面白かった。こんな本もあるんだなぁと思った。
昭和初期、東北(帝国)大学に職を得たドイツの哲学者が、日本の文化を深く知るために弓術を習うという体験を本国で講演した時の日本語版。
日本の武術は禅の影響を受けているため、日本の神秘性を理解するには武術を習うことがよいと勧められて弓術を始められたとのこと。
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しかし師範からの指導は「あなたは全然なにごとをも、待っても考えても感じても欲してもいけないのである。あなたがまったく無になるということが、ひとりでに起これば、その時あなたは正しい射方ができるようになる」…など欧州の論理的な哲学者にとっては理解し難い指導ばかりだが、それを少しずつ体得していく様子が大変面白く描かれている。
師範の言っていることが、よく言われる瞑想と似ているなと思ったら、スティーブ・ジョブズはこの本を元にした『弓と禅』の愛読者だったらしい。
言葉に表現しにくい日本の文化を著者はうまく表現している。論理的な外国の哲学者が日本文化を深く知ろうとしてくれたお陰で、日本の文化をとても面白いと思えた。せっかく住んでいるのだから、日本文化をもっと勉強してみようと思えた。
100頁もなくてすぐ読める。