松本百合子のレビュー一覧
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石がストリーテラーとなり、
家族の物語を繊細な文章で綴られてる。
万が一、障害のある子どもを産んでも、
親は一生懸命育てるだろう。
でも、兄弟姉妹にとっては、
また違った思いが生まれる。
障害の重さや種類によっても違うだろう。
それは、たぶん、意思疎通ができるかどうか。
目を合わすことも、感情を表す事もままならない子どもに、幼い兄妹はどうしていいかわからない。
長男のように、のめり込みすぎて自分を失うか、反対に長女のように、拒絶的に嫌うか。
どちらも心の成長に大きな影響を与える。
障害のある子どもを持った場合、その子の兄弟姉妹にもいっそう思いを寄せてあげなければ、すべての我が子達を失いかねな -
Posted by ブクログ
父と母、兄と妹の4人家族に、弟が産まれた。彼には障がいがあった。目が見えず、四肢は動かなかった。小児科医は、こうした子の寿命は3年だと言った……。その後の家族に起こったことを“石”が語る風変わりな物語だ。
第1章では活発でリーダー的な存在だった長男が、ある日を境に献身的に弟の面倒をみるようになる。第2章は弟が破壊した幸福な家族に反発する長女の姿が描かれる。第3章には思いがけず誕生した末っ子が登場し、次男の遺したものを通して家族を再生していく。
彼らには家族の役割でしか名前がない。それがこの物語を普遍的なものにしている。ただ生きているだけの存在がもたらしたのはなにか。心に深く沁みる物語だった。 -
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『それでも暮らし続けたいパリ』を読んでいましたが、好きな作品のため、加筆修正され文庫化ということで購入しました。
日々の生活の中で、困ったり不自由なことがたくさんあるけど、そういったものもすべてまとめて、パリという街、人、文化すべてを愛し、生活を楽しんでいらっしゃるなぁと改めて感じました。
フランス女子と日本女子の美容意識の違い、家電製品の轟音が面白かった!
さっぱりとして切り替え上手なフランス人、一緒にいると振り回されることも多々ありそうだけど、そんな生き方には少し憧れるし、周りにいると楽しそう!
以前、パリで暮らす女性の密着番組にご出演されておられましたが、笑顔の優しい素敵な女性で、 -
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舞台はフランス。両親と長男、長女の4人家族に3人目の子どもが生まれた。赤ん坊の頃は、愛らしく気づかなかったが、重度の障がいがある子どもだった。
一章はかいがいしく次男の世話をする長男、二章はそんな長男に反発し不満を爆発させていく長女、そして三章は次男の死後生まれた三男を中心に、それぞれの障がいのある家族を受け入れる過程を家族が暮らす家の石が語る。
時々メディアで障がい者の兄弟がいる子どもについて取り上げられることがあるが、それぞれに思いは違うのだろうとは感じていた。この本は、三者三様の対応を書き分け、秀逸だと思った。読後に温かい気持になれた。 -
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韓国にハマる15年くらい前まではフランスが好きだった。今でも好きだけど遠いので長らく足が遠のいている。何の気なしに取ったパリ暮らしの著者のエッセイ。知らなかったけど、著者の松本百合子さんは著名なシェフ、ドミニク・ブシェ氏の夫人であり、翻訳家でもあるそう。
パリ暮らしのエッセイというと鼻につくのもままあるものだけど、この本はそういう嫌味がない。好きで何冊か持っている岡田光世さんの「ニューヨークの魔法」シリーズ的な、気持ちのよい読み心地がある。フランス語のフレーズが各エッセイ末にチロっと書いてあるのも似ている……っていうかパクり?
でも二匹目のドジョウにならないだけの魅力がある。パリ暮らしのうんざ -
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舞台はフランス北東部メス。
とある一家の父親の語りで進んでいく物語。
朴訥で不器用な父親の語りのせいか、小説ながら切実なノンフィクションの手記を読んでいるような感覚になる。
優しくて弟思いの長男フス(フスは愛称。本名はフレデリック)は、スポーツが好きな明るい子で、母親が病に倒れたときも、思春期の時期を犠牲にして家族をフォローし、家事を積極的にする、とてもいい子だった。
病に倒れた妻を見舞い、看取り、妻の死後どう子どもたちを食べさせていくかに必死で、家族のフォローにたち回ってきたフスに「ありがとう」の一つもいえなかったことに、父親は後悔の念を綴る。
そしてフスは高校に入ったころ、家族よりも友 -
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パリ在住の著者の、日常生活におけるフランスとフランス人の話。フランス人についての描写が具体的で詳しく、日本人的な考え方や習慣がしっかり身についている著者との対比もあって非常にわかりやすいです。
最後のほう、ユーモアは命がけと書いてあり、著者もフランス人のユーモアを理解するまでは大変だったようです。仲間内で済むならいいかもしれませんけど、フランス人のブラックユーモアはテロを誘引しているんじゃないんですかね。ユーモアを理解せず攻撃するほうが悪いのか?いやいや、他人に理解されないのは駄目でしょう。それは理解しない人間を馬鹿にしているのと同じ。単なる悪口や差別レベルのものをユーモアと言い切っているもの