あらすじ
「頂き女子」に迫った衝撃ノンフィクション!
複数の男性から総額約1億5千万円を騙し取った上、そのマニュアルを販売し逮捕された「頂き女子りりちゃん」に迫った本作に大絶賛の声続々!
◎町田そのこさん
彼女が奪う側に戻らない道を考える。読んでいるときも、読み終えたいまも。
◎橘玲さん
すべてウソで塗り固められた詐欺師
家族や社会から傷つけられた犠牲者
彼女はいったい何者なのか?
―選考委員激賞!第31回小学館ノンフィクション大賞受賞作―
◎酒井順子さん
りりちゃんの孤独、そして騙された男性の孤独に迫るうちに、著者もりりちゃんに惹かれて行く様子がスリリング。都会の孤独や過剰な推し活、犯罪が持つ吸引力など、現代ならではの問題がテーマが浮かび上がって来る。
◎森健さん
今日的なテーマと高い熱量。とくに拘置所のある名古屋に部屋を借りてまで被告人への面会取材を重ねる熱量は異様。作品としての力がある。
◎河合香織さん
書き手の冷静な視点とパッションの両者がある。渡邊被告がなぜ“りりちゃん”になったかに迫るうちに著者自身もまた、“りりちゃん”という沼に陥り、客観的な視点を失っていく心の軌跡が描かれているのが興味深い。
(底本2025年7月発売作品)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
事件に関しては、その人の性別や年齢、生活環境によって、それぞれ違う感情を抱くと思う。
りりちゃん自身の、りりちゃんだけの気持ち、というのが最後まで誰にもわからず、なんなら本人もよくわかってないのだろうと思った。
彼女の言動は毎回、誰かが求めた(求めていると思う)モノを、彼女なりに受け取り、体現しているだけのような気がする。
私が全部悪いわけじゃないと思うなら、それを突き通して欲しいとも思うのに、周囲の求めに応える言動はそうじゃない、ということだけはなぜか感じるから、その都度コロコロ変わっていく。変えざるを得ない。そうじゃないと自分が保てない。そんな印象を受けた。
Posted by ブクログ
ページを進めるほどりりちゃんはつかみどころがなくなっていく。そんな感じがする。
りりちゃんはめちゃくちゃ優秀な子だと思う。マニュアルは接客や営業の勘所をおさえていて詐欺ではなくビジネスに適用しても上手くいっただろうし、人の感情の機微を捉える天性の上手さもある。冒頭、不覚にも彼女を魅力的な人物と捉えてしまう。ただ読み進めていく中で、罪の意識の薄さや被害者への罪悪感のなさが明らかになるにつれ、彼女のことがよく分からなくなる。りりちゃんを演じているようでもあり、脊髄反射的なコミュニケーションをしているだけのようでもある。
詐欺は悪いことだし、事件自体は孤独や疎外感を持った人たちの不運な出会いによるものだと思うし、彼女たちの詐欺行為も生きるためにやったことだとも読めなくはない。でもなんか理解としては薄っぺらい。木嶋佳苗やりりちゃんのようなモンスター級のひとたらしがいることは確かなようだ。
Posted by ブクログ
前に世間を騒がせた頂き女子・りりちゃん。逮捕までは知っていたものの、その後がどうなったのか気になって本書を手に取りました。
読み進めていく中で強く感じたのは、りりちゃん自身に反省の色がほとんど見えないという点です。自分を義賊のような存在だと思い込み、都合よく正当化している姿は、まさに“詐欺師”そのものだと痛感しました。
一方で、取材する筆者の心情の揺れ動きも丁寧に描かれています。序盤ではりりちゃんの独特の魅力に半ば取り込まれてしまう様子があり、終盤では距離を取りながらも冷静に向き合う姿勢へと変化していく。その対比が非常に印象的でした。
そして結局、りりちゃんという人物を生んでしまったのは、彼女自身だけでなく、彼女を持ち上げ、消費し、騒ぎ立てた“社会そのもの”なのだと感じさせられます。
読後には、個人の問題だけでは片づけられない、現代の歪みが静かに残る一冊でした。
Posted by ブクログ
凄い本だった。「面白かった」と言うのは不謹慎かもしれないが、全く飽きずに最後まで引き込まれた。
こういう犯罪を取材したノンフィクションを初めて読んだからでもあるけれど、ずっと見たことがないものを見ている、読んだことがないものを読んでいるという感覚が鮮烈にあった。
「事実は小説よりも奇なり」を地で行っている。
Posted by ブクログ
著者が異様なまでに、「りりちゃん」に迫っていく姿にある種の熱狂性を感じた。(著者自身の中では)被害者の声を聞くまでは、彼女の味方でいたい、と思っていたのではないだろうか?
