オイゲン・ヘリゲルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
西洋人であるオイデン・ヘイゲルが、禅や日本文化を理解しようとして書いた本を、逆に東洋人の自分が読んで禅を理解しようとしているというのは、なんだか少し皮肉な感じもする苦笑
ただ、そこが面白いところでもある。禅を体現しているような人ほど、言葉で説明するのが苦手なのだと思う。「それ」としか言えないような、かなり感覚的な世界。
弓道自体にはそこまで興味は湧かなかったが、この本と鈴木大拙の『禅と日本文化』を読んだことがきっかけで近所の座禅会に参加するようになり、気づけば半年以上経った。
……とはいえ、まだ全然よくわからない(笑)。
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Posted by ブクログ
日本人は何でも「道」にしてしまう。
茶道、華道、へたすればラーメン道、とか。
道、とはなんだろうか。ざっくり、ストイックに突き詰めて無我の境地に至る、みたいなことだと日本人なら感覚的に理解できる。
その中でも、弓道(弓術)というととくに何か神秘の香りがする。
ここに合理の権化のようなドイツの哲学者が挑戦した記録。
「・・・私が弓術を習得しようとした本来の問題に、先生はここでとうとう触れるに至ったが、私はそれでまだ満足しなかった。そこで私は、『無になってしまわなければならないと言われるが、それではだれが射るのですか』と尋ねた。すると先生の答はこうである。
『あなたの代りにだれが射るかが分かるようになったなら、あなたにはもう師匠が要らなくなる。経験してからでなければ理解のできないことを、言葉でどのように説明すべきであろうか。仏陀が射るのだと言おうか。この場合、どんな知識や口真似も、あなたにとって何の役に立とう。それよりむしろ精神を集中して、自分をまず外から内に向け、その内をも次第に視野から失うことをお習いなさい』
ーーー先生はこの深い集中に到達する仕方を教えた」(pp34-35)
弓の稽古を通じて、この若きドイツの哲学者の思索は、「無」とは何か、という(東洋的)心理に徐々に接近していく。
趣深いのは、日本だと師匠の指導に口をはさむなんてことはなかなかできないものだが、著者はガンガン自分の疑問を先生にぶつける。先生は当惑しながらも多くの文献に当たり、ときにはドイツ語も片言使いながら真摯に受け答える。
この師匠と弟子との対話の真摯さに深く胸を打たれた。 -
Posted by ブクログ
面白かった。こんな本もあるんだなぁと思った。
昭和初期、東北(帝国)大学に職を得たドイツの哲学者が、日本の文化を深く知るために弓術を習うという体験を本国で講演した時の日本語版。
日本の武術は禅の影響を受けているため、日本の神秘性を理解するには武術を習うことがよいと勧められて弓術を始められたとのこと。
しかし師範からの指導は「あなたは全然なにごとをも、待っても考えても感じても欲してもいけないのである。あなたがまったく無になるということが、ひとりでに起これば、その時あなたは正しい射方ができるようになる」…など欧州の論理的な哲学者にとっては理解し難い指導ばかりだが、それを少しずつ体得していく様子が大変面白く描かれている。
師範の言っていることが、よく言われる瞑想と似ているなと思ったら、スティーブ・ジョブズはこの本を元にした『弓と禅』の愛読者だったらしい。
言葉に表現しにくい日本の文化を著者はうまく表現している。論理的な外国の哲学者が日本文化を深く知ろうとしてくれたお陰で、日本の文化をとても面白いと思えた。せっかく住んでいるのだから、日本文化をもっと勉強してみようと思えた。
100頁もなくてすぐ読める。 -
Posted by ブクログ
神秘体験に関心のあった一人のドイツ人哲学者が日本に来て弓道を学んだ体験記で、短い本なのだが、これほど強く感銘を受けたと感じたのは久しぶり。日本の武道とそれが志す精神性が、はっきりと浮かび上がってきてとても感動した。日本文化に馴染みのない外国人だったからこそ、ここまで丁寧に浮かび上がらせることができたのだと思う。ここに記されている伝統的な日本の精神は、現代では薄まりつつ確かに残ってもいて、そういう中途半端な時代を生きる日本人にとってはすごく読む価値のある本だと思う。
これを読むと、禅や武道の修行というのは「無我」を目指すものだということがよく分かる。そして、そういうものを目指して修練してきた人が尊敬に値することもよく納得できるし、ことば数は少なく背中で語るというようなタイプが規範的な日本人像とされてきたのも合点がいく。一方で、禅や武道の教えや慣習が、合理性を第一に重視する現代社会と合いにくいのも随分納得できる。禅の教えは、成熟を目指すときには有効だが、発展を目指すには効果的でないという感じだろうか。読後、個人的な生き方や、良い慣習と悪い慣習をどう分けるかみたいな社会的なことなどにもあれこれと考えが及んでいたので、それだけ刺激的な本だったのだと思う。 -
Posted by ブクログ
薄い本ですが、読みごたえがあります。東洋的な精神文化の根本を「禅」の中に見出そうとする著者の思いが詰まった本です。心に残る一冊であることは間違いがありません。弓道とは、これほどまでに精神修養の面があるとは知りませんでした。日本人の深い精神性について知ると共に、日本人が古来から培ってきた自己の内面との邂逅が、仏教的な思想である「禅の思想」と繋がっていることを再認識しました。西洋人と東洋人の考え方の違いの根本を教えてくれる本です。この本をドイツ人のヘリゲルが書いたというのも凄いことです。ヘリゲルが晩年過したガルミッシュパルテンキルヘンは私が十数回訪れている場所であり、そういう事実を知れたことも嬉しかった。