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絶海の孤島、南硫黄島。本州から南に1200kmの場所にあり、その開闢以来人類が2度しか上陸したことのない、原生の生態系が残る奇跡の島である。 本書は、その島に特別なミッションを受けて挑む研究者たち(主に鳥類学者)の姿を、臨場感あふれる筆致で描く冒険小説であるとともに、進化や生態についての研究成果報告書でもある。 襲い来るサメ!崩れ落ちるガケ!降り注ぐトリ!噛みつくコウモリ!大気がハエ!(サメ以外は本当です)。抱腹絶倒空前絶後の科学エッセイがここに誕生。
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Posted by ブクログ
絶海の孤島、南硫黄島への二回にわたる実地調査の様子を描くエッセイ。筆者の軽妙な語り口で愉快な道中のように錯覚してしまうが、状況を想像するとだいぶハードであったことがうかがえる。 現地の調査の様子が描かれているのはは2007年と17年の二回。四半世紀ぶりの調査となり、ルート構築や外来種問題などへの配慮...続きを読むなど手探りな状況で行われた初回の調査、ノウハウが溜まりある程度洗練された工程と10年の間に発展したテクノロジーにより新たな発見も生まれた二回目の調査はどちらも面白い。 次回の調査は2027年だろうか。どのような新しい発見があるのか楽しみだ。ライブ配信とかされないかな。通信の関係で無理か。
太平洋に浮かぶ南硫黄島、国内に残された貴重な秘境。10年一度の研究上陸。鳥類学者が体験した濃密な体験。 海からそびえ立ち人の登る海浜のない孤島。外来生物の侵入のない生態を研究する。 世の中、探せばまだまだ研究のタネは沢山あることを教えてくれる。筆者は2回参加。10年後の3回目は年齢的にギリギリ間...続きを読むに合うか。 ドローンで振り返ると見つからなかった海鳥が確認でき、まだまだ筆者の好奇心をくすぐっているようだ。 冒険譚と専門的な話のバランスが絶妙、学問の面白さも伝えてくれる盛りだくさんな一冊。
絶海の孤・南硫黄島での調査の様子を楽しく伝えてくれる本。表紙からしてユニーク。 「鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ」もそうでしたが、難しい内容もジョークを交えながらかなり砕いて(ときには砕けすぎるところもあるけどそこは愛嬌で)説明してくれるので、どんどん読み進めてしまいます。 孤島での調査な...続きを読むんて過酷だろうに、その中で些細な楽しみを見つける筆者を含めた研究者の皆さんのバイタリティがすごい。過酷なフィールドワークをする方々に頭が下がります。
南硫黄島は人間の侵入を拒む、絶海の孤島。 だからこその原生状態の生態系が残る、場所。 そんな島での調査と研究の日々は、あまりにも壮絶だった。 ・南硫黄島の地図 ・横から見た図 ・各島との位置関係 ・はじめに 第一部 探検・はじめまして 第二部 熟考・ここが天王山 第三部 灼熱・宴もたけなわ ・あとが...続きを読むき 鳥類学者が綴った科学エッセイは、冒険譚でもある。 小笠原諸島よりも硫黄島よりも更に南に位置する、南硫黄島。 集うのは鳥類・植物・昆虫・陸産貝類・哺乳類・ 海洋生物・地質等の専門家・・・だけでなく、 プロのダイバーや山岳サポートも含めての隊員たち。 僅かな海岸に上陸&荷揚げをし、 大きな石が転がる死の廊下と垂壁をクライミングは 落石と足元の崩れる土砂。巣穴だらけの山頂までの行程と、 難行苦行の連続。しかも山頂では多くの鳥の死体と無数のハエ。 それで終わりかと思っていたら、10年後の調査隊にも 名を連ねているではないの~。しかも更に10年後にも行きたい? 研究者魂というか・・・噛まれると痛い、痛いけど嬉しいだもの。 カフェ・パラディッソの理想と現実には笑っていまったけど、 調査自体の話には目から鱗。特に10年の経過は、島自体の 変化と生物たちの状況が真面目に語られていました。 特に、海鳥を媒介して増加する外来植物の逞しいこと。 更に、ドローンの威力も時間の経過を感じさせられました。 新しい事実もあり、島のことはまだまだわかっていないと 確信し、これからも研究は終わることがないと語る。 果たして10年後はどうなっているのか?行くよね、絶対。
安定の面白さ。やっぱりハズレないわ。 南硫黄島でのそれはそれは過酷な調査を、いつもの調子でちゃかしたりしながら語る。オプティミスティックというか、ちゃかすことによって、祓いがおこなわれているような(笑)。きっと川上先生はマーシアン移民適正テストで簡単に合格しそうなキャラクタだと思う。ドMなフィールド...続きを読む系研究者の嫉妬心を煽る、たまらない書籍である。 鳥類標識調査や標本についてもわかりやすく完結に触れられていてとてもありがたいる。まったく温度調節できるもののない場所での腐敗しやすい標本ってどうするんか?、化学系の薬品?とか思っていたら、なんと塩漬、まあ汎用性高いですし、なんせ安全ですし、なるほどなぁ、、と。普段恵まれた環境での調査しかしていないので、ほんとにAWE。 トリダカラダイジョウブ、トリダカラダイジョウブ