彼女を崇拝するコミュニティが存在していたことに驚かされた。
「りりちゃん」という創られた偶像の型から抜け出せず、渡邊被告自身がモンスターになってしまったようにも見てとれる。
ホス狂いの結果、彼らから身を守りながら戦う方法を見つけたヒーローであり、自分たちが被害者なのだから(その補償として)お金を「頂く」のは当然というように、詐欺自体の被害者を覆い隠しつつも、世間の声(関心)を少しでも動かしたのが「りりちゃん」の功績だと思われる。
等身大の被告とは違って、巨大化し続け人々を熱狂の渦に巻き込む「魅力」は恐怖でしかない。ホラー小説では味わえない。
Posted by ブクログ
自分に振り向いてほしい、自分に執着してほしいという思いや、おぢたちへの処罰感情で罪が確定するまで、被害者への謝罪や罪の意識がなかったりりちゃん。
前半はプロの記者、ノンフィクションライターとして、りりちゃんに取り込まれ、いつのまにか客観性を失っていく過程があり、被害者の取材を通して、俯瞰してこの事件をぶんせきしていて、ノンフィクションとしてとてもよかったです。
Posted by ブクログ
おぢ=金出して若い女と性的関係になろうとする勘違いジジイ
という偏見が私たちの中にある
主語がでかかったですね!
そういう偏見が私の中にはあった
それは日本の性犯罪の高さやらSNSでの弱者男性の振る舞いにとか、男性自身が女性に形成させたもの、と言えばそれはそうなんだけど……
とにかく、そういう考えのある人は読んだ方がいい
本書は小説ではなくルポタージュなので、結論はみんなが知る通り、りりちゃんは懲役刑になっているし救いは全くない
それでも、読んで良かったし読んで欲しい本だなと思う
Posted by ブクログ
本書を最後まで読んで、りりちゃんは結局自分の犯した罪について本当の意味で理解して反省はしていないのかなと感じた。
自分の行いに対しての対価に被害者からお金を貰ったという感覚しかないのだと思う。
ホストで売春を斡旋されそこで稼いだお金でまたホストに貢ぐ、りりちゃんはホストたちと同じことを被害者の方にしている。
違いとしてはりりちゃんはホストたちに酷い扱いをされてもお金を貢ぐ。
でもりりちゃんは被害者に甘い言葉を吐き奨んで助けてあげたい、お金はなくなるけどこの子を助けて良かったと思わせるため必要なら肉体関係も持つ。
嘘をついて、結婚や同棲、将来を匂わせ金銭を騙し取っているので犯罪であることは間違いないが彼女の中では、でも貴方も美味しい思いしたんでしょ?その対価にお金をもらって何が悪いの?の気持ちが凄く強いように感じた。
本書の終盤では支援してくれた弁護士の方や活動家の人たちの手を自分から離しさらに言えば彼らの気持ちを踏みじるような結末になってしまったように思う。
りりちゃんの境遇は同情に値する点も多々あり、手を差し伸べてくれる大人がいなかったことがこの事件に繋がって行ったと思うが結局は自分次第なのだなと思った。
更生するためには正しく導いてくれる人の手を取らなければいけないと思う。
Posted by ブクログ
人は手に入らなかったもので出来ているとはまさにこの事では、と思ってしまう彼女の半生。そしてパーソナル・イズ・ポリティカルを実感する。
作者は最初彼女に魅了されていくが、詐欺被害者と会う事でライターとしての本分に気がつく、心の揺れ動きが絶妙でした。本の構成としてもグッと転換してブーストかかって面白くなるのがグッド。
最近ノンフィクションやルポルタージュが面白い!
