マイクル・コーニイのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夏休みに読みたい小説、として紹介できる本を探していた時に評判が良い本書を発見しました。
タイトルに「夏」とあること、SF小説でありながら少年の恋愛や成長をテーマとした比較的ライトな小説であることを知り、手に取りました。
政府高官の息子であるドローヴは、戦争中という特殊な状況かでありながら父の権威による恩恵を受けています。夏には別荘地へ家族旅行をする余裕すらあるのです(もっとも、周囲とは違うのだ、という両親の姿勢に反感を抱いてはいるのですが)。
しかし、ドローヴは夏の旅行を楽しみにしていました。昨年の夏、別荘のある港町パラーシクで出会った少女ブラウンアイズと再開できるかもしれない、と淡い期待を -
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名作と名高いSF。SFでもあり青春小説でもあり、最後のシーンはミステリのようでよく考えられた小説だと思った。
粘流(グルーム)、死の星ラックス、寒さへの本能的な恐怖心、感応力の動物ロリン、氷魔アイスデビル。いわゆる4letter wordsの代わりに「凍る」系の単語が下品な単語とされていたり、設定が独特。
後半はSFというより、ただの少し身分の違うブラウンアイズとの青春小説、最後の方はフェンスで隔てられ寒さによる死が定まった少女で、なんか戦時中のようで読んでいられなかった。
最後の最後が抽象的な終わりだったので、続編も読んでみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
本書は1975年に執筆されたSF青春ストーリーの古典的名作。
本書を知ったのは、読書好きな人には有名な作品である「文学少年少女あるある」を面白可笑しく描いたギャグ漫画『バーナード嬢曰く1巻』で取り上げられていたからだ。
『バーナード嬢曰く』は“名著礼賛ギャグ漫画”とも言われており、その中の主要登場人物であり大のSFマニアの神林しおり嬢が本書『ハローサマー、グッドバイ』を「SF史上屈指の青春恋愛小説」として激推しているのだ。
本書は、ある星に住む人間と同じ姿かたちをした少年少女たちの恋愛を主題にした小説なのだが、SFとはいうものの、地球以外の星を舞台にしたということと、ちょっと変わった動物が -
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ネタバレ一応ハローサマー、グッドバイの続編。前作の主人公たちは今作では神話上の人物として出てくる(ネタバレだけど、本作の主人公のハーディとチャームは、ぞれぞれ前作のドローヴとブラウンアイズの子孫)。
やっぱり前作と同じで少年少女の成長と恋が描かれてるけど、今回は後半からミステリ的な要素もある。
終盤、「舞台となる星は大凍結と呼ばれる氷河期に向かっており、大凍結をどうやって乗り越えないと人類は絶滅してしまうので、大凍結を回避するために方法を探す」という展開は前作と同じ。しかし、ここで前作のラストの「ネタばらし」がされる(正直私は前作のラストは意味がわからなかったけど、今作を読んで納得した)。
ハローサマ -
Posted by ブクログ
ネタバレこの表紙とタイトル、裏表紙のあらすじから、少年のひと夏の恋と成長を描いた話だと思っていました。
SFという部分についてはタイムスリップかなぁと安易に想像していたのですが、見事に裏切られました。
否、確かに途中までは少年のよくあるバカンスでの恋物語でした。それが後半の後半に様相が変わり、一気にSF色が強くなりました。そして確かに“どんでん返し”の結末でした。
ただ、主人公のドローヴという少年の思春期によくあるであろう親や権力への反発は理解出来ますが、いずれ彼が成長して反発の対象であった親や権力に対して何らかの折り合いをつけていくだろうと思っていたので、ドローヴが大して変わることなく物語が終わ -
Posted by ブクログ
青春恋愛SFというキャッチフレーズに誘われて。
読み終わってみて、今一つだったかな~。もはや甘酸っぱい十代の恋愛に共感できる齢でもなくなってしまったのか…。
思春期真っ只中の自意識と自尊心を盛った一人称に共感出来ず。
主人公の両親等、鼻持ちならない人物は多数いるも、主人公もその一人に思えてならない。
フェンスの内と外に恋人と隔てられて、「夜は心地いい寝台で暖かく一夜を眠ってから」朝になって日課の如く恋人との逢瀬を重ねるとか何なん?恋愛部分は何か陰キャ男子の妄想爆発的な男にとっての都合よさ。40年以上前の作品とは言え…。
ラストは安易なハッピーでもただ苦いだけのバッドでもなく、祈念するかのような