板谷敏彦のレビュー一覧
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粘土板が貨幣の代わりであった時代から、リーマンショックまで、金融という人の欲望渦巻く歴史の話。時系列で整理してあり、一つ一つの話は理解できたように思うが、全体としての流れはイマイチピンとこなかった。何らかの価値判断のもとに、筋道立てて書かれている方が、個人的には理解しやすい。通史を書こうとすると、どうしても羅列的になってしまうのだろうか。となると、一つ一つのエピソードやそれに対する考察が見どころだが、笑ったり深く頷くような感動が、あまりなかった。
学生の頃から、感覚的に投資銀行のようなお金でお金を増やす仕事が嫌だった。先物取引で、ひたすらレバレッジをかけて、仮に利益が得られたとしても、それは -
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戦争するのにも先立つ金がいる。
国家同士が素手で殴りあうわけではないので当たり前な話なのだが、得てして忘れがちな事実、もしくは不当に無視されている視点ともいえます。
日露戦争の勝利は、まさに薄氷の勝利であり、勝利の影の立役者は困難とされた資金調達を可能にした2人の優秀な人材がいたからという内容は、知的興奮を味わえます。
昔の戦争は、勝てば超大国同士の話合いで賠償金や植民地がもらえ、戦争自体が国威発揚のビジネスそのものだったことが再確認できます。
現在では、経済戦争が主流ですが、いざとなれば軍事介入や開戦も辞さないわけで、そのためにもお金(国力や富)が不可欠です。
では、経済力の弱い国は大国の言 -
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ちまたに溢れる『○○の世界史本』と同様、金融についての本質を探るための世界史の探訪ではなく、
金融について筆者の知っている歴史を語る本ではあるのだが、
雑学に逃げず、世界の金融の中心地の変遷と金融技術の発展に的が絞られており読みやすい。
・貨幣より先に誕生したメソポタミアの金利
・ギリシャの貨幣、両替商、オプション取引
・法社会ローマにおける財産権の確立
・キリスト教、イスラム教に忌避される金融業
・イタリア都市国家で発達する会計技術と銀行業務
・大航海時代と株式投資
・アムステルダムにて誕生したオランダ東インド会社と証券取引所
・ロンドンでの国債と保険の始まり
・初めてのバブルと恐慌
・ア -
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雑誌連載を本にまとめたもの。前著ほどのインパクトはないが気軽に読める
銀行による信用創造の起源として「ゴールドスミス説」。金匠は貴金属を預かって預り証を発行する。そのうち預り証が流通しだす。すると必ずしもゴールドを引き出さなくなるので、金匠は預かった以上のゴールドを貸し出すことができるようになる。貸したゴールドもまたすぐに金匠に預けられる
新大陸からの銀でスペインでは1世紀のあいだに物価が4倍にもなる。価格革命。インフレは地代収入により安定していた領主層や下層の民衆の生活を脅かす一方で、商工業の発展を促した。
イギリスが重商主義にはしって金銀の海外流出を規制したのでアメリカはポンド不足に -
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世界史の中で金融に関する話を抜き出した本。
前半はお金の成り立ちから始まって中世、近代と流れる中で大きな出来事を取り上げてる内容。
中盤で戦争と絡む部分は日本に関する話が多くなり、一般的な話と違った世界観を感じ、また、戦争と金融の密接な関係が描かれている。
最終章は投資理論の展開となっており、複雑怪奇になった現代の金融の理論的背景の解説となっている。
雑誌に連載、寄稿したものを基にしてるので、全体的に小話の集まりといった印象。
小話として容量が膨らまない話は取り上げられていないようで前半部分は金融の世界史と言うには物足りないが、副題にもある通り戦争と株式市場を巡る話はかなり具体的に書かれて