Posted by ブクログ
りりちゃん寄りに熱が入ってしまっている自覚を含めて、詳細に書かれていてとても面白かった。
犯罪者になってしまった彼女だけでなく、彼女に関わる人たちや被害者にもインタビューしており、それぞれの立場での考えが聞けてよかった。
勝手な憶測ではあるが、愛着障害によってアイデンティティの欠如が生じているのではないかと思った。
他者からの評価を通してしか自分を理解できず、好意的な言葉を自分そのものと捉える一方で、否定的な評価には耳を塞いできたのではないか。
その結果、「自分の罪が何か」を自分自身で導き出すことができないのでは…。
虐待が及ぼす影響は本当に根深い。
とはいえ、到底擁護できない話ではある。
Posted by ブクログ
事件は知っていたが、日常のニュースに紛れて、「ホスト遊びがしたくて詐欺をした女の子の事件」というざっくりとした事だけ。
こうした取材内容をどこまで信じるかにもよるけど、リリちゃんはちゃんといろいろ考えてる子なんだな。ただ、善悪がわからなかっただけ。そう捉えてしまった。今は何を考えているのかも気になるところ。
Posted by ブクログ
発信力はあるし、崇拝者もたくさんいて、これだけ騒がれる事件になったりで、特定の才はあるのだろうなと思う反面、
犬で例えられてようやく詐欺が悪いことであるとわかったなどと発言していたり、被害者を個人として見れないと狼狽えていたり、困った時(混乱時?)は過呼吸になるなど、境界知能っぽい判断力の無さを感じる。
期待していたより内容は薄かったが、母親との確執は知らなかった話もあり良かった。母親とりりちゃんが似ていて、第1に人に好かれるように行動するというのが面白い。また、気づけば著者もりりちゃんに取り込まれているのも面白かった。
被害者は結婚詐欺のようなもので額が額なだけに気の毒ではあるが、それでもそこまでの額を数回会っただけの人間に、好きとはいえ渡してしまうのはなかなか私には理解が難しい。
チラッとだが、コレコレ氏も著者のインタビューを受けてコメントしていた。
Posted by ブクログ
頂き女子りりちゃんは一体何を考え、なぜ詐欺をしたのか、を取材した記者によるノンフィクション。
ノンフィクションなのに読み応えがあった。
事件自体はもちろん知っていたが、渡邊受刑者(りりちゃん)についてはよく知らなかった。
彼女との面会や手紙のやり取り、周辺にいる歌舞伎町関係者や母親、詐欺被害者の男性への取材を通してりりちゃんに迫っていくという内容。
途中、取材のはずが気付けばりりちゃんにのめり込んでしまう記者の姿がリアルだった。
私が感じたのは、りりちゃんというのは中身のない人間だったんだろうなということ。
だからこそホストクラブにお金を注ぎ込み、女の子達に尊敬されることでしか、自分を肯定することができなかった。
それがエスカレートして詐欺に繋がっても、それしか生きる術を知らないから罪悪感もない。
被害者がこの本を読んだらさぞ辛いだろうな、と…。
刑が下されてなお罪の意識がないところにぞっとした。
ただ、この本を読むとりりちゃんという存在がある意味異質ではない世界が存在しているということもよく分かる。
だからこそ彼女の詐欺マニュアルがたくさんの人に共有されたわけだ。
彼女が生きた世界、そして今も存在しているそんな界隈の人達を、知らず見て見ぬふりをしていいわけがない。
りりちゃんという人間を通してそうした社会問題についても考えさせられた。
Posted by ブクログ
紡がれる言葉だけを信じていたら、真実には辿り着けないんじゃないかと。りりちゃんのような子たちに必要なのは愛でもお金でもなく、まともなカウンセリングやセラピーによる気づきだと感じてる。(過去を洗いざらい話させたり、薬だけで改善する代物ではなく)
複雑性PTSDやトラウマを解消せずに彼ら彼女らの言葉を信用しても意味がないよ。生き延びるために必要だったスキルが犯罪に役立ってしまっただけ。それらを断罪しても意味がない。してしまったことの反省をさせるのもナンセンス。サバイヴするためにやっていることを反省させるなんて、シマウマを食べたライオンになぜ草食動物を殺したんですか?と聞いてるようなもの。
