宇都宮直子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
事件に関しては、その人の性別や年齢、生活環境によって、それぞれ違う感情を抱くと思う。
りりちゃん自身の、りりちゃんだけの気持ち、というのが最後まで誰にもわからず、なんなら本人もよくわかってないのだろうと思った。
彼女の言動は毎回、誰かが求めた(求めていると思う)モノを、彼女なりに受け取り、体現しているだけのような気がする。
私が全部悪いわけじゃないと思うなら、それを突き通して欲しいとも思うのに、周囲の求めに応える言動はそうじゃない、ということだけはなぜか感じるから、その都度コロコロ変わっていく。変えざるを得ない。そうじゃないと自分が保てない。そんな印象を受けた。 -
Posted by ブクログ
ページを進めるほどりりちゃんはつかみどころがなくなっていく。そんな感じがする。
りりちゃんはめちゃくちゃ優秀な子だと思う。マニュアルは接客や営業の勘所をおさえていて詐欺ではなくビジネスに適用しても上手くいっただろうし、人の感情の機微を捉える天性の上手さもある。冒頭、不覚にも彼女を魅力的な人物と捉えてしまう。ただ読み進めていく中で、罪の意識の薄さや被害者への罪悪感のなさが明らかになるにつれ、彼女のことがよく分からなくなる。りりちゃんを演じているようでもあり、脊髄反射的なコミュニケーションをしているだけのようでもある。
詐欺は悪いことだし、事件自体は孤独や疎外感を持った人たちの不運な出会いによ -
Posted by ブクログ
前に世間を騒がせた頂き女子・りりちゃん。逮捕までは知っていたものの、その後がどうなったのか気になって本書を手に取りました。
読み進めていく中で強く感じたのは、りりちゃん自身に反省の色がほとんど見えないという点です。自分を義賊のような存在だと思い込み、都合よく正当化している姿は、まさに“詐欺師”そのものだと痛感しました。
一方で、取材する筆者の心情の揺れ動きも丁寧に描かれています。序盤ではりりちゃんの独特の魅力に半ば取り込まれてしまう様子があり、終盤では距離を取りながらも冷静に向き合う姿勢へと変化していく。その対比が非常に印象的でした。
そして結局、りりちゃんという人物を生んでしまったのは -
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693
これ読んで今まで何でホストなんかにハマるの?みたいに面白おかしく思ってたんだけど、ホストにハマる女性は、普通に愛されてなかったりとか、中学生の頃に実のお父さんを探し続けて家出した子とか生い立ちがやっぱり普通じゃないんだよね。凄く可哀想だなと思った。子供の頃に普通に満たされていればこういうのにハマらなかったわけだから。私は子供にごく普通の愛を与えられなかった親を憎んだし、怒りを覚えた。
ホストクラブって最初は破格に稼ぐ芸能界にいる女性たちが客だったんだけど、それに普通の稼ぎしかない客として一般の女性が入り込んだことによって、トーヨコ売春問題とかになったらしい。
宇都宮直子
ノンフィ -
Posted by ブクログ
自分の生活や常識とは違ってぶっ飛び過ぎてるホス狂サンたちをものすごい近い所から追ってくれていた。のですごい興味津々で読破出来た。
歌舞伎町はうまくお金が回ってるんだなぁ、って感心した。
欲望のままに動くホス狂サンたち。
ある意味正直で真っ直ぐ。
でも、、お金が足りないなら諦めなきゃ。
足りないから風俗!って発想が理解出来ない。
ホストクラブってお客のストレス発散かと思ってたけど、疑似恋愛と自己顕示欲を満たすために大金をつぎ込む場所だったんだ。。
見栄を張りたい気持ちも分かるけど…うーん…
家庭環境が悪い子もいれば、まともな子もホス狂になるのね。
うーん…
ホストを刺して、って事件のことも書か -
Posted by ブクログ
知らない世界を見ることができた一冊。
「歌舞伎町は女の子の街」。若い頃の私が知っていた街とは、随分と変わったものだなと思った。
