アルバム制作に向け音楽活動を深める結束バンド。その中で編曲を担当する事になったひとりは想像以上の難産に苦労しているようで
自宅内の音楽活動であれば、これまで自分のペースで上手く演れていたひとり。けれど取っ掛かりが無いから迷走してしまうのか
そこでまさかの父親が良い助言をしていたね。思えばひとりの音楽
...続きを読む人生は父のギターを借りた時から始まったのだから、音楽経験の転換も父を通してという事になるのか
……その果てに駄目なサラリーマンみたいなファイル名を付けてしまう様子には笑ってしまったけども
意外な展開といえばひとりにまさかの後輩キャラが爆誕。進級時にそういった存在が出来なかったものだから本作では先輩・後輩関係は無縁なのかと。てか、よく見返すと猫々は既に背景で登場していたのか
体育会系の猫々に推し活全力な恵恋奈、どちらもひとりと大きく異なるタイプでしかもバイトが出来るならひとりと共通項を持つなんて有り得ないわけで。それでも猫々が演奏やらを始めたいとの希望を表明した事で少し関わりが生まれたね
まあ、そちらもコミュ力の高い虹夏や喜多に役を奪い取られるのだけど
喜多の方は作詞で苦労しているようで。てっきりいつもの喜多らしく青春要素とか陽キャ要素とか詰めるかと思いきや、本人としてはそれを歌にしたいとは思わないのか
ひとりが作詞した時は好きなように、そして個性を込めて書き上げた。それを思えばここで喜多に求められるのは自身の個性を歌詞に込める事
だから最終的に喜多が書き慣れているSNSを下地にするというのは良いアイディアだったね。…それが陰キャにはヤバい恋愛しているようにしか見えないというのはおかしな話だけれども
そうして始まるレコーディング、自分達がこれまで鳴らしていた音を本格的な音源にするとなれば意外な緊張が襲いかかるのか
ひとりが妙な絶好調を発揮するのを他所に虹夏が不調になるなんてね
そこでバンドメンバーではなく、姉の星歌が手助けするのは姉妹愛を感じられる描写だね。虹夏はバンドにおいて纏め役だからバンドメンバーに悩みを頼れない。だから虹夏が何の遠慮もなく頼れる相手として姉やその仲間が現れるわけだ
年上の経験を吸い込んだ虹夏はバンドの道標として確固たる存在に成ったようで。それでこそ虹夏という印象
姉妹愛を本編で描いた後に描かれるのは虹夏と星歌の過去ですか
このエピソードの概要は1巻時点で言及されていたけど、あの時は虹夏がさらっと語っているだけだったからそこまで印象に残ったわけではなかった。けれどこうして星歌の実感ある体験として描かれた事で姉が与えた愛に虹夏がどれだけの感銘を受けたかが判るようになっているね
価値観の合わない年の離れた妹、それを繋ごうとした母
そんな母の消失を星歌は実感できない。けど母の不在に直面し続けた虹夏は居なくなった母と星歌を繋ぐ存在となるわけか
なら星歌は母の願い通り、繋がれた絆を元に自分と虹夏を世界一仲の良い姉妹にしなければならない。星歌に与えられるものは自分の音楽だけ。それをもっと大きくしようとするならば、虹夏を含め音楽を奏でられる場を作ろうとするわけか…。
こうして作られたスターリーが虹夏がドラムを叩く場所のみならず結束バンドの結成に繋がっていく事を思えば、この番外編はエピソード0と呼べるものだったのかもしれないね