自分が過去にされたこと、その出来事への解釈、そこから身につけた生き延びるためのスキル、今現在は過去とは異なること、そのスキルを使うか別のスキルを身につけるかを今は選べること、順を追って思い出し、気づいていく中で、やっと本心が出てきて、新しい人生を歩めるんだから。
加害者と被害者は紙一重だね。片方だけに属してる人間なんて居ないんだし。親から愛情を与えられなかったと嘆いても現状は変わらない。親から自分の望む愛され方をしてもらえる人の方が少ないもの。自分は何で満たされて、どの状態ではどの程度それらが必要なのか、ひとつの事柄で満たされるのか、はたまた掛け合わせで満たされるのか、生きる中でその程度を模索して、常に自分で自分を満たしてあげる努力をし続けないと、この事件の加害者にも被害者にもなってしまうんじゃないかなあ。自分の人生に対して受け身になった瞬間から、他者につけ込まれる隙が生じる気がしてる。
最近小説ばかり読んでいたから綺麗に終わる物語に慣れてしまっていたけど、現実なんて混沌そのものだよね。めでたしめでたし、悪者はいなくなりました、なんてことの方が珍しくて。
朝井リョウさんが購入してたのをYouTubeで見たのがきっかけで購入した本だったけど、とてもよかった。
りりちゃんみたいな子を理解したいのなら、ポリヴェーガル理論、副交感神経・交感神経、複雑性PTSD、低血糖症、各種人格障害のことは勉強すると少しわかりやすくなるかも。
嘆かわしいのはマスメディア側がそれらの勉強が追いついていないこと。勉強していれば「なぜこんなに発言がコロコロ変わるのか?」「なぜここでこのような発言をしてしまうのか理解できない…」など頓珍漢なコメントは減るかと。彼らは何年も前に受けた傷が膿んだ状態で生きてる。それを刺激してくるものがあれば過剰に反応し、一般人が理解できない言動をする、それだけ。
人は各々の家庭で連綿と受け継がれる呪い(〜であるべきという思い込み)を自分の代で昇華することを目的に生きてるとさえ感じられるな〜。親子愛、なんて世間は美しいもののように語るけど、そこにあるのは同じ呪いに縛られた共同体で、どれだけ自分で自分を癒せるかによって、子の代、孫の代が楽になるかのゲームのような気がしてる。
まとまらなくなってきたのでここまで。
とにかく、理解したいなら人体の勉強、脳の勉強は必須。RASとか知ると自分の人生も楽になるので。
Posted by ブクログ
私は憤りを感じた。
誰が悪いのか?
私は社会だと思う。
すべての人間が加担しているのだと思う。
私はりりちゃんのいた世界をほんの少しだけ覗いたことがあるので、この本に書いてあることに目新しさを感じない。
この世界で当たり前のように生きている誰かの息遣いを知っている。
この世界をただ檻の中だと思い、無邪気に面白いと思うだけで本を閉じる人間を、私は軽蔑する。
この事件を機に、ホストクラブへの規制が厳しくなった。
それで本当に良くなったの?
んなわけない。
またホストとホス狂いとおじを生むことは変わらない。
りりちゃんがいなくなった歌舞伎町はりりちゃんがいなくなっただけの歌舞伎町で、今日も誰かの埋まらない寂しさを誰かが食いものにしている。
このくるくる回るだけの世界を、社会は止めなければならないと思う。
この本はきっとこの世界も我々の生きる社会も変えない。
でもこの本を読んだ誰かの気持ちを変えてくれたらいいなと思う。
Posted by ブクログ
著者自身がちょっとずつ肩入れしていく様子が面白かった
そうさせる魅力があるって事なのか
みんなでりりちゃんを作ったって話があったがそれがよく理解できた
結局何が悪くて何が罪なのかが曖昧な気がする
ただりりちゃんのフォロワーや周辺の人々は責任はあると思う(というか社会全体も悪い様な気がしてきた)
友人がいないって謙遜ではなく事実ってことか
Posted by ブクログ
愛とは、与えられるものではなく、
欠けた部分にしみ込む“渇き”そのものではないか。
”頂き女子”として世間から注目を集めた一人の女性”頂き女子”りりちゃんこと渡邊真衣被告、彼女はいったい何故事件を起こしてしまったのか……。
本書は、そんな人間の奥に潜む欲求を、
静かでありながら切実な筆致で描き出した物語だ。
登場人物たちは皆、何かを求めている。
癒し、承認、記憶、触れられること、あるいは許されること。
その渇きは荒々しいものではなく、
乾いた大地がゆっくりと水を吸い込むように、
