あらすじ
「頂き女子」に迫った衝撃ノンフィクション!
複数の男性から総額約1億5千万円を騙し取った上、そのマニュアルを販売し逮捕された「頂き女子りりちゃん」に迫った本作に大絶賛の声続々!
◎町田そのこさん
彼女が奪う側に戻らない道を考える。読んでいるときも、読み終えたいまも。
◎橘玲さん
すべてウソで塗り固められた詐欺師
家族や社会から傷つけられた犠牲者
彼女はいったい何者なのか?
―選考委員激賞!第31回小学館ノンフィクション大賞受賞作―
◎酒井順子さん
りりちゃんの孤独、そして騙された男性の孤独に迫るうちに、著者もりりちゃんに惹かれて行く様子がスリリング。都会の孤独や過剰な推し活、犯罪が持つ吸引力など、現代ならではの問題がテーマが浮かび上がって来る。
◎森健さん
今日的なテーマと高い熱量。とくに拘置所のある名古屋に部屋を借りてまで被告人への面会取材を重ねる熱量は異様。作品としての力がある。
◎河合香織さん
書き手の冷静な視点とパッションの両者がある。渡邊被告がなぜ“りりちゃん”になったかに迫るうちに著者自身もまた、“りりちゃん”という沼に陥り、客観的な視点を失っていく心の軌跡が描かれているのが興味深い。
(底本2025年7月発売作品)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なかなか感想が書けなかった。消化不良というわけではないけど、表現が思考がまとまらないというか。それくらい衝撃的な作品だった。
「親ガチャ」という言葉。これを使う人間がどれくらいの意味、重みを持たせているかわからないけれど、玩具のガチャよりも可能性を定量化することは非現実的で。でも、確かに組み合わせの運みたいなものはあるとも思えて。
翻って親からすれば「子ガチャ」だってあるし、その親だって親ガチャを経験しているわけだから、その言葉で本気で良し悪しを表現してはいけないと感じた。
じゃあ祖父母の代から伝わる、時にありがたく時に忌まわしい運命というのか、自身を意味付けていく経験やそこから受ける感情とは何なのだろうか。
子に焦点を当てれば親に頼れない時、それも経済的とか関係性とか望まずに獲得してしまった状況において、何に縋ってどうなっていくことが「あるべき」なのか。
親に焦点を当てれば、親らしくなれない時、それは更に親から与えられた状況を恨みながら、反面教師的に振る舞うことも出来ない人間は、ただ「親なのに」と否定されるしかないのだろうか。
多様性という表現では整理がつかない事件。りりちゃんの被害を受けた方はとても辛く苦しい思いをしていることは間違いない。
というか苦しい人しか登場していない気がする。
ーー
京アニ事件の「自分は「底辺の人間」です」を読んだ時より響くものがあった。
こういう本を読みたくなる自分は傲慢なのでは、という疑念も生まれた。
Posted by ブクログ
ホストにはまる女の子、ホストの仕事、被害者を騙した手口、頂き女子のマニュアルの内容など興味深く読んだ。被害弁済プロジェクトが解散してしまった理由を読んで、まさに渇愛だと思った。
Posted by ブクログ
私は自分が理解できない事件が起こった時、その本を読むことにしています。今回は頂き女子りりちゃんについて。作家の朝井リョウさんがおすすめしていた本でもあり、読んでみようと思いました。
りりちゃんがやった事はもちろん悪で、裁かれるべきものですが、何故そこに至ったのか、何故それをしなければいけなかったのか、我々第三者が考えるべきでもあると考えます。
なぜ若い子は歌舞伎町に集まるのか、そしてホストにのめり込むのか、詐欺までして。到底自分では理解できない人達ですが、こういった本を読むと、少し、ほんの少し理解できる部分もあり、可哀想な人なのだと同情の気持ちも湧いてきます。
理解できなくてもこういう人達が世の中にはいるのだと思うだけでもかなり変わると思います。
Posted by ブクログ
犯罪加害者本人と実際に交流しながら、事件の真相(というか加害者の動機や人となり)に迫る本って、何冊か読んだことあるけど、全部似たり寄ったりというか、テンプレートとしてどう書いてもこうなっちゃうんだな、というのが全体の印象。だからといって別につまらないわけじゃない。
