長谷川夕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
どうか、天国に届きませんように。
それはどのような類いの願いなのだろうか。
淡々とした文章が彼らの孤独を浮き立たせる。
読んでいると、自分が色も音もない世界にいるような気分になる。
想像力を働かせると、本当に恐ろしい思いをすることになる。
名前も知らなかったこの著者の作品を、たまたまのめぐり合わせで読むことになった。面白かったので、他の本も読んでみようと思う。
黒い糸
超常現象が好きな少年は、自分にもそんな不思議な力があればいいのにと思っていた。スプーン曲げ、瞬間移動、読心術。そんな願いがなぜか叶い、ある日彼に特殊な能力が宿る。
小指にいつの間にか結ばれている黒い糸。それを辿ると、必ず死 -
Posted by ブクログ
初めて読む作家。
兄弟二人きり、母は2年前に亡くなった。
兄弟は父違い。
ある時、母の地元に一人で暮らしていた祖父が死んで、連絡が入った。
二人の他に血族はない、遺産を処理するために田舎に。
母とは大喧嘩をして別れ、行き来はなく、一度も会ったことのない祖父だった。
だが、長男の、主人公「晶」は外見も声も祖父に生写しだった。
祖父はその田舎の郷土史などを研究していて、たくさんのじもとの、たくさんの地元の人々と交流があった。
次々と葬儀にやってくる人々。
ある日、祖父がまとめまとめた地元の怪異をまとめた本を見つける。
次々と怪異と遭遇するのだが。。。
不思議な話怖い話が続くが、決 -
Posted by ブクログ
ネタバレ亡き祖父を慕って、あるいは頼ってくる来訪者の悩みに対して真面目に向き合う祖父そっくりの兄(そっくりと言われても20歳である)と、そんな兄を特殊能力(?)でアシストする弟の物語。
弟が手のかかる子ながら能力がチート級に高いが、途中でそんな弟くんは学業があるため退場。
この展開には驚いたけれど、亡き祖父を理解する上で兄には必要な期間だったのかなと思う。
弟くんがいなくても兄のお人好しさは変わらなかったし、真実を見出す目は確かだったから。
祖父が残した真偽のほどは分からない作り話に隠された真実。
そして生前一度も会う機会のなかった祖父と母の確執、そして祖父の想いとは。
民俗学的謎解きに、弟くんが絡 -
Posted by ブクログ
ホラー系ミステリ作家・長谷川夕さんの5体のおにんぎょうが女性達に災いを為す血も凍る怖さの連作短編集。本書の中で質の悪い極悪極まりないお人形は第1話の死を呼ぶミーナと第4話の死の映像を映すエセルですね。第2話のサマーは機械仕掛けでまだ可愛らしい方ですし、第3話の名前なし人形と第5話のクローディアはヒロインを解放してくれるだけましな方ですね。全てが破滅的でなく第2話と第5話には救いと希望が漂います。人間の憎悪が人形と反応して最悪の結末に至るダークファンタジーの達者な書き手の著者は今後も大いに期待できますね。
唯、一点だけ非常に残念なのは去年までに集英社オレンジ文庫から4冊も著作を刊行されているの