読んだあと
これほど放心し
心揺さぶられた作品は
久しくなかったように思います。
しかも読み終わった後すぐさま
また読みたくなる、
なんとも言えない
深い余韻と吸引力がハンパないし(汗)
どこか外国の作家が描いたような、
誰にも真似のできない
スタイリッシュで個性的な絵柄。
時間軸をずらし
緻密に作られたストーリー。
まるで映画を観ているかのような
お洒落で含蓄のある
セリフ。
ただ、説明的ではないし、
読む人それぞれの感性に委ねる部分が大きい漫画なので、
そこが評価の分かれ目かな。
ラストシーンから始まる構成で、
読者は初めに
結末を見せられるだけに、
なんともやりきれなく物悲しい気分を背負いながら
その先を読み進めることになります。
その複雑な生い立ちから
家族に愛されなかった主人公のイアンは、
幼少の頃に
生き別れになった姉を捜して放浪する。
その中で出会う
様々な人々との交流。
しかし運にもツキにも
とことん見放されていたイアンは、
思いとは裏腹に
不幸のスパイラルから
なかなか抜け出すことができない。
イアンが望んだものは、
身近な人から
愛して愛される関係性と、
家族や好きな人の
手のひらが傍にある
当たり前の生活。
ただそれだけなのに、
悪い偶然が次から次へと重なり
イアンがたどる悲劇的な人生と、
あまりにも理不尽な最期が
どうにもやりきれなくて
激しく胸を打ちます(≧∇≦)
そして物語はさかのぼり、
読者はイアンが信じて追いかけ続けていた『希望』が
何であったのを知ることになるのです。
悲劇的な結末で終わったイアンの人生だったけど、
それは果たして
本当に悲しい人生だったのかな?
当たり前のシンプルな幸せこそが
本当は最も
手にすることが難しい。
けれども
イアンが特別に不幸の星の下に生まれたわけではなく、
誰の人生も実は
not simpleであり、
不幸だと思う人生の中にも
気付かないところで
誰かの幸せが隠れている。
最後まで希望を持って
生き抜いたイアンは、
例え結末がどうであれ
それは悔いのない人生だったと
自分は思いたいです。
救いのないストーリーなのに
どこかあたたかな光を感じられるのも、
オノ・ナツメさんだからこその
得難い魅力だと思う。