依田光江のレビュー一覧
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ネタバレモノを売る、ということに携わる人には必読いただきたい名書です。
⚫︎冒頭にある問い
とあるアメリカのハンバーガー屋さんでシェイクをもっと売り込みたい。ある方法で成功したのだが、どう成功したのでしょう?
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以下ネタバレ
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⚫︎不正解
・値段を変える
・味を甘くする
・量を増やす
。。。etc
⚫︎正解
・シェイクを溶けにくくした
⚫︎正解の背景
シェイクを買う顧客の多くは、アメリカ国内を移動する長距離ドライバーたち。彼らは移動中ヒマになるため、シェイクを飲んで気晴らしをしていた。シェイクが溶けにくくなることで、シェイクが長持ちし、気晴らしに使える時間が長くなった。
このように、 -
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イノベーションにおいて「顧客課題から始めるべき」という誤った論説が流布しているせいで、その誤った宗教に染まっている人も多い。そんな人たちにせひ読んでほしいのが「ジョブ理論」だ。
この本の中核をなすのが「人は製品やサービスを“ジョブ(やるべきこと)”のために雇う」という視点だ。「ジョブ」とは願望や欲求そのものではない。それは、“不完全な現実”において、“仕方なく”選んだ手段であり、「本当はこうしたい」が実現できない文脈にこそ宿る。
たとえば、あの有名なミルクシェイクのエピソード――朝の通勤時、子どもを静かにさせたい父親が、粘度の高いミルクシェイクを“雇う”という話。ここには、「子どもがジュー -
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本書でクリステンセンが提唱する「市場創造型イノベーション」は、貧困国であっても経済発展の道が開けるという主張が中心だ。無消費者に対応する新たな市場を生み出すことで、必ずしも制度改革が先行しなくても発展が可能になるという視点は非常に興味深い。技術革新が先に来て、制度が後から追いついてくるという流れは、従来の「まず制度を整え、その後発展を待つ」という考え方とは対照的だ。
この考え方は、最近読んだアセモグルの『技術革新と不平等の現代史』とも補完し合うように感じた。アセモグルは技術革新が不平等に与える影響を詳しく分析し、その成否が制度に強く依存すると指摘しているが、クリステンセンのようにイノベーショ -
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ネタバレクリステンセン教授の最終作に当たる本作。
相変わらず教授の本は面白い…。
主題は「貧困市場のイノベーション」かな。
一般に貧困な土地というのは顧客が見込めず、ビジネスが成長する土台も存在しない。グローバル化によって労働市場が世界に広がったとはいえ、後進国は企業の下請けをするのみで発展することはない。
(ここらへんマレク・レビンソン『物流の世界史』とは真逆の意見で面白かった。クリステンセン教授にとってのイノベーション(発展)とは持続的なものなので、後進国自らがモノ・コトを生み出さなくてはならない、という意見だから当然なのだけど)
だから、後進国を発展させるためには「ただトイレを設置するだけ」 -
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新規機能開発において、要求・要件定義の指針がほしかったので、読みました。「ジョブ」とは、「ある特定の状況下で顧客が成し遂げようとする進歩」と理解しました。ジョブの設定において特定のプロダクトやサービスは特定されず、また名詞と動詞で表現されます。私が朝出社する途中にあるドトールコーヒーに入るのは、「コーヒーを飲む」というジョブではなく、「出勤時間までの間に落ち着いて本を読む」というジョブです。ジョブを定義し、組織をそのジョブに向かわせ続けることが、イノベーションへの道であるという論旨です。主張が明快かついまの自分にとって考えを巡らせる材料になりそうで、とてもよい本でした。
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顧客の求めているものをわかったつもりでは、イノベーションが成功するかは、一か八かだ。
何が顧客にその行動をとらせたのかを真に理解していないかぎり、賭けに勝つ確率は低い。
ものの見方を変えること。大事なのは、プログレス(進歩)であって、プロダクト(商品)ではない。
私たちが、商品を買うということは、基本的に、なんらかのジョブを片付けるために何かを「雇用」することである
■ジョブ理論の概要
・ジョブを明らかにして把握できたあとは、そこで得た知見を優れた、プロダクト・サービスの開発に落とし込む青写真に書き換えなければならない。
・ジョブには複雑さが内在する。機能面だけでなく、社会的及び感情的な側面 -
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『イノベーションのジレンマ』で破壊的イノベーションがどのようにおきるのかを明らかにした著者が、なざイノベーションはおきるのか? どうすればイノベーションを起こせるのか? を書いたのが本書になる。
顧客はいったいどんなジョブを片付けるために商品を雇用したのか?
製品やサービスを、その性能でとらえるのではなく、それを使う人がそれを必要とする理由に注目することを教えてくれる。
「人は4インチのドリルではなく、4インチの穴がほしいのである。」
人は、特定の場面で、ほしい変化があるから、その商品やサービスを求める。
例えば、朝、ミルクシェイクがほしいのは、長い通勤時間に、気を紛らわせてくれて、小腹も満 -
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ネタバレ持続する繁栄は無消費をターゲットとした市場創造による。インフラの価値は分配できる価値の量。「学校を建てることが教育ではない」色々置換可能で耳が痛い。
内容メモ:
・無消費をターゲットとした市場創造型のイノベーションが必要なインフラをpullし持続する繁栄を生み出す
・豊かになったからといって社会/個人の問題をすべて解決できるわけではない、人生の価値を高めてくれるものは含まれていない
・インフラの価値はどれだけの価値を分配できるか、学校を建てることが教育ではない、大学に行っても就職できなければ価値がない
・最も成功している制度は文化から派生するものであって、制度が文化をつくるわけではない
・手