この本を読む前までは、私もどちらかと言えばりりちゃん擁護派というか、お金渡す方も渡す方だよな、とうっすら思っていたのだけれど、この本を読んでその考え方が100%間違っていたことに気づけたことが、この本がとても良い本だと思った理由。
本の中で被害者の男性が語っているけれど、この事件はパパ活とは違う。パパ活ならお互いが納得した上なら確かに自業自得だけど、男性は何度も何度も年齢差などの障害について確認し、その都度将来を一緒に歩んでいくと嘘をつかれたので、そもそも土台が違うのだ、と語っていて、確かにその通りだなとすごく納得した。
やはり騙した方が悪いのだ。
そしてりりちゃんの生い立ちが不幸であることや、りりちゃん自体がホストから搾取されているある種の被害者であること、だから『おぢ』を騙していいことにはならいという当たり前のことが、男性のインタビューでようやく納得して理解できた。
あと、佐々木チワワなら頂き女子りりちゃんをどう書くのかなぁと思った。
Posted by ブクログ
『頂き女子りりちゃんの取材手記 渇愛』を読んで思ったこと。
これは単なる事件の話じゃなくて、
“人の欲求”と“承認”の構造の話だなと感じた。
人はお金を失ったから苦しむんじゃない。
「必要とされている」という感覚を失うことに耐えられない。
だからこそ、
その隙間に入り込むビジネスや人は強い。
ある意味で、
マーケティングの本質にも近い。
・相手は何を求めているのか
・どんな言葉に反応するのか
・どこに孤独を抱えているのか
それを理解している側が、圧倒的に有利になる。
ただ、この本を読んで一番思ったのは、
使い方次第で、人は救いにも搾取にもなるということ。
ビジネスやってる人ほど、
一度読んでおくと「人を見る視点」が変わる一冊。
Posted by ブクログ
世間を騒がせたいわゆる「頂き女子」を取材した一冊。まさに「渇愛」。コミュニケーションの中で熟成されていく愛情が歌舞伎町ではお金によって"簡単"に得られ(p230)、日本の教育にそれが足りないのではないかとの指摘が印象的で、考えさせられている。
Posted by ブクログ
りりちゃんが何を考えていたのか、どのような環境にいたのかがわかった、と同時に、、被害者視点、協力者視点でのインタビュー章が始まり、りりちゃんの言っていることが信じられなくなってくる(というか騙されていた!?となる)という、詐欺師へのインタビューならではな独特な読後感があった。とはいえ、りりちゃん自体が騙そうと思っていたというよりは、詐欺行為を肯定する心理を内面化しているといった方が正しく、(“真の詐欺師は自分が詐欺師だと思っていない”を地でいっている) だからこそりりちゃんの内面まで入っている問題を解決する難しさよ。。
親との確執による承認欲求の歪み、お金により簡略化された承認を提供する歌舞伎町、セックスワークによるジェンダーへの偏屈した価値観の体得、など、心理的要素と社会的要素が化学反応して起きた事象として見ると、現代のアイデンティティ問題が溜まりに溜まった澱みのような事件だと思うこともできる。。
Posted by ブクログ
やるせない気持ちになった。あくまで「おぢ」=中年男性は詐欺の標的にしてもよい。だって彼らの目当ては身体であり、自分たちを傷つける者だから悪いやつだ。悪いやつだから何をしたって許される。
まさに今、ネット上を漂っている悪意を具現化したような言い分である。売春をする少女たちを問題視する報道はあるが、買う側を問題視する報道はない。ただし、本件に関してはそれと別である。本人は周りを振り回すだけ振り回して反省は欠片も示していない。反省の仕方から教える云々の前に人としての部分が欠落してしまった、そしてその一人をヒロインとして広げてしまった。あえて言うのであれば皆が悪い。そういった人間を放置した、それに乗っかった一人一人もである。
Posted by ブクログ
ニュースで何度も見た、「頂き女子りりちゃん」を取材した本。
私はりりちゃん側の話よりも、被害者側の話がとても胸に刺さった。
本来守られるべき被害者が、なぜ非難の矢面に立たなければならないのか。
とても胸が苦しくなる
Posted by ブクログ
頂き女子りりちゃんこと渡邊真衣服役囚への聞き取り取材の本書、何に心を動かされたかというと、被害者の背景に言及されたところだ。