「ホス狂い」の生き方を否定するつもりはないが、登場する女性たちに、何一つ共感することはできなかった。
寧ろ、嫌悪感の方が強かった。
そういう自分も、ホストクラブに行ったことはある。
でも、席に着いてくれたホストの彼は、見た目だけでなく、中身もイマイチ。連れて行ってもらっておきながら何だけれど、つまらなかった。それ以来ホストクラブに行ったことはない。ニューハーフのショーパプの方がずっと楽しかった。
某二世タレントがホストにハマって、AVにまで出演していたと話題にな -
Posted by ブクログ
歌舞伎町に実際に居を構えて、歌舞伎町の中から取材した著者。最初は余所者として拒絶されていた著者だが、だんだんと歌舞伎町のホス狂と仲良くなっていく過程が面白い。
なんで「人生を一変させるぐらいの額をホストに注ぎ込むのだろう」とずっと疑問に思っていた。それだけの額を出してホス狂さんは何を買いたかったんだろう。
この本の最後で少しだけヒントが得られた。「アジール」。避難所・不可触領域を意味する言葉。歌舞伎町の中では、現実世界の自分とは切り離された「なりたかった”特別な”自分」になることができる。そして、ホストと自分だけという物語を紡ぐことができる。そのためなら全てを投げうってでもいい、という感じな -
購入済み
都築先生のアナザーストーリー
羽生結弦選手のアナザーストーリーのように、いろんな方から話を聞いています。
非常に苦労された方ですが、実を結んだことが素晴らしい。
このメンタルと不屈の闘志を羽生選手が引き継いだように思いました。
羽生選手も次代に引き継ぐことを意識した発言をされてきています。フィギュアスケート文化を更に根付かせることができますように。 -
Posted by ブクログ
著者が異様なまでに、「りりちゃん」に迫っていく姿にある種の熱狂性を感じた。(著者自身の中では)被害者の声を聞くまでは、彼女の味方でいたい、と思っていたのではないだろうか?
彼女を崇拝するコミュニティが存在していたことに驚かされた。
「りりちゃん」という創られた偶像の型から抜け出せず、渡邊被告自身がモンスターになってしまったようにも見てとれる。
ホス狂いの結果、彼らから身を守りながら戦う方法を見つけたヒーローであり、自分たちが被害者なのだから(その補償として)お金を「頂く」のは当然というように、詐欺自体の被害者を覆い隠しつつも、世間の声(関心)を少しでも動かしたのが「りりちゃん」の功績だと -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書を最後まで読んで、りりちゃんは結局自分の犯した罪について本当の意味で理解して反省はしていないのかなと感じた。
自分の行いに対しての対価に被害者からお金を貰ったという感覚しかないのだと思う。
ホストで売春を斡旋されそこで稼いだお金でまたホストに貢ぐ、りりちゃんはホストたちと同じことを被害者の方にしている。
違いとしてはりりちゃんはホストたちに酷い扱いをされてもお金を貢ぐ。
でもりりちゃんは被害者に甘い言葉を吐き奨んで助けてあげたい、お金はなくなるけどこの子を助けて良かったと思わせるため必要なら肉体関係も持つ。
嘘をついて、結婚や同棲、将来を匂わせ金銭を騙し取っているので犯罪であることは間違い -
Posted by ブクログ
りりちゃん寄りに熱が入ってしまっている自覚を含めて、詳細に書かれていてとても面白かった。
犯罪者になってしまった彼女だけでなく、彼女に関わる人たちや被害者にもインタビューしており、それぞれの立場での考えが聞けてよかった。
勝手な憶測ではあるが、愛着障害によってアイデンティティの欠如が生じているのではないかと思った。
他者からの評価を通してしか自分を理解できず、好意的な言葉を自分そのものと捉える一方で、否定的な評価には耳を塞いできたのではないか。
その結果、「自分の罪が何か」を自分自身で導き出すことができないのでは…。
虐待が及ぼす影響は本当に根深い。
とはいえ、到底擁護できない話ではある