ひっそりと、しかしどうしようもない強さでこちらの心を揺さぶってくる。
本作が優れているのは、
「愛」と「依存」の境界線を曖昧にしながら、
それでもなお人間が誰かを求めずにはいられない理由を…。淡く、そして容赦なく描いているところだ。
読み進めるほどに、胸の奥に微かな痛みが積もっていく。
愛情、承認、自己価値――そのいずれかが満たされないとき、人は過剰な何かに手を伸ばしてしまう。
それは、登場人物への共感というより、
“自分自身にも同じ渇きがある”と気づかされる感覚に近い。
渇愛とは、弱さの証ではなく、
人が生きていくために必要な温度のようなものだ。
すがるような愛の形が、なぜこんなにも切なく、
そして美しいのか。
心理学的に見るなら、それは 愛着の歪みに近い。
安全基地を持たない人間は、常に「相手に見捨てられないための振る舞い」を無意識に選び、
そのことがさらに関係を歪ませていく。
その悪循環は読者にとっても痛いほどリアルだ。
読み終えても胸の奥に残るわずかな痛みは、
私たち自身もどこかで“渇き”を抱えているからかもしれない。
Posted by ブクログ
りりちゃんが行っていたことは
紛れもない犯罪だけど、
りりちゃんの存在は個人の問題ではなく
環境や社会が生み出したものなんじゃないだろうか。
幼少期にアトピーで嫌な思いをしたこと、
学校への足が遠のいたこと、
保護者として寄り添いがなかった母、
恐怖の父、社会の隙あらば性的搾取、
歌舞伎町にしか居場所がなくなるような環境、
りりちゃんへ共感•崇拝する人々が多く存在する社会。
両親もしたくてそういう行動をとっているのではなく、傷を負っているが故に、もしくは選択肢を知らず行き着いた行動なのかもしれない。
そして傷はまたその上の世代や社会から傷つけられたものかも知らない。
突き詰めれば個人に行き着くけど、
社会の空気や構造はみながで作り上げたもの。
たまたまりりちゃんがこうなっただけで、
この問題は誰しも可能性を秘めているのでは、と感じずにはいられなかった。
Posted by ブクログ
りりちゃんとお母さんとの関係。お母さんがどんな人なのか本当のところは私には分からないけれど、少しズレてるにしても、特段毒親という感じもしなかった。
りりちゃんを助けたくなる人の気持ちには共感してしまう。でも本当に支援が必要な子は、助けたい形をしていない。
Posted by ブクログ
すごく報道されていた事件なのは知っていたけど、正直ここまで詳しくは知らなかった。
この本を読んで、断片的だった情報が少しずつつながっていく感じがあった。
最後まで読んでも、りりちゃんが本当は何を考えていたのかは、正直よく分からない。ただ、家庭環境や逃げ込んだ先、彼女自身の才能、周囲の人たちがもてはやしたことなど、いろいろな要素が重なって、この事件は起きてしまったんだろうなと思った。
印象的だったのは、彼女が最後まで被害者であるおぢに対して、ほとんど罪悪感を持てていないように見えたこと。捕まったあともりりちゃんはの同情の声が多かった影響なのか、もともとの共感性の問題なのか、高年齢男性への嫌悪感なのかは分からないけれど、少なくとも「相手の痛みを想像しよう」という回路は、かなり遠いところにあるように感じた。
それと、最初から支援してくれていた人との関係を自分から断ってしまったのも意外だった。獄中結婚の話まで出てくる展開を見ていると、彼女は結局、誰かに依存しながらでないと、生きている実感を持てないのかもしれない。本物か嘘かも分からない「愛」みたいなものに、しがみつき続けているように見えて、読後にちょっと重たいものが残った。
Posted by ブクログ
報道で受ける印象よりちゃんと"詐欺幇助"だったんだな。
"女のコ"の表記がずっとむずむずする。
たぶん著者の思う更生は不可能だし、著者は歌舞伎町の女の子たちを理解する日は来ないと思う。
なんか、一緒に逮捕されたホストさんの方が話通じそうだし、多くの人がなんとなく納得できそうな動機とか具体的な経緯とかはそっちに聞いた方が早そう。
素人考えに過ぎないけど。りりちゃんはおそらく名前をつけるなら愛着障害とか境界知能とか呼ばれるはずで、そういう根本的に違う視点や考え方を言葉から理解するのはなかなか難しいので。
Posted by ブクログ
