吉田桃子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
多くの人が見た目を気にしていて、それは思春期であればなおのこと。
主人公・拓郎は自分が撮った映画でコンクールで念願の賞を取る。
喜ぶ拓郎だが、ふたを開けてみれば審査員に褒められているのは主演を飾ったクラスメートの涼子。涼子は、みんなからブスだとバカにされている女子なのだが、拓郎は映画にぴったりだと思い主演に抜擢したのだ。しかし、涼子が主演だということは外部には秘密だったため、拓郎はこれを機会に秘密がバレるかもしれないと焦り出す。
なんとか秘密を守ろうとする拓郎。それは、たまたまクラスメートから涼子を守る行動にもなっていって、その偶然が読んでいて面白い。
さらに、この出来事をきっかけに拓郎は、人はなぜ見た目を気にするのか、キレイなもの、そうでないものを区別し、差別するのはなぜか、自分の頭と心で考え始める。
モテモテのイケメン親友や学校いちの美少女にも見た目からくる悩みがあったり、薄毛や身長を気にして恋愛や結婚に踏みきれず悩む拓郎のおじさんなど周りのキャラクターも魅力的。
考える日々を送る主人公・拓郎が思う、「目には見えないけれどその人が大事に抱えているもの、背景にあることを感じ取れる人間になりたい」ということは想像力を働かせるということでもあるのですね。
そして、読んでみるとピッタリなタイトルに納得!
児童書にしてはシンプルな装丁も、そういうわけか、と思いました。
ピンクカラーで女の子向けみたいに見えますが、性別も、年齢も越えて多くの人が共感できる本だと思いました。 -
Posted by ブクログ
Naffyさんの、ちょっとクールでバランス感覚が独特な、美しい絵を見たくて借りた本書であったが、読んでいく内に、犬のかけがえのない素晴らしさを知ることができた、吉田桃子さんの物語も、少女の成長とともに印象深いものがありました。
物語の主人公「斎藤美咲」は、その両親と兄も含め、家族みんなに愛されていた、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの、「レオン」が亡くなったことが、一年経った今も忘れられず、いわゆるペットロスのような喪失感に苛まれていたが、彼女に関しては、それだけではなく、幼少期から声が出ない、精神的な苦しみも抱えていたことから、その辛さは尚のことであり、学校ではひとりぼっちでいることが多い上に、その話すことができないことを、度々馬鹿にされるような姿には、はっきりと、こういう病気ですといったものが不明であるからなのか、見ていて不憫でならなかった。
そんな彼女にとって、数少ない心を許せる友達がレオンだったのであり、そこには言葉が無くとも通い合わすことのできる、犬が人間にもたらす、素晴らしき恩恵を見た思いであったが、その大切なレオンがこの世からいなくなってしまった、今現在に於いて、彼女はこれからどう生きていけば良いのか?
と思った矢先に、幸か不幸か、レオンにそっくりな犬を花屋さんで見かけた美咲は、勇気を出して、その飼い主に止められない思いを伝えようとするが・・・。
生き物には寿命があるため、いつかは別れなければならない時が必ず来るし、それに関して特別な思いを抱くのは、美咲だけとは限らず、寧ろ、犬が好きな人であれば、他の人がそのような体験をしたときに、それがきっと自分事のように思えるはずなのだと感じた時、「ああ、こういうことなのか」と彼女も初めて実感することによって、自分の内の思いだけに拘らず、少しずつ、外の思いにも目を向けるようになっていく、そんな様子に、まずは彼女自身の成長を感じられた。
また、そうした成長を促してくれたのは、数は少なくとも、心温かい周りの人と犬であり、特に人間に対する真っ直ぐな犬の優しさを表した、『犬は、自分のことをよく見せたいとか、こうするとなにか見返りがあるからという理由でやさしいんじゃない』には、とても心を動かされるものがあり、それはレオンの素晴らしさだけでなく、それぞれに別の個を持った犬の素晴らしさでもあり、美咲自身の喜びでもあった。
そして、何よりも美咲自身、素敵な未来を実感できたこととして、誰かにやってもらうことよりも、彼女自らがそうしたいという思いに達したことがあり、それは、相手の中に自分自身を感じることができた、とても素敵なことであり、そんな共感できる思いが、生きたいという気持ちを更に高めさせてくれたり、大きな励みとなってくれることには、『犬には、たいへんなことがあっても、困難を乗り越えて、それでも前に進んでいこうとするパワーがそなわっている』という、犬自身の持つ生命力からも感じられた、そんな前向きなメッセージがタイトルには込められており、これまでの長く辛い夜を押し退けて、ようやく連れてきてくれた夜明けは、彼女の為だけではない、犬の為のそれでもあったのです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいつの頃からかの猫ブームに押されて脇道に追いやられている犬本。犬派かつスパニエル推しの私にはどストライクな表紙に惹かれて読み始めました。
