あらすじ
本当に豊かな日常がここにある。
コンビニがない!街は真っ暗!犬のウンチもあちこちに!
不便で面倒で大ざっぱ、危険とも隣り合わせ……。
それでも引き寄せられてしまうフランスならではの魅力とは?
【内容】
《CHAPITRE1》古くて懐かしい街並みとおおざっぱな下町的人情味
1 年々減りつつある犬のウンチ。大目に見てあげたい犬たちの「ひとり散歩」
2 ヒールを隙間にとられる危険が、ますます闘志に火をつける過酷な石畳
3 メリーゴーランド、ペタンクetc.頑ななまでに変わらぬ街の古くさい光景は、平穏で幸せな日常のシンボル
4 「家じゅうを見せる」厄介なしきたりと「屋根裏を空にする」大儀な習慣で人の輪が広がっていく
5 むき出しで土のついた野菜、不ぞろいの果物……マルシェは楽しい社交の場
《CHAPITRE2》あっさりとは対極の面倒で愛あふれる距離感
1 「メルシィ」も言えない無礼な私を人前で叱りつけてくれたパリジェンヌよ、ありがとう
2 「ヴ」と「テュ」のはざまで悩んで、揺れて、いずれ面白くなる心の距離感
3 いくつになっても、ぼくの子猫ちゃん、私のひよこさんと呼び続けるフツーの夫婦
4 恋人でもないのにほっぺたにキスをし合う濃厚な挨拶、ビズ
《CHAPITRE3》「飲む」「食べる」「しゃべる」「休む」すべて、ゆっくり、たっぷり
《CHAPITRE4》不便とイライラがちりばめられた、人間的な日常
《CHAPITRE5》暗い街にひそむ、美しき光と危ない影
《CHAPITRE6》人生はドラマティックな舞台!
1 長いキス、熱い抱擁、でも別れはあっさり。みんな「切り替え上手」な役者
2 「遊び心」に脱帽!思わず涙した人生最大のサプライズ
3 ユーモアは命がけの真剣勝負。逆境でこそ輝くフランスのエスプリ
ほか
【著者紹介】 松本百合子(まつもとゆりこ)
上智大学仏文科卒。商社OL、女性誌ライターを経て翻訳者に。2001年よりパリに暮らす。夫は、フランスのグランシェフ、ドミニク・ブシェ氏。パリ8区と東京・銀座のレストラン「ドミニク・ブシェ」では、マダムとしても活躍している。訳書に、ラボリ著「かもめの叫び」(角川書店)、スアド著「生きながら火に焼かれて」(ヴィレッジブックス)、2011年3月の東日本大震災の被害者を主人公にした、リシャール・コラス著「波 蒼祐、17歳のあの日からの物語」(集英社)など多数。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
さすがパリ在住15年、イメージしていたパリの雰囲気がそのまま感じられる本でした。私もパリで暮らしてみたい。パリじゃなくても日本以外の街で生活して、思いっきり異文化を体験してみたい。とりあえず、パリシリーズはここで小休止にします。
Posted by ブクログ
韓国にハマる15年くらい前まではフランスが好きだった。今でも好きだけど遠いので長らく足が遠のいている。何の気なしに取ったパリ暮らしの著者のエッセイ。知らなかったけど、著者の松本百合子さんは著名なシェフ、ドミニク・ブシェ氏の夫人であり、翻訳家でもあるそう。
パリ暮らしのエッセイというと鼻につくのもままあるものだけど、この本はそういう嫌味がない。好きで何冊か持っている岡田光世さんの「ニューヨークの魔法」シリーズ的な、気持ちのよい読み心地がある。フランス語のフレーズが各エッセイ末にチロっと書いてあるのも似ている……っていうかパクり?
でも二匹目のドジョウにならないだけの魅力がある。パリ暮らしのうんざりするとこ、いろいろあるけど、それでも魅力的なパリの姿が伝わってきて久々に行ってみたいなと思った。
Posted by ブクログ
パリ在住の著者の、日常生活におけるフランスとフランス人の話。フランス人についての描写が具体的で詳しく、日本人的な考え方や習慣がしっかり身についている著者との対比もあって非常にわかりやすいです。
最後のほう、ユーモアは命がけと書いてあり、著者もフランス人のユーモアを理解するまでは大変だったようです。仲間内で済むならいいかもしれませんけど、フランス人のブラックユーモアはテロを誘引しているんじゃないんですかね。ユーモアを理解せず攻撃するほうが悪いのか?いやいや、他人に理解されないのは駄目でしょう。それは理解しない人間を馬鹿にしているのと同じ。単なる悪口や差別レベルのものをユーモアと言い切っているものだってあるんじゃないんでしょうかね。
生活基盤が完全にパリにあってフランス人のよさも知っている著者とは比べようもないですが、読後、私は「それでも暮らし続けたい」とは、思えませんでした。本自体はおもしろかったです。