数百万円、数千万円という、常識では考えられない金額を搾取される被害者は、単に色香に迷ったというのではなく、社会的に困難を抱えている人だという考えだ。頓挫することになったが、彼女の話を映画化する際の監督の言葉をそのまま引用すれば、『これは男女の問題ということではないと私は考えています。弱い立場にある、困難を抱えている人を型にはめる方法を流布したのであれば、それは悪だというのが私の目線です』という。
男から金品を搾取する方法を、本人が実践するだけでなく、マニュアル化し販売・指南していることは、男社会で幅を利かせている『男』たちに一泡吹かせてやった、ではなく、弱い立場に置かれた被告のような女子たちが、さらに弱い立場の者を搾取する構造だ。
認知能力の落ちた老人をターゲットにした特殊詐欺と同様の構図が浮かぶ。新たな気づきがあった本書だった。
Posted by ブクログ
頂き女子りりちゃんこと渡邊真衣が逮捕されてから有罪が確定するまで、約2年間にわたり本人、母親、被害者、逮捕されたホストなどに面会し、彼等の性癖や欲望を深掘りしたルポ。作者自身が取材過程で受けた影響や戸惑いをも正直に書いている。
Posted by ブクログ
コレコレさんの動画で頂き女子りりちゃんを知った。
りりちゃんは、普通の人が聞いたら笑えない話を、聞き手が惹き込まれるような話し方で相手を魅力する女の子だった。
りりちゃんは巧妙に嘘を重ね、人を騙す詐欺師ではあるが、私には純粋な女の子に見えた。
人への期待や希望を捨てきれず、服役後もまた道に彷徨い続けるのだと思う。それが頂き女子りりちゃんの人生なのかな。
良い方向に進んで欲しいと心の底から感じた。
Posted by ブクログ
何かに盲目的になれる時期を「青春」と呼ぶのかもしれない。「ホス狂い」も、ある種、盲目的な状態といえるだろう。その価値観を仲間と共有し、グループが先鋭化していく様子は、たとえアルコール臭が漂うものであったとしても、本質的には青春のあり方と大きくズレてはいないのではないか。
良くも悪くも、人間は他者との関係性の中に自分を定義するものだ。しかし、その距離感は相手によって異なる。ある人の前では素に近い自分を出せても、別の人との間では相手に強く寄せた自分になることもあるだろう。本文にもある通り、彼女は相手に対してかなり忖度をする。距離感の軸を極端に相手側に置くことで、自分を定義していたのではないだろうか。相手によってキャラクターを使い分けていたからこそ、多くの信奉者の受け皿になり得た。そして、他者への過度な忖度と巧妙な自己演出ができてしまったからこそ、結果として一線を越え、捕まることになったとも言える。
もちろん彼女に同情すべき点がないわけではないが、それと犯罪の是非は切り分けて考えるべきだ。
こうした話に触れて「分かった気になる」のは心地よいし、他人の定義を聞いて納得することもある。けれど、分からないものは分からないままにしておける「余裕」を、常に持ち合わせていたいものである。
Posted by ブクログ
彼女が書いた文章から伝わる魅力と実際に描かれている姿のギャップが凄かった。
被害者が叩かれてしまうのって….こんなのに騙されるんだという遅かれ早かれそうなってたじゃんって弱者を見る目があるからだし、自分もその目を持っているので、可哀想だけど…それ以上でもそれ以下でもない気持ち。
Posted by ブクログ
自分より20~30も年が離れている男性たちから総額1憶5千万円を騙し取って詐欺罪で逮捕された女性を取材したノンフィクションを読ませていただきました。内容は面白く、勉強になりました。この女性が詐欺をしてしまった構図が新たに分かって「あぁ~なるほど」と理解しました。
父親からのDV→男性への復讐→自分は男性のような力はない→男性を騙す→男性たちから金を騙し取ろう→その金で歌舞伎町の推しのホストに貢ごう
自分の頭の中で、このような経緯を想像しました。実刑判決の期間はちょっと長いんじゃないかなと思ったのですが上告棄却されて裁判所が確定したのでこれはしょうがないと思っています。
事件のことは当時は断片的にしか知らなかったのですが、このようなルポを読むことによって事件の経緯、動機などをまとめて理解することができました。この本を読んで良かったと思っています。
Posted by ブクログ
面白かった!佳作と言ってもいい!
