婚。夫(チャールズ)が戦死し、スカーレットは金目当てで別の男(フランク)と再婚。スカーレットは夫の製材所の従業員にアシュレイを雇う。夫(フランク)の死後、スカーレットはレットと再婚(3度目)。夫レットは、スカーレットを溺愛するが、スカーレットはアシュリーの幻影を追ってばかり。ある日、スカーレットはレットこそ愛すべき夫だと気づくが、レットはすでに報われない愛に切りをつけようと別れを決意していた。レット「スカーレット、きみはきみを愛している人間にとても残酷だった、その人たちの愛を取り上げて、まるで鞭のようにそれをその人たちの頭上に振りかざす、ぼくは壊れた破片を忍耐強く拾い集めて膠(にかわ)でくっつけ、くっつけてしまえば新品同様と思うような人間ではない」。マーガレット・ミッチェルMitchel『風と共に去りぬ』1936
〇アシュレイ・ウィルクス。男。文学青年。教養。スカーレットからの求婚を拒否。メラニーと結婚。
●チャールズ。1人目の夫。メラニーの兄。南北戦争(1861)で戦死。
●フランク。2人目の夫。材木商。金持ち。KKKの活動中、襲撃を受けて死亡。
●レット・バトラー。3人目の夫。金持ち。スカーレットを溺愛するが、スカーレットはレットに愛情を抱いていない。ある日、スカーレットは夫の愛を知るが、夫はすでに報われない愛に切りをつけようと別れを決意していた。
●ボニー。レットとの娘。落馬し4歳で死亡。
「私」。男。社会の束縛(古い自我)から自由になり、真の自己・個性を手に入れたい。死にうち克ちたいという盲目的な衝動から生まれる生への欲求は、それ自体、死の種子をまく手段にほかならない。ヘンリー・ミラー『南回帰線』1938
ジム・ケイシー。男。説教師。迫害されている労働者たちのストライキを指導。しかし、ジムは自警団員に撲殺されてしまう。ジムの意志は、友人トム・ジョードに引き継がれ、トムは労働者の指導者となる。ジョン・スタインベックSteinbeck『怒りの葡萄』1939
〇トム・ジョード。貧農。酒を飲んで喧嘩相手を殺し服役。仮釈放中。
〇ローザシャーン。トムの妹。
※世界恐慌(1929)
※飢えた人々の目の中には、次第にわき上がる激怒の色がある。人々の魂の中には「怒りの葡萄」が次第に満ちて夥(おびただ)しく実っていく▼圧制は被圧制者の力を強め、結合させるのみである
※アメリカ中西部。地主と小作人の対立。地主は小作人から農地を取り上げ、大農場経営に切り替えたい。小作人は自分たちの土地を守りたい▼人間は自分の創り出すものを超えて成長し、自分の考えの階段を踏みのぼり、自分のなしとげたものの彼方に立ちあらわれる
ささやかな幸福を夢見る母子家庭の姿。テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』1944
ブランチ・デュボア。大農園主の娘。家は没落しており貧しい。家の過去の栄光と現実の惨めな生活から、心に穴が空いている。心の穴を充たすため、次から次へと男を乗り換えている。次第に、ブランチの精神は蝕まれてゆく。ある日、妹の夫にレイプされ、発狂、精神病院に送られる。テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』1947
〇ステラ。ブランチの妹。
●スタンリー・コワルスキー。妹の夫。ブランチと対立。
南海の孤島。日米の激突。極限状態の兵士たち。ノーマン・メイラー『裸者と死者』1948 ※メルヴィル「白鯨」からの影響。
トルーマン・ガルシア・カポーティCapote『遠い声、遠い部屋』1948
ホリー・ゴライトリー。20歳。女。自由奔放。ブラジル人外交官から言い寄られている。いつか華やかな暮らしをしたい。しかし、服役中のギャング幹部に外の情報を伝えて週100ドルの報酬を得ていることや、マリファナ常習していることがバレる。ブラジル外交官を頼りにブラジルに渡るが、妻子がいることが判明。ホリーは放浪の旅を続ける。トルーマン・ガルシア・カポーティCapote『ティファニーで朝食を』1958
トルーマン・ガルシア・カポーティCapote『冷血』1966
ホールデン・コールフィールド。16歳。大人の偽善・虚飾が大きらい。厭世。純粋無垢なものを希求。ある日、成績不振で高校を退学。寮に帰り、1ドルで買った赤いハンチングをかぶって読書▼エドモント・ホテル。変装する白髪の男。酒をかけあっている男女。アーニーのピアノ。売春▼女友達サリーと芝居を観る。アイススケート場。駆け落ちしようと持ちかけるが「まだ子どもだから無理」と言われ、喧嘩別れ▼妹フィービーと動物園に。妹は回転木馬に乗り、こちらに手を振っている。雨が降る中、無性に幸せな気持ちになる▼ホールデン「ライ麦畑で遊ぶのに夢中で崖から落ちそうな子供たちをつかまえる人に、ぼくはなりたい」。ジェローム・サリンジャーSalinger『キャッチャー・イン・ザ・ライ』1951
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』1959 ※SF
〇チャーリイ。
〇アルジャーノン。ハツカネズミ
夫ジョージと妻マーサ。客の前でも口論。互いに相手の欠点を指摘し合う。架空の息子。エドワード・オールビーAlbee『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』1962
ジョナサン・リヴィングストン。かもめ。さまざまな飛行方法を会得し、ついには時間・空間を越えて、望む場所に飛んでいけるように。リチャード・バックBach『かもめのジョナサン』1970 ※ヒッピー文化、禅・密教
セリー。黒人の娘。アメリカ南部。人種差別と性差別からの解放。神の存在。アリス・ウォーカー『カラーパープル』1982 ※黒人女性
毎日どこかへ仕事をするために通い、そして戻ってくる。単純なことの繰り返し。人はそうしたことに耐え抜くためだけに生まれ落ち、死んでいくのか。それなら皿洗いにでもなって、ちっぽけな部屋に帰ってきて、1人で酔っぱらって眠りにつくほうがいい。チャールズ・ブコウスキーBukowski『Ham on Rye/くそったれ! 少年時代』1982
ポール・オースターAuster『ムーン・パレス』1989
〇トマス・エフィング。老人。
〇フォッグ。学生。