宇都宮直子のレビュー一覧
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インタビューの相手が4人くらいしかいないのはSNSなどで女のコ(前編カタカナの「コ」)たちにコンタクトをとろうにも、スルーされたため。でもわりと深く話を聞いているようなので4人の話からでも実態が十分掴めるところはある。インタビューされていたYOUTUBERの「あおいちゃん」など情報発信している人が多いので、歌舞伎町のホスト遊びとはどういうものなのかということは、実は本を読まなくてもだいたいはわかる。
が、遊んでいる(数千万以上使うことを「遊び」と言っていいのかどうかは別として)人自らが、「歌舞伎町は薄いベールで何重にも覆われていて、私はその外に出てから初めて気がついた」という表現を使ってあの -
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三國連太郎と言えば「釣りバカ日誌」のスーさん、アパレルブランドのパパスのモデルなんかもやっていた好々爺のイメージ。
しかし本を読むととんでも無い。貧困の幼少期。親父に殴られ家出をしてそのまま中国へ密航し放浪生活。徴兵されても終始反戦、厭戦的行動。戦後帰国して映画デビューするも5社協定を平気で破りしばらく業界から干される。私生活では取っ替え引っ替えの女性遍歴。監督との衝突は屁とも思わず、自分の演技哲学を曲げない頑固者。などなど、いい意味で自由な生き方を貫いた人だが、強烈なエゴイスト。
しかし周りは迷惑だったろうなぁ。過去の雑誌インタビューでも言うことが食い違い、どこまでが本当か嘘なのか分からな -
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売る方も買う方も、社会の価値観や小狡い物語に洗脳され、互いに価値を交換するほどに搾取されていく。ホストはそうした構造の「出し子」を担い、溺れる客は振込詐欺の老人被害者と同様の図式だ。詐術的なロマンス詐欺の部分(性欲)と、応援消費(認知欲、利他的欲求)、顕示的消費(承認欲求)が絡み合い、付かず離れずの距離感でゲーム性を付与し、課金によって得られる報酬体験が依存性まで齎す。
多分、こんな構図かなと思うが、これだけ色々あるという事は、私たちも常に被害者になりかねないという事。自分は大丈夫、という人は、その環境に身を置いていないだけとも言える。環境に身を置かない自信は確かなものではあるが、怖いのは友 -
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自殺未遂事件、人妻、ユーチューバー…
ホストという金銭と飲酒の絡んだ疑似恋愛。
ホストに金を払う女性たちにとって、それはとても楽しそうだ。
だから、住む世界が違うな、と感じてしまう。
お姫様になりたい、誰かの特別になりたい、そんな思いは特別な人だけが持っているものではない。
担当のために何百万も使いたい、とか、一番にしたい、というのはなんとなく理解はできる。
私にも推しがいるからだ。
その違いは些末なのだろうが、私自身は、支えさせられるのはごめん被りたい……。
彼女たちが「沼る」のは簡単にいうなら承認欲求の問題だ。
支払った分の見返りがあるのが当たり前…なんだか薄氷の上にいるような居心地の悪い -
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歌舞伎町でのホスト刺傷事件から始まるノンフィクション。著者自ら歌舞伎町のアパホテルに住み、歌舞伎町の「内部」から、ホストの彼ら、ホス狂の彼女らを取材する。
しかし時には一晩で100万以上の大金を使い、たとえ喧嘩をしてもホストと姫という関係であれば、お金で関係は修復できる、時には刺されたことさえも売上のためにネタにする──という彼ら彼女らは、歌舞伎町とは物理的にも精神的にもかけ離れた私からは理解し難いものだった。
最終章に出てくる「エリカ」は語る。「歌舞伎町って、町全体にベリーダンスのベールみたいな薄い布が、2枚も3枚も覆ってるみたい」
たしかに、外にいては何となく「歌舞伎町」のイメージは掴めて