現実に被害者らのいる事件だし、内容がどちらかというとセンシティブなのであまり感想とか書きたくないけど、なんだろう?原案は「羊たちの沈黙」とかかな?!
Posted by ブクログ
拘置所での面会を繰り返すうちに、記者と取材対象以上の思い入れを持つようになるのが興味深かった。
別にこういう人は前からいたのかもしれないけど
今の若者ってあまり何事にも執着しないイメージがあったり
誰かに必要とされるとかではなく、自分軸で生きよう!存在するだけで素晴らしい!自己肯定感!
みたいなワードが出来てから育ってきていると思っていたから
ホストクラブで担当のために必死になるとか
今まで必要とされてこなかった自分の価値を見出すためにホストに依存していたとか
なんかすごく結び付かない感じがする。
とはいえ、歌舞伎町にそういう女の子たちがたくさんいることも知っている。
二極化しているのかな?
印象的だったのはりりちゃんが男になりたいという言葉を憧れを込めて使用していたということ。
仲間になりたい、そのためには同性である必要があると思っていた。
異性間では対等な仲間的な関係性は築けないとそれまでの経験から感じていたのかな、
Posted by ブクログ
人生を狂わされてしまった被害者の方もいるため、手放しに評価することはできないが、大変興味深い内容だった。
著者がりりちゃんに肩入れしてしまう描写、ジャーナリストとしてのプライドが揺らいでいるところも自覚しながらもりりちゃんの物語にのめり込んでしまう様は恐怖すら覚えた。
りりちゃんがやったことは許されないことだと個人的には思う。しかし、彼女を取り巻く環境と、その中でこれまでに受けてきた傷があるのもまた事実。構造的に、登場人物たちが各々背負ってきた不幸を別の誰かに返しているような印象があり、まさに負のスパイラルが渦巻いてしまっている。その構造の根深さ、大きさに私は絶望を抱いてしまった。
Posted by ブクログ
話題になった頂き女子りりちゃんを取材したノンフィクション。女性記者が拘置所に足繁く通って取材をしていく姿が描かれている。この記者はホス狂い女性たちを取材する過程で歌舞伎町に暮らしていたりもして、りりちゃんのことも逮捕前から注目していたという。記者の彼女はどんどん加害者であるりりちゃんに感情移入していき、周囲からはいきすぎだと言われていく。その姿も赤裸々に綴っている点には好感が持てた。
事件についてはかなりセンセーショナルで、頂き女子のマニュアルを販売していたなどとはネットなどで仄聞していたが、被害者たちを「おぢ」と呼び習わしてカモにしていく姿は圧巻で衝撃的だった。さらに興味深かったのは、そもそもそのマニュアルや手法が、加害者が他のナンパ界隈の男たちのどうやって女性をカモにして搾取していくか、というようなマニュアルに着想を得ていること、また、そもそも頂き女子の行為自体が彼女たちがホストからされていること、みたいな連鎖的で螺旋的な構造を見せつけられて暗澹たる気持ちにもなった。
加害者のりりちゃん自体には幼少の頃からの家庭での虐待や母からの愛に飢えていたりなど色々あるんだろうけど、そこには余り興味は持てなかった。りりちゃんが被害者に対して全く罪悪感を持つことすらできず、なぜ詐欺がいけないかも理解できていないという姿はなかなか衝撃的だった。かといって、ここに現代社会の縮図があるとか家庭環境によって犯罪が引き起こされたとかまとめるのは陳腐すぎるかな。こういうやつもいたんだな、なるほどすごいな、って言うのが俺が思う正しい感想かな。
しかし後半、支援者からの手を振り払ってどこかの誰かと獄中結婚しているとか、そこは拍子抜けしたし、なんともつまんねえなあと思った。まあそりゃ事実はドラマティックだったり感動的だったりする方にだけ行くわけじゃないよねって感じ。
Posted by ブクログ
偽りの愛情を振りまいて男性たちから金銭を騙し取る。頂き女子りりちゃんこと渡邊真衣被告は詐欺行為で大金を得てホストに貢ぐ事を繰り返した果てに警察に逮捕される。裁判を通して見えてくる彼女の荒んだ家庭環境は周囲から同情の声を誘ってくるが、本書の後半、被害者の取材を通して、彼らに向けられる世間の偏見や金銭的な困窮の実態を露わにする。加害者の生き様に酌量する心情がここで揺らぐ。そして被告自身の罪の意識の浅薄に私たちは見放すか、慮るのか、受け止める度量が試される。倫理の錯綜が本書のテーマである。
