永濱利廣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コロナ・ショックが、世界経済を揺るがしている。落ち込んだ景気は回復するのか。あるいは、しないのか。各種データを踏まえ、世界と日本の経済の今後を予測する書籍。
コロナ・ショックは、アメリカ経済に「戦争級の衝撃」を与えた。
金融経済では、市場関係者の恐怖感を示すVIX指数がリーマン・ショックの時を超えた。
実物経済では、新規失業保険申請件数がリーマン・ショック時の10倍に膨らんだ。
中国は、都市封鎖を行って新型コロナウイルスを封じ込め、いち早く経済を回復させた。これは、社会主義市場経済の強みといえる。
しかし、コロナ・ショック以前から抱える過剰債務問題に加え、産業構造の変化による成長の停滞、急速に進む少子高齢化など、様々な課題を抱えている。
EUでは、2020年7月、7,500億ユーロ規模のコロナ復興基金の創設が合意された。だが、その過程で、財政余力の異なる加盟国間で意見が対立した。こうした足並みの乱れが再発すれば、加盟国の脱退、さらにEU崩壊のリスクが高まるだろう。
コロナ・ショックを経験したことで、今後、世界と日本の経済は、収益重視から安定・安全重視の方向にシフトするだろう。
・リスクを避け、企業は設備投資を控え、家計もお金を使わない。よって過剰貯蓄となり、経済の効率性や生産性が下がる。
・財政赤字は膨らむが、民間部門の資金余剰により資金需給は逼迫せず、財政リスクが高まることはないだろう。ただ、経済の回復時に他国より財政の改善が遅れると、財政リスクが生じる可能性はある。
・カネ余りで低金利の状況では、マネーは株式などのリスク資産市場に向かい、バブルが起きやすい。民間部門のリスク回避が、資産市場の価格変動を大きくする結果となる。 -
Posted by ブクログ
経済の循環には何種類もの波動があって、それぞれに名前が付けられていますが、この本の著者の長濱氏によると、30年周期について話をしていることになります。
彼によると、日本経済の2014年(昨年)の状況と、1986年の状況がきわめて似通っている、従って、1986年以降に起きたことと似たようなことが起きる、つまり現在は、黄金期前夜にある、ということです。
たとえ日本において似ていても、その他の国の状況や、インターネットの有無等、異なることが多いので果たしてその通りになるかどうか等はありますが、「日本礼賛論」をこのような捉え方で見てみるのも興味が湧きました。多分、生きている間に、検証もできそうですからね。
以下は気になったポイントです。
・景気の好不調は、そのときの経済を取り巻く環境と、その環境を作り出すのに大きな影響を与える政策が大いに関係している(p3)
・プラザ合意により急激な円高となった日本は、それまでの輸出主導の経済成長から、内需主導への転換を余儀なくされた。それで景気が上向いていたにもかかわらず、公共事業費を増やし続けた(p22)
・1980年代後半、日銀は物価上昇率が下がったという側面だけを気にして、金融を緩和し続けてしまった結果、バブルを作り出してしまった(p27)
・2015年8月下旬、突然の株価急落をみせた中国経済の先行き懸念から世界の株式市場が動揺して株安となった、これはまさに、ブラックマンデー(1987.10.19)に相当する(p28)
・非伝統的金融緩和策とは、市中から買いいれる資産範囲を増やし、中央銀行が供給するお金の量(マネタリーベース)を増やす金融政策で、量的・質的金融緩和と呼ばれている。つまり、銀行が持っている国債等を日銀が大量に購入して、その対価としてお金を銀行に渡す(p30)
・1986年と2014年の相似点、1)原油価格の下落局面、2)日本経済が後退局面にあり、積極的な財政支出、3)史上最大規模の金融緩和、4)政府と日銀が連携して政策を動かす体制、5)衆議院選挙実施で、政権与党が圧勝して盤石な政権基盤(p36、38)
