川上和人のレビュー一覧
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今までありそうで(あったかもしれないが)見つけられていなかったテーマ。いろんな分野の先頭を走る研究者が各々愛する論文を語るという、極めて興味深く面白かった本。各々の研究テーマが違うのはもちろん、各々の研究者の感性や語り口がそれぞれ全く違っていたのも面白かった。一般向けに少し噛み砕いてくれている人もいれば、専門用語もりもりで愛が溢れている人もいた。どちらも素晴らしいと思う。いわゆるオタク文化にも通ずるところがあると感じた。専門家から見た「私見を含んだ」サイエンス的エッセイは非常に面白かった。
大学時代を振り返ると、論文を読むのは嫌いではなかったし、面白かったがやはりどこかタスクの一つになっていて -
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2018年刊。そんじょそこらのトリビア本にあらず。あの川上和人プラス専門家2人という執筆陣。そこに鳥好きの漫画家マツダユカが加わっている。
トピックスは83。1トピックあたり見開き2ページ、洒落た解説に4コマのカラー漫画、そして3行のつぶやき。申し分のない構成。
たとえば、「ミミズクのミミは耳じゃない」というトピック。ミミズクのミミのように見えるのは羽角(うかく)。耳は別のところにある。川上センセいわく、「食パンのミミに聴覚的機能がないのと同様に、ミミズクのミミも耳ではありません」。最後には、「そういえば、トトロにもミミがありますが、位置的に耳ではなさそうです」。 -
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噴火によりできた西之島や小笠原諸島の島々での調査、そして著者の日常について。
学者さんの書いた小難しい本だと思っている人、その認識間違ってます。
とにかくユーモアのある文章で綴られているので、フィールドワークや研究について楽しくスルスルと読める。そして、こんなに楽しくサラッと書かれているけど、大発見だったりするからすごい!
著者の言葉のセンスが独特で毎回ツボ。
第四章 「鳥類学者、カッパと戯れる」は特に笑った。単語のひとつひとつが可笑しい。仮説というか妄想というか、まさかカッパの祖先や進化について読むことになるとは。
ユーモアたっぷりの研究者の本はやっぱり面白い。
未知の世界が広がっていて -
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島々を巡る鳥類学者が綴った科学エッセイ、第3弾。
相も変わらず著者の脳内&活動は目まぐるしい様相をしめす。
そんな研究者の日常を、小ネタを交えて綴る。
・はじめに こんにゃくドリフト
第一章 鳥類学者は窮地に笑う
第二章 鳥類学者は偶然を愛し偶然に愛される
第三章 鳥類学者、エデンを夢見る
第四章 鳥類学者、カッパと戯れる
第五章 鳥類学者は屋内でも羽ばたく
・おわりに 鳥類弱者の心得
鳥類学者は今日も頭を巡らせ、行動する。
島を巡る研究の話に、映画やコミックの言葉を投下する。
それでも、ちゃんと鳥類学に戻る、面白真面目なエッセイ。
日本海沿岸の島々では、猫のマシュマロを拾いまくり、
噴火で -
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鳥類の話もあるが、研究の小ネタもいっぱいあって面白い。
西ノ島の研究の話は以前海洋生物で少し聞けたが、この本で鳥類の研究も知れるとは思っていなかったので読めて嬉しかった。鳥類は飛来できるので戦略が異なっていて興味深かった。
アナドリでハワイと日本は地理的隔離はないのにも関わらず、貧栄養海域が障壁となっていたというのが面白い事例だなと思った。
川上さんの研究領域の専門性だけでなく、様々な本や映画が内容に組み込まれていて、表現が好きだなと思った。他の本も読んでみたい。
あと発想の転換や、一見関連がなさそうなものからヒントを得るようなところがすごいなと思い、読みながら感心する箇所が多かった。 -
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あいかわらずめっちゃおもろい、川上先生本
そして、いつ見てもエエシャツ着てますよねぇ
学会でもすんごい目立つ柄のシャツきてるんで、
ちょっと嬉しくなりますねぇ。作業着みたいな人多いんで。
そんなことはともかく、同世代、鳥屋、映画と特撮とアニメその他、
なんせ分野が被り倒しているので、文章悉くツボってきます。
とりあえず、オープニングから現住地の島の話ですし、
たまりませんな。しかも、ラジオも聴いてますがな!!
特にこの前の生き物空想バトル最強対決はめちゃおもろかった。
まあ、そんなことはともかく、
研究者の研究と妄想の面白いところを余すことなく
垂れ流、、いや、シェアしてくださっているところに -
- カート
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試し読み
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絶海の孤島、南硫黄島への二回にわたる実地調査の様子を描くエッセイ。筆者の軽妙な語り口で愉快な道中のように錯覚してしまうが、状況を想像するとだいぶハードであったことがうかがえる。
現地の調査の様子が描かれているのはは2007年と17年の二回。四半世紀ぶりの調査となり、ルート構築や外来種問題などへの配慮など手探りな状況で行われた初回の調査、ノウハウが溜まりある程度洗練された工程と10年の間に発展したテクノロジーにより新たな発見も生まれた二回目の調査はどちらも面白い。
次回の調査は2027年だろうか。どのような新しい発見があるのか楽しみだ。ライブ配信とかされないかな。通信の関係で無理か。