堀川惠子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本の感想は難しい。
いまから30年ほども前に死刑執行された長谷川を追っていく。長谷川が死刑判決後に検察官や弁護士、関係者に書いた手紙を元に進んでいく。その過程で被害者がひとりだけ、生活態度真面目なのになぜ死刑になったか裁判官達が珍しく覚えていない、とまるで誤って死刑になったかのような描写がされる。
ここに強い違和感を感じる。被害者はたったひとり、だけどごく普通の主婦で、家に居る所を押し込み強盗にあった。発見者は小学生の娘。この本を被害者側から書いたら当然だが全く違う内容になっただろう。だって長谷川の犯行は冤罪ではなく、例えば防衛のためでもなく、生活のためでもない。贅沢な暮らしをしたいという欲のため。
作中、長谷川が小鳥を可愛がっていた描写など「心優しい青年」を強調する。それを読んだ私は「本当は良い人だったんだ」と思う。しかし顔を上げると被害者がいることを思い出す。その揺さぶりの繰り返しだった。
加えて死刑囚を巡る多数の人々の感情(ただし登場しない被害者を除く)は胸に迫るものがあった。 -
Posted by ブクログ
終末期医療の問題は根深い。
死ぬならがんで死にたいとすら思ってしまう。
緩和ケア病棟以外の医師に緩和ケアを望むのは無理筋。理想はそうだけど、多忙で多くの患者を捌かないといけない大学病院や総合病院の医師にそれを望んで、満足のいくケアをされなかったからと批判がましい書き方をしている部分には辟易。
透析したくない、家に帰りたいと言い、ギリギリになってやっぱり苦しくなったからと救急で病院にかかり、満足のいく処置を受けられなかったからと裁判に訴え、医者を非難する患者側もどうかと思う。
患者側の“尊厳”っていう言葉で全てにおいてわがままを許されるものではないと思うんだけど。
高齢化による医療費の増大、病院の赤字経営、地方の病院の閉院など医療体制が大きく変容していて、これからますます医療の取捨選択が必要になっていく。全て理想どおりにはいかないんじゃないかな。
むしろ1日でも長く生き延びさせるのではなく、望む人には安楽死を選択できる法体制を早く整えてほしい。 -
Posted by ブクログ
加害者側からみるか被害者側からみるか…
死刑囚が心から改心したとしても、どんなに被害者に対して謝罪の気持ちが芽生えても、殺された側はどう思うか…
殺人の被害者は突然人生を終わらされるのだ。
この作品は死刑囚を中心に描かれているので、私も読んでいて長谷川死刑囚に気持ちが揺るがされたが、でもやっぱりどんな苦しい生い立ちや家庭環境であっても人を殺めるということは絶対に許されないと思う。
ただ裁判員裁判が始まり、どこか遠い出来事だった裁判というものが身近に感じ、「死刑」のみならず刑を下すという重要性には慎重に慎重を重ねなければならないと感じた。
裁判官、検事、弁護士を仕事としている人間でも、それぞれにこれだけの深い思いや苦しみがあるのだから…。
とても考えさせられる一冊でした。