自分の思いをうまく言葉にできない小5の女の子、美咲。
日常生活はもちろん、卒業式での6年生を送る言葉の自分のパートでも声が出ない。これも物語の中で美咲の成長を表すための、わかりやすい縦軸バロメーターですよね。
そして美咲が生まれたときから寄り添って生きてきたキャバリアのレオンの死。
冒頭からレオンは骨壷に入った存在。でも美咲にとっては、たとえその状態でも、大きすぎて受け止められない喪失感を癒す存在なんですよね。
4・5年生くらいから読めるやさしい文章なんですが、喪失の苦しみや生きづらさにあえぐ、子どもなりの心情がなんだかリアルで。
愛犬を失ったことのある人はこの気持ちと行動すごくよくわかるんじゃないでしょうか。
火葬前に少し切った毛をしばらく指で撫でたり嗅いだりしては泣いていた人間には響きましたよ。生きてたら絶対涙を舐めてくれるのに。とか思って底なしに落ちていくんです。
レオンに生写しのキャバリア犬ビリー(同じ犬種なんだから似てるのは当たり前だろ、なんていうやつがいたら、そいつは犬と暮らしたことがないのだ)と、ビリーが看板犬を勤める花屋の店主である女性との出会いで、喪失感と周囲に感じる温度差でガッチガチの美咲の心が少しずつ解されていき、もうひとつの重要な出会いに辿り着くという流れ。
ひたすら「ビー玉」を引っ張ってきた分、山場での描写は一定のカタルシスを覚えるものの、やってやった感を感じなくもないひねくれ読者。
いや、児童書なんだからこれくらいわかりやすく気持ちのいい流れと表現は控えめに言って最高でしょう。
しかし、夜明けを迎えてからのあまりにスムーズかつ達者な喋りに、どういう症状だったのかと掘ってみたくなる。
陽気な弟が一計をめぐらせてしまうくらい、家でも喋れていなかったことを考えると場面緘黙ともまた違うのかなとか、そういうパターンもあるのかなとか。
しかしこれ、表紙はレオンなのか?ビリー?いや、やっぱりレオンでしょうね。
というかサンであるべきなのでは?
うーん。物語の山場で物理的に夜明けを連れてきたのはサンだけども、美咲だけを覆っていた夜の世界に夜明けをもたらしたのはレオン…いや葉子さんじゃない?
「夜明けをつれてくる三十路女性」
それはそれで手が伸びていただろうとも思う。 -
Posted by ブクログ
題名と表紙が素敵で読んだ作品です。
両親が別居したのを機に、田舎の商店街に引っ越しをしたおしゃれ好きな女の子の話。
恋の話ばかりではなくて、商店街の人との交流とか、自分の好きなことへの姿勢とか、女の子が成長していく描写がとてもよかった。
オシャレったって、男にモテるためだけじゃないのに、周りから不思議がられて嫌な思いをする気持ち、すごくよくわかった。
激情的でカッとなったらすぐ言葉にしちゃう杏都ちゃん。
自分のことで自信を持てきれなかったり、他人と比較しちゃったり、威勢がいいように思えて実はナイーブだったり。
葛藤がさらっと描かれていて、共感しやすかった。
杏都ちゃんが頭の中でぐるぐるいろんなことを考えてしまうところが、中学生の女の子っぽくて微笑ましいかったです。 -
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中二の時、気に入らないクラスメートをイジメていた『穂花』。でも、三年になったらクラス中から無視されるよになってまるで透明人間みたい・・・「友達なんかいない」小林深雪
クラスは違うけど仲の良い幼馴染の『加部慎太郎』。彼のクラスには顔に痣のあるいじめられっ子の男子生徒がいる。誰も名乗り出ないアンケートを取り続ける先生。でも、初めて✖がついた、そう加部慎太郎は言った・・・「これは加部慎太郎に送る手紙」戸森しるこ
「どうせ私なんて」その言葉を口にする度中学生にループしてしまう『詩織』。イジメている三人組から逃げて屋上でお弁当を食べていると、同じくイジメられている『弥生』と知り合う。『今』が終わりが来ることを知っている詩織は、『今』しか知らない弥生の為に、彼女を救おうと奔走する・・・「転生☆少女」吉田桃子
英語ができなくて先生に」バカにされている『僕』を、クラスのみんなもバカにしている。みんなから無視されている『吉田君』よりはましだけど、彼だけは僕に英語を教えてくれる。
長縄大会で回し手に選ばれ認められたようで張り切っていたけど、リーダー格の『小野寺君』から跳ぶのが苦手な宮田君に休むように言うように指示される。『一致団結』って何?・・・「イッチダンケツ」栗沢まり
イジメをテーマにした四編のアンソロジー。
イジメに苦しんでいる子はもちろん、イジメている人や消極的に関わっている人にも読んでほしいな。だって、イジメって本当にカッコ悪い。
死にたいと考えるほど苦しんでいるのなら、一時避難として逃げるのも正しい選択。それだってとっても勇気がいることなんだし。でもそのままじゃ、結局割を食うのは当人。そんなのはおかしい。ここからは大人がしっかりと対処してあげないといけない。「大人の言うことなんて信用できない」そんなこと言わっれっぱなしじゃ悔しいじゃないですか、大人の皆さん。