Posted by ブクログ
コミュニケーションの煩わしさや難しさを飛ばして他の中かに縋りたくなるという気持ちに共感した。そこから大きな事件に..という人は少ないと思うし、それが良いことではないのは前提として、同じような気持ちになる人は現代に沢山いるのではないかと思う。『ごくちゅう日記』を実際に読んでいた時期もあったので、さらなる背景が気になりサクサクと読める1冊だった。
Posted by ブクログ
SNSで知っていた内容で全体像は知っていたけど、詳しく知ることができた。りりちゃんの書いた文章を読んでみたくなった。お母さんの話(お母さんは女の子)の部分は、私の親子関係と似ていて、言語化してもらえたのがなんかスッキリしたというか、納得できたというか。すごく分かるなぁと思った。
Posted by ブクログ
いただき女子りりちゃんに迫った一冊。
りりちゃんが搾取した「おぢ」たちの視点にも立つことができる。
巧妙に相手の心理を操り、「頂く」行為により、多くの被害者が出たのだが、りりちゃんの強烈なキャラクター、カリスマ性によって、りりちゃんを信奉する人も多い。やったことを糾弾するよりも、キャラクターが支持される。宗教みたい。
取材する宇都宮さんまで、りりちゃんに飲み込まれそうになる。彼女のためにしてあげられることは…と。他人の同情を引きだすのが上手い。こうやっていろいろな人の善意を引き出して取り込んで生きてきたのだろう。
読み進めていると、りりちゃんへの同情心も芽生えてくるのだけど、二転三転する発言で、この人は本当はどんな人なのか、掴みにくいと感じた。そのとき、その場の状況から出てくる感情も変わるからなのだろう。
本当のところはわからないが、りりちゃんは父親、その他の男性へのある復讐みたいなところもあったのかもしれない。
Posted by ブクログ
この本を読むまでは、りりちゃんをどこか同情的に見ていました。汚職政治家や客を風俗で働かせるホストは捕まっていないのに、なぜりりちゃんだけ…と。
しかし、本書を読むとその気持ちは大きく変わりました。お金を騙し取られた「おぢ」たちは、お金に余裕があって下心を持ってりりちゃんに近づいてきた人たちだと思っていたのですが、実際は生命保険を解約したり老後のためのお金を差し出したせいで生活に困窮してしまうような人たちでした。りりちゃんは、孤独だったり何らかの問題を抱えている社会的弱者の「おぢ」を狙ってお金を騙し取っていて、それは悪質と言わざるを得ないな…と自身の見方を反省しました。
もちろん、りりちゃんには被害者の側面もあります。幼少期から父親に虐待を受けていたり、ホストに搾取されていたことはとても可哀想だと思います。しかし、被害者だからといって他の弱者から搾取するのは間違っている。
読んでいると、りりちゃんには色々な顔があり、どれが本当か嘘かというよりは、会う人をメロメロにしてしまう人たらしなところも、頭が良くてビジネス的なセンスがあるところも、母親が好きで母親からの愛をひたすら乞うところも、母親を憎むところも、被害者への罪の意識がないところも…全部本当のりりちゃんなんだろうなぁ。
著者はりりちゃんについて「相手に対して過剰なまでの愛を求める気持ちがある」といいますが、それが、りりちゃんの言動の全ての根底にあって、りりちゃんが救われない要因なのかなぁと感じました。
Posted by ブクログ
めーちゃおもしろかったんだけれど…最後の最後!
著者の取材力?分析力?が浅くて最後は「え?これで締めるの?」と拍子抜けした。ので⭐︎3
本を読む限りしか知らないけれど、りりちゃん、はとても自責思考な人だと感じた。
そしてそれを他者にも適用する。詐欺の被害者・恒松さんたちには何も思わない、だって自分で選んだ道でしょう、と。
彼女自身ホストたちに甘い言葉をかけられて騙されてきた。お金をたくさん払った。だけどそれは自分の意思で自分の行動。恒松さんたちだってそうじゃないの?むしろ、ホストたちと違ってワタシは、相手を幸せにしてあげられるよう心配りさえしていたよ…?
