ピーター・シンガーのレビュー一覧
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ネタバレ動物の苦しみに配慮すべきだ、という。それは、人間の平等を基礎づける理論が、動物にも拡大されるべきだという主張でもある。
様々な角度から論証がなされているが、特に印象に残ったのは冒頭の功利主義的論証だ。苦しむ能力を唯一の基準とし、それを有する主体に平等に配慮すべきであり、動物も苦しむからだという。
なぜ苦しむ能力の有無で線を引くのか?それ以外の基準で、万人の平等と衝突しないものを探すのは難しい。例えば、もし認知能力の差を理由に差別を認めるなら、幼児や障がいを負った人への差別をも許容してしまう。人種や性別による線引きも論外だ。(何が最善の基準かは、演繹的には証明されないのかもしれない。そうだ -
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ネタバレ著者は反種差別理論の基礎に功利主義や平等のモラルの思想を自明的に置いているが、僕はそれらは自明ではなく丁寧な論証を要する部分ではないかなと思った。一方で細かいところを抜きにすれば、この本には読者を菜食主義に傾かせる十分な啓蒙の力があると感じた。
ユダヤ教の人間は動物を支配する立場にあるという信仰とギリシアで育まれた人間中心観の思想とが合わさり、ローマの自分の共同体に属さない者を害する風習を経て、キリスト教の人間が動物に優越し動物は人間に利用されることを目的とするという教義が普及し、現代の種差別的な価値観へと繋がっている。
現代では、動物擁護の価値観は徐々に広まってきているものの、動物を過剰に傷 -
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シンガーがどのような議論で動物権利論を提起したのかを知りたいなと思っていたところ、都合よく改訂訳が出たので読んでみた。
功利主義的な基盤に基づく「なぜ動物の苦しみを減ずるべきか」といった議論と、その推進を妨げるイデオロギーとしての種差別を論ずるパートに始まり、実験動物や畜産動物において非合理的な苦しみを与えられる動物たちの実例を紹介し、再度種差別イデオロギーの構築の史的分析に入る。
多角的に種差別に基づく動物虐待行為を論じており、その筆致も明快である(分析哲学的な明快さ)。だが、その明快さに少し違和感を感じる側面もある。
色々な意味で難しい古典だと感じた -
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ネタバレ人々が動物性食品を止めるべき主な理由は動物への配慮、気候変動対策、自分の健康への問題、生鮮市場における感染症の4点が挙げられる。
動物に苦しみをもたらす慣行を支持したくないからベジタリアンになるのであれば、中枢神経系がないハマグリやホタテ、良い生の鶏の卵を食べるフレキシブルなヴィーがんは問題にならない。
動物の解放運動は他の解放運動と異なり、搾取される側である動物が組織的な抗議をしないこと、抑圧する側に属する集団の構成員のほぼ全てが抑圧に直接加担している受益者であることなどから、不利である。
畜産を止めれば、浮いた飼料生産により、地球から飢餓と栄養失調はなくなる。すなわち、動物の解放は人間の解 -
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「効果的な利他主義」とは寄付者の情けに訴えるチャリティではなく、費用対効果の高い方法で命を救い苦痛を減らすことを証明できるチャリティに寄付を行うことを指している。本書の中で紹介されている事例として、収入の大半を寄付する人、より多くの寄付を行うために高収入を得られる職業に就くもの、腎臓等身体の一部を赤の他人に提供するもの等々があった。これらは極端な例だとは思うが、少なくとも自己満足ではなく、命を救うために最も効果的なチャリティを選んで寄付をすべしという提言は納得。私は本書でいうところの「寄付することで気分が良くなり、その効果は問わない」寄付者で、さらに「こうした寄付はたいてい10ドル以下の少額で
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私たちは自分にできるいちばんたくさんのいいことをしなければならない。盗まず、騙さず、傷つけず、殺さないと言う当たり前のルールに従うだけでは不十分で、世界をよりよいものにするために尽力すべしと言う 「効果的な利他主義」の話