南硫黄島での調査の様子が面白おかしく書かれていて、楽しかった。パラパラマンガも面白かった。何度か調査を行っていても、分からないことはまだ出てくるようで、研究に終わりはないのだなぁと思った。
あぜやんリリース 最近、旅本にハマっていて、この本も冒険心をくすぐる面白本。 鳥類研究者の著者が南硫黄島に研究と冒険の旅に出るお話。 著者の文章が面白くて、楽しく読ませてくれる。 研究者の本っていうと難しいという印象だが、本書はめっちゃ面白い。
フィールド調査の内容を面白おかしく分かりやすく書かれている エッセイとしても楽しいが、調査結果の考察も面白かった 外来種の生態系へ及ぼす影響については直接的な影響のみならず間接的な影響まで含めて考える必要があり一筋縄ではいかない 生態系エンジニアという概念を知ることができた 食物連鎖における生産...続きを読む者、消費者、分解者という役割以外に環境自体を作り出すという考え方はビジネスにも転用てきそう
丸山ゴンザレスとか高野秀行氏の文章を彷彿とさせるようなコミカルなタッチで、冒険譚と研究話が楽しめる二度も三度も美味しい本。南硫黄島という日本人の99%以上が踏み入ったこともない無人島で鳥類の生態研究をするという話。若干、悪乗りというかウケ狙いの箇所はあるが、それは本を楽しくするためのご愛敬。 ー ...続きを読む場所によって繁殖する種類が異なっていた。海岸ではカツオドリやアカオネッタイチョウ、オナガミズナギドリが繁殖していた。標高500mには彼らはおらず、代わりにシロハラミズナギドリがいた。そして山頂ではクロウミツバメが見つかった。 ー この標高による違いの背景にある条件を考えてみる。すると、彼らの体重と標高に関係があることに気づく。海岸にいるカツオドリは1・5kgにもなる大きな鳥だ。アカオネッタイチョウは1kg弱、オナガミズナギドリは400g弱だ。コルを中心に分布していたシロハラミズナギドリは200gちょい、山頂のクロウミツバメは約50gだ。つまり軽い鳥ほど高いところにいるのだ。 この文章だけ記載すると大真面目に研究・考察している感じがする(実際、そうなのだろうが)。しかし、急峻を上ったり野営をしたりとドタバタ劇が続く。標本を採るために鳥の死骸を運んだりもする。 ー 海鳥はストレスに触らされると、胃の中にあるものを吐き出すことがある。 臭いらしい。そして、著者は、良く嘔吐物をかぶるのだ。漂流記などのサバイバル本と比べると呑気な感じもするが、この本にはそれを期待するものではない。寧ろ肩の力を抜いて、半分アカデミック半分エンタメの雰囲気を楽しむ姿勢が良いのだろう。
鳥類学者の著者が、小笠原諸島の更に南の無人島である南硫黄島の自然環境調査隊に参加した一部始終を纏めた1冊。著者の作品に触れるのは3冊目です。 個人的に、島への憧れのようなものは持っているのですが、火山列島のような絶海の孤島感のある島(まぁ列島なんで孤島じゃないですが)はちょっと怖さの方が先に立ちます...続きを読むね。。 さて本著、著者の軽妙な語りにはより磨きがかかり、純粋に娯楽として楽しめる1冊に仕上がっています。 まず、「鳥類学者」に抱くイメージとお茶目な文体のギャップ。挟まれる写真やイラスト。「ちょっと脚色」された文章(どの程度なんでしょうね(笑 等々。 「読むぞ!」とスイッチを入れていなくてもすーっと入ってくる文章で、1章も短めなので、寝る前にちょっと読むのにピッタリです。 そして、娯楽と言いながらも単に笑えるという意味の面白さだけでなく、知的側面で考えさせられる面白さも備えているのが良いところ。 鳥類学者としての匠の目が存分に発揮され、元有人島であった北硫黄島を「南硫黄島のパラレルワールドなのだ。もしも南硫黄島に人が住んだらどんな世界になるのか。そんな運命の分岐点の反対側を見せてくれる島だ。」と表現するのは思考の深さを感じさせます。 無人島に調査隊が踏み入れることを「自然に対してインパクトを与えながら、そのマイナス以上の成果を出さなくてはならない」と評したのも、なかなか研ぎ澄まされた言葉でカッコ良いなぁ!と感じました。 鳥好きだけでなく、島好きや旅好きにもオススメできる1冊です。 しかし、南硫黄島とまでの贅沢は言わず、その手前の小笠原諸島まででも旅行に行ければ良いんですが、ハードル結構高いんですよね。。同じ「都内」なのになぁ。。
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無人島、研究と冒険、半分半分。
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川上和人
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そもそも島に進化あり
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鳥類学者の半分は、鳥類学ではできてない
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鳥類のデザイン――骨格・筋肉が語る生態と進化
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