與謝野晶子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
くっきりはっきり立体的な與謝野源氏。谷崎源氏が春の木漏れ日のようにおだやかで繊細な綾があるとしたら、與謝野源氏は夏の晴れた日のようでカラリとしていていい意味で影がない。まるで明治の小説を読んでいるかのようです。「これから何かが始まる」というワクワク感があります。その明け透けさに「王朝の雰囲気がない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。原文に忠実で完璧なのは谷崎源氏だと思いますが、ワイルドな與謝野訳が私はとてもいとおしい。「梅が枝」での薫香あわせのエピソードが大好きです。あとそれまであまり思い入れのなかった若菜が與謝野晶子の筆で読むととてもおもしろく感じます。紫の上が源氏にため口(?)聞い