与えるために稼ぐ、腎臓提供をする等 他者を気にかけ、そのために自分の人生を大きく変えることをいとわない人達。 度が外れていると感じるケースの紹介もあり、感心する。
慈善団体が効果的にチャリティーを使っているかを評価する組織、ギブウェルを調べてみたが、英語しかなく、チャリティー先としてもあまり私に合うなと言うものでは無かった。
【今後私が頑張ること】
私に出来ることを考 -
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オーストラリアの倫理学者である著者が効果的な利他主義とは何かについて自身の見識やデータをもとに書いた一冊。
本書を読んで、利他主義の素晴らしさや効果的な利他主義の様々な選択肢を知ることができました。
同じ寄付でも多くの人を救うことのできるものを選ぶことの大切さを学ぶことができました。
そんな本書の中でも先進国よりも途上国に寄付する方が効果的であることは印象に残りました。
本書を読んで、効果的な利他主義という新しいムーブメントを通して自分に何ができるのか改めて問い直すきっかけとなり、他人を助けることについて多くの示唆を与えてくれる一冊でした。 -
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プリンストン大学教授の哲学者、倫理学者による「寄付」についての本。端的に言えば「同じ寄付をするなら、そのお金が一番人や動物の苦痛を減らし、幸福を増やす施策に寄付すべき」ということでしょうか。
読み終わって思ったことは3点。
1. 寄付というマーケットのアメリカでの大きさと、寄付って何なんだろうということ
2. ベジタリアニズムを選ぶ理由は「動物の苦痛を減らすため」ってどうなの?ということ
3. 何でも定量化して、比較できるようにしようというチャレンジは大事だなぁということ
1.については、「寄付のやりかた」が議論されるくらい、アメリカでは寄付というものが一般的だということ。訳者あとがきでは -
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効果的な利他主義は間接的に自分に恩恵がある。
収入の1割を貯蓄、1割を寄付。
ビーガンになることも世界のためにできること。
貧しい人がなくなることが大事、貧富の差が開くことが悪いわけではない。
他者への臓器提供。
費用対効果の高い方法でチャリティに寄付する。
情に訴えるチャリティではない。
共感的関心は低いほうが効果的な利他主義になりやすい
トロッコのジレンマでも冷静に判断できる人。
数字を重要なものと認識する=共感ではなく理性で寄付する。
特定の人を助けるのではなく、多くの人数を助けることに興味がある。
小口の寄付者は、心のぬくもりを求める、だけ。
消費における快楽の踏み車。寄付は失 -
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被災地に募金したり、恵まれない子供たちへのチャリティー活動に参加した事がある人は多いと思うが、自分が行った寄付が実際どのように使われているのか、調べる人少ないはずだ。本作はチャリティーの定量的効果を、哲学的な視点を用いて考察した一冊である。
アメリカには、同じ額の募金をするならどの団体に寄付すれば効果的なのか、そのような事が気になるあまり、慈善団体を評価する会社を立ち上げてしまった人がいる。また、より多額の寄付を行いたいために、高額な報酬が得られるウォール街の金融企業に勤める人もいるらしい。
そもそもアメリカ人と日本人の間には、寄付に対する考え方の違いのようなものがあるのではないかと感じた -
気分悪くなってやめにした
お高い本なので、とりあえず試し読み。
作者氏、魚が嫌いみたいです。
肉とか魚とかが、魚がタコになっている。
たこ焼きには当たり外れがあるので特に東日本では食おうと思いませんが、
タコの美味いのを食ったことがないらしい。
可哀想な人です。ユダヤ教徒?海では鱗がついた生き物以外食えないそうな、
傷んだシャコでも食って腹壊したのかしら。
もっとも、隣人食い物にする方がはるかに罪深い気がする。
魚食うやつはタコ、あたしゃ魚食わないから知らねえ、のスタンスです。
缶詰、瓶詰めの不味そうな魚しか食ったことがないかもと考えると、
料理の腕は重要なのでしょうね。改めて可哀想になってきました。
気分が悪くなる料