堀川惠子のレビュー一覧

  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

    Posted by ブクログ

    この本の感想は難しい。
    いまから30年ほども前に死刑執行された長谷川を追っていく。長谷川が死刑判決後に検察官や弁護士、関係者に書いた手紙を元に進んでいく。その過程で被害者がひとりだけ、生活態度真面目なのになぜ死刑になったか裁判官達が珍しく覚えていない、とまるで誤って死刑になったかのような描写がされる。
    ここに強い違和感を感じる。被害者はたったひとり、だけどごく普通の主婦で、家に居る所を押し込み強盗にあった。発見者は小学生の娘。この本を被害者側から書いたら当然だが全く違う内容になっただろう。だって長谷川の犯行は冤罪ではなく、例えば防衛のためでもなく、生活のためでもない。贅沢な暮らしをしたいという欲のため。
    作中、長谷川が小鳥を可愛がっていた描写など「心優しい青年」を強調する。それを読んだ私は「本当は良い人だったんだ」と思う。しかし顔を上げると被害者がいることを思い出す。その揺さぶりの繰り返しだった。
    加えて死刑囚を巡る多数の人々の感情(ただし登場しない被害者を除く)は胸に迫るものがあった。

    0
    2016年02月16日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

    Posted by ブクログ

    読後感が複雑です。加害者側からの文章であればある程、心奪われてはいけないと自分を律する。
    被害者の事を思えば思うほど、こんな理不尽な事は無いだろう。どんなに生い立ちが不幸であっても、人を殺して良いわけがない。身内が被害者ならどうだろうか。色々な事を考えさせられる本です。

    0
    2026年09月26日
  • 透析を止めた日

    Posted by ブクログ

    終末期医療の問題は根深い。
    死ぬならがんで死にたいとすら思ってしまう。
    緩和ケア病棟以外の医師に緩和ケアを望むのは無理筋。理想はそうだけど、多忙で多くの患者を捌かないといけない大学病院や総合病院の医師にそれを望んで、満足のいくケアをされなかったからと批判がましい書き方をしている部分には辟易。

    透析したくない、家に帰りたいと言い、ギリギリになってやっぱり苦しくなったからと救急で病院にかかり、満足のいく処置を受けられなかったからと裁判に訴え、医者を非難する患者側もどうかと思う。
    患者側の“尊厳”っていう言葉で全てにおいてわがままを許されるものではないと思うんだけど。

    高齢化による医療費の増大、病院の赤字経営、地方の病院の閉院など医療体制が大きく変容していて、これからますます医療の取捨選択が必要になっていく。全て理想どおりにはいかないんじゃないかな。

    むしろ1日でも長く生き延びさせるのではなく、望む人には安楽死を選択できる法体制を早く整えてほしい。

    0
    2026年09月26日
  • 透析を止めた日

    Posted by ブクログ

    透析治療について、専門家でもないのに良くここまで調査したとは思う。透析治療患者が身近にいる人にとっては非常に有意義な本だと思うが、そうでない人にとっては医療的な考察が多過ぎてやや退屈。読む人を選ぶ本。

    0
    2026年08月23日
  • 教誨師

    Posted by ブクログ

    死刑が執行される事で誰も幸せにならない事は想像できるが、死刑になるような犯罪を犯す人が居なくならないって『死刑』が何のストッパーにもなっていないって事?
    刑務所で無期懲役でも償いきれない犯罪を犯した人に対し心のケアは必要なのか。
    被害者は急に人生を奪われたのに。と解せない気持ち。
    教誨師との面談で余罪が明らかでも、到底改心などできない人だと分かっても聞くだけって何だろう。
    刑を執行する刑務官の精神的負担についても考えた事がなかった。死刑囚が順繰りにスイッチ押せば?

    0
    2026年08月15日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

    Posted by ブクログ

    加害者側からみるか被害者側からみるか…

    死刑囚が心から改心したとしても、どんなに被害者に対して謝罪の気持ちが芽生えても、殺された側はどう思うか…
    殺人の被害者は突然人生を終わらされるのだ。

    この作品は死刑囚を中心に描かれているので、私も読んでいて長谷川死刑囚に気持ちが揺るがされたが、でもやっぱりどんな苦しい生い立ちや家庭環境であっても人を殺めるということは絶対に許されないと思う。

    ただ裁判員裁判が始まり、どこか遠い出来事だった裁判というものが身近に感じ、「死刑」のみならず刑を下すという重要性には慎重に慎重を重ねなければならないと感じた。
    裁判官、検事、弁護士を仕事としている人間でも、それぞれにこれだけの深い思いや苦しみがあるのだから…。
    とても考えさせられる一冊でした。

    0
    2026年03月23日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

    Posted by ブクログ

    死刑制度と、それに関わる人々の姿を描き出しており、大変意義のある取材であることに異論はない。
    が、やはり冤罪でもない、多くの犯罪を犯し、最後には殺人に及んだ長谷川に対し、どんなに反省し、悔悟の念を持つようになっても、全く心を寄せる気になれなかった。
    それだけに、被害者側の取材が意図的であるにせよ不足していることに強い違和感を感じた。
    早い段階で少しでも被害者側の取材をしていれば、この本のような取材や立論の流れになっただろうか。

    0
    2015年12月26日