小さい頃から、自分の思いをうまく言葉にして発することができない小5の美咲。
愛犬の死をきっかけに、より言葉が出なくなってしまう。
言葉が喉に詰まってしまうもどかしい思いと、愛犬の死を受け入れられない思いが、切々と語られる。
自分だけが辛い気持ちを抱えている、と思っていた美咲だが、徐々に周囲の人々が
...続きを読む抱える辛い気持ちに気付き始め、発語と愛犬の死という二つの困難に向き合い、前を向いて乗り越えようとしていく。
主人公の美咲の言葉が出ない様子を、
言葉はいっぱい自分の中にあふれているのに、喉にビー玉が詰まってしまったようで、出てこない、
というような表現で書かれている。
症状についての詳しい説明はないが、もしかして場面緘黙症なのだろうか、と思った。
家族もそれぞれ心配しながら、どうにか美咲が自分で言葉を発せられるようにと、色々と考えている様子が伝わってくる。
吉田桃子さんは、「ラブリィ」以来。
素直で前向きな中学生男子の話だったが、今回は少女の辛い心情が中心の物語で、全く違う味わいだった。
naffyさんの挿画はとても素敵なのだが、何となくこの物語の家族像と一致しない気がするのが残念。
2022.1.17