・これまで別々に運用されていた3つの共済(国家公務員、地方公務員、私学共済)が一元化され、国内株式運用比率が、2015年3月末予測の16%から、25%へ上がる。つまり6兆円程度の資金が株式市場へ投入。GPIFと合わせると、6兆円(p58)
・アメリカ人のガソリン消費量は、一人当たりが年間350ガロンでダントツ世界一(日本:100)、であり、人口を考慮すると、日本の6倍以上使用しているので、ガソリン価格の変動が消費に影響する(p89)
・経済規模の大きい、アメリカや日本は原油価格の下落によって大きな影響を受けるので、アメリカが原油価格の下落を放置している(p92)
・交易損失(国際貿易において商品の交換比率が変化して起きる損失)は、2005年ころから海外流出となっている。この変動は原油価格との連動性が高い(p98)
・原油と天然ガス価格の下落により2014年には20兆円だった流出所得が、12兆円程度で収まる。この差額の8兆円は、消費税の5%から8%への増税分と同等(p100)
・日本がバブルとは程遠い理由、1)地価は当時のように高くならない、2)人口動態が異なる、しかし金融緩和をやりすぎると起きる可能性がある(p113まで)
・景気の腰を折ってしまいかねないリスク、1)消費税増税前の景気の腰折れ、2)憲法改正にのめりこみ経済を軽視(p127)
・3共済の運用一元化をしている間は、日本株買い、円売りが期待できるが、2016年半ばに目標値に到達する(p133)
・日本の年金制度ができたのは、1961年で当時から年金支給開始時期は60歳であったが当時の平均寿命は68歳、平均支給期間は8年間であった(p142)
・前回の東京五輪の2年前の1962年ころから急激に成長率が伸びて、開幕の3Q前から鈍化が始まっている(p173)
・2016年夏の参議院選挙、2017年4月には消費税増税、2018年3月には黒田日銀総裁の任期満了、2020年東京五輪、の大きなイベントがある(p197)
2015年11月22日作成 -
Posted by ブクログ
①デフレとは:物価が継続的に下落していく経済現象。賃金の下落による物価下落。デフレスパイラル・バブル崩壊=供給>需要
②アベノミクスは:リフレ政策=緩やかで安定的なインフレ上昇。
大胆な金融緩和:中央銀行が市場から国際を購入すること。円高是正・
機動的な財政出動:公共事業への投資=乗数効果・法人税軽減・賃上げなど
成長戦略の3本の矢によって経済成長を促すこと。つまり、インフレ期待によって円安株高を誘導する。
この戦略はアメリカのリーマンショックのときの対応と酷似している。バーナキン議長の金融政策である。
③アベノミクス反対論:金利下がらないから効果がない・十分な金融緩和での円安誘導は・市中にカネが出回らない・公共投資の危険性・財政破綻・バブルリスク
④日本経済復活:株高→企業売上アップ→残業代→ボーナス→ベア・財政再建:基本的財政支出の黒字化・国の名目GDO成長率が長期金利を上回ること。
そのために、法人税の引き下げ・TPPの推進・家計の禁輸資産構成を貯蓄から投資へ -
Posted by ブクログ
■財政
A.日本の国債は、主に国内の保険会社や金融機関が購入し、90%以上が国内で消化されている。そのため、多額の借金を抱えながらも、日本は財政的に安全という評価を得ている。
B.これまで日本の国債が国内で消化されていたのは、国の借金を上回る家計の金融資産があったからである。だが、日本の借金の総額と家計の金融資産の差が年々縮まっている。また
今後は家計の金融資産は減少するとみられる。そうなれば、従来のように家計の資産だけでは国債が消化できなくなる。
C.日本では、少子高齢化で社会保障費の赤字が膨らみ、毎年巨額の国債を発行して帳尻を合わせている。社会保障の抜本改革が進まないと、財政破綻に進みかねない。