小田中直樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何回か読み直しましたが、その都度考える機会をあたえてくれる是非ともお勧めしたい書籍です。あまりしないことですが、知人に何冊かお配りしました。
かつて、大塚久雄、丸山眞男、内田義彦などが文化系大学入学者の登竜門でした。色々な著作を読み、ゼミなどで自分の専門分野を深めていくいくにつれて、これらの書かれた啓蒙書の意味などがわかってきたように思われます。本書はいきなり理解できます。
本書は、タイトルのように歴史学とはいったいどういうものであるのか、あらねばならないのかを解説しています。だが、深いですね。社会、人文科学というものは科学たりえるのかという考察をしています。言葉の定義づけもしっかりされていて、齟齬,破綻もみうけられません。
歴史学の仕事の重要な要素として認識と解釈をあげらています。とっかかりとして、小説と歴史書の違いから始まります。それにまつわる具体的な話と抽象的な話をうまく関連づけされていて非常にわかりやすく書かれています。
歴史を学びたいが、小説ではと思っている方、学術書では大変だなと思っている方は、本書をお読みになって自分の学ぶ道筋をつけるのには絶好だと思います。
構造主義やポストモダンをわかりやす説明されていているので不勉強な私にとっては大変助けになりました。
「大きな物語は終わった」ということを知りたかった私は、とても収穫がありました。
従軍慰安婦問題を通して坂本多加雄、吉見義明、上野千鶴子の論争の話がでてきますが、学問のありかた、論争の意味など内容もりだくさんです。
一つの問題を考えると、また新たな問題がでてきますね。それをどのように処理していくのか、又、問題はどのような姿勢で考えていくべきなのかという重要なヒントがいっぱい詰まっている新書ですね。
蛇足ですが、出版社は、このような啓蒙書を新書としてだして欲しいものですね。それが、自分達の生き残りにつながると思うのですが。 -
Posted by ブクログ
本書は「素人のための歴史学入門講座」(「内容紹介」より)と銘打っているように、歴史を専門的に学んだことのない人々-特に、歴史は“暗記”であり、社会の役に立たない“虚学”だと思っている人々に向けた一冊である。
筆者が強調するのは、歴史学における“プロセス”の重要性である。それは、歴史家に必要な資質を「疑い、ためらい、行ったり来たりすること」(p.151)だと規定していることからも分かるだろう。つまり、教科書の記述(解釈)を暗記することが重要なのではなく、むしろ、その解釈を疑い、史料を通じて「より正しい解釈」を導き出す営みこそが、歴史学の本髄であると指摘する。さらに言えば、与えられた前提を疑い、使えるデータを批判的に解釈し、他の人々とのコミュニケーションを通じて、新しい解釈を打ち出すという作業は、歴史学に限らず、社会一般に役立つスキルであるとも言えよう。
その他にも、本書では様々な視点から歴史学という学問を分析していく。入門書という位置づけ故に、その記述の一部には、楽観的過ぎたり、簡略化し過ぎたりする部分がないわけではない。しかし、分かりやすさという点も含めて、これから歴史を学ぼうとする人(あるいは、歴史が嫌いになってしまった人)が最初に手にするべき一冊としてオススメしたい。 -
Posted by ブクログ
「フランスは分裂と統合の弁証法」のプロセスを生きている、と著者が言います。フランス革命をはじめとして、フランスは近現代の歴史の中で、幾度も国内での対立を統合する新しい力が生まれて、新しいフランスが生まれてくる、と。
フランスの特徴として良く上げられるディリシズム(国家介入主義)、テクノクラートによる政治・経済界の支配、失業や移民問題が、第二次世界大戦後の時間軸に沿って明快に解説されています。
またフランスの現在の政治状況を、a) 親欧州/経済自由主義とその反対および b)親移民受入/文化多元主義とその反対という2つのベクトルにより分類しています。環境など他にもベクトルはあるのでしょうが、フランスの政治が主としてこの二つの方向性政策の軸としている、という筆者の観点は説得があるように思えました。
フランスは理念の国と言われますが、確かにフランス人は政治なり世界観なり、個人の立ち位置が日本人に比して明確かつ、それを主張することを躊躇しないという特徴があると思います。すなわち分裂の危険を孕む社会構造と言えますが、国としての一方で愛国心は強く、solidaliteというフランス語である連帯の精神が根ざしているのもまた事実です。
こうした相反する特徴が著者の言う、分裂と統合の弁証法を可能にしているのでしょうか。 -
Posted by ブクログ
分かりやすい言葉で書かれた歴史学の入門書です。
そもそも歴史学とは何かという問いを立てるのであれば当然、史実の認識可能性についての議論に立ち入らなければなりません。本書でも、構造主義の源泉となったソシュールの言語論以降、私たちは歴史をあるがままに認識することができるのか、という深刻な問いにさらされたことに言及されています。さらに、上野千鶴子が構築主義の立場から従軍慰安婦論争に参戦した経緯などの例をあげて、歴史学者はどのようにして「史実」にアクセスできるのかという問題が、単なる歴史哲学上の理論的な問題にとどまらず、アクチュアルな意味を帯びた問題であることが浮き彫りにされています。
ただし著者は、歴史を一つの「物語」として相対化してしまうような極端な立場には与せず、たえず史料批判へと立ち戻ることで、絶対的な真理には到達できなくても、「コニュニケーショナルな正しさ」を追求することができるという立場を採ります。
歴史を学ぶ者がさしあたって歴史学という営みを続けてゆくことができるためには、そしてさまざまな民族や国家における歴史認識の断絶を克服するためには、いわば実践的な観点から「コミュニケーショナルな正しさ」の立場が欠かせません。本書では、そうした歴史学者にとっての歴史認識の方法論的考察が展開されていると言ってよいのではないかと思います。 -
Posted by ブクログ
高校(中学)時代、歴史の授業は好きだった。歴史学、歴史を科学するとは?
問題
1歴史学は歴史上の事実である「史実」にアクセスできるか。
2歴史を知ることは役に立つか、どんな時、どんな形で。
3そもそも歴史学とは何か。
27
歴史の資料を史実ととらえるか、作り話ととらえるかは作者(小説家、著者)の考え方次第、自分の信ずる通りの方法で良いだろう。史実を証明できるほど、人生は長くないだろう。
40
歴史学での定義、過去に本当にあった史実を明らかにすることを「認識」、認識した史実に意味を与え、連想させイメージを描く「解釈」
99
歴史学の対象は1つしかない「事実」ではなく各各の「現実」
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既存の歴史学は「文書資料中心主義」「口承の歴史および口述証言」は用いない。
183
”自分の身近にあり,真偽を問わずとも役に立ちそうな過去は、「記憶」と呼ぶことができます”歴史は記憶である。