あらすじ
第57回児童文学新人賞を文句なしの評価で受賞した注目作。誰もが気になる「見た目」という普遍的なテーマに挑戦した作品です。主人公は中2の男子、拓郎。自分で撮影した映画の主人公・涼子はみんなからブスと言われているが、拓郎は不思議な魅力を感じている。その魅力はいったい何なのか? 人間はなぜそんなに見た目を気にするのか? そんな疑問の答えを探しながら過ごす日常が、拓郎の語り口調でユーモラスに描かれます。
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Posted by ブクログ
本の題名やどピンクの表紙のイメージから
女子度が高い恋バナなのかと勝手に想像していましたが、見事に期待を裏切ってくれて、面白かったです。
中学生になると自分や人の外見が気になり始めます。
自分の外見は相談しにくいことでもあれば、人は外見だけじゃないよと思うこともある。
だけど、外見で判断してしまうこともある。
誰しもが持っているよう微妙な気持ち、グレーゾーンが
細かく書かれていたことに、作家さんの愛を感じました。
そしてその悩みはいくつになっても、持っている人は多いから大人にもオススメしたい本だと思いました。
Posted by ブクログ
多くの人が見た目を気にしていて、それは思春期であればなおのこと。
主人公・拓郎は自分が撮った映画でコンクールで念願の賞を取る。
喜ぶ拓郎だが、ふたを開けてみれば審査員に褒められているのは主演を飾ったクラスメートの涼子。涼子は、みんなからブスだとバカにされている女子なのだが、拓郎は映画にぴったりだと思い主演に抜擢したのだ。しかし、涼子が主演だということは外部には秘密だったため、拓郎はこれを機会に秘密がバレるかもしれないと焦り出す。
なんとか秘密を守ろうとする拓郎。それは、たまたまクラスメートから涼子を守る行動にもなっていって、その偶然が読んでいて面白い。
さらに、この出来事をきっかけに拓郎は、人はなぜ見た目を気にするのか、キレイなもの、そうでないものを区別し、差別するのはなぜか、自分の頭と心で考え始める。
モテモテのイケメン親友や学校いちの美少女にも見た目からくる悩みがあったり、薄毛や身長を気にして恋愛や結婚に踏みきれず悩む拓郎のおじさんなど周りのキャラクターも魅力的。
考える日々を送る主人公・拓郎が思う、「目には見えないけれどその人が大事に抱えているもの、背景にあることを感じ取れる人間になりたい」ということは想像力を働かせるということでもあるのですね。
そして、読んでみるとピッタリなタイトルに納得!
児童書にしてはシンプルな装丁も、そういうわけか、と思いました。
ピンクカラーで女の子向けみたいに見えますが、性別も、年齢も越えて多くの人が共感できる本だと思いました。
Posted by ブクログ
中学生で、こんな風に見た目のことを考えられるのだろうか。大人になっても割りきるのは難しいのに。文体も読みやすく、児童文学から一般文芸へ移行する橋渡し的な難易度。中学生に。
Posted by ブクログ
多感なお年頃・中学生が人の見た目について考えながら成長していく話。
主人公の男子中学生とその友達がとってもいい子で、読んでいて嬉しくなったり泣きたくなったりした。
こんな子が居てくれて良かった。ありがとう!
という気になる。
世の中こんな子ばかりだったら平和だろうな。
Posted by ブクログ
「ブス」の涼子を主人公に映画を撮ったことから、なぜ人は見た目を気にするのか悩む拓郎。みんなの知らなかった本音もわかり、たどり着いた境地とは。
主人公の拓郎が適当なようで正義感が強くすてきです。涼子も魅力的。
Posted by ブクログ
中2の男子で、こういった見た目の問題に正面から向き合っている子がいるのかというとそうはいないだろう。しかも、真面目キャラじゃなくて回りからも浮かずにうまく立ち回ることが出来るタイプで、というとまさにフィクションだから成り立つ感が強い。そう思っても、主人公の拓郎は魅力的だ。
素直でまだ小学生のようなあどけなさが内面に残っているが、中学生らしい行動力で自分なりに答えを出そうとする。こんな息子だったら、母さん嬉しいなぁ。2018.6
Posted by ブクログ
冒頭でカレーがぶちまけられるシーンはイマイチ説得力がない。が、ラストの、涼子を笑顔にする映画を撮ると決意する拓郎が爽やかでよい。おじさんの登場で外見についての深い思索をするようになったり、細かい部分に発見があり、少年の気持ちになりきっているところがよかった。
コメディタッチな話で、シリアスな部分はちゃんと押えていてメリハリもあった。
これで冒頭が良ければ。
Posted by ブクログ
井手拓郎、14歳、青少年創作映像コンクールの審査員特別賞を受賞した自称天才映画監督。
その特別賞の受賞作品に主演女優は、だれもがブスと思っていて、いつも1人でいる田沼涼子。でも学校では拓郎の作った映画での主演女優は柚木亜美菜がだと思われているし、亜美菜自身も、次回作を期待するかのように拓郎に部活で作ったお菓子などを差し入れてくる。
今更、田沼涼子が主役とも言えず、しかも、審査員賞を取った時の評に、拓郎の尊敬する映画監督からのコメントとして「・・・主演女優のブス女優がすばらしかった。ラブリー!この映画を見たものは必ず、このブス子ちゃんこと涼子に愛しさを感じずにはいられないであろう。」などと書いているのだ。これを涼子に知られるわけにはいかない。
何と言っても人の「見た目」が気になる中二。拓郎はそれから、まわりの友達の「見た目」と、それによって変わるクラス内での人間関係が気になるようになる。
拓郎と一緒に映画製作のアシスタントをしてくれている榎木は、拓郎の一番の親友。なんでも話せる榎木にも、過去には見た目に悩んでいた事もあり。
人を見た目で評価するのではなく、誰にでも対等に話す拓郎。
読んでスッキリ青春物語。