早めに退社できたときは、できるだけ本屋さんへ立ち寄ることにしています。必ず本を購入するということではないんですが、興味のあるコーナーをウロウロするだけでも楽しいですね。
久しぶりに覘いた行きつけの書店で、平積みになっていたこの本に目が留まりました。「1日7時間15分しか働かない」「ホウレンソウ禁止」。ほんとかなー?最近特に「残業」というキーワードに敏感になっていたこともあり迷わず手にとってレジに向かっていました。
著者が設立した未来工業(株)は、「カンブリア宮殿」などTVでもよく紹介されているので知っていましたが、この本を読んでみてあらためて分かったことも多くありました。
本社には、330人の社員に対してコピー機が1台しか設置されていないことや、職場の蛍光灯はすべて引きひもスイッチ式でひもの先には社員の名前付きタグがあることなど、そのどケチぶりは有名ですが、残業禁止から始まって、70歳定年制や年間1,000万円のクラブ活動支援、育児休暇が3年取れることや休みの日は副業OKなど、社員を「人材」ではなく「人財」ととらえ、働く人のやる気を育てることを重要視しているということが、とても新鮮な驚きでした。
さらに印象に残ったのは「第6章:管理するコストはばかにならない」の最初に出てくる、『管理する人間は「あらさがし」を仕事にしてしまう』の話。未来工業(株)社内のエピソードが紹介されていますが、『巷には「管理」と「あらさがし」を勘違いしている管理職は多いのでは?こういう人の人件費こそ削減すべき!』と著者はばっさり切り捨てます。
「管理をしないほうが人は働く」との著者の考えが反映され、未来工業(株)では「常に考える」というスローガンが会社内のあちらこちらに掲げられています。「ホウレンソウ禁止」もその一環、その中で出てくる社員の創意工夫の数々は、素晴らしいと思うものばかりです。読んでいてとても勉強になりました。
成果主義・減点人事があたりまえになってきた今、それとはまったく正反対にある考え方で社員のやる気を引き出し、「常に考える」の未来イズムで創業以来46年赤字を出したことがない著者と未来工業(株)。自分自身の仕事の中身をもっと見直さなければと、痛切に感じさせてくれた一冊でした。