…って思ってそう。
で、恒松さん達が被害者ぶれるなら、ワタシだって被害者じゃないの?って、時が進むにつれだんだん他責思考が入ってくる。
本著に描かれる面会でのりりちゃんの話はコロコロと変わり、それを著者は毎回驚いているのだが、上記のような思考の変化なのでは…?と思う。
それに、周囲に対する彼女の評価が変わるのも、単にその時々で正当化し その後その歪さに気づいていったただけじゃないのかな、何を驚くのか…?人間の気持ちが変わることがそんなに驚くことか…?もっと著者なりに思考してひとつの見解を出して欲しかったよ。
それから、家族、とくに母親の本性を暴けなかったのは残念。母親以外の家族には取材申し込みすらしたのか怪しい。
りりちゃんは、母親のことを「母親だからと母親として最低限義務的なことはするけれど、ひとりの人間としては愛してくれない」と感じていたのかな…
彼女が家族愛に恵まれていたら、と悲しくなった。
最初から最後まで、ずっと助けて、って言ってる。
Posted by ブクログ
メンヘラの話って、疲れるな。なんで未熟なうちって若い時ってメンヘラなるんだろうな。センセーショナルで注目されたけど、埋もれていく話でもある。鮮度がないと、若さがないと、忘れられる。愛が溢れる家庭と子育てしてたら子供はメンヘラならないんだろうか
Posted by ブクログ
頂き女子りりちゃんこと渡辺真衣受刑者(以下渡辺)が被告(裁判中の状態)から受刑者(刑が確定した後)となるまでを追ったルポです。内容は面白いのですが、残念ながら最後は消化不良で終わってしまいます。
と言うのも、歌舞伎町のぶっとび女子としてカリスマ性も人気も高かった渡辺が支援者とのきずなも一方的に切ってしまい、自信の罪についてもはっきりと理解が出来ない(少なくとも書籍の中では自身の罪を正しく理解できていないというスタンス)ままで終わっていくからです。
でも、渡辺の半生はとてつもない。父親からのDV、歌舞伎町しか居場所がなかったと語る日々の中で、ホストクラブだけでなく、パパ活なども含め男性から搾取され続けた生活の中で防衛線として身に付けたのが男性への搾取の始まり。そこから仲間内での男性への搾取の情報交換が始まり、やがて情報商材系グループと合流し、マニュアルの販売にまで発展していく。そこには、渡辺の罪とは別に、渡辺を初め、非行に走る少年、少女を救わなくてはいけない、構造的問題がある。
渡辺が自身の罪を理解できていないのは、根本的に防衛策として男性への搾取を始めており、そこには正当防衛と言うのが根本にあること、歌舞伎町という善悪がぐちゃぐちゃの世界戦で生存のために必要だったということがあるのかなという点では理解できるし、気の毒だとも思う。
一方で、被害者側の男性に焦点を当てると、数回しかあったことがない女性に対して2000万円以上のお金をみついでしまうのだから、一見、非常識と思ってしまうが、渡辺の詐欺を疑い、契約書を確認するなど、 適切なステップを踏んでいる。彼は、詐欺を疑いながらも、渡辺を本気で助けようとしてお金を貢いでおり、そこに渡辺を性的に搾取しようという考えはなく、本気で好きなのである。
そして、詐欺被害によって、生活さえも難しい、貧困に陥る。その上で、世間からは騙された被害者としてではなく、お金を支払うとんでもない人、渡辺を性的に搾取しようとした自業自得だと言う扱いを受け、社会復帰すら難しい状況に陥る。
書籍の面白いところは、加害者側の視点と被害者側の視点の両方があることによって事件の全体が良く分かる点である。
また、最初にも書いたが、終盤には渡辺の支援者グループが渡辺の刑務所からの手記を販売することで被害者への返済を進めようとするが、渡辺が一方的に返済を拒否し、支援も空中分解してしまうというありがちな話だが、なんとも後味が悪い終わり方をしてしまう。
この事件の全容が分かったことで何かあったのかというとそうでもない気がするが、歌舞伎町では男女問わず、お互いに搾取しあう構造的問題がこの事件のベースにあることなどが良く理解できた。