頂き女子リリちゃんのノンフィクション。
色恋詐欺をマニュアル化して色恋詐欺自体とマニュアル販売で荒稼ぎして脱税したモノ。
そもそも、父親からDVを受けたり母親が不倫してたりする環境で育ち、jcの時に喫煙所で春を売ってtsりした。
歌舞伎町でもホス狂いしてソープで働いたりする中で、おぢは騙してもオッケーとなる。結局詐欺については悪いことと思っても、被害者に対しての罪意はなく、私も被害者だ!とする主張。被害者は遺書までしたためたりしてる。
また支援団体が手厚かったがそれも獄中結婚する!とか書籍の売り上げは被害者に返金しない!獄中結婚相手にわたす!などと言っており…
Posted by ブクログ
1億5千万を「頂き」、そのマニュアルを作った「頂き女子」りりちゃん(渡邊真衣)を取材したフリージャーナリストの記録。
「自然と相手を喜ばせる反応をしてしまう」それはある程度誰にでも当てはまることだ。身振り手振りを加えたハイテンションに同じ「女子」達と交流し、控えめで無知で助けてもらえるように「おぢ」に振る舞い。消え入りそうな声で恐怖に震えて裁判を受ける。すべて同じ人物だったのだろうし、実は嘘でもないのだと思う。家族、友人、恋人、同僚、仕事仲間、赤の他人と同じふるまいをする人はいない。ただ、それが過剰だと、結局何者なのか分からなくなってしまう。分からない。それが、この本を読んで得た感想だった。
もっとも、この本はフリーのジャーナリストが「読みやすく」書いてあるため、ある程度、物語と着地が意識して書かれているためこの本だけで当人を理解することは難しいだろうとも思う。しかしながら、どのようにしてマニュアルを作りに至ったかや、りりちゃんを中心とした「頂き女子」のコミュニティ、「おぢ」とのLINEのやり取りなどが具体的に書かれておりネット上の噂話よりは具体性が高かった。
この本を手に取った理由は「結局なんだったのか?」に少し興味があったからだが、それはあまり分からなかった。あえて書くなら「結婚詐欺事件」でしかなかった。良くも悪くも読む前の印象とそこは変わらない。
しかしながら、「判断能力の低い相手から搾取する構造」という言葉は共通していたと思う。
Posted by ブクログ
りりちゃんが標的にしていたギバーおじさんこそ、りりちゃんの孤独を救う気がするが、世の中ってうまくいかないなと思う。
読み終わってもりりちゃんという人物がイメージできない。芯があるように見えたり、ふらふらに見えたり。
確かお母さんの印象が、ちぐはぐと書いてあったが、まさに親子ともども、ちぐはぐな感じがした。これから更生できるのか心配。
Posted by ブクログ
事件や本の感想じゃないけど、
同じ内容の事件だったとしてもたくさん報道されるものとされないものの違いって何だろうといつも思う。
もしこの事件がりりちゃんじゃなく50代で普通の会社員の女性が起こした事件だったとしたらきっと報道のされ方も変わるんだろうなと
その場合こういう本も出てないかもしれないし、自分も詳しく知ることがなかったんだろうな
Posted by ブクログ
本を読むまではただ変わった女の子だと思ってメディアで見ていたけど、やはりそこには家庭の愛情不足からその穴埋めを求めてホストにハマり、結果資金調達の為身体を売り犯罪にまで至ってしまった背景があった。
自分を傷つけ善悪がわからなくなるほど、自分自身もボロボロになってしまったりりちゃんこと渡辺受刑者。
果たして刑期を終え出所してきた頃には、生まれ変わった渡辺真衣になっているのかと思いました。
一旦は支援者と共に被害者弁済の意思を示していたのに、別の愛を見つけるとあっさりと却下。
間違った愛に進み、また間違った人生をこれ以上進まないことを祈ります。
Posted by ブクログ
被害者に一切謝罪がないというのが全て。被害者への取材が1人だけというのが惜しいがその辺りもよく書かれている。
顛末はSNSで遠巻きに眺めてたが支援者の立花氏も弱者男性煽りしてたり全体的に胡散臭い中で、その人たちや映画化も全部ひっくり返して裏切ることになった名前の出てない新しい「支援者」がハイライト。こんなん出所しても絡め取られて地獄に戻されるに決まっとる。
後は、あのマニュアルはこの子1人じゃ作れないだろと思ってたので、元々はヒモの情報商材だったと知れたのはよかった。