柴田治三郎の作品一覧

「柴田治三郎」の「日本の弓術」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 日本の弓術
    4.0
    的にあてることを考えるな、ただ弓を引き矢が離れるのを待って射あてるのだ、という阿波師範の言葉に当惑しながら著者は六年の歳月を過ごし、その体験をふまえて講演を行なった。ここには西欧の徹底した合理的・論理的な精神がいかに日本の非合理的・直観的な思考に接近し遂に弓術を会得するに至ったかが冷静に分析されている。

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ユーザーレビュー

  • 日本の弓術

    Posted by ブクログ

    「対話のない社会」で紹介されていた一冊。ドイツから日本にやって来て、知らない民族の精神性、その心の内をしりたいと弓術の世界に足を踏み入れたその時点で、すでに対話は始まっていたのだ。
    かつての体験から否とせず、受け入れた師匠の方もまた対話を拒まなかったと言えるのだろう。

    この対話性があればこそ、無我の境地、宇宙との一体感といった感覚に到達しうるのではないか。悟りはひとりでは開けない。

    0
    2025年07月22日
  • 日本の弓術

    Posted by ブクログ

    日本人は何でも「道」にしてしまう。
    茶道、華道、へたすればラーメン道、とか。

    道、とはなんだろうか。ざっくり、ストイックに突き詰めて無我の境地に至る、みたいなことだと日本人なら感覚的に理解できる。
    その中でも、弓道(弓術)というととくに何か神秘の香りがする。

    ここに合理の権化のようなドイツの哲学者が挑戦した記録。

    「・・・私が弓術を習得しようとした本来の問題に、先生はここでとうとう触れるに至ったが、私はそれでまだ満足しなかった。そこで私は、『無になってしまわなければならないと言われるが、それではだれが射るのですか』と尋ねた。すると先生の答はこうである。

    『あなたの代りにだれが射るかが分

    0
    2020年11月29日
  • 日本の弓術

    Posted by ブクログ

    面白かった。こんな本もあるんだなぁと思った。
    昭和初期、東北(帝国)大学に職を得たドイツの哲学者が、日本の文化を深く知るために弓術を習うという体験を本国で講演した時の日本語版。
    日本の武術は禅の影響を受けているため、日本の神秘性を理解するには武術を習うことがよいと勧められて弓術を始められたとのこと。
    しかし師範からの指導は「あなたは全然なにごとをも、待っても考えても感じても欲してもいけないのである。あなたがまったく無になるということが、ひとりでに起これば、その時あなたは正しい射方ができるようになる」…など欧州の論理的な哲学者にとっては理解し難い指導ばかりだが、それを少しずつ体得していく様子が大

    0
    2020年08月19日
  • 日本の弓術

    Posted by ブクログ

    ドイツ人がここまで素直に日本古来の弓術に専心してその本質を会得するとは、非常な驚きである。スティーブ・ジョブズが本書を愛読していたとのことであるが、西洋の人から見ると、本書で描かれたような道の究め方はある種神秘的に見えるのであろう。

    0
    2020年01月06日
  • 日本の弓術

    Posted by ブクログ

    今年読んで良かった本の1,2を争うかも。

    ドイツ人が日本の弓道家に弟子入りして、
    日本の深淵なる禅を学ぼうと試みたという話。

    弓を射ることは弓と矢とをもって射ないことになり、
    射ないことは弓も矢もなしに射ることになる。

    身震いがした。

    薄い本ながら内容は非常に濃いものになっている。
    余裕のある字間で書かれた文章には雰囲気があり、
    高潔な世界観がうかがえる。

    阿波師範が語られる精神世界は
    現代の日本において遠いものになってしまっている気がするのが残念だ。

    日本人としてのアイデンティティを再認識させられる名著だと思う。

    